イカれた駄耳にジャズの洪水

今宵も円盤漬け・・・     since 23rd Oct. 2006

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#770 Catch of the Day/Matt Penman (Fresh Sound New Talent-CD)

Matt Penman - Catch of the Day

1.Astrolabe
2.Channels
3.Hot Yoga
4.New Age
5.Frosted
6.Haven
7.Waylo
8.Nectarous Master

Matt Penman (b) Seamus Blake (ts,ss) Aaron Parks (p) Eric Harland (ds)

Rec-2007



今年購入したCDはリリース時期にかかわらず、自分にとっては殆どが新録と同様であり新譜と同じ意味合いであると云うスタンスで聴いていました。ジャズにブランクを生じさせた当方としては、ここ十数年のジャズの動向を全く知らず学習中の身の上であるので、アナログ時代に出ていた復刻モノを除いて、CDと云うメディアでリリースされているものの殆どが、それこそアーティストを聴く上に於いても予備知識が一切備わっていない状態から購入したものが全てと言っていいぐらいでした。ですから1990年代のアルバムでも今年(2008年)の新譜でも、新旧という尺度が自分にとってはあまり重要ではなく、全て同じ観点から楽しんだような気がします。そういう意味では自分にとって2008年のベストをセレクトするというのは、当然の如く新旧が混合してしまうのであまり意味を為す作業ではないようです。

振り返れば新たに生み出されてきたジャズにとても刺激を受けた一年でした。年間で約350枚を購入しその全てを聴き倒した濃厚な一年となりました。自分でもこんなに嵌り込むとは当初は考えていませんでしたが、やはりジャズの魅力と云うか魔力と云うか、己に潜在的に備わっていたジャズへの欲求に対し、彼らからの比類なき誘惑攻撃を受けそのまま流されたような一年でした。結果、ここ数十年で一番ジャズを聴けた年でもありとても満足しているのですが、理解力の向上は相変わらずの課題になっています。

ラストに取り上げるこのアルバムも一応今年の新譜になるのでしょうか。先月行われていたアーロン・パークスのメンバーとしても来日していたニュージーランド出身のベーシスト、マット・ペンマンのカルテットによる年初にリリースされた作品。このアルバムがアーロン・パークスの近作『Invisible Cinema』(Blue Note)と同様、個々のプレイはもちろん素晴らしいのですが、トータル・サウンドも重視した作りになっていて、どこか心に引っかかるメロディに自信みなぎる確固たるスタイルを提示する演奏に好感を持ちました。来日公演にはその両者が観れるとあって期待も高まっていたのです。そもそも両者のアルバムはメンバーも殆どが共通で、このアルバムのサックスのシーマス・ブレイクが、アーロン・パークスのアルバムではギターのマイク・モレノに変わっているだけなのです。やはり共通のドラマーであったエリック・ハーランドが来日しなかったことは残念なところです。実際のライヴは作品に比較的忠実な演奏であり冒険は少なかったのですが、彼らの実直な姿勢とマット・ペンマンの存在感の大きさを実感出来て納得のステージになりました。ペンマンが演奏後に知り合いと思しき外国人一行とニコやかに談笑していた姿が眼に焼き付いています。

沢山の作品に接することが出来た一年でしたが、ライブは結局上記を含めた3本しか観ることが出来ませんでした。その分CDの探求に拍車がかかったことは否めないのですが、来年はもう少し生演奏の魅力を探求すべく、可能であれば上京する機会を増やしたいなぁと画策しています。少なくとも東京はジャズの生演奏を体験出来ると云う意味においては有数の都市ですので、この機会を少しでも捉えていければと考えています。

最後に沢山の感動を与えてくれたフレディ・ハバード有難う、そしてお疲れさまでした。安らかにお眠り下さい。
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  1. 2008/12/31(水) 16:47:43|
  2. Bass
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#769 Continuo/Avishai Cohen (Razdaz-CD)

Avishai Cohen - Continuo

1.Nu Nu
2.Elli
3.One for Mark
4.Ani Maamin
5.Samuel
6.Emotional Storm
7.Calm
8.Arava
9.Smash
10.Continuo

Avishai Cohen (b,el-b) Sam Barsh (p) Mark Guiliana (ds,perc) Amos Hoffman (oud)

