イカれた駄耳にジャズの洪水

今宵も円盤漬け・・・     since 23rd Oct. 2006

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#947 Tribute to Radiohead/Amnesiac Quartet (Sebastien Paindestre-CD)

Amnesiac Quartet - Tribute to Radiohead

1.Everything in its Right Place
2.Morning Bell
3.A Wolf at the Door
4.Sail to the Moon
5.I Might be Wrong

Sebastien Paindestre (key) Fabrice Theuillon (ss) Joachim Florent (b)
Antoine Paganotti (ds)

Rec-2007



どんなジャンルの音楽でも先入観の無いように満遍なく接してきたつもりではあるのですが、ジャズに復帰してからというもの空白の十数年を埋めようと、ここ二~三年は軍資金をジャズに集中投下しているので、ほかのジャンルの動向にかなり疎くなっていることは否めません。しかしながら「昔取った杵柄」ではないけれど、自分好みの音というのはジャズ以外のジャンルにも沢山転がっているわけで、フラフラと浮気心をくすぐられる事も多々あります。そんな折、現代ジャズという範疇では自分の中で最多のライブ目撃回数を誇るロバート・グラスパーの音源が、トラック・メイカーでありヒップホップ・プロデューサーであるフランス人の "Dela" の手によって加工され、その9曲が一ヶ月ほど前からアップロードされています。その名も "The Robert Glasper Beat Tape"(リンクあり)。ただでさえラップ&ヒップホップとの結びつきの強いロバート・グラスパーですが、改めてサンプリングされるとその相性の良さからかグレードの高いものに仕上がるのは必然といった出来映えで、ノネナール臭が気になってきたオッサンも思わず "dope!" と叫んでしまう始末。いやぁ最高だ。彼の特徴とも云える流麗なリフがスポイルされること無くしっかりと抽出され、心地良い打ち込みと相俟って新たなステージに昇華している。ココのブログに迷い込んでくる方は十中八九ジャズ目的でしょうが、全くジャズに関係ないものとも言い切れないので載せておきます。興味のある方は上記のリンクから試してみてください。

そしてジャズ・ファンが恐らく手を出しにくいアルバムを今日はこの流れ(理由は下記に)で聴いています。UKオルタナティヴ・ロックバンドの「レディオヘッド」へのトリビュート作品。その名も「アムニージアック・カルテット」。個人的にはレディオヘッドは "Pablo Honey" であり "Bends" であり "OK Computer" であり "My Iron Lung" であるので、アムニージアック ("Amnesiac") 以前の初期の頃に入れあげていたということになり、馴染みの楽曲はこのアルバムでは少なめなのです。アムニージアック・カルテットのリーダーが誰なのか定かではありませんが、レーベルの関係からキーボードのセバスチャン(セバスチアン)・パンデストルが主導しているのかなぁと推察されます。パンデストルは2003年のピアノ・トリオ作 "Ecoutez Moi"(Jazzseb) で聴いているけれど、こういうものも出していたんですね。

そもそもレディオヘッドがジャズの素材として多数起用されていたことに、出戻りジャズ・マニアの当方は面食らっていたのです。前述のロバート・グラスパーも彼らのトラック "Everything in its Right Place" (このアルバムでも1曲目に演奏されています)を "Maiden Voyage" とともにカップリングし演奏していました。例えばサム・ヤエルのピンク・フロイドものとか、他ジャンルの楽曲をジャズメンが演奏するのはもはや珍しくはないけれど、この流れはこれからも続いてジャンルを超えた沢山のトリビュート作が出てくるのでしょうなぁ。個人的にはレディオヘッドとも繋がりのある、同じくUKロック・バンドの「ミューズ」(ジャズのレーベルではないよ)あたりもジャズ向きな感じを抱くのですがどうでしょう?

はてさてこのアルバム、ソプラノ・サックスでのワンホーン・カルテットになっており、そしてパンデストルはピアノではなくキーボードのみで演奏しています。聴いてみると彼らの独自色を強く打ち出していると云うほどでもなく、各自のソロは随所にあるもののどちらかといえば原曲に忠実な演奏と云えるのではないかと感じました。ですから曲の持つ魅力が発揮されとても聴きやすいアルバムに仕上がっている反面、ジャズ的なスリリングな要素には若干乏しいんじゃないかというのも率直な感想であります。個人的には初期のレディオヘッドの狂気さをも含んだような激しいトラックも採用してガンガン攻めて貰いたいのですが、やはりというか取り上げられているのはそれ以降のどちらかといえば内省的なナンバーがほとんどで、アルバム全体としても少し抑揚に欠けていて物足らないかなぁ。まぁ自分の欲求のような内容になるとこのグループのコンセプトと合わなくなるのかも知れませんが。それでもクリアなソプラノの音色にソフトなキーボードが描くレディオヘッドの世界は瑞々しさを以って表現されており、改めて曲の持つ威力を感じさせる好内容の作品には違いないのですが。
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  1. 2010/04/29(木) 04:44:34|
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#945 Theater Tilters Vol.2/Atomic (Jazzland-CD)

