イカれた駄耳にジャズの洪水

今宵も円盤漬け・・・     since 23rd Oct. 2006

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#651 Beck/Joe Beck (Kudu)

Joe Beck

A
1.Star Fire
2.Cactus
3.Texas Ann

B
1.Red Eyes
2.Cafe Black Rose
3.Brothers and Others

Joe Beck (g) Steve Kahn (g) Don Grolnick (key) Will Lee (b) Chris Parker (ds)
Ray Mantilla (perc) David Sanborn (as) Frederick Buldrini (vin)
Harry Cykman (vin) Peter Dimitriades (vin) Max Ellen (vin) Harold Kohon (vin)
Charles Libove (vin) Harry Lookofsky (vin) Joe Malin (vin) David Nadien (vin)
Jesse Levy (cello) Charles McCrocken (cello) George Ricci (cello)

Rec-1975



特に思い入れのなかったこのレコードが少し気になって最近はよく手に取るようになった。そもそもコンテンポラリーな内容であるしジャズに入れ込めば入れ込むほどこの手のものから遠ざかっていくのであるが、今までろくすっぽ聴かずにつまらないと断定していたサウンドが何故かツボに入ってきて耳に憑いて離れないので、繰り返し聴かされていると云う状態です。メンバーを見てもフュージョン畑のミュージシャンばかりで、おまけに弦のアンサンブル入りという当方にとっては食指の動きにくい編成なのですが、醸し出されるサウンドに一種のノスタルジーであるのか妙な感慨が湧いてきて放置出来なくなってきました。聴いてみるとヴァイオリンやチェロの効果はさほどではなく、この手のサウンドならお得意のクリード・テイラーのプロデュースなのが納得のいくところです。

この作品の主役であるジョー・ベックが先月他界したのがこの作品を手に取るキッカケとなったのですが、自分でも思わぬ威力があったようで今日もこうやって載せています。スティーブ・カーンやデヴィッド・サンボーンなどの名声を得たミュージシャンとドン・グロルニックやウィル・リーなどの一時代を席巻したミュージシャンが当方にとっては懐かしく、当時最先端であった筈のサウンドが、そういったノスタルジーを誘発させることはこの手のサウンドを通過してきた身としては致し方ないのかも知れません。

微かなトロピカル・フレーヴァーと感情みなぎるサンボーンのアルトを聴いていると、このアルバムにあまり馴染みがないにも関わらず懐かしさのあまり過ぎ去りし日が強制的に現れてきて困ってしまいます。特にサンボーンのサウンドやフレーズ、グロルニックのキーボードに個人的には過敏に反応してしまうようです。ジャズと並行してフュージョンの恩恵も受けていた当方にとっては、こういうサウンドを聴いているとクロスオーバーの極私的系譜が頭の中を駆け巡ります。そして続けて渡辺香津美の『TO CHI KA』に傾れ込んでいくのでした。こうなると近年モノに手を伸ばしたくなり、最近リリースされたジョン・アバとの共演の『Coincidence/Joe Beck & John Abercrombie』(Whaling City)などが俄然気になるところです。
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  1. 2008/08/31(日) 23:59:00|
  2. Guitar
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#650 Blue Lights Volume 2/Kenny Burrell (Blue Note)

Kenny Burrell - Blue Lights Vol.2

A
1.Rock Salt
2.The Man I Love

B
1.Chuckin'
2.Phinupi

A-1,B-1

Kenny Burrelll (g) Louis Smith (tp) Junior Cock (ts) Tina Brooks (ts)
Bobby Timmons (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)

A-2

Kenny Burrelll (g) Louis Smith (tp) Duke Jordan (p)
Sam Jones (b) Art Blakey (ds)

B-2

Kenny Burrelll (g) Louis Smith (tp) Junior Cock (ts)
Duke Jordan (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)

Rec-1958



昨日の続き。「ブルー・ライツ」の「Vol.2」。変わらずブルージーなサウンドが放出されています。第1集のブルーのジャケットからピンクに様変わりです。

A-1はボビー・ティモンズがピアノのセプテット。ブルージーさが極まったかのような濃厚な演奏で各々の特性が如何なく発揮されたプレイに唸ります。しかしながらティモンズ&ブレイキーで大体のムードを聴かずして掴み取れてしまうのはこの二人の個性が浸透しているということが云えるのかも知れません。A-2はトランペットのワンホーン・クインテット。サム・ジョーンズのベースにたっぷりとスポットを当てた内容で、デューク・ジョーダンの滑らかなピアノも心地よく響きます。個人的にスウィング時代からの大好きな曲ですが、ベーシストを中心に据えると受ける印象も違ってきて興味深かったです。B-1はティモンズがピアノのセプテットに戻ります。この曲ではあまりフロントに迫り出してこなかったケニー・バレルの存在感が際立ちます。ブレイキーの定番ロールも聴けて「これぞブルーノート」と云ったところでしょうか。B-2は二管セクステット。二管の掛け合いが痛快なスピード感溢れるナンバーで自然に尻が浮き上がります。全体的な感想では「Vol.2」のほうが演奏の内容もヴァラエティに富んでいるような印象を受けました。

王道の定義は人それぞれでしょうが、自分にとってのジャズの王道はやはりブルーノートで、中でもこの辺りのサウンドはまさしくディス・イズ・ジャズといった感慨を与えてくれます。ただこればっかりに固執するのは性に合わないので、今日も新たなる発見を求めて新譜に探りを入れる毎日です。目下のところ来月にクリスクロスからリリースされる3枚の新譜に心奪われています。特にラージュ・ルンド(Lage Lund)。

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  1. 2008/08/30(土) 18:03:15|
  2. Guitar
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#649 Blue Lights Volume 1/Kenny Burrell (Blue Note)

Kenny Burrell - Blue Lights Vol.1

A
1.Yes Baby
2.Scotch Blues

B
1.Autumn in New York
2.Caravan

Side-A

Kenny Burrell (g) Louis Smith (tp) Tina Brooks (ts) Junior Cook (ts)
Duke Jordan (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)

B-1

Kenny Burrell (g) Bobby Timmons (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)

B-2

Kenny Burrell (g) Louis Smith (tp) Junior Cook (ts) Tina Brooks (ts)
Bobby Timmons (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds)

Rec-1958



このアルバムを聴いたのはかなり久しぶりな気がする。従って殆ど内容を覚えていませんでした。例えば予備知識なしでこのアルバムを聴かされれば、当方などは絶対に誰のリーダー作であるのか全く解らない。解ることはただ一つ、ブルーノートの作品であるということだけでしょう。イカレ耳でも判別がつくぐらいにまさしく正統的ブルーノート・サウンドが全面に出ています。

ケニー・バレルの「ブルーライツ Vol.1」。「Vol.2」と併せれば全8曲のうちの前半の4曲と云ってしまっていいでしょうか。曲ごとにほぼ編成が入れ替わり、一番多い時にはセプテットで少ない場合はカルテットで演奏されています。この「Vol.1」では最大最小の両方が聴かれます。

例えばA-1を聴いてみて複数のホーンとギタリスト、ピアノにベースとドラムが演奏していることはもちろん解ります。それとドラムがブレイキーであることもなんとなく解ります。ギタリストのソロも比較的執られていることは聴けば解るし、クサレ耳ながらもひょっとしたらブルージーなプレイからケニー・バレルの名前を言い当てることは可能だったかも知れません。ですが彼がリーダーであるという方向には目隠しで聴かされたらなかなか結びつかないような気がしました。自分ならば恐らくトランぺッターかテナーの方から探りを入れたであろうと想像します。この曲はスローでネットリとしたブルースで味わい深いものがあります。フェードアウトが惜しいところですが。A-2もセプテットでの演奏。とても解り易いリフのテーマにのって奏されるここでのバレルのギターは凄くインパクトがあります。B-1は全8曲のうちで唯一カルテットで演奏された曲。そう云う意味ではこの曲を最初に聴けばギタリストのリーダー作であることがすぐ理解出来るのでしょう。ブルージーな演奏はバレルの本領が発揮された名演だと思います。B-2はセプテットながらA面でピアノを弾いていたデューク・ジョーダンからボビー・ティモンズに変更になっています。定番のこの曲は豪快なブレイキーのナイヤガラ・ドラムにのせて躍動するルイ・スミスのトランペットが印象的です。

最初に触れた通りこのアルバムには続編の「Vol.2」があり、明日にはこの続きを聴いてみようと思っています。ちなみにこのジャケットの絵はアンディ・ウォーホルのものです。

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  1. 2008/08/29(金) 23:45:39|
  2. Guitar
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#648 Another Opus/Lem Winchester (Status)

Lem Winchester

A
1.Another Opus
2.Blues Prayer

B
1.The Meetin'
2.Like Someone in Love
3.Both Barrels

Lem Winchester (vib) Frank Wess (fl) Hank Jones (p) Eddie Jones (b)
Gus Johnson (ds)

Rec-1960



レム・ウィンチェスターのことは殆ど知らない。なので本日は色々とウェブで調べものです。彼の名で検索しネットを徘徊して解ったのは、やたらミルト・ジャクソンの名前が散見されること。またその絡みでタイトルからミルト・ジャクソンの1955年発表の『Opus de Jazz』(Savoy)と、このアルバムとの関連性に気づく。そしてミルトのその作品とサイドメンがほぼ同一ミュージシャンであることを認識した次第です。ミルトから5年後のこの作品では、ドラマーのケニー・クラークが既に渡欧していたのでガス・ジョンソンが変わりに務めています。ここまできてやっと二つの作品の繋がりを理解するとは、相も変わらず己の頭の回転の悪さは絶好調なことを痛感します。

A面の2曲とB-3の併せて3曲がウィンチェスターのオリジナル。快調にスウィングするウィンチェスターのヴァイヴに軽快なウェスのフルートが絡む様は実に楽しく、ミルトの作品を多分に意識した内容はジャズの楽しさが爆発した好演奏を繰り広げています。どこまでも堅実で見事なプレイのハンク・ジョーンズは何時聴いても安定感があり、エディ・ジョーンズのベースはムチムチしています。ガス・ジョンソンのドラムも的確で、派手さはないですがしっかりと屋台骨を支えます。

レーベルに関してですが、このアルバムはNew Jazzの一作としての発売だったようで、当方の手元にあるのは廉価再発レーベルのStatus(ステイタス)から復刻というかたちでリリースされたものと思われます。それと調べものでもう一つ解ったことは彼の生涯が33年間しかなかったこと。このアルバム以外に彼のリーダー作を知らないなぁと思っていたので、この事実を知りその現実に結びつきました。この作品の翌年の1961年に出演中のクラブでなんとロシアン・ルーレットで亡くなられたそうな。しかしながら往年のジャズマンはなんという無茶をやらかすんでしょうかねぇ。

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  1. 2008/08/28(木) 21:31:32|
  2. Vibraphone
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#647 Blue Sphere/Thelonious Monk (Black Lion)