Rec-2005



知っている人からすれば何を今さらなのですが、当方にとってベーシストのアヴィシャイ・コーエンに出会えたことはとてつもなく大きな今年の収穫でした。アヴィシャイ・コーエンに関しては、"Third World Love"や"3 Cohens"などのグループでも活躍するトランぺッターの同名異人の方を先に聴いていたのですが、別人であるこのベーシストがいることはその後すぐに気がつきました。キャリアとしてはベースのアヴィシャイの方が長いことも知り、そんなタイミングに彼の『Gently Disturbed』(Razdaz)がリリースされることを量販サイトで偶然見つけて予約を入れてみました。そのアルバムが届いてからと云うもの、それこそ貪るように聴きまくるのですが、当然過去にリリースされたアルバムにも遡って探求しこのベーシストの底力と作曲の妙に圧倒されることになります。一聴して解る出自を強烈に主張するサウンドは、ジャズのみならずワールド・ミュージックも好物の当方にはとてつもないインパクトを与え、ウズベキスタンのユルドゥズ・ウスマノヴァやパキスタンのヌスラット・ファテ・アリ・ハーン、そしてご当地イスラエルのオフラ・ハザなど、あちら方面のヴォーカリストの音楽が何故かスパイラルで脳裏に浮かんできてしまうほどの濃ゆい音に狂喜しました。アナログの時代にリリースされたもののみしか聴かないジャズ・ライフであれば遭遇出来ないこの音楽に出会えたことに感謝し、すっかりと虜になってしまいました。

例によって全てを把握するまでにはほど遠い当方のアヴィシャイ・コーエン体験ですが、上記の近作を初めとしてブルーノートでのライブ盤や、ずっと遡って初期のStretch盤とかも聴いてみました。まだまだ数枚齧った程度ですが、このアルバムの色合いが最も彼の地のニオイを感じさせてくれるアルバムではないかと思っています。

ピアノ・トリオ+ウードと云う編成はそりゃもう幻想的な音をタップリと聴かせてくれるのですが、見た目がバロック音楽で使われる弦楽器のリュートやテオルボの小型版のような、ウードと云う中東域で使用される民俗楽器が何ともノスタルジックでよい効果を上げています。アヴィシャイのベースは時にパーカッシヴなアプローチも感じさせる奏法を駆使し聴く者を盛り上げてくれて、ウッドでもエレベでも独自のビートを刻んでいます。サム・バーシュのピアノには彼の地の底流にあるものがそのまま宿っており、狂おしくなるようなメランコリックなメロディが止めどなく紡ぎ出される様は圧巻です。マーク・ジュリアーナのドラムも雰囲気を壊すことのないサポートで、アヴィシャイとの強靭な掛け合いを見事に演出しています。

イスラエルのジャズ・ミュージシャンと云えば一昔前まではほとんど想像出来なかったのですが、今では一大勢力の様相を呈して来ているようで、沢山のエキゾチックなメロディを持ったジャズが、沢山のミュージシャンの手によって生み出されています。この一派の奏でる音楽に心酔している当方としては来日の機会があれば絶対に観に行くのですが、二年半ほど前にアヴィシャイ・コーエンはブルーノート東京で公演しているんですね。相変わらず知るのが遅くてハンケチをシガんでしまいます。今のところはDVDで我慢の子です。

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  1. 2008/12/30(火) 03:22:08|
  2. Bass
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#768 Once Upon a Melody/Javon Jackson (Palmetto-CD)

Javon Jackson - Once Upon a Melody

1.One by One
2.Will You Still be Mine
3.Paradox
4.Mr. Jones
5.My One and Only Love
6.Mr. Taylor
7.The in Crowd
8.Inner Glimpse
9.Like a Star

Javon Jackson (ts) Eric Reed (p) Corcoran Holt (b) Billy Drummond (ds)

Rec-2008



落ち着くジャズ。いたってシンプルに奇を衒わずに奏されるテナーとバックのピアノ・トリオ。やっぱりこう云ったジャズも補食しておきたい。近年モノのジャズでこういうオーソドックスなのを聴くのはここのところあまりなかったので、何時振りか自分でもよく判らない状態です。尖っているのも大好きだけれど、こういうのもやっぱりいいんだなぁ。張りつめたものを解きほぐしてくれる作用のある演奏です。

ジャヴォン・ジャクソンのワンホーン・カルテット。名前は以前からよく知っていましたがリーダー作を取り寄せたのは初めてです。ジャクソンのオリジナルは4曲目と6曲目の2曲のみ。両曲とも「ミスターなんたら」というタイトルでここでの「ジョーンズ」と「テイラー」は誰のことなのか少しだけ気になります。後はよく知られたナンバーが結構含まれていて当方のような入門者には解り易いアルバムになっていると思います。