Atomic - Theater Tilters Vol.2

1.Roma
2.Sanguine
3.Edit
4.Two Boxes
5.Barylite

-Atomic-

Fredrik Ljungkvist (ts,bs,cl) Magnus Broo (tp) Havard Wiik (p)
Ingebrigt Haker Flaten (b) Paal Nilssen-Love (ds)

Rec-2009



なるほど、ツイッターというのは何かと利用できるものであるなぁと実感した次第です。色々と気になるキーワードをブッこんでみると興味深い情報が取れて面白い。先日のエントリーでpiouhgdさんにご教示頂いたアトミックのCDの件を検索するとしっかりとソレが出てきた。"Vol.2" に関しては本来は8月予定であるということ、先日のライブの期間中に急遽 "Vol.2" が約100枚工場から直送されて来たということ、それとハコの関係でポシャりかけていた大阪公演も無事開催されていたこと等々。この流れでいくとこの時期に今回買えたCDを聴くことが出来ているのはやはりラッキーだったということでしょうねぇ。暫く待ってりゃ出回るのは理解しつつもやっぱり早く聴いてみたかったので本当に有難いことです。

かたやツイッターでアカウントをとって当方が発信した場合、オッサンがゴニョゴニョとつぶやくのをフォローしてくれる奇特なお方が居られるのかどうかは甚だ疑問ですなぁ。『現在来日中のニルス(ネルズ)・クライン (Nels Cline) の新譜 "Initiate"(Cryptogramophone) がかなりイカしていて最高!』とか、『アイヴィン・オプスヴィーク (Eivind Opsvik) の旧譜を一気に揃えて現在鑑賞中・・・』とか、『来日予定のダニー・グリセット (Danny Grissett) とステフォン・ハリス (Stefon Harris) のライブ観たいなぁ』とか、『アラン・アパロー (Alain Apaloo) の "Flood Gate"(Stunt) は予想以上のエスニック度だった!』とか、『探していた AALY Trio + ケン・ヴァンダーマーク (Ken Vandermark) のCDがやっと手に入った!』とかとか。うーむ、やっぱり情報として有益なことを発信しない限りこりゃぁ難しそうですねぇ。ツイッターがどんなものかすらよく把握していない人間ですが、自分の場合はフォロワーとして徹したほうが良いような気もします。

で、手に入れた2枚のCDをかなり聴き倒しました。公演のフライヤーに書いてありましたが、このアルバムはアトミックの10周年記念盤という位置づけの意味合いもあるようです。録音は両盤ともに2009年10月6日~7日の音源で、ストックホルムの "Teater Lederman"(リンクあり)というハコでの演奏です。古そうですが良い雰囲気の会場ですねぇ。二日間の演奏を2枚のCDにパッケージということで、その2枚の内容に明確な差異は感じませんが、曲の配置などの編集の妙を感じさせる「聴かせるアルバム」に仕上がっていました。

"Vol.1"の1曲目はこれからのライブでも看板となるトラックになりそうですし、2曲目は「静寂」から「動」への進行のさせ方がなかなかスリリング、3曲目はこのグループらしいテンポが変幻自在の爆発力のあるトラックで、ニルセン・ラヴの暴走が止まりません。4曲目は互いの駆け引きが引き立ったナンバーで、ラストはトリッキーな印象すら漂うインパクトの強い曲を〆に持ってきています。"Vol.2" の1曲目に置かれた "Roma" は既知のナンバー("Happy New Ears!" に収録)で、ライブならではの攻めの演奏が熱いです。2曲目はパラグラフを多く仕込んだかような変化に富んだ一品になっており、3曲目はユンクヴィストのバリサクがダークに潜行し、4曲目はホーヴァル・ヴィークのキレるピアノが印象的で、曲の後半の怒涛のプッシュに屈します。そして "Vol.2" のラストもどうやったらこう云う旋律が浮かんでくるのか理解に苦しむほど絶妙なメロディ・ラインで、一度聴いただけで惹きつけられ即座に脳髄に刷り込まれる強烈なインパクトを有しています。