Thelonious Monk - Blue Sphere

A
1.Trinkle Tinkle
2.Crepuscule With Nellie
3.Darn That Dream
4.Little Rootie Tootie

B
1.Nice Work if You Can Get it
2.My Melancholy Baby
3.Jackieing
4.Blue Sphere

Thelonious Monk (p)

Rec-1971



もらいものである。ちょっと説明すると20年くらい前の話になるのですが、新譜がCDとレコードと同時に発売していた時代、秋葉原にある石丸電気の確か当時は3号館と云ったと思うのですがいわゆる通称レコード館で、指定の新品のLPを何枚か買うと店側からの特典として販促LPをプレゼントというキャンペーンのような企画があったことがあります。このモンクのブルー・スフィアは詳しいことは全く記憶がないのですが、何らかのLPを数枚購入した際の特典盤であることはよく覚えており、しっかりとジャケ裏にNot for Saleの刻印があります。もらいっ放してしばらく放置されていたレコードだったのですが、あるタイミングでこれを聴いた時モンクの枯れたピアノにいたく感激し、その後わりと頻繁に載せる盤になりました。

セロニアス・モンクの録音のなかでも最晩年の頃の演奏がパッケージされています。手元にある1998年の発刊の本で調べたら、モンクのラスト・レコーディングとしてこのアルバムを含めた『The London Collection』(Black Lion)というタイトルで2枚組(それ以前は3枚組)でリリースされている(いた?)ようです。その音源にはこのモンクのソロと、アル・マッキボンのベースとアート・ブレイキーのドラムを加えたトリオでの演奏も残されているようで、そちらがまだ未聴なため大いに興味を惹かれるところです。今その音源が手に入れられるのかどうかはまだ調べていないのでこれをアップした後にでもチェックしてみようと思います。そう云えばLP時代にはブラック・ライオンの、同デザインでレイアウトされたジャケットでのモンクの他のタイトルがあった覚えがあります。ひょっとしたらそれがトリオの演奏だったのかもと今となっては推測しています。

訥々と弾かれるピアノは一音一音が体の内面に沁み入って、えも云われぬ感動が押し寄せてきます。無論鬼気迫る頃のモンクとは一線を画していますが、この自分のためだけに弾かれた極私的な演奏の前にはうまく言葉に出来ない感慨を持ってしまいます。これまでに何度も演奏された自身の曲とモンク・ワールドに彩られたスタンダードを大事に弾き込む姿が見えるようで、自然と眼を閉じてしまいます。モンクが今までに為し得た様々な演奏の歴史が刷り込まれたかのような味わい深さで、ながら聴きの出来ない重さすら感じます。

モンクはこの録音の11年後に他界するのですが、燃え尽きる寸前の貴重な演奏として自分の脳裏に刻み込まれています。



追記:現在は単体の3枚として輸入盤で出ているようですね。この作品はVol.1として「Lover Man」と「Meet Me Tonight In Dreamland」の2曲を追加した全10曲でのリリースのようです。それでも簡単には入手するのは少し難しいのかも知れません。

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  1. 2008/08/27(水) 23:57:35|
  2. Piano
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#646 Westwind/Olivia Trummer Trio (New Klang-CD)

Olivia Trummer

1.Es Geht Los
2.Westwind
3.Ice
4.Sternklar War Die Nacht
5.Mozartlichkeit
6.Dein Brief
7.Windgetragen
8.Tagtraum

Olivia Trummer (p) Joel Locher (b) Bodek Janke (ds,perc)
Matthias Schriell (tp,fl-h→only2,3,4,7)

Rec-2007



「ちょっとアンタ、なに見てんのよ~」「ジロジロ見てないで買って聴いてみたらどうなのよ~」と言われたような気がしたので買ってみた。ジャケットの顔色が悪いけれど、己が青いTシャツを着てこのジャケの写真を撮ったら反射でさらに青くなってしまったような気がする。元々の色合いも青っぽいんだけれどね。しかし字面だけ追うと美川憲一みたいだ・・・。

オリヴィア・トラマーはドイツの女流ピアニスト。この作品は彼女の2枚目のリーダー作。女性のピアニストは近年のものに限って云えば、日本人のモノは結構聴いているのですが海外勢はデンマーク生まれでノルウェーで活躍するピアニストのMaria Kannegaard(マリア・カンネゴール)ぐらいであまり縁がありませんでした。後はブラジルのEliane Elias(イリアーヌ)とか。はてさてドイツの硬質なゴツゴツしたいかつい演奏か、女性が奏でるソフトで耽美的な演奏か。実際に聴いてみたらそのどちらの要素も含まれているような、いないような。

基本はピアノ・トリオの演奏なのですがマシアス・シュリエルがトランペットで4曲(2,3,4,7)にゲスト参加しています。6曲目のみソロでの演奏です。全て彼女のオリジナルで紛れもないジャズ・ピアノなのですがクラシックの素養も充分の彼女、5曲目にモーツァルトのソナタをベースにして、それをジャズにアレンジして押してきます。1曲目や3曲目のような辛口のサウンドのものがあれば、しっとりとした流麗なピアノを満喫出来る4曲目のようなナンバーやテンポの変化が面白い8曲目などもありなかなか多彩です。若干影のあるような曲が多くメロディが素直でない分聴き心地という意味ではスッとは入ってこないですが、そう云う曲調の方が好みである小生のような人間には興味深い内容でした。

これ一枚だけで結論づけることは不可能ですがこの作品を聴いた上で思ったことは、彼女はジャズでの表現方法に関しても引き出しを沢山持っているようで今後とも柔軟な姿勢で様々な表情を見せてくれると期待させてくれます。

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  1. 2008/08/26(火) 23:58:39|
  2. Piano
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#645 Gerry Mulligan Meets Ben Webster (Verve)

Gerry Mulligan - Ben Webster

A
1.Chelsea Bridge
2.The Cat Walk
3.Sunday

B
1.Who's Got Rhythm
2.Tell Me When
3.Go Home

Gerry Mulligan (bs) Ben Webster (ts) Jimmy Rowles (p)
Leroy Vinnegar (b) Mel Lewis (ds)

Rec-1959



マリガンのミーツものは結構沢山リリースされています。自分の手元にあるものだけ挙げつらってもこのベン・ウェブスターの他に『Mulligan Meets Monk』(Riverside)、『Gerry Mulligan Meets Stan Getz』(Verve)、『Gerry Mulligan Meets Johnny Hodges』(Verve)等々が見つかりキリがありません。ちゃんと調べれば恐らくまだまだ出て来ると思います。いわゆる中間派テナー、大好きなベン・ウェブスターとの共演盤。こう言っちゃあなんですがマリガンのベリトンの音よりもベン・ウェブスターのテナーの方に意識が行ってしまい何とも半人前の楽しみ方です。まったりとした膨らみのあるサウンドに骨抜きにされること請け合いの佳作であります。

A-2,B-1,B-2がマリガンのオリジナルでB-3がベン・ウェブスターとマリガンの共作になります。先ずはSLが蒸気を噴くかの如くテナーの吐息が聴こえるA-1に心をムンズと掴まれてしまいます。強烈に印象的なメロディが耳に焼き付きます。A-2はジミー・ロウルズのピアノが実に小粋でマリガンとウェブスターもスウィングしています。A-3のような楽しさが溢れ出て来る曲も良いですね。スウィングの古典らしく掛け合いの楽しい演奏になっています。B-1は普段以上に誇張されたテナーが炸裂する一品でマリガンのバリトンも負けじと応戦しています。B-2はメロウなホーンが実に心地よいバラッドで、一段階照明をおとして楽しみたいトラックです。B-3のブルースも渋さ溢れるホーンの響きが最高で、濃厚なコンデンスミルクのように甘い調べが一層の効果を上げています。

A-2以外は往年のスウィング・ナンバーを彷彿とさせるような曲が連なっており、いつものマリガンのアルバムとは毛色が違っているのが面白いところです。ベイシー風ありエリントン風ありのまったり系のサウンドはトラッド・ジャズ好きには堪らなく、適材適所で変化するマリガンに感心したのでした。

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  1. 2008/08/25(月) 23:21:15|
  2. Soprano Sax, Baritone Sax
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#644 To be Ornette to be/Aldo Romano (Owl-CD)

Aldo Romano - To be Ornette to be

1.The Blessing
2.W.R.U.
3.Lorraine
4.Tears Inside
5.Contos de Sonu Intro'e Sonnu
6.Mind and Time
7.Check Up
8.Half Wat
9.Feet Music
10.The Blessing (Variations)
11.Jayne
12.Theme From a Symphony / Skies of America
13.Do

Aldo Romano (ds) Paolo Fresu (tp,fl-h,spx 90)
Franco D'Andrea (p) Furio di Castri (b)

Rec-1989



この辺りの年代のジャズは実に疎いのであるが、何故かこのアルバムは当時新譜で購入していた。この頃はジャズから離れている筈であったのにそうでもないんだなぁと改めて当時を思い返してみた。ただ、この前後から度重なる転勤に依る引っ越しと環境の変化等々によっていつのまにかこのCDをどこかに紛失してしまいました。先日ウェブで新譜あさりをしていた時にたまたま復刻されていたこの盤を見つけ、久しぶりにこのアルバムのスリリングさを味わいたくなり買い直していました。メンバーも良いですしね。

アルド・ロマーノのオーネット・コールマン集。比較的短尺の13曲がギッチリとつめられています。久しぶりに聴いてその内容を思い出し、刺激的なサウンドは当時を思い出させてくれました。それとともにオーネットの優れた楽曲の数々を再認識させてくれるアルバムになっています。殆どがオーネットの作品なのですが1曲ずつメンバーの作品が奏されており、5曲目にフレス、8曲目にディ・キャストリ(カストリ)、10曲目にダンドレア、13曲目にロマーノの4曲が披露されていて各々がソロで持ち回ります。曲によってはオーバーダブなどの手法も執られており作品にアクセントを付けています。

アルド・ロマーノの小気味よいドラムは実にカッコ良く、パオロ・フレスのミュートがかかったトランペットが引き締まっており、曲によってはエレクトリックなサウンドも響かせます。フランコ・ダンドレアのピアノは奇抜なメロディにもダレるところが全くなくシリアスに迫ってきます。ディ・キャストリのベースは伸びがよく、澄んだサウンドの中でひと際冴えます。オーネット・コールマンの複雑且つ捻くれた辛口の曲を、冷静且つ緊張感のある演奏に仕上げているところはさすが百戦錬磨の面々、ヨーロッパの一線で活躍しているミュージシャンだけのことはあります。聴いていて目眩がするほどめまぐるしく変わる音階を彼らはキメまくり、その爽快さは半端ない気持ちよさです。暫くこのCDにやっかいになりそうです。

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  1. 2008/08/24(日) 23:50:43|
  2. Drums
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#643 As You are - The Malmo Sessions/Karin Krog and Nils Lindberg (RCA)