彼のテナーはソフトな音を奏でますね。とても艶っぽくて柔らかくてメロウです。無駄にイキむことがなくギミックに頼らず楽器を自然に鳴らすとこう云う音になるような。サックスを吹いた経験がない人間の、信憑性のない妄想タップリな感想です。そのふっくらとしたテナーに華を添えるエリック・リードのピアノが実に良い。最初は特に引っかかってこなかったけれど、繰り返し聴いて行くと実に果汁タップリの熟れたピアノであることを遅ればせながら理解しました。一音一音が瑞々しくてジャクソンのテナーとブレンドされると旨味がさらに増します。徹底的にロマンティックに攻める5曲目のような曲があるかと思えば、ジャクソンのオリジナルである2曲と、この作品の8曲目などはどちらかと云えばモーダルな演奏で、特に6曲目はジャクソンのテナーも心持ちホットに迫ってきます。縁の下の力持ちに徹していたはずのビリー・ドラモンドのドラムも思わずリキが入るトラックです。アグレッシヴに迫るジャクソンの音色は荒々しく聴こえてもやはりマイルドに聴こえるのはこの人の特性なのか、それとも己のイカれ耳のせいなのか。ラムゼイ・ルイスでお馴染みの7曲目もよいアクセントになっていますね。

最近の自分のベクトルが激しくフリー・ジャズに傾いている中、一方ではこういうアルバムにも食指が動くのは、自分の意識下に聴くモノに対してある程度の均衡を保っていたいのか、様々なスタイルのジャズをアメリカであるとかヨーロッパであるとか関係なくセレクトしている自分がいます。そんなことを書いていたらしばらく聴いていなかったディキシー・ランド・ジャズが聴きたくなりました。まったくもって節操がありません。

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  1. 2008/12/29(月) 02:47:45|
  2. Tenor Sax
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#767 On Tour/Prysm (Blue Note EMI Music France-CD)

Prysm - On Tour

1.Secret World
2.Extension
3.Temps Dense
4.Voice of Angels
5.The Way
6.Suspended Time
7.Reflection
8.Patience
9.Un des Sens

-Prysm-

Pierre de Bethmann (p) Christophe Wallemme (b) Benjamin Henocq (ds)

Rec-1999,2000



何度もシツコク表明します。近年ジャズに戻ってきて長い間のブランクを埋めるようにここのところの作品を聴きまくっていますが、手に入らないものの多さに愕然とし頭を抱えています。現在も活躍しているアーティストに関しては、近年モノのCDがリリースされているのであればそれらを優先して聴いていけばいいと半ば強制的に購入するものをシフトさせるのですが、困るのは活動期間の短いグループやアーティストの作品は廃盤にされてしまうと眼に触れることもなくなり、いざ聴きたいと思ってもなかなか入手するのが困難です。存在自体に気づかずに通り過ぎてしまうのはあまりにも勿体ないし、気づいても作品を聴く手がかりを断たれるのはあまりにも悔しい。このプリズムというグループも自分の知らない時期に結成され、4枚の作品を残していつの間にか解散したようですが、ウェブ上に並ぶ激賞の賛辞を目ざとく見つけてからというもの、いずれ聴かねばならぬと意気込むも全て廃盤になっているようで往生しました。特にグループでの活動に関してはメンバー間のスリリングな対峙が大きな要素になるのは想像に難くなく、別々でリリースされた各々のリーダー作やサイドでの仕事にはない重要なものが詰まっているはず。そんな折、名盤との誉れ高いラスト・アルバムを運良く落手したので聴いているのですが、これが噂に違わぬ強烈なインパクトでした。

このアルバムは99年のニューオーリンズのライブ音源と、99年と00年のパリでのライブをセレクトした内容です。ピリッと引き締まった強烈なテンションが具現化されたシビれるピアノ・トリオでした。例によって傑作と云われるこの作品が最初の体験であり、それまでの礎を捉えているであろうスタジオ作を聴けていないのは順番が違うような気がしますが、如何せん普通に売っていない状態であるのでご勘弁を。とにかく冷たい肌触りの辛口テイストのオリジナルを実にエキサイティングに開示する連中です。ピアノのピエール・ド・ベスマンは切れ味の鋭いメロディを紡ぎ出し青い炎が立ち上ります。ベースのクリストフ・ワレムはスピード感のあるベースで2曲目のソロなどは存在感抜群です。そしてドラムのバンジャマン・エノクのアグレッシヴさは目を見張るものがあります。オカズの入れ具合に痺れ、3曲目やラストの9曲目のドラム・ソロ等カッコ良さは一級品で、尻を床に接地させておくことが難しくてウズウズしてしまうくらいに強烈なドラミングで参ります。

こうなると残りの3作品を無視することは不可能であり、是が非でも聴いてみたい衝動に駆られます。中古として比較的目にする形で出回っているようなのは後追いで聴く者にとっては幸いです。ただしこの衝撃的なライブを堪能した後に聴くスタジオ盤という部分において、もの足らなさが先行するのではないかとの若干の心配もあるのですが。