今回は新曲を中心としたステージになりましたが、知らないはずのこれらの曲が彼ら独特の色づけによってあたかも聴き覚えがあるかのように錯覚させられることが多々あり、いかに個性が突出したグループであるかということを改めて認識させられました。CDを聴くのみではその面白さや凄さを100%理解したことにはならないことを、ライブを観る事によって実感してしまいます。特にフリーやインプロに関してはその念を強くします。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2010/04/19(月) 04:53:13|
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#944 Theater Tilters Vol.1/Atomic (Jazzland-CD)

Atomic - Theater Tilters Vol.1

1.Green Mill Tilter
2.Andersonville
3.Fissures
4.Murmansk
5.Bop About

-Atomic-

Fredrik Ljungkvist (ts,bs,cl) Magnus Broo (tp) Havard Wiik (p)
Ingebrigt Haker Flaten (b) Paal Nilssen-Love (ds)

Rec-2009



全く以って己をコントロールする意志が薄弱な男である。兎に角今回は「動かざること山の如し」と肝に念じていたのです。動くことによって自分に跳ね返ってくるツケが解っているのに、欲求が抑えられないもう一方の自分がいます。困ったモンです。だって観に行ったら終電に間に合わないもの。始発帰りとなる月曜日は大変だもの。とブツクサ云いつつ結局のところ参戦してしまいました。アトミックのジャパン・ツアー最終日(4月11日)。嗚呼、やっぱり無視できなかったよぉ。というわけで先日の日曜のことを今さら書いてみます。

彼らのライブに参戦するのは2008年の「アトミック忘年会!」に続いて2回目。当時は3枚組のアルバム "Retrograde"(Jazzland) が来日記念盤という意味合いで国内発売されたことを思い出します。あのステージの興奮をもう一度というのが主たる目的なのですが、今回はもうひとつ。彼らのウェブ・サイトで新譜のアナウンスが出ているのに一向に予約すら始まらないことに業を煮やし、ひょっとしたらそのアルバムが手に入るかもという淡い期待を目論んでいたのです。そもそも Jazzland のサイトでは未だに発表がないので事情は解らんでもないのですが。会場にはやはりCDが用意されていたので読みどおりでした。しかしVol.2まで置いてあったのは予想外。Vol.2に関しては発売時期が夏以降と聞いていたのでイキんで飛びついたのですが、新品なのに猛烈なキズ盤を掴まされて萎えています。微妙に物事が上手くいかなかったりする残念なクォリティーが発揮されるのはいつもの通りです。まぁ仕方が無いですな。

前回よりも思いのほか客の入りが少なかったので拍子抜けしたのですが、演奏のほうは魅力が充分引き出された期待通りの内容でした。新曲で統一されたステージになるのかと思いきや、"Db Gestalt" や "King Kolax" あたりを演奏してくれたのには感激しました(本当は "Boom Boom" を演ってくれるとオッサンは失神すること確実ですが、古い曲なので今後も無理だろうなぁ)。相変わらずのアトミック・ワールド満載の特異な空間が広がっていました。フレデリック・ユンクヴィストの豪快なブロウはそのままに、巧みなコンダクトを交えてのテナーやバリサク、クラリネットでのパフォーマンスは独特の世界を開陳します。ミュートでシリアスさを醸したかと思えば、転じて速射砲の如き連射を繰り出すマグヌス・ブルーのペットが煽り、トレースし辛いテーマを二管のユニゾンで仕掛けてくるサマはこのグループの醍醐味と云えるでしょう。奔放なホーヴァル・ヴィークのピアノは健在で、ピアノ線攻撃も決めてみたりと相変わらずのパフォーマンス。インゲブリクト・ホーケル・フラーテンのベースはさほどの露出を見せませんでしたが、彼の重々しさを伴うプレイはしっかりと光っており、ノコギリ・アルコも炸裂させていました。唯一前ノリで来日し、八木美知依さんや坂田明氏とのステージをこなして来たポール・ニルセン・ラヴは、今回も変幻自在のドラミングが冴えに冴えていました。前回のステージでその表現力の多彩さに絶句させられた経験をしている当方にとっては、やはり彼は興味の的になってしまいます。ドラムを中心に据えたパーカッショニストといった体で、そのプレイはますます磨きがかかっており、静寂と轟音を淀みなく演出する空間の生かし方は相変わらず唸らされるものがあります。マーク・ラパポート氏の仕切りによって二曲のアンコールが聴けたのも収穫でした。

ところで今回リリースされたこの作品はライブ・アルバムだったんですねぇ。情報収集能力が貧弱なので、実際に手にしてみて気づくことが多くて情けなくなります。ライブ・アルバムと云えば、彼らの3枚組の大作 "The Bikini Tapes"(Jazzland) を擦り切れるほど聴きまくった当方にとっては朗報であります。CDは擦り切れないですが誇張しただけですので流して下さい。早速キレまくっている内容を確認し快哉を叫んでしまいました。やっぱりこのバンドはライブで映えます。最高過ぎてたまらんです。