Karin Krog - Nils Lindberg

A
1.On Green Dolphin Street
2.Isn't That the Thing to Do
3.That Certain Feeling
4.Rocks in My Bed
5.I'm Shadowing You

B
1.Blues for a Crushed Soul
2.Skylark
3.Once I Loved
4.My Romance
5.As You are

Karin Krog (vo) Nils Lindberg (p) Allan Botschinsky (tp) Bernt Rosengren (ts,fl)
Ole Molin (g) Niels-Henning Orsted Pedersen (b) Ole Streenberg (ds)

Rec-1976 (added1977)



大好きなアルバム。ノルウェーのヴォーカリストのカーリン・クロッグ(クローグ)が、スウェーデンのピアニストのニルス・リンドバーグを従えて快唱をみせています。そして大好きなトランぺッターのアラン・ボッチンスキーがサウンドでレイジーな雰囲気を醸し出していて実に印象深い仕事をしており嬉しくなります。と云ったもののいきなり補足をしなければならないのですが、リンドバーグのピアノは1977年に後から録音されたもので元はピアノ・レスだったということなんですね。ベースのペデルセンがデンマーク人、その他のバック・ミュージシャンは全てスウェーデン人だそうです。そして録音はスウェーデンのマルモでの録音で、ピアノはストックホルムで後録されたようです。

カーリン・クロッグというヴォーカリストは、歌唱にクセがありフェイクなどを大胆に操りながら、前衛的なジャズを従え歌っていたりして最初はかなり奇抜な印象を受けていました。以前に取り上げた『Joy』(Sonet)などはかなり聴き手を選ぶジャズではないかと思っています。ただし後年になってくると適度な崩しと正統的なサウンドをバックに歌うパターンのものが多く、特にこの作品などはけだるさを漂わせながらの歌唱が当方のツボだったりします。もちろん全ての作品を聴いているわけではないので、また違った様相をみせているものがあるのかも知れませんが、この時期のカーリンの作品は私を刺激しまくってくれます。

このアルバムでひと際効果を上げているのはオレ・モリンのギター。このギターのカッティングがこのサウンドの肝を担っていると言いたいくらいにラフな質感を作り出しています。全体に広がるリラックスした空気がこのアルバムの全てで、どの曲でも楽器での対話とカーリンがうまく溶け込んでおり、このサウンドにインスパイアされアルコールを要求したくなります。ボッチンスキーはユーモアがタップリの演奏で頬が緩みっぱなしです。ペデルセンはいつも通り主張するベースを聴かせてくれ、リンドバーグのピアノは後に加えられた違和感は全くなくチャーミングな唱伴をしています。

こういうナイトクラブにワープするような盤は最高の寛ぎが得られて大好きです。この手のものはビールではなくて洋酒が宜しいですね。ということで早速飲ってしまいました。気分よくまどろみながら音に体を委ねています。天井が回っているのは酔いなのか安酒だからなのかは知ったこっちゃありません。

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  1. 2008/08/23(土) 22:27:16|
  2. Vocal
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#642 Piano & Pen/Dick Katz (Atlantic)

Dick Katz

A
1.Timonium
2.Aurora
3.Duologue No.1
4.Glad to be Unhappy

B
1.Round Trip
2.Afternoon in Paris
3.Ain't Misbehavin'
4.Scrapple From the Apple

Dick Katz (p) Chuck Wayne (g→onlyA-1,A-3,A-4,B-4)
Jimmy Raney (g→onlyA-2,B-1~B-3) Joe Benjamin (b) Connie Kay (d)

Rec-1958,1959



自分の中で遥か彼方に遠ざかっていた洒脱なジャズというものを聴いてやろうと思って色々考えた。ただそう云った漠然とした欲求というのは明解な答えというものが出なくて棚の前でウンウンと唸ることになります。ジャズを聴くのにその前から煮詰まってしまうとはなんと本末転倒なことであろうかと思うのですが、案外こういうのも楽しかったりして、端から見れば勝手にやってろ、ってなところでしょうか。

ディック・カッツのギター入りカルテット。結局これを選んだのですが果たして元来描いていた自分の欲求にあっているのか、実際に聴いたあとさらに頭を傾げてしまいました。うーん、ちょっと違うなぁ、と。

チャック・ウェインとジミー・レイニーという二人のギタリストをフィーチュアしたカルテットでカッツのピアノ・トリオが軽快に唱っています。カッツ名義で勿論ピアノも活躍していますがどちらかと云えばギタリストが前面に出ているようなサウンドという感じがしました。二人のギタリストの対比を楽しめるというオムニバスのような組み合わせが嬉しいですね。ちなみにチャック・ウェインが1958年、ジミー・レイニーは1959年の録音です。ふっくらとしたギターの音色にいくぶん理知的なカッツのピアノが溶け込んだサウンドは、なかなか高尚な響きをもって現れます。かといって聴きにくいとか室内楽的な響きともちょっと違っていて、ジャズとして存分にスウィングしているので自分としては抵抗はありません。

このアルバムはあながち自分の意図としたところから大きく外れているものではないのですが、ど真ん中のストライクとはいかない奥歯に物が挟まったような感じでした。結局自分の描く洒脱という定義のジャズが、最後まで漠然としたままで明確な言葉として表現出来ない状態で今日は終わってしまいました。明日は何も考えずに適当ちゃんでいきます。

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  1. 2008/08/22(金) 23:59:38|
  2. Piano
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#641 The Remedy/Kurt Rosenwinkel Group (ArtistShare-CD)

Kurt Rosenwinkel Group - The Remedy

Disc 1
1.Chords
2.The Remedy
3.Flute
4.A Life Unfolds

Disc 2
1.View From Moscow
2.Terra Nova
3.Safe Corners
4.Myrons World

Kurt Rosenwinkel (g) Mark Turner (ts) Aaron Goldberg (p) Joe Martin (b)
Eric Harland (ds)

Rec-2006



カート・ローゼンウィンケルのヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ。2枚組で各々4曲ずつ計8曲と云う内容は長尺な曲が多いという意味で、実際に全てが10分以上で20分近いトラックも数曲あります。ライブ盤好きにとっては白熱のステージがそのままパッケージされた堪らない演奏を予感させ、メンバーの良さも相まって期待が高まりました。既に発売されて数ヶ月経っていますが期待に違わぬ熱い演奏は当方のヘビー・ローテーションCDとして常に手の届くところに置かれています。

ライブならではのザックリとした質感がよく出ており、迫真のプレイは演奏に熱を帯びていることを証明しています。ローゼンウィンケルのプレイはホットで、ジャズ的なアプローチもすればコンテンポラリーなサウンドを響かせることもあります。表現力豊かなギターが様々な表情を覗かせ、そこに絡むマーク・ターナーのラフなテナーが演奏を煽り、時には荒々しく時にはジックリと聴かせてくれます。アーロン・ゴールドバーグのピアノは主役を立てる役回りというか名脇役に徹するかの如く献身的で、その分ドラマーのエリック・ハーランドが実にエキサイティングなプレイを展開しておりスリリングです。パワフルに刻まれるリズムに身を任せれば、自然に体を揺すられること請け合いのアグレッシヴなプレイが満喫出来ます。

ローゼンウィンケルの作品を聴くのはこの作品と数枚のクリスクロス盤しかまだないのですが、かなり枠にとらわれない演奏をヴァーヴ等の他のレーベルには残しているようでそれらの作品にも是非接していきたいと思っています。手に取り易い状況に置かれていることを願いつつ。

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  1. 2008/08/21(木) 23:56:43|
  2. Guitar
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#640 Bubbemeises/David Krakauer (Label Bleu-CD)

David Krakauer

1.Bubbemeises
2.MS N.C.
3.Moskovitz and Loops of it
4.B Flat a la Socalled
5.Turntable Pounding
6.Long...Short, Long (Les Colocs)
7.Bus Number 9999
8.The Electric Sher
9.Rumania, Rumania
10.Rue Mania

David Klakauer (cl,b-cl,vo) Sheryl Bailey (el-g) Will Holshouser (accordion)
Nicki Parrott (b,el-b→except9,10) Trevor Dunn (el-b→only6,8,9,10)
Michael Sarin (ds) Socalled (sampler,sequencer,accordion,org,vo)
99 Hooker (speaker→only7) Phillip Shaw Bova (echoplex→only5)

Rec-2005



これをジャズと捉えていいのかどうか判らない。PCにリッピングしてみたらジャンルはワールド・ミュージック扱いだった。一応触れ込みではクラリネット奏者のデヴィッド・クラカウアーがユダヤのクレズマー(クレツマー)・ミュージックをジャズ的解釈で演奏したということなのであるが、使われている楽器を見ても判る通りかなり奇抜で度肝を抜かれます。正統なジャズのみを楽しむ人には1曲聴かないうちにCDをストップさせられそうです。言い方を変えればかなりアヴァンギャルドなサウンドで、中東特有のサウンドにディストーションのかかったギターが絡まり、さらにヒップポップ調のヴォイスやアザーンを思わせるような女性のヴォイスが挿入されたり、時に劇画を感じさせるような展開になったり、サウンドはガッチガチにサンプリングされたりして絶句してしまいます。知らないものに手を出せば必ず唸らさせられる、フランスの主宰するラベルブルーというレーベルですので何が飛び出してきても驚かないのですが、ここまで強烈な類いの音楽に接したことがなかったのでちょっとどう解釈していいのか困っています。

かといってこれを否定的に書いているつもりは毛頭もありません。結構興味深く聴かせてもらいました。そもそも聴くものに関しては何でも屋であるので、得体の知れないといったら怒られるのかも知れませんがこういうものも大歓迎します。そもそも民俗臭漂うものは大好物であります。それにしてもお祭り騒ぎでぶっ飛び具合が半端ないサウンドですし、正直云えば当方にとっては何度も繰り返し聴くような音楽でもないのですが。

特筆すべきはリーダーのデヴィッド・クラカウアーのクラリネットの表現力には目を見張るものがあります。とにかく存在感抜群で特有の節回しは否が応でもその土地の香りが噴出しています。これを聴いているとクラリネットという楽器の可能性の広がりを実感させられます。もう一つこの作品を聴いていて感じたのは人間の声の力強さを存分に味わえるということも大きな魅力です。群衆の感情が爆発したかのような声の威圧感はゾクゾクするものがありました。

斬新な解釈が新たな音楽を創造する、音楽家の野心の一端を見たような気がしました。

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  1. 2008/08/20(水) 23:45:36|
  2. Flute, Clarinet, Tuba, Violin, etc
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#639 Five/Ralph Bowen (Criss Cross Jazz-CD)

Ralph Bowen

1.Step Lightly
2.Baby Girl
3.First Hiatus
4.Free Time
5.Blues Cruz
6.Drowning Man
7.Rahsaan's Run

Ralph Bowen (ts) John Swana (tp) Peter Bernstein (g) Sam Yahel (org)
Dana Hall (ds)