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  1. 2008/12/28(日) 00:57:03|
  2. Combo
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#766 Trombone Scene (Vik)

Trombone Scene

A
1.Slim Jim
2.It Could Happen to You
3.Sorta Rumbish
4.Hackin' Around
5.Indiana

B
1.Plungin' in
2.Ham Bone
3.Out of Nowhere
4.Sonny's Side
5.Up and Out

A-1,A-2,B-5

Eddie Bert (tb) Urbie Green (tb) Jimmy Cleaveland (tb) Jim Pepper (tb)
Tommy Mitchell (b-tb) Elliott Lawrence (p) Buddy Jones (b) Sol Gubin (ds)

A-3~A-5

Eddie Bert (tb) Urbie Green (tb) Frank Rehak (tb) Willie Dennis (tb)
Tommy Mitchell (b-tb) Elliott Lawrence (p) Buddy Jones (b) Sol Gubin (ds)

B-1~B-4

Eddie Bert (tb) Urbie Green (tb) Sonny Russo (tb) Jim Pepper (tb)
Tommy Mitchell (b-tb) Elliott Lawrence (p) Buddy Jones (b) Sol Gubin (ds)

Rec-1956



最近はひたすら近年モノのジャズばかり買っていて、必然的に聴くメディアもCDにシフトしてきています。そもそも新しいジャズを聴き出してから1年半ほどしか経っていないので、ブログに関しても週にCDを1枚取り上げる程度にして他はレコードでと考えていました。しかしながら思いのほか大量にCDを購入しているのとそれらを聴くことが楽しくて、気がつけば月に数枚レコードを聴くものの他はCDばかりになってしまい、このブログもほぼCDが中心のようになってしまいました。そんな訳でここのところアナログ盤はなおざりになっていたので久しぶりにターンテーブルを回しています。しかもちょっと変わり目のモノを。

トロンボーン奏者にスポットを当てたオムニバス・アルバム。しかも4トロンボーン+1バス・トロンボーンと云う、フロントがトロンボーンのみの重厚な布陣のオクテットになっています。曲によってメンバー間の若干の移動はありますが基本的に編成は変わらず聴かれるサウンドに変化はみられません。アービー・グリーンやエディ・バート、ジミー・クリーヴランド辺りは知っていますがその他のトロンボーン奏者は不勉強で知らない名前が並びます。どこかで耳にしているのかも知れませんが殆ど記憶に残っていないのは己の聴き方が足らないのか、そもそも残念な構造の頭に問題があるのか。まぁその両方であることは疑いようがなさそうですが。

思ったほど重々しくなく軽快で、アンサンブルとソロの融合がうまく結実したなかなか稀有なサウンドに仕上がっていると思います。トロンボーン特有のふっくらとした音色が複数集まると思いのほか心地よく、スピーディなものもスローなものもマイルドに聴こえて重厚と云う表現はちょっと違うかも知れません。アレンジ等は如何にも50年代のサウンドですが、やはり編成には面白さが感じられ、何本ものトロンボーンのスライドが伸び縮みする様がすぐにイメージ出来るサウンドに顔が綻びます。

こういう企画が現代版の演奏であるのかどうかはよく判りませんが、もしあるのであれば是非とも聴いてみたいものです。調べてみようかしらん。

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  1. 2008/12/27(土) 22:05:12|
  2. Trombone
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#765 Early Songs/Lage Lund Quintet (Criss Cross Jazz-CD)

Lage Lund - Early Songs

1.Scrapyard Orchestra
2.Poppy
3.You Do Something to Me
4.Vonnegut
5.Around the World in a Bottle
6.Quiet Now
7.Celia
8.The Incredibly Profound Song

Lage Lund (g) Marcus Strickland (ts,ss) Danny Grissett (p)
Orlando LeFleming (b) Kendrick Scott (ds)

Rec-2007



クリスクロスの新譜を買おうとする時にいつも悩みます。このレーベルは供給にムラがあるのか手配する店側の問題なのか、店舗によって入荷時期が極端に変わるのです。クリスクロスのここのところの新譜リリースに関しては、知っているWeb量販店の範囲では最初に目にするのはディスク・ユニオンの入荷情報が毎回一番早いと思います。この作品はまだ暑かった秋口には実店舗でも既に確保されていて店頭に並んでいました。しかしながら敢えて価格のことを言ってしまうとユニオンのクリスクロスの売価(2850円)が異様に高くて手を出せないのです。ウェブから発注するとさらに送料が500円かかるので月に30枚近く買っている当方としては少しでも節約したいし一枚でも多く他のものも聴きたいのでさすがに躊躇します。ですから2000円前後で買えるサイトで注文するのですが必ずと言っていいほど毎回予定通り入荷せずに待たされます。クリスクロスの公式HPでは今回の新譜は9月12日リリースとあるのでユニオンにはほぼタイムラグがなく入荷していたようです。発売前の8月29日に発注しているのに届いたのが11月末です。今回リリースされた3枚(他に『Pathways / Luis Perdomo』と『Lightsey to Gladden / Kirk Lightsey』)の遅延は特にひどかった。なんとかならんのでしょうか。