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  1. 2010/04/14(水) 03:23:09|
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#936 Never Forgotten, Always Remembered/The Godforgottens (Clean Feed-CD)

The Godforgottens - Never Forgotten, Always Remembered

1.Always Forgotten
2.Never Remembered
3.Remembered Forgotten

Magnus Broo (tp) Sten Sandell (hammond-B3,p,vo) Johan Berthling (double-b)
Paal Nilssen-Love (ds,perc)

Rec-2006



濃厚なインプロ&フリー・ジャズを提唱する Clean Feed が活発である。えー、猛烈に活発でちょいとビビってます。火山が噴火したかのようなリリース・ラッシュでフォローが大変です。しかも自分のような入門者にとっては知らないプレイヤーが多いので、好みに合うアーティストを探しにウェブサイトに試聴しに行きます。フリーを聴く耳が出来上がっていない当方にとっては色々試してみるものの、違うアーティストであるにもかかわらず、ともすればあまり差異が感じられずに聴こえてしまうこともあったりして、我ながら残念なことこの上ないのですが、強烈に感銘を受けるものも少なくないことからかなり楽しめているのだと自己分析しています。ここのところの Clean Feed の作品では "Nicolas Masson Parallels" の "Thirty Six Ghosts" や、以前に「渋さ知らズ」に在籍されていた "Nobuyasu Furuya"(古谷暢康さん)の "Bendowa"(弁道話)等のアルバムが刺激的でした。特に古谷さんは「地底レコード」からも5月に "Stunde Null" というタイトルで新譜の予定があるようなので、スッゴク楽しみにしています。

今日はトニー・マラビーのアルバムと同時に発売されたコレを聴いていました。新しいユニットでの作品とのことなので新しい録音だと思っていましたが、実際は2006年にレコーディングされた作品のようです。ちなみにこのアルバムにクレジットされているトランペットのマグヌス・ブルーとドラムのポール・ニルセン・ラヴは、別ユニットである "Atomic" で4月に来日が決定しています。琴奏者の八木美知依さんのブログで結構前に知ったのですが、4月の10日(土)と11日(日)にいつもの新宿ピットインでステージがあるようで、3月になってピットインのウェブを確認したらちゃんとアナウンスがされていました。他は京都(6日)神戸(7日)大阪(8日)名古屋(9日)のようですね。それとアトミック名義のニュー・アルバム "Theater Tilters Vol.1 & Vol.2" もリリース予定なので早めに予習しなきゃいけませんな。って、まだどこの国内の量販サイトも告知を出していないのだが、ライブ前に予習が間に合うのか?その前に本当に自分は行くことが出来るのか?今年に入ってまだ一本も観ることが出来ていないのに。

ブルーとニルセン・ラヴの他、ステン・サンデルのB3とピアノ、ベースにヨハン・バットリング(バースリングとの表記もあるけど、正確な発音に近いのかは不明)と云う、ノルウェー&スウェーデンの北欧四人衆という布陣。インプロ系のジャズらしく、45分3本勝負。全てにおいて残念な耳であることを自負しますが、フリーの作品に関しては特に耳の完成度の低さを露呈しているので、もはや云々することすら憚られます。印象としては「静」に始まり「動」に転じていくサウンドはなかなかカッコよくて、波の満ち引きのようにその表情を変えていくところに聴きどころを見出しています。全体的には統一されたカラーで進行していき、徐々にエネルギーが炸裂していくようなパワーとともに、その後の静寂も印象的に仕上げています。100%全開とまでいっていないと自分は判断しますが、時折アグレッシヴに迫るブルーのトランペットは満足度を高めてくれました。また、手数の多いドラムはまさにニルセン・ラヴの真骨頂と云った様相で、この人のリズムが加わると演奏がスリリングになります。既に言及されていることとして、こういったジャズにハモンドが使用されているのは異色と云うことがあるのですが、実際に聴いてみると不思議と違和感は全くありません。ステン・サンデルは、あくまでもアコピとの二刀使いを基本としていて、B3の扱われ方が装飾的な一面を担っているかのようにも感じられます。

何とも意味深なグループ名とそれに付随する曲名がメッセージを発していますが、己の凡庸な感性が真意を汲み取っているのかは甚だ疑問であり、全くもって誠に遺憾なことであります。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2010/03/04(木) 04:23:15|
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#927 Vision/The Core (Jazzaway-CD)