Rec-2007



ラルフ・ボーエンの名前は80年代半ばにブルーノートが復活した、いわゆる新生ブルーノートの頃にリリースされた新人バンド、OTB(アウト・オブ・ザ・ブルー)のメンバーであった時に接したのが最初だったかと思います。当時、勢いの良い若手が沢山出てきたことを喜んだ記憶があります。ボーエンの他にはトランペットのマイク・モスマンとか、アルトのケニー・ギャレットとか、ドラムのラルフ・ピーターソンもメンバーでしたね。この後から自分にはジャズに対しての長いブランクがあるので、いまさらのことながらこれまでの彼らの足跡を追う楽しみを味わっているところです。

この作品はラルフ・ボーエンのクリスクロスでの第4作目になります。彼のHPを確認しましたらコンスタントにアルバムを発表しているようですね。メンバーはドラマー以外は同レーベルで活躍している面々が脇を固めており、先だってリーダー作をクリスクロスから発表しているジョン・スワナがトランペットを務めて二管のフロントになっています。さらにサム・ヤエルのオルガンとピーター・バーンスタインのギターが加わり、これらが実に効いているクインテット編成になります。

ボーエンのオリジナルが4曲(2,3,4,5)収録されており、6曲目にはなんとU2の曲が。現代のジャズ・ミュージシャンは取り上げる楽曲も柔軟です。久々にご対面のボーエンのテナーは編成の妙もあるのかグルーヴィーでパワフルさも備えたプレイが聴かれ、ソウルフルな世界とシリアスにアグレッシヴに迫る演奏が混在し嬉しくなりました。編成だけをとって考えればコテコテを想像しても不思議ではないのですが、彼らに係れば当然そのようにならず絶妙なグルーヴ感を醸し出し、彩られたサウンドはテンションが高く理知的に聴こえます。程よいウネリとともにストレートに表現されるテナーとトランペットが実にカッコ良く、オルガンとギターがクールさを演出し、辛口なドラムスが絶妙な抑揚をつけるというなかなかホットな作品でした。

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  1. 2008/08/19(火) 23:42:04|
  2. Tenor Sax
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#638 Live at the 4 Queens/Roy Meriwether (American Jazz-CD)

Roy Meriwether - Live at the 4 Queens

1.Preachin'
2.Aquarius
3.Old Folks
4.Don't Explain
5.East of Nowhere
6.If I Should Lose You
7.Lady
8.Sermon on the Mount

Roy Meriwether (b) Danny DeMorales (el-b) Shawn Kelley (ds)

Rec-1992



ロイ・メリウェザーの作品はコロムビア時代のものが一番好きです。他にはキャピトルとかにも作品があります。このブログでは過去にもコロムビア時代の『The Stone Truth』『Soul Invader』等を取り上げました。そして過去の記事でも言及し続けてきましたが特にライブが最高です。とにかくノリが尋常ではなく楽しい。そして黒い。最高のグルーヴ感が楽しめノー天気になれる。スカッとしたい時にはうってつけの単純明快なピアノ・トリオによる作品を彼は長いこと連発しています。ただし近年のものはインディーものが殆どで日本国内の流通にのりにくいのが難点です。元々認知度の低いミュージシャンですがこれではますます知られる機会を逸してしまいます。自分自身も最近の作品に接していなかったので久しぶりのロイ・メリウェザーはどうなっているのかと思い、やはリライブ盤に目をつけて引っ張ってみました。

という思い入れで取り寄せたこの作品が、なんと15年以上前の音源であったのは落手した後に気づいたと云うお粗末さです。そもそも発売から2年程度しか経っていないのでてっきり最近の音源だと思い込んでいました。やっぱり記事はしっかりとチェックしないといけないですね。とは云えこの手の作品の詳細を知るには英語と格闘しなければならないので、苦手な自分としては相当な奮闘が必要で困ったものです。

このライブは4 Queensという場所で録音され処はラスベガスだそうです。ジャケットがそれを物語っていますね。個人的な話で恐縮ですが、海外にはかなりの国に行ったことがありますがアメリカ本土には未だ上陸したことがありません。死ぬまでには一度でいいからNYに行って本場のジャズを浴びるほど聴きたいのですが、残念ながら現況では侭ならないようです。日本でもライブに接する機会が少ないだけに専らCDに頼りっきりの状態です。

久しぶりに聴いたメリウェザーはいつもながらのノリの良さなのですが、正直云えば何かもの足らない部分があります。繰り返し聴いて解ったのは爆発力が足りないという印象が支配してしまいます。各々のシチュエーションでオーディエンスやそのときのコンディションが異なるとは理解していても、もう少しパワフルに迫ってきて欲しいなぁと感じてしまいました。それとベーシストがエレベを弾いていることに違和感を感じてしまったのも原因の一つかも。1曲目のようなゴリ押しが強烈なナンバーもあるのですが、トータルで鑑みればパワー不足は否めないと思いました。コレは当方の求めるものがかなり偏向で、要求が一方通行であるため納得がいかないと感じてしまう要素が多分にあるのでしょう。

当方にとってのメリウェザーはどうしても60年代になってしまうのかも知れません。まだ結論を出すのは早いでしょうか。

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  1. 2008/08/18(月) 23:28:35|
  2. Piano
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#637 Long Ago/Jay Epstein With Anthony Cox & Bill Carrothers (Igmod-CD)

Jay Epstein


1.Street of Dreams
2.Orion
3.Long Ago & Far Away
4.Beautiful Love

-The Dark Suite-
5.Maybe September
6.Balloons Over Pain
7.Keep the Home Fires Burning

8.Lost
9.You & the Night & the Music
10.Heyoke
11.Solar
12.I'll be Seeing You

Jay Epstein (ds) Bill Carrothers (p) Anthony Cox (b)

Rec-1996



ところどころで見かけていたこの盤が少し前に復刻されていたので、これ幸いと取り寄せてみました。現在の自分自身の趣向となかなか相容れない評者が絶賛していたので、全く知識もない未知のアーティストの作品でもおおよその想像が聴く前にも拘らず自ずから描けており、十中八九あの路線のジャズであろうとの観測がある程度その通りに再現されていたので思わず膝を打ちました。こういったことを何度も過去に繰り返してきた自分の経験値の中で感覚的なものが備わって、それがそれなりの精度となって発揮されていることがちょっと嬉しかったり自意識過剰なのかもと戒めてみたり。そもそも何故趣味でなさそうなこの作品を引っ張ったのか。これは完全に刷り込まれていた記憶と復刻のタイミングが重なって衝動的に購入したということです。それと以前はこの手のピアノ・トリオは結構好物でした。そう言う経緯であったので一度聴いた後は頻繁に取り出すということもなく暫く間を置いていました。ただ簡単に耳を通過したわけでもなく若干引っかかる部分があったので、今回改めてしっかりと聴いてみようと云うことで取り上げてみます。

ジェイ・エプスタインというドラマーがリーダーになっているピアノ・トリオ作品。エプスタインのオリジナルは2曲(2,6)のみ。5~7曲目に関しては"The Dark Suites"と銘打って、その名の通りのダークな組曲仕立てになっています。叙情的でクリアな音質の透明感のあるピアノにまろやかな運指が気持ちいいベースと澄んだ響きが印象的なドラム。それだけであれば特に引っかからないのですが、自分の中では美しく奏される曲が多いこの作品の中にあるダークな表現方法を用いた曲群が気になっていました。これらが思ったよりも単純ではなく複雑で、若干の難解さも伴った解釈に意外と惹き付けられつつあります。単に耳心地の良いジャズだと入り込み易い反面飽きも早く長い付き合いが出来ないといった、当方にとっては相反する効果を生み出してしまうのですが、滑らかに流れていかない旋律などを編み込まれると途端に気になり出します。そんな要素がこの作品には仕込まれていました。

ただ自分の現況ではそれ以上に入れ込むことは期待出来そうにありません。ここのところガッツのあるジャズを今まで以上に吸収したい欲求にかられているため、この辺りのサウンドのものはそれほど食指が動かないと云ったほうが本音なのです。

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  1. 2008/08/17(日) 23:48:49|
  2. Drums
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#636 Third Wish/Mike Moreno (Criss Cross Jazz-CD)

Mike Moreno - Third Wish

1.I Have a Dream
2.Children of the Night
3.Isotope
4.Lush Life
5.Third Wish
6.Another Way
7.Street Lights
8.A Flower is a Lovesome Thing

Mike Moreno (g) Kevin Hays (p,key) Doug Weiss (b) Kendrick Scott (ds)

Rec-2007



マイク・モレーノは今一番気になるギタリスト。理論もテクニックも難しいことは解らないけれど、この人のギターの一番好きな部分は音であるといういかにもクサレ耳らしい理由が自分の中で大きく横たわっています。前作の『Between the Lines』(World Culture Music)は大好きなアルバムで頻繁に聴いています。そんな彼の新録アルバムがちょっと前にリリースされ、予約をしていた身にとってはとても待ち遠しいものでした。ギター・カルテットで前作のように曲によって管が入ることはありません。そういう意味では、よりモレーノの本領が発揮されているだろうと云う期待感が高まります。ピアノはアーロン・パークスからケヴィン・ヘイズに、リズム陣は変更が無く、前作はドラマーを2人擁していましたが基本的には同様のメンバーになっています。

ただ困ったことに自然に耳に入ってきた前作とは違い、当初はなかなかすんなりと耳に馴染まないので少し動揺していました。演奏が、という意味ではなく前述の通りモレーノのギターの音に関してそのような感情を抱いてしまいました。どうやら自分はこのギタリストに浮遊感のあるクリアな音質を求めすぎていたようで、この作品にはそういった部分が前作よりも少ないことは一聴して感じられた部分でした。では退屈な内容であるのかと云えばそんなことは当然なく、むしろかなりエネルギッシュでアグレッシヴなプレイとサウンドに彩られています。聴けば聴くほどその真摯な迫力に拍車がかかってきて、いつのまにか上記のような要素が些細なことに思えてきて、冷静にこのジャズを全体のサウンドとして捉えればかなり気合いの入った内容であることを理解することが出来ました。期待したようなクールに極める演奏も温さを感じさせることが微塵も無く、四者の真剣な対峙が垣間見られる緊張感のあるサウンドになっていました。

相変わらず奏者の一面のみを切り取ってどうこう云う底の浅さが露呈してしまいましたが、リーダー作にしろサイドでの仕事にしろ、もっともっと聴いて自分の感性のアラ探しをしていかなければならんなぁと自戒してしまいました。鈍いとこう云ったことがゆっくりと氷解していって耳の良い人よりも一つの作品を長く楽しめたりするのかも、と何事もポジティブに評価してしまうことは救いようのないところなのかもしれませんが。

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  1. 2008/08/16(土) 22:44:59|
  2. Guitar
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#635 Plays Can-Can/Bernard Peiffer Trio (Laurie)

Bernard Peiffer - Plays Can-Can

A
1.Come Along With Me
2.It's All Right With Me
3.Just One of Those Things
4.You Do Something to Me