ラージュ・ルンドを聴いたのはサイドでの仕事が最初です。一番最初に聴いたのはこのアルバムでも共演しているマーカス・ストリックランドの『Twi-Life』(Strick Muzik)だったと思います。他ではやはり共演しているケンドリック・スコットや、ジャリール・ショウの複数の作品で存在感のあるギターを耳にしてきました。既にリリースされていた2枚のリーダー作に関してはまだ聴いていません。彼のHPを見ると2005年から録音があるようですね。このアルバムはかなり待たされたので期待値も高まって楽しみにしていました。届いてから一ヶ月ほど経ち最初はいま一つピンときませんでしたが、繰り返し聴いていると徐々に効いてきて好いアルバムです。どうも錆びて凝り固まっている自分の感性をほぐすには寒い日に乗る単車よろしくエンジンのかかりが悪いので、チョークを引っ張ってから始動させしばらくの間の暖気も必要で、慣らし運転をしていくうちにだんだんと嵌っていくと云うスロー・スターターぶりです。

全8曲のうち5曲(1,2,4,5,8)がルンドのオリジナルです。ピリッと引き締まったサウンドは程よくスパイスの効いた料理のように脳内を凛とさせます。甘さを排してクールに極めるサウンドに彼らの明確な道筋を感じます。当方にとってのラージュ・ルンドのギターは、語るのもおこがましいですが技巧的なことよりも音そのもののインパクトを植え付けられておりこのアルバムでもその印象は変わりません。このふっくらとした流暢な語り口は病み付きになります。ダニー・グリセットのピアノの切れ味は爽快ですが、マーカス・ストリックランドのサックスはトータル・サウンドに比重を置いてそれほど我を通してはいないように感じました。7曲目のバド・パウエルのトラックが統一感のあるカラーの中でアクセントになっているような感じがしました。

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  1. 2008/12/26(金) 23:26:01|
  2. Guitar
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#764 Interplay/Terje Gewelt (Resonant Music-CD)

Terje Gewelt - Interplay


1.Blue in Green
2.Voila Voila
3.A Remark You Made
4.Midnight Mood
5.Little Eyes
6.The Fens
7.May-Be
8.When She Consoles Me
9.Solar
10.November

Terje Gewelt (b,el-b) Christian Jacob (p)

Rec-2002



こんな作品もクリスマスには良さそうですね。ノルウェーのベーシスト、テリエ・ゲヴェルト(ゲウェルト)とフランスのピアニスト、クリスチャン・ジェイコブのデュオ・アルバム。メロディを慈しむには格好の作品だと思います。タイトル通り互いのインタープレイを満喫出来ます。

彼らのデュオ作品は複数吹き込まれており、テリエ・ゲヴェルトの主宰するレーベルであるレゾナント・ミュージック(Resonant Music)には、デュオとしてはこのアルバム以外に『Duality』と『Hope』があります。3枚とも聴いてみましたが、個人的にはライブ・アルバムの『Hope』が一番好きですね。3枚のデュオのうちでは最初の『Duality』に続く2枚目と云う位置づけにこの作品はなるようです。

初っ端から名曲をシットリと決めてくれます。ただし緩急の付いた選曲にもなっており、2曲目ではクリスチャン・ジェイコブのスピーディなプレイにゲヴェルトの躍動的なベースが呼応し聴いていて気持ちのよい演奏です。ゲヴェルトは曲によってはエレベを使用していますが、流れに違和感を持たせず作品にメリハリをつけていきます。ジェイコブの潤いのある音色にベースのハコを美しく共鳴させるゲヴェルトのプレイは聴く者に贅沢な時間を与えてくれます。

テリエ・ゲウェルトは年明け早々に新譜がリリースされるようで、『Oslo』(Resonant Music)と云うタイトルのようです。この作品はピアノ・トリオのフォーマットでピアノにはなんとエンリコ・ピエラヌンツィ、ドラムには昨日取り上げたラーシュ・ヤンソンの『Hope』(Imogena)でも叩いていたスウェーデンの名手、アンダーシュ・シェルベリを迎えています。早速予約、楽しみです。