The Core - Vision

1.Pharoah
2.7th Father
3.Zaire
4.Vision
5.The Core

-The Core-

Kjetil Moster (saxes) Erlend Slettevoll (p) Steinar Raknes (b) Espen Aalberg (ds)

Rec-2004



継続してジャズの探索をしてきた末に見つけた、個人的には数年に一度クラスの掘り出し物のアルバム。これは収穫でした。

ここ一年ぐらいのことなのですが、自分の中のヨーロッパのジャズの概念と云うのは静謐で内省的とか硬質で荘厳と云うイメージよりも、インプロ系の優れたアーティストがゴロゴロいる、しかもかなりブッ飛んだパフォーマンスを魅せてくれる怪人が蠢いていると云った、なんだかおどろおどろしいイメージに刷り変わってきました。そもそもの本質は違えども、それこそ本場のアメリカ以上に過激でホットな連中が多いのではないかと睨んでいます。このグループはノルウェーなので該当するのですが、特に北欧の国々にはその分子がウヨウヨいることが判ってきて、迸るスピリットがご馳走である自分としては彼らを注視せざるを得ません。そもそも北欧にはインプロ系のミュージシャンを多く抱えたレーベルがかなりあり、この Jazzaway もそうですが、ブッゲ・ヴェッセルトフト主宰の Jazzland やハードなアルバムが多い Smalltown Superjazzz 、またヨナス・カルハマー主宰の Moserobie あたりからもなかなか斬新で個性的な作品が沢山リリースされています。しかしこのグループの演奏はドシャメシャのフリーというものではありません。猛烈にカッコ良くモーダルでシリアスなジャズを演っています。というのも、このアルバムのシェティル・メステルと云うサックス奏者(ザ・コアからは既に脱退しています)は現在 『トリニティー』 "Trinity" というグループにも所属しており、先日リリースされた "Breaking the Mold"(Clean Feed) という彼らのアルバムを聴いてみたのですが、実験的な試みを多分に感じさせるインプロヴィゼーションが軸となっていてフリーの王道を往くような演奏です。自分を表現する引き出しを沢山持っていることがよく理解できる、今日取り上げたこのアルバムとは対照的な作品でした。

ザ・コアに関しては、コレを含めこの2~3ヶ月で今までリリースされた殆どのアルバムを揃え、それらを貪るように聴いていますが、その萌芽となったこのデビュー作では若々しさ清々しさエネルギッシュさに満ち溢れていて、当方の興奮度もマックスで特にお気に入りの一枚となっています。手抜きを知らない血管キレまくりの5曲が47分強という丁度好い塩梅の長さで勝負されており、もしこれ以上詰め込まれてしまうと無駄に馬齢を重ねてきた抵抗力のないオヤジには卒倒する危険性があります。

特筆すべきは各自のバトルがこれ以上無い熱い形で記録されているということ。シェティル・メステルのサックスの咆哮はダンディズムに溢れ、魂の叫びをハードなブロウに乗せてギンギンに迫ってきます。エアレン・スレッテフォルのピアノには熱き血潮が滾っていて、60年代のマッコイ・タイナーが尻込みするかのようなワイルドさは痛快でクラクラします。うねりを上げるスタイナー・ラクネスのベースが打ち震え、エスペン・アールベルグのドラムは制御不能の暴走機関車のように止まりません。フリーという形式以外でココまでキレる演奏を体験したのは何時ぶりか回顧できないくらいに強烈で、モード・ジャズ好きには絶頂の快楽が味わえる珠玉の一品でした。新しい手法を開陳し聴き手の度肝を抜くような奇抜さはありませんが、60年代のジャズをこよなく愛する方やぬるいジャズには耐えられない方には全力でオススメします。もっともっと広く知られて欲しいグループです。

全くもって遅ればせながら、寒い国々の熱いジャズが自分にとって今まさに旬を迎えています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2010/01/22(金) 00:03:14|
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ぬどい

Author:ぬどい

タイトル通りのブログです。聴くジャズに垣根をつくらずがモットーです。駄耳の持ち主ですがジャズが好きで連日湯水を浴びるが如く聴き続けています。しかし自分の耳は全く向上しません。近年ジャズに戻って来たためここ10数年のアーティスト&作品には非常に疎く探求中です。今までに所有してきたレコードの聴き直しと新たなる発見を求めて購入したCDの感想を備忘録を兼ねて更新しております。ど素人が主観のみで書いているログですので当然ココではお勉強は出来ません。検証は他所でやって戴いたほうが確実かと思いますのでその旨ご了承願います。(ただ今さぼりモード突入中)


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