B
1.Let's Do t
2.I Love Paris
3.Montmarte
4.C'est Magnifque

Bernard Peiffer (p) Chris White (b) Jerry Segal (ds)

Rec-1960



フランスのピアニスト、ベルナール・ペイフェのピアノ・トリオ。あまりメジャーなピアニストではありませんが20年ほど前にアナログで復刻され、その時に手に入れたものです。このアルバム以外にも彼の56年録音の作品の『Bernie's Tune』(EmArcy)なども同様にして復刻されたものを入手しました。このアルバムはマイナーレーベルのLaurieから出たものを当時のセンチュリー・レコードが発売したもので、タイトルからも推察出来る通りコール・ポーターのミュージカル集になります。

彼の音源は40年代後半から50年代中盤に多く残されているとのことで、そういう意味ではこの60年の録音というのは後期のものと捉えてもよいのかもしれません。60年代には多くのアメリカのミュージシャンが拠点をヨーロッパに移していますが、彼は54年にアメリカへ拠点を移したようです。無論当時のジャズを取り巻く状況を考えればどちらの選択も当然の流れなのかもしれませんが活動の場を求めて国境を越えるフットワークの軽さは、ケツに根の生えてしまった自分のような人間には或る意味羨望の眼差しで見つめてしまいます。

A-3とB-3のみピアノ・ソロで他はトリオでの演奏です。「カン・カン」という映画の音楽集であるので聴き易いかなぁと思っていたら、なかなか個性的な解釈を魅せるピアニストでした。自分の経験の中でも比較的接してきたトラックばかりであるのですが、一聴しただけではスッと入ってくることはありませんでした。演奏が聴きにくいとか奇抜であるとか、大胆すぎる難解さという種のものではなく、自分のイメージした音とか奏法とは違うと云った方が正確に伝わるのかもしれません。勝手に自分の中にある定番スタイルでの演奏をイメージしていましたが、その枠からは少し外れた印象を持ったということです。例えばソロで弾かれるB-3のストライド奏法での解釈は一種独特のものがあり、なかなか興味深いものがあります。トリオで奏されるナンバーでも単調にならずに鍵盤を幅広く使用し、特に高音域の使い方と頻繁にアップダウンする指捌きは抑揚が面白く聴いていてワクワクさせられます。

評価が定まるまでもなく埋もれたミュージシャンは沢山いますが、そういう奏者を追っかけてみることはとても楽しく、またいろんなアーティストを体験することで自分の経験値も高められることは嬉しいことです。ただ正確な耳が備わらないのが辛いところですが。

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  1. 2008/08/15(金) 23:58:07|
  2. Piano
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#634 It's Mostly Residual/Cuong Vu (Auand-CD)

Cuong Vu -

1.It's Mostly Residual
2.Expressions of a Neurotic Impulse
3.Patchwork
4.Brittle, Like Twigs
5.Chitter Chatter
6.Blur

Cuong Vu (tp) Bill Frisell (g) Stomu Takeishi (el-b) Ted Poor (ds)

Rec-2005



ベトナムのトランぺッター、クォン・ヴーのやっぱりワイルドな作品。以前聴いた『Vu-Tet』(ArtistShare)があまりに強烈で、歪みまくるヘビーなサウンドはジャズというよりもロックを聴いているような感覚で、聴くものに関して何でも屋である当方にはもの凄い刺激を与えてくれました。そうなれば当然他のアルバムにも食指が伸びるのは必然の行為になっていきます。で、一作前のこの作品を取り寄せてみました。この作品は新作の『Vu-Tet』でサックスで参加していたクリス・スピードからギターのビル・フリゼールに変わっています。クォン・ヴーをはじめ他のリズム陣に変更は無く、相変わらずの爆走ぶりに呆れ返ってしまいますが近作を経験していたのでインパクトはさほど感じなかったというのが正直なところです。遡って聴いても相変わらずの轟音ぶりは健在で、独特の世界感が堪らなくカッコよさが際立っています。

このアルバムはビル・フリゼールの音空間をうまく総合的なサウンドに活かしており、独特の浮遊感があったり爆音で煽ってみたりとかなり幅広い表現方法を魅せてくれます。スペイシーな1曲目のようなクールな曲もあれば、続く2曲目などは全員がブチ切れたように暴走します。このメリハリの効いた効果が麻薬的で引き込まれてしまいます。3曲目は何か懐かしさも漂うような朗々としたトランペットが印象的なナンバーです。フリゼールが魅惑的なギタープレイを魅せていてなかなか興味深いです。そしてやっぱり交互に配置されているゴリゴリとした質感の4曲目。変拍子が強烈に印象に残ります。透明感のあるフリゼールのギターが徐々にホットになっていき見事なグルーヴ感を醸し出す5曲目に、ラストの6曲目は近未来をイメージしたかのような展開が面白く聴けました。ツトム・タケイシのエレベとテッド・プアーのドラムのダイナミックさも筆舌に尽くし難い素晴らしさなのですが、『Vu-Tet』を経験しているとこちらの方がおとなしく聴こえるから不思議なものです。

クォン・ヴーの諸作はユニオンのサイトではいわゆるポストモダンという枠組に括られているようですね。尖っているサウンドにエレクトリックな効果が満載の演奏に好き嫌いはハッキリしそうですし絶対に認めないジャズファンもおられると思いますが、ジャズという枝葉がもの凄く大きな広がりを見せていることは実感出来ると思えます。自分は大好きですね、こういう過激なのは。

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  1. 2008/08/14(木) 23:43:43|
  2. Trumpet
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#633 Danilo Perez Trio Live at the Jazz Showcase (ArtistShare-CD)

Danilo Perez - Live at the Jazz Showcase

1.Preludio
2.We See
3.Epilogo
4.Overjoyed
5.Metropolis
6.Rado de Nube
7.Monk's Dream
8.Furrows
9.Unseen Hands
10.Native Soul
11.New Born
12.Cancion de Cuna
13.Paula C

Danilo Perez (p) Ben Street (b) Adam Cruz (ds)

Rec-2003



パナマのピアニスト、ダニーロ・ペレスのライブ盤。彼のHPでディスコを確認すると1993年より既に9枚のリーダー作がリリースされているようです。今さらながら知ったのですが彼はウェイン・ショーターのグループにいたんですね。当方はこのアルバムで彼のピアノを聴いたのが最初です。予備知識を得たいがためにウェブで色々読んでみたのですが、彼のプレイに関して「ラテン」という文字をよく目にしました。しかしこのライブではそのような要素は殆ど見いだせませんでした。コレが彼の作品としての一面を捉えたものであるのか、全ての作品の下地となる本質であるのかは駄耳持ちには情けないことによく判りません。無論、潜在的に備わっている本質の部分が多かれ少なかれあるのでしょうがこのライブのみでは全く感じることが出来なかったので敢えて白状してしまいました。

このアルバムのダニーロ・ペレスのピアノを聴いて感じたことは個性の強さでした。ペレスのオリジナルは共作を含めて7曲(1,3,5,9,10,11,12)。1曲目から一筋縄ではいかない解釈が想像力を掻き立ててくれます。ゴツゴツした岩が転がり落ちるようにめまぐるしく変わる音塊にクラクラします。2曲目の1分強の曲を挟んで、3曲目に現れるシリアスでハードなタッチのピアノには唸らされます。三位一体の強烈な素晴らしい演奏であるのに何故かフェードアウトで終わってしまってコレが実にもったいない。4曲目はどこかで聴いたことがあるなぁと思っていたらスティーヴィー・ワンダーの曲が辛口のジャズに変身していました。感情の抑え込まれた2分程度の5曲目に続いて現れる6曲目はシットリとした美しい曲。こういうのもダニーロの表現方法の一端なのだと納得します。7曲目はモンクの名曲ですが個性が滲み出ていて面白いと思います。モンクの曲はなにかと物真似がちになり易く感じているのですが彼の色がしっかりと反映されていて素晴らしいと思います。8曲目の儚さが良く表現された曲に続けて9曲目は難解なメロディをジックリと弾き込んでいます。10曲目も複雑に絡まる旋律に耳を奪われます。11曲目はベーシストのベン・ストリートが印象的な効果を上げており、続く12曲目もストリートのベースの導入と沁み入るピアノが良い雰囲気です。ラストの13曲目も最後まで刺激的な旋律を編み続け、タッチの強いピアノが圧倒的な存在感を見せつけてくれます。ひょっとしたらこの曲の力強さの部分に「ラテン」が隠れているのかなぁ、と漠然と感じたりもしました。

通して聴いてみて感じたのはこのライブには結構ハサミが入れられているような気になりました。フェードアウトは勿論ですがオーディエンスの拍手があったりなかったりと統一感は保たれているもののちょっと気になりました。ただし演奏は目を見張るものがあり刺激的な要素がタップリ詰まっていて大変気に入りました。果たして他の作品ではどのようなプレイを聴かせてくれるのかとても楽しみになりました。

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  1. 2008/08/13(水) 23:58:51|
  2. Piano
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#632 Live at Kosmos, Berlin/Zbigniew Namyslowski Quartet (ITM Archives-CD)

Zbigniew Namyslowski

Disc 1
1.Rozpacz
2.Bye Bye Black Cat
3.Balbina
4.Der Letzte Tag
5.Szafa
6.Blues Shmues

Disc 2
1.Piatawka
2.Straszna Franka

Zbigniew Namyslowski (as) Joachim Kuhn (p) Janusz Koslowski (b)
Czeslaw Bartkowski (ds)

Rec-1965



ポーランドの巨人、ズビグニェフ・ナミスウォフスキの名前は20年くらい前から知っていました。ただし当時のレコ屋で彼のレコードを見かけることは当方にはありませんでした。マイナーだったからなのか、ハナから入荷させるつもりが無かったのか、それ以前にそういったアーティストに対するムーヴメントも当時は皆無に感じられたので仕入れ云々を語る以前の問題だったのかすら定かではありません。ナミスウォフスキに限らず、ポーランドのレーベルMuzaのレコードをその当時から探していたのですがついぞ見かけませんでした。そして自分自身のジャズに対する長いブランクがあけ再びジャズに入れ込み熱中している現在、ウェブ上にはMuzaのレコードが割と頻繁に散見され、以前おのぼりで都内に出かけた時にはユニオンのエサ箱にクシシュトフ・サドウスキ(Krzysztof Sadowski)のアルバムが千円ちょっとの値付けで入っていたりしてビックリしました。ウェブで検索すればMuzaレーベルの復刻CDが結構なタイトル数リリースされていてまさに隔世の感があります。いったいどうなっているのでしょうかね。相も変わらず同じものばかり復刻することに愛想を尽かしたリスナーの新たな開拓先であろうことは当方にも当て嵌まるので良く判るのですが、実際に容易に手に入れることが出来るのは有難く、また変に違和感もあります。