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  1. 2008/12/25(木) 23:26:25|
  2. Bass
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#763 Hope/Lars Jansson Trio (Imogena-CD)

Lars Jansson - Hope

1.How Deep is the Ocern
2.The Tree
3.Hope
4.Live, be Where You are
5.Why was I Left Under the Sky
6.Living Under the Road to Paradise
7.Summer Rain
8.A Little Blues for You
9.A Blissful Smile
10.In Peaceful Sleep

Lars Jansson (p) Lars Danielsson (b) Andres Kjellberg (ds)

Rec-1999



ラーシュ・ヤンソンのだいぶ前のアルバムを聴いています。 最近は過度にハードな作品を意識的に摂ってきたのでこういう正統派の美麗なピアノ・トリオは久しぶりです。一音一音を紡いでいく端正なピアノは聴いていて気持ちのいいものです。何故に急転換するかと云えば、クリスマスに際し何を聴こうかと考えたのですが、それにふさわしいような作品をそれほど抱えていないのと、ブログの背景は変えるけれど内容に季節感が全く伴わないこのシロモノに対して、一応それなりに気分的に高まりそうなものを考慮してチョイスしたと云う、無い頭で愚考しセレクトしてみたものです。なんとなーくこういう日にはピアノ・トリオ辺りがシックリきそうだなぁという安直な考えから選んでみたのですが、理由を聞かれても困ります。このアルバムのタイトル曲(3曲目)の雰囲気が良い感じなんじゃないかなぁ、と。

ラーシュ・ヤンソンはキャリアも長く多作家でもあり、もちろん全てを聴けているわけではないので数枚の手持ちの中から一枚を選んでみたのですが、このアルバムの持つ優美なテイストが好きで、前述の通りここのところはメッキリご無沙汰なのですが以前はよく聴いていた作品になります。単に麗しいメロディだけではなくしっかりとグルーヴ感も伴っていて、ピアノ・トリオの理想型のような演奏で納得できる一枚です。透明感のあるクリアなピアノの音色に深遠に響くベースが良く捉えられており、ドラムのシンバル・レガートが高揚感を誘発します。やはりタイトル曲は出色の出来ですが、ピアノとリズムの一体感が素晴らしい8曲目辺りも最高です。

田舎住まいだとクリスマスを感じるようなところも限られていて、都会のような否応なく目に飛び込んでくるイルミネーション等というものは皆無です。普段と全く変わらない年末の慌ただしい一日を少しでも気分的に変えられればと考えてみましたが、正直どうもシックリきませんねぇ。でも、ラーシュ・ヤンソンのこのアルバムはどんな時に聴いてもホッとする滋味深い作品だと思います。アルコールとともにいい塩梅で微睡んでいます。

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  1. 2008/12/24(水) 23:59:22|
  2. Piano
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#762 Quintet/Ingebrigt Haker Flaten (Jazzland-CD)

Ingebrigt Haker Flaten - Quintet

1.Maxwell's Silver Demon
2.Playing
3.Seemingly
4.Ceta
5.Olja og Gass
6.Zardoz
7.It's a Desperate Situation

Ingebrigt Haker Flaten (b) Anders Hana (g) Ola Kvernberg (vin,mandolin)
Klaus Ellerhusen Holm (bs,as,cl) Fredrik Rundqvist (ds)

Rec-2005



アトミックのベーシスト、インゲブリクト・ホーケル・フラーテンのアルバムも聴いてみました。月初にアトミック生体験を実現させ、その関連作を相変わらず掘り下げています。ところがその量の多いこと多いこと。とてもじゃないけど一度にフォロー出来るものではありません。ホーケル・フラーテンに関してはこの作品と近作である『The Years of the Boar』(Jazzland) の2枚を取り寄せてみました。本当はベース・ソロ作である『Double Bass』(Sofa)も聴いてみたいのですが、なかなか手に入れるのは苦労しそうです。他にもフレデリック・ユンクヴィストのリーダー作や、ホーケル・フラーテンとポール・ニルセン・ラヴ、そしてリードにマッツ・グスタフソンという垂涎のトリオ"The Thing"など興味が尽きない作品が目白押しで、ここのところの当方の財布の紐は解けっ放しです。困りつつも聴かずにおれない欲求と戦うオヤジでございます。