そんなわけで少しずつ手に入れて聴いていきたいなぁ、と思っていた矢先にナミスウォフスキのベルリンでの未発表2枚組ライブが新譜でリリースされることを知り、予約をかけていたCDが手に入ったので繰り返し聴いていました。彼のアルバムは結構なタイトル数があるのですがこのライブによって彼の演奏を初体験しました。ヨアヒム・キューンがピアノを務めているのでワクワクしていたのですが、期待以上に良い作品でした。コレは当方の勝手な先入観であったのですが、正直云うとフリー色の強めの演奏なんだろうなぁと想像を働かせていました。しかし実際はそんなことはありませんし、自由度の高いナンバーも含まれてはいますがほのかに辛みを帯びたストレートなジャズと云った方が適切のような気がします。ナミスウォフスキの艶かしくも怪しさが漂うアルトにヨアヒム・キューンの掴みどころの無さが炸裂した相変わらずのピアノが絡み、こういう部分を期待していた当方にとっては嬉しさがこみ上げてくる演奏でした。ベースのヤヌシュ・コズウォフスキとドラムのチェスワフ・バルトコフスキのリズム陣は演奏の緊張感を高めており、ピリッとした刺激を与えています。

他の彼の作品がどのようなものであるのか想像の域を出ないですが、このアルバムのようなスリリングな演奏が期待出来そうで大いに興味を持った次第です。活字で読む情報のみでは解らないことは当然なのですが、彼は自分自身にとってのストライク・ゾーンに投げ込んでくれるコントロールの良いピッチャーであることに変わりはなさそうです。

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  1. 2008/08/12(火) 16:37:08|
  2. Alto Sax
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#631 Subliminal Seduction/Ralph Peterson (Criss Cross Jazz-CD)

Ralph Peterson - Subliminal Seduction

1.Trials of Trust and Treachery
2.The Vicious Cycle
3.The Fifth Insight
4.Tears I Cannot Hide
5.Essence of the Wizard
6.But I Never Left
7.The Seventh Insight
8.Social Response
9.I Only Miss Her When She's Gone
10.Synergy
11.Subliminal Seduction

Ralph Peterson (ds) Jeremy Pelt (tp,fl-h) Jimmy Greene (ts,ss)
Orrin Evans (p) Eric Revis (b)

Rec-2001



オリン・エヴァンスの『Deja Vu』(Imani Records)という作品が以前Sonnyさんのブログにバナーで貼ってあり、その後それが気になって取り寄せて聴いてみました。そしてオリン・エヴァンスの表情豊かなピアノに大変感心しました。その感想を記事としてアップした際にコメント欄にSonnyさんが他のオリン・エヴァンスの演奏としてラルフ・ピーターソン名義のクリスクロス盤を推奨して下さいました。後に今回掲載のこの作品と、もう一枚全く同様のメンバーで奏されている2001年のクインテット作品である『The Art of War』(Criss Cross Jazz)の計2枚を取り寄せて実際に聴いてみました。両者のアルバムの全体から噴出するカッコ良さにヤラれ、イカしたサウンドと滲み出て来るブラック・パワーにクラクラしています。ピーターソンのパワフルなドラミングに圧倒されながら熱い演奏が満喫出来ました。

元々ジェレミー・ペルトとジミー・グリーンは大好きなホーン奏者であるので期待も高まったのですが、さすがにリズムが強靭で最高にゴージャスな演奏にドキドキしてしまいました。ドラマーのリーダー作らしくラルフ・ピーターソンのドラムは存在感抜群でソロで爆発する3曲目や7曲目など大迫力ですが、クインテットでの演奏でも図太く重いリズムを生み続けます。細かく切り刻んだシンバル・ワークやロールを効果的に使ったスネアなどあまりにも聴きどころ満載で強烈です。コレにはかなりヤラれ気味でキレまくるビートに開いた口が塞がらなくなってしまいました。暴発するリズムに負けじと対抗するジェレミー・ペルトのトランペットは鋭い光線を放ち、ジミー・グリーンのテナーも対等に応戦しています。そして肝心のオリン・エヴァンスが5曲目のようなハードな曲ではブチ切れていてなかなか凄いことになっていました。バリバリ弾かれるテンションの高さは圧倒的で手がつけられません。どのような曲調にもフレキシブルに対応し、自身の色を持って描き出す様はさすがと唸らざるを得ません。

ジャズの持つダイナミックさに翻弄させられること請け合いのとんでもなく豪快な作品でした。こういった玄翁でブン殴られるようなインパクトのジャズは堪らないですね。完全に取り憑かれました。

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  1. 2008/08/11(月) 23:05:33|
  2. Drums
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#630 Spirits in the Night/Dan Faulk Trio (Fresh Sound New Talent-CD)

Dan Faulk

1.The Night Has a Thousand Eyes
2.The Heath Blues
3.Angel Eyes
4.Stop 'n' Go
5.Peace Waltz
6.Our Love is Here to Stay
7.Three Cheers for Paul Chambers
8.But Beautiful
9.Black Orpheus
10.Those Dirty Blues
11.Spirits in the Night

Dan Faulk (ts,ss) Joe Martin (b) Jordi Rossi (ds)
-Guest-
Myron Walden (as→only2,3,4,7,8)

Rec-1996



ダン・フォークのサックス・トリオに5曲でマイロン・ウォルデンがゲスト参加しているアルバム。ダン・フォークという奏者の事を全く知らず、このアルバムがピアノ・レスという好みの編成であるのと、以前『This Way』(Fresh Sound New Talent)というアルバムでウォルデンを聴いていて、彼がこのアルバムで数曲でプレイしているのが購入のキッカケになりました。フォークのHPでディスコを確認してみましたが更新されている範囲ではリーダー作が3作で、このアルバムはその2作目になります。他2作品はピアノ入りのカルテットのようで、93年の初リーダー作であるクリスクロス盤にはバリー・ハリスも参加していたりします。2003年の『The Dan Faulk Songbook Vol.1』(Ugli Fruit Productions)から現在まで作品がないのですが、なかなか歯ごたえのある奏者だけにちょっと残念な気がします。今のところの最新作がVol.1と謳っているので是非にVol.2を、と勝手な要求をしたくなります。サイドでの残されている作品から判断すると、録音を92年から行っているようなので中堅どころのキャリアと云えば当て嵌まるのでしょうか。その割にはCDは若干少なめに感じられるので、単なる想像ですがライブを精力的にこなしていたりするのかもしれません。

フォークのオリジナルは5曲(2,5,7,10,11)で、ウォルデンの曲が1曲(4)、他スタンダードやボッサの定番(9)等が奏されています。このアルバムを聴いてみて改めて思うのは、ピアノが入っていないと醸されるサウンドが男臭くなり濃厚になることが手に取るように解ります。フォークのテナーはザックリとした質感でソプラノはマイルドな艶のある響きを魅せてくれます。フォークもウォルデンもどちらかと云えば良い意味での荒削りなサックスを聴かせてくれる印象を当方は植え付けられており、彼らが同時に絡む5曲はさらに増幅された毛羽立った聴き心地がなかなかです。そういうサウンドにはやはり尖ったリズム・セクションが重要で、ジョー・マーティンのベースがゴツく響き、ジョルディ・ロッシのドラムがズバズバ決まりまくる様は気分が高揚してしまいます。

さらに突っ込んだ一撃を食らわして貰いたい欲求もこのサウンドには僅かに感じられるのですが、スリリングさは充分伝わってきており水準の高い作品であることを実感します。それだけに寡作家であるのがもったいない気がするのです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/10(日) 23:30:30|
  2. Tenor Sax
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#629 Jammin' Uptown/Alvin Queen (Just a Memory-CD)

Alvin Queen

1.Europia
2.Jammin' Uptown
3.After Liberation
4.Mind Wine
5.Hear Me Drummin'
6.Resolution of Love
7.Hassan

Alvin Queen (ds) Manny Boyd (ts,as,ss) Terence Blanchard (tp)
Robin Eubanks (tb) John Hicks (p) Ray Drummond (b)
Hrvoje Rupcic (congas→only5)

Rec-1985,2001



何の予備知識もなく取り寄せて気づくことがしょっちゅうある。このアルバムもアルヴィン・クイーンの新録だと思っていたらリマスターされた旧譜だった。Nilva Recordsに85年にLPで吹き込まれたセクステット。当然のことのようにジャケットも変更されていて曲順も入れ替えられています。でも自分自身としてはこの時期のジャズに滅法疎いのでこういった再発は大歓迎です。

ちょっと話は脱線しますが、膨大に吹き込まれているであろうこの時期のジャズの作品は、50年代や60年代の作品と比較しても圧倒的に復刻される機会が少ないことは想像に難くなく、何年経ってもいわゆる定番タイトルのみがリイシューされ続けるジャズ界の風潮にウンザリしているのが正直なところです。まぁ単純に商売にならないのでしょうね。ただマイナーなレーベルでも丁寧に拾っていけば、内外の熱心なディストリビューターが有難い仕事をしてくれていることが唯一の支えです。如何せん情報が少なく気をつけて見ていかないと機会を逸することも多いことが難点で、気づいた時には既に手遅れといった事も多々あるので慎重に情報を見ないといけないですね。その前にいかなる状況にも対応出来る潤沢な懐が欲しいという現実的な問題も横たわっていますが。

この三管セクステットはホットなホーン・アンサンブルが楽しめる強烈なハード・バップでした。自分の経験値からはマニー・ボイドと云うサックス奏者を聴いたことは無かったように思います。そしてテレンス・ブランチャードはこの時期にジャズ・シーンに登場したのではなかったかと思い返しています。確かドナルド・ハリソンとの双頭グループを当時に聴いていて、イキの良い新人が出てきたなぁといった感慨を持った覚えがあります。そしてトロンボーンのロビン・ユーバンクスもギターのケビン・ユーバンクスとともに当時から認識はしていました。そしてベテランのジョン・ヒックスがピアノで、レイ・ドラモンドがベースと云う布陣です。

1曲目からガッツ溢れる演奏にワクワクさせられピリッとした辛口のホーンが全体を引き締めています。テレンス・ブランチャードのペットは尖っており攻撃的で、マニー・ボイドのサックスはブレス・コントロールにメリハリが効いていて豪快で男らしい音色を奏で、ロビン・ユーバンクスのトロンボーンは太くてパワフルです。ヒックスのピアノもバリバリと弾かれておりノリの良さは少しもブレません。レイ・ドラモンドのベテランの味も堅調で、アルヴィン・クイーンのドラムは小気味よくオカズが気持ちいいくらいに明確に決まります。リズムの洪水を浴びれる5曲目のみクロアチアのザグレブでの2001年のライブ音源でCD化により追加された曲で、ドラムとパーカッションのみの演奏で大爆発しており迫力満点です。

徹底的にストレートで豪快な演奏に終止する一本筋の通った演奏は迫力を持って迫ってきます。分厚いソロ交換の応酬に痺れ、生温さを微塵も感じさせないテンションの高さに大変満足しました。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/09(土) 19:12:16|
  2. Drums
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#628 Remember/Pat Martino (Blue Note-CD)

Pat Martino - Remember

1.Four on Six
2.Groove Yard
3.Full House
4.Heartstrings
5.Twisted Blues
6.Road Song
7.West Coast Blues
8.S.K.J.
9.If I Should Lose You
10.Unit 7

Pat Martino (g) David Kikoski (p) John Patitucci (b) Scott Allan Robinson (ds)
Daniel Sadownick (perc)

Rec-2005



パット・マルティーノは大好きなギタリスト。彼の60年代後半から70年代中盤頃のプレスティッジ、コブルストーン、ミューズあたりのアルバムには大変お世話になりました。圧倒的な存在感とレコードの音だけではどうなっているのか全く理解出来なかった超絶テクニック。自分が彼にハマった高校生から大学生の頃、ナントカの一つ覚え宜しく同じ曲を何度も何度も繰り返し聴きその度に強烈なプレイに絶句し、アホの子のようにニヤニヤしながらなんだか解らんがスゲェなぁと喜んでいました。そんな彼も生死を彷徨うような大病があったりして端から見れば波瀾万丈な人生であるなぁと思うのですが、カムバック後もコンスタントに作品を発表し今年の3月には来日もしています。

そんなパット・マルティーノの今のところ一番新しいアルバム。副題通りウェス・モンゴメリーへのトリビュート・アルバム。ウェスの曲が5曲(1,3,5,6,7)演奏されています。バリバリと弾かれる往時のプレイは若干影を潜めていますが、味わい深い丁寧なタッチの演奏が聴かれます。彼にとっては相当な紆余曲折もあったのであろうと容易に想像出来るのですが結果的には良い形の変貌を遂げたのだろうというのが個人的感想です。一音一音に重みがありメロディを極端に崩すことなくジックリと曲を料理してくれます。ウェスに馴染みのある10曲は何時聴いても色褪せず、マルティーノ流のスパイスを効かせたサウンドがウェスの偉大さを増幅させてくれます。マイルドなシングル・トーンの音色が円熟の極みを感じさせ、渋いプレイは尖った心を丸くしてくれます。サポートするデヴィッド・キコスキのピアノはパットのギターを優しく包み、また時には鼓舞し好い塩梅で絡み付きます。パティトゥッチのベースには実直さが滲み出ており、ブルースやバラッドでは温もりも感じます。

聴いていてひと心地付ける、いぶし銀のパットのギター・プレイが滋味深さを醸し出し、ブルージーさも備わった噛めば噛むほど味の出るスルメ盤になりました。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/08(金) 23:59:20|
  2. Guitar
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#627 The Unforgettable NHOP Trio Live (ACT-CD)

Niels-Henning Orsted Pedersen - Live

1.The Bach Piece
2.Memories
3.The Song is You
4.Lines
5.A Nightingale Sang in Barkley Square
6.You and the Night and the Music
7.My Little Suede Shoes
8.NHOP Presentation
9.I Skovens Dybe Stille Ro
10.Jeg Gik Mig Ud en Sommerdag
11.(Our) Love is Here to Stay

Niels-Henning Orsted Pedersen (b) Ulf Wakenius (g) Jonas Johansen (ds)

Rec-1999,2005



何を買おうかしらん、と目的もなくテレビをザッピングするが如く適当に検索し、MP3も聴かずに当てずっぽうでCDを取り寄せることをよくやります。ただやっぱり気になるアーティストやそのレーベル等何らかの潜在的な要素は購入のきっかけとして多分に含まれていて、さすがに皆目見当のつかないものには殆ど手は出していないことも現実ではあるのですが。この作品も目的なく見ていた時に気になって購入したもの。キッカケはウルフ・ワケニウスの参加とACTと云うレーベル。それとピアノ・レス・トリオと云う編成。勿論ペデルセンは知っているし晩年の作品は聴いていないので興味も出てくる。ワケニウスのE.S.T.集がとても良かったので彼とその作品がリリースされていたACTというレーベルは記憶としてしっかり刷り込まれていました。

以下は取り寄せてから調べて当方が理解したこと。1~5曲目はデンマークでの1999年のライブで、6~11曲目はペデルセンが亡くなる約1ヶ月前に収録されたドイツでの2005年のライブ。どちらも同メンバーでそれらを2007年にミキシング&マスタリングしたもの。ペデルセンは突然の心臓疾患だったようでこのライブでもアグレッシブ極まりないプレイを披露しているだけに58歳という年齢での他界は残念でなりません。そして内容がとても素晴らしく二つの異なる音源を収録していながら構成にムラもなく、この作品もかけがえのない一枚となりました。

デンマークでのライブでは、ボッサのリズムを配してウッドベースでメロディを執る3曲目から、傾れ込むように入っていく4曲目のパワフルなトラックの流れに強烈なインパクトを受け、ワケニウスの超絶ギターとヨナス・ヨハンセンのぶっ飛び具合が最高なドラムは何度聴いても鳥肌が立ちます。ドイツのライブでは何とも個性的な解釈が中盤以降に聴くことが出来る定番曲の6曲目あたりに痺れます。上質なメロディの5曲目や9曲目などの牧歌的なナンバーもさりげなく奏されながらもペデルセンの主張が止むことはありません。

前日のアヴィシャイ・コーエンから二日連続でベーシストの作品を取り上げたのですが、編成が異なることを排除して比較してみても立ちのぼる香気が全く違って興味深いですね。甲乙付け難いスリルをどちらの盤からも享受出来る優れた作品でした。長い付き合いになりそうです。

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  1. 2008/08/07(木) 22:07:00|
  2. Bass
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#626 Gently Disturbed/Avishai Cohen Trio (Razdaz-CD)

Avishai Cohen - Gently Disturbed

1Seattle
2.Chutzpan
3.Lo Baiom Velo Balyla
4.Pinzin Kinzin
5.Puncha Puncha
6.Eleven Wives
7.Gently Disturbed
8.The Ever Evolving Etude
9.Variatuins in G Minor
10.Umray
11.Structure in Emotion

Avishai Cohen (b) Shai Maestro (p) Mark Guiliana (ds)

Rec-2007



ご存知のようにアヴィシャイ・コーエンという名のジャズ・ミュージシャンは二人いて、このアルバムのベーシストともう一人トランぺッターがいます。どちらもイスラエル人で当方にとって最初に聴いたアヴィシャイ・コーエンはトランぺッターの方です。ものすごく強烈なインパクトを受けた『The Trumpet Player』(Fresh Sound New Talent)は愛聴盤になりました。ただしキャリアからすればこちらのアヴィシャイの方がはるかに長いようです。トランペットのアヴィシャイはリーダー作は2枚だけですが、ベーシストのアヴィシャイは彼のHPに由ると1998年から9枚ものリーダー作が既にあります。つい最近ベースのアヴィシャイの新譜ということでこのアルバムが出ることを知り、この機会に聴いてみようと思い予約をしておりました。そして一聴して度肝を抜かれました。こりゃ凄いなぁと。購入からだいぶ経ち何度も繰り返し聴いていたのですが、この一作だけが自分の好みだったらどうしようと思いつつ前作の『As is... Live at the Blue Note』(Razdaz)も取り寄せてみてその心配は杞憂に終わりました。インパクトは初聴のこのアルバムに軍配が上がりますがどちらも素晴らしいじゃないですか。もっと早く聴いていればよかったなぁと思いながら、気づいてよかったなぁとも安心してみたり。

このアルバムはピアノ・トリオのフォーマットになりますが、ダークに疾走するテンションの高さが最高です。自分の好みとしてミュージシャンの出自が明らかに感じられるものが特に好きなのですが、このピアノ・トリオはジャズに混ざった中東色がほのかに感じられて猛烈に刺激を受けます。この感覚はアルメニアのピアニストであるティグラン・ハマシアンの時にも同様の感覚を覚えました。

3曲目と5曲目が恐らく彼の地のトラディショナル・ナンバーのようで、4曲目と6曲目がメンバー3人の共作、それ以外がアヴィシャイ・コーエンのオリジナル。かげのある憂いを帯びたメランコリックな静かなトラックと、冷静さを漂わせながら静かに燃え上がる青紫の炎のようなホットなトラックが交互に編まれ、こちらの心を鷲掴みにして離してくれません。こういうクールに魅せながら熱さを感じさせるサウンドに当方は滅法弱く、本気で脈が速くなりどうなるかと思ってしまいました。自分は音楽で興奮すると前のめりになるのですがまさしくその状態です。静かにテイク・オフする1曲目、鞭のようにしなるベースに、滑らかさとゴツゴツしたピアノのタッチが同居し翻弄させられる2曲目、胸が締め付けられるような感傷的なメロディの3曲目、同じフレーズを何度も何度も反復させ脳裏にまで刷り込まれる4曲目、しっとり聴かせる5曲目。前のめり度抜群の6曲目、反復されるベースに沈み込む7曲目、暗号的なメロディに嵌りまくる8曲目、めまぐるしくフレーズが上下しトランス状態に陥る9曲目、エキゾチックさが堪らない10曲目、ラストの11曲目まで強烈なリフを繰り返され昇天してしまいます。呆れるほど統一されたカラーながら持ち上げられたり突き落とされたりとヤラれっぱなしです。

アヴィシャイのベースは唸りまくり、時にはウッドベースにハンマリングを食らわしているのではないかと思うくらいに強打され、ピアノは流暢に弾かれたかと思えば怪しさと儚さを全面に醸し出し、時に執拗に同じメロディを繰り返します。ドラムは大技小技が冴え渡り、壮大さが如何なく発揮され爆発しています。最早彼の作品に関しては全て聴いてみたいという欲求が抑えられません。財布と相談しながら遡って聴いてみようと思っています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/06(水) 23:19:55|
  2. Bass
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#625 Jazz Immortal/Clifford Brown (Pacific Jazz)

Clifford Brown - Jazz Immortal

A
1.Tiny Capers
2.Gone With the Wind
3.Finders Keepers
4.Blueberry Hill

B
1.Joy Spring
2.Bones for Jones
3.Bones for Zoot
4.Dahoud

Clifford Brown (tp) Zoot Sims (ts) Bob Gordon (bs) Stu Williamson (v-tb)
Russ Freeman (p) Carson Smith (b) Joe Mondragon (b)
Shelly Manne (ds)

Rec-1954



このブログも結構長いこと続けているけれど、クリフォード・ブラウンのリーダー作を取り上げるのは今回が初めてです。何度かチャレンジしようと思ったのだけれど自分がどうこう云うのも気が引けるというか、あまりに超然としていて言葉が出てこない。なので躊躇していた期間が長かったのだけれど、いつまでも聴かないわけにもいかないので敢えて今回取り上げてみました。実はまだまだリーダー作を取り上げていないジャズ・ジャイアントも結構いたりします。例えばアート・ペッパーとか。