アトミックの面々が土俵を変えて演る他流試合は掴みどころのないインパクトの強い作品が多く、このクインテットのサウンドも実に個性的です。このメンバーと楽器編成で一癖も二癖もある音が出てくることはすぐに判ります。それにしても最新作は違うのですがフレデリック・ユンクヴィストはドラムもやるんですねぇ。そんなわきゃないと思いますが同名異人だったりして?知識のない人間は色々と慎重になってしまいます。買ってみた二作品とも同様の過激さですが、敢えて比較すれば近作はリズムが明解である曲が多いながらも全体的に立ち位置がフリー寄りのものが多く感じられ、この作品はロック的なアプローチや奇抜なプレイも魅せるギターや異様なリフを繰り返すヴァイオリン、歪みまくるベースに火を噴くリード等、どちらかと云えばアヴァンギャルドなサウンドと実験的な展開に主眼を置かれているように感じました。一聴してジャン・リュック・ポンティ辺りが演奏する革新的なサウンドを思い出しました。

アルトとバリトン、クラリネットを持ち替え曲ごとに印象の変化があり、また曲の表情も多彩で統一感はなく何が出てくるか判らないような構成に唸ります。しかしながら混沌としたフレーズにハッキリとしたビートを持つ曲が比較的多いので、この辺りのジャンルを開拓中の当方にも明解に解り易く無条件でノセられてしまいます。特に5曲目のスリリングさは強烈で、導入のホーケル・フラーテンの鞭打たれるベースに豪快なバリトンとうねるギターにヴァイオリンが絡み、そしてユンクヴィストの的を得たドラムが刺激的で最高です。そしてテンポが起伏に富んだワイルドな7曲目も笑いが出るくらいにベタでニヤニヤしてしまいます。

何でもありのごった煮のようなアルバムなのは近作とも共通していますが、自分にとってはどちらかと云えばこの作品の方が入り込み易かったですね。

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  1. 2008/12/23(火) 23:05:50|
  2. Bass
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#761 Live at Crescendo/By Any Means (Ayler Records-CD)

By Any Means - Live at Crescendo

Disc 1
1.Introduction
2.Zero Blues
3.Hearts Joy
4.We Three
5.Different Stuff
6.Love One Another
7.Straight Ahead Steps

Disc 2
1.Peace Inside
2.Machu Picchu
3.Cry Nu
4.Eternal Voice
5.No Sorrow

-By Any Means-

Charles Gayle (as) William Parker (b) Rashied Ari (ds)

Rec-2007



実際に取り寄せることをするようになって、あぁやっぱりそうなのかと改めて感じていることなのだけれど、フリー・ジャズの作品というものはいわゆるモダン・ジャズのアルバムに比べても廃盤になるのが明らかに早いように思われます。いざ欲しいなぁ、聴いてみたいなぁと思った時には殆ど手遅れの状態で、その入手困難な確立はモダンやヴォーカルよりも高く感じられるのですがどうでしょう。やっぱりマーケットの大きさに比例しているのでしょうかね。需給バランスが大いに関係しているのでしょうか。

そんな訳で当方が興味を惹かれている、現在手に入るフリー系のアーティストを逐次吟味しています。今回のチャールズ・ゲイルの作品を聴くのは初めてです。彼がピアノでも作品をリリースしているのはコメントを下さるSonnyさんのログを拝見して知っていました。ディスコを探索するとピアノも含めて結構な作品数が出てきますが、全てを容易に手に入れられるような状況でないことは簡単に理解出来ます。これは「バイ・エニー・ミーンズ」と云う名のグループのようで、ベースには最近複数の作品を聴くことが出来たウィリアム・パーカーを配し、ドラムには当方にとっては久しぶりの名前のラシッド・アリと云う面々が顔を揃えています。有難いことに当方にとっては未知であるこの彼らのグループの演奏もYouTubeで購入前に観ることが出来たのでいい予習になりました。フリーが何たるかと云う知識を持ち合わせていない当方にとってはあくまでも感覚的な聴き方になってしまうので、そう云った尺度で好きであるか苦手であるかのみが量られます。YouTubeで自分の守備範囲となり得るジャズと判断し、取り寄せて聴いてみて思い通りの内容に喜んでいます。

不規則に動き回るリズムの上をパワー溢れる演奏で疾走するゲイルのテナー。明らかにハードなブロウをしているのですが、何故か懐に余裕があると云うかキリキリとしたものを感じさせないアーティストです。ホットなフリー・インプロなのに神経に障るような音は皆無でマイルドさまで感じさせてしまう不思議な感覚。最近はいろんな奏者のフリー・ジャズを試していて、それこそ金属片をまき散らすかのようなぞぞげ立つ音もあったりして一筋縄でいかないところにその面白さを感じていますが、チャールズ・ゲイルのそれは極めて肉感的であり、メカニカルにならないプレイで好感を持ってしまいます。この作品はアルトのみでの演奏ですが、他所では使用されているテナーやバスクラに関しても同様の感想を持ちうるのかは聴いていないので全く判りませんが、おおよそ同様の感想を得られるのではないかと推測します。ライブということもあって演奏の質感が明確に聴き取れることも要因になっているのかも知れません。ウィリアム・パーカーのベースは相変わらず自由度が高く、怪人ラシッド・アリの健在振りもしっかりと記録されていて嬉しくなります。しかしながら早く聴覚的な聴き方ばかりから卒業して新たなステップに進みたいものです。