不慮の事故によって活動期間の短いクリフォード・ブラウンですがリーダー作を数えればそこそこの枚数があります。その数が多いか少ないかを感じるのは人それぞれですが、前述の感想の通り自分はそこそこの枚数があるなぁと思っています。勿論もっともっと沢山の作品を残してくれていたらどんなに素晴らしい未知の名盤が生み出されたかという期待も持てますし、そうあってほしいなぁとは思います。理想と現実が常に一致すればこんなに嬉しいことはないのですがねぇ。で、そこそこあると感じている作品群の中からストレート勝負で名盤の誉れ高いエマーシーの諸作からにするか、それとも変化球を投げてみるか、あーだこーだやっていて最終的にこのブログらしく変化球(?)を投げてみる。とは云え脇役も泣く子も黙る名手ぞろいに間違いないのですが。ちなみにこの盤はエマーシーの諸作とほぼ同時期の録音です。

このアルバムはメンバーやレーベルからも解る通りブラウンのミーツ・ウェストもので、重厚なアンサンブルにのせてブラウンのペットが唱いまくる好内容の一品です。一応ズートの名も冠されていますがそれほどの露出でもないと思います。ブラウンの加わらないB-3でズートをフィーチュアしているのですが個人的にはあまりズート自身の演奏には耳が行きませんでした。どちらかと云えば音的な意味合いが強いのかもしれませんがボブ・ゴードンのバリトンの方が耳に憑きます。それとラス・フリーマンのピアノも結構効いています。何層にも重なるアンサンブルをバックに従え、ソロをブラウンに集中させ滔々と流れる川のような滑らかなトランペットが存分に堪能出来ます。火の出るようなソロというよりも大らかさが心地よく、泰然自若とした風格は24歳にして既にどっしりとした貫禄まで漂わせます。自信に満ち溢れたソロを聴いていると、やはり早すぎる死によって可能性を摘まれた儚さと、聴く側の無い物ねだりの欲求が頭をもたげてきていけないですね。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/05(火) 19:14:45|
  2. Trumpet
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#624 What Happened ?/Alex Riel Trio (Cowbell Music-CD)

Alex Riel - What Happened ?


1.Yesterdays
2.Nature Boy
3.100 m Spurt
4.Without
5.I'm Getting Sentimental Over You
6.Ac-cent-tchu-ate the Positive
7.Giant Steps
8.Dreaming Streaming
9.3rd Dimention
10.Idaho
[blank]
11.Tears in Heaven

Alex Riel (ds) Heine Hansen (p) Jesper Lundgaard (b)

Rec-2003,2004



昨日のマクリーンのアルバムにドラマーとしてアレックス・リールが参加していたので改めて彼のリーダー作を聴いてみることにした。この作品は3年ほど前に発表されたスタジオ録音です。アレックス・リールは結構なペースでリーダー作がリリースされており、つい最近も大ベテランのチャーリー・マリアーノを加えた『Live at Stars』(Cowbell)というライブ盤が発売されました。まだ聴けていないのですがこのライブはいつものへイン・ハンセンではなくてヤコブ・カールソンがピアノなんですね。そういえば前作の『High and the Mighty』(Cowbell)もライブ盤でした。彼のHPをチェックしてみるとこの作品はCowbellからの第一作ということになり、その前まではデンマークのレーベルStuntから6作品がリリースされていたようです。リールのレギュラー・トリオの録音でピアノはハンセン、ベースは盟友のイェスパー・ルンゴーが務めます。

ハンセンのピアノは情感が冷静にコントロールされており、曲によっては重みさえ感じさせます。ただ綺麗に響かせるようなピアノではない存在感があります。リールのドラムは細かな技巧が冴え渡り、細部の仕事まで認められるクリアな録音が聴いていて気持ちのいいものです。ベースのルンゴーは極端な甘さはなく適度な静謐さと荘厳さを併せ持ち、叙情的な一面も魅せてくれます。三者の巧みさを派手にひけらかすことなく、さりげなくまとめているのには唸らざるを得ません。

実はこの作品には隠しトラックが入っていて、一応のラストの10曲目の間に空白があり暫く経って11曲目に続きます。こういう手法はジャズに限らず結構散見されるのですが、セコい当方にとってはちょっとしたお得感が得られます。どっかで聴いた事のある曲だなぁと思ったらクラプトンの定番曲だった。ただしピアノではなくギター、ベース、ドラムスのようでパーソネル等の詳細が全くジャケットに明らかになっていません。バックにはキーボードかシンセで微かに装飾もされているようです。ギターはリードとリズムとあり、二人のギターであるのかオーバーダブなのか定かではありません。かなり気になったのでウェブで言及がないか調べたら指摘はされているもののやっぱり細かなデータが拾えませんでした。この隠しトラックがこの作品のタイトルに掛かっているのではないか、との意見も拝見したのですが、なるほど洞察力に優れた人はそういうところにも気がつくのだなぁ、と妙に感心しました。問題を提起されて初めて顧みる相変わらずの鈍さです。常識的に考えればドラムはリールでしょうが、詳細を知るとそれこそ"What Happened ?" だったりして。実に大らか且つほのかに感傷的なサウンドでなかなか良いトラックです。



訃報:最近ジョニー・グリフィンやハイラム・ブロックが亡くなって残念に思っておりましたがギタリストのジョー・ベックも先月22日、肺癌で逝去されたようです。享年62歳。ジャズよりもクロスオーバーの世界で名をなしたギタリストでした。この後にでも彼の作品である『Beck』(Kudu)を聴こうと思います。残念です。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/04(月) 22:21:25|
  2. Drums
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#623 Live at Montmartre/Jackie McLean (SteepleChase)

Jackie McLean - Live at Montmartre

A
1.Smile
2.Das Dat

B
1.Parker's Mood
2.Closing

Jackie McLean (as) Kenny Drew (p) Bo Stief (b) Alex Riel (ds)

Rec-1972



昨日取り上げたイェスパー・シロのアルバムにベーシストのボ・スティーフが入っていたので、35年以上も遡るけれどこのアルバムでのプレイを改めて聴いてみようと思った。ジャッキー・マクリーンのモンマルトルのライブ。バックにはピアノにケニー・ドリューを配し、ベースは先の通りスティーフが務めます。そして現在も精力的にリーダー・アルバムをリリースし続けているアレックス・リールがドラムという布陣。

マクリーンのリーダー作が何枚ほどあるのか正確には知りませんが、残された初録音から最終作まで通して聴くことが出来れば、彼が辿ったスタイルの幅広さを実際に体感することが可能であるのに、彼の作品に限らず当方にとって70年代後半から2000年頃までの約20年近くのジャズに対してブランクがあり疎いので、50年代頃から近年まで活躍する長いキャリアのミュージシャンに関しては、変遷を理解出来たのは一人としていないと言って差し支えないほどの情けない状態です。自分の知りうるマクリーンの中では、60年代中盤でのブルーノートのシリアスさからは考えられないほどに1972年のこの時期はオーソドックスなスタイルに戻っています。

微妙にフラットするマクリーン節はココでも健在で演奏をエンジョイしている様が容易に窺えます。ワンホーンで自由自在に吹かれるマクリーンのアルトはBN時代の緊張感溢れる演奏から解放されたかのような伸び伸びとしたプレイでおおらかさも漂います。ケニー・ドリューのピアノが録音レベルの問題なのか、しっかりとしたプレイながら奥まったように聴こえます。アレックス・リールのドラムはシンバル・レガードなどの高音域が強調されて若干キンキンと聴こえスネアはバタつくような録音に感じられますが、テクニカルな演奏にはワクワクさせられます。そんな中、ボ・スティーフのベースはしっかりと捉えられており指捌きも見事で納得の演奏です。まぁ、この辺りは自分の駄耳と駄装置に起因する問題も多分に含まれていそうです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/03(日) 23:54:25|
  2. Alto Sax
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#622 Jazz a la Carte/Jesper Thilo (Misic Mecca-CD)

Jesper Thilo

1.Birk's Works
2.Over the Raimbow
3.Stella by Starlight
4.Like Someone in Love
5.Georgia on My Mind
6.Autumn Leaves
7.Willow Weep for Me
8.The Way You Look Tonight
9.A Child is Born

Jesper Thilo (ts→only1,2,5,8,ss→only4,7,cl→only3,6,9)
Olivier Antunes (p) Bo Stief (b) Frands Rifbjerg (ds)

Rec-2006



個人的な感想を正直に言えばこの作品を購入した当初はあんまり面白い作品とは思えませんでした。それは完全にこちら側の問題で、よく調べもせずに勝手に期待していたスタイルと全く違っていたからに他なりません。ただシロのスタイルが奇を衒うことなく楽器を存分に鳴らし切るタイプの奏者であることを改めて知ってから、奥行きの深さや操る様々な楽器の妙がとても良く感じられるようになりマッタリとした演奏を楽しめるようになりました。デンマークのリード奏者、イェスパー・シロのワン・ホーン・カルテット。ここで聴けるのはテナー、ソプラノ、クラリネットの三種になります。

誰もが知っているような有名なナンバーがズラリと並んでいます。それらの曲に極端な解釈を加えることなくメロディを素直に吹き切ります。しかしながらテーマを離れればアドリブの自由度は増し、良く唱う各々の楽器が気持ちいいくらいに爽快さを残してくれます。淀みのないフレーズは湯水のように溢れ出し湯量の豊富な源泉のようです。テナーは艶っぽく、クラリネットは高音域の伸びが凄く、ソプラノは節回しが早くて軽快です。ウェブ上ではテナーはデクスター・ゴードン、クラリネットはバディ・デフランコが引き合いに出されていましたがなるほどそんなふうにも感じられます。でもさらに輪をかけて流暢な気もしますが。オリヴィエ・アントゥネスのピアノはリリカルでシロのスタイルにマッチしており、リズム陣も派手さは少なく堅実で好感が持てます。ベースのボ・スティーフはマクリーンの『Live at Montmartre』(SteepleChase)でのベーシストですね。

革新的なジャズの対極にあるような演奏ですが、スウィングが下地にある当方のような人間にはすんなり入ってきました。本来期待したタイプの演奏ではなかったのですが、違った形で付き合っていけるような作品になりました。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/08/02(土) 23:01:53|
  2. Tenor Sax
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ぬどい

Author:ぬどい

タイトル通りのブログです。聴くジャズに垣根をつくらずがモットーです。駄耳の持ち主ですがジャズが好きで連日湯水を浴びるが如く聴き続けています。しかし自分の耳は全く向上しません。近年ジャズに戻って来たためここ10数年のアーティスト&作品には非常に疎く探求中です。今までに所有してきたレコードの聴き直しと新たなる発見を求めて購入したCDの感想を備忘録を兼ねて更新しております。ど素人が主観のみで書いているログですので当然ココではお勉強は出来ません。検証は他所でやって戴いたほうが確実かと思いますのでその旨ご了承願います。(ただ今さぼりモード突入中)


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