初めて聴いたチャールズ・ゲイルは思いのほか暖かく懐に入ってきてくれました。温もりのある熱い演奏と云う、自分でも何を言っているのか判らない間抜けな状況になってしまいましたが、そんなアンバランスな感覚に陥るチャールズ・ゲイル体験でした。

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  1. 2008/12/22(月) 23:55:33|
  2. Combo
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#760 Wicca/Jordi Rossy Trio (Fresh Sound New Talent-CD)

Jordi Rossy - Wicca

1.Sexy Time
2.El Bardo
3.Tainos
4.Metamorfosis
5.Loving Tone
6.Wicca
7.Moose Love

Jordi Rossy (p) Albert Sanz (org) R.J. Miller (ds)
Felix Rossy (tp→only6) Enrique Oliver (ts→only6)

Rec-2007



ドラマーとしてのホルヘ・ロッシはブラッド・メルドーのグループなどでも聴いていたので馴染みはあるのだけれど、ピアニストとしての彼に接するのは初めてです。本職(と云っていいのか?)以外でも余技では済まない演奏を披露するアーティストは昔も今も多いですよね。さすがにこの道のプロ、殆どのミュージシャンが水準の高い演奏を聴かせてくれます。特にピアノという楽器を+αとしてチョイスする人は少なくないと思うのですがどうでしょう。思いついただけでもミンガスとかレッド・ミッチェルとか。あれ、ベーシストばかりだ。

タイトルからベースとドラムスと組んだ一般的に云われるピアノ・トリオだと思っていましたが、なんとピアノとハモンド・オルガン、そしてドラムと云う変則的なセットだったのでビックリしました。そして6曲目のみテナーとペットを配置したクインテットになっており、トランペッターはフェリックス・ロッシという名前。ジャケットを開いてみるとちょっとあどけなさの残る少年がトランペットを吹いています。答えが見つけられなかったのですが彼はホルヘ・ロッシの息子でしょうかね?この曲のホーンはテーマをユニゾンで奏でるだけですのであまり注目するような部分はないのですが。

何とも不思議な感覚になるフワフワとしたサウンドに唸ってしまいます。当方がジャズで重要視するスリリングさで構成されたものとはほど遠く、楽器の組み合わせと曲の妙味を楽しむ方に比重を置くような出来になっています。思った以上にマッタリとしたアルバート・サンズのハモンドがこの作品の個性を決定づけており、テンポもスローなものが多くピアノとオルガンと云う両鍵盤楽器の特異なハーモニーが全編に亘っています。アルバート・サンズはスペイン人でピアノでの作品が目立ちますがここではオルガンに専念しているんですね。なんかジャズではあるのに教会音楽のような雰囲気も醸していて、今まであまり経験したことのない変わった肌触りのジャズでした。

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  1. 2008/12/21(日) 21:19:57|
  2. Piano
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#759 Shapes and Shadows/Speicher - Wolf - Grassi (Clean Feed-CD)

Martin Speicher - Shapes and Shadows

1.Please, Confirm!
2.Le Star
3.Claire's Net
4.Your Hope
5.Alors! Bill Dit
6.Shapes and Shadows

Martin Speicher (as,cl) Georg Wolf (double-b) Lou Grassi (ds)

Rec-2006



まーったく知らないアーティストのCDを聴くワクワク感というものが好きで、私的な部分での当たり外れはもちろんあるのですが、なんの予備知識もなく買ってみることをたまにやります。このアルバムも先日そんな形で手にしたものです。ただしクリーン・フィードと云うレーベルからフリー・ジャズであることは理解出来ていました。あまりにも手がかりを持たない状態での購入は、好みという面では極端に白黒が出やすかったりするので、そう云ったリスクを超えて手を出すキッカケが欲しいところですが、このCDはアウトレット扱いで1000円で売っていたと云う、いかにも自分らしい取っ掛かりがあったので聴いてみることにしました。

1曲目から予想通りのフリー・インプロで豪快なフリーキー・トーンが飛び出してきました。ドイツのマルティン・スペイヒャーと云うアルト奏者の作品ですが、メンバー三人の名前が並列された共同名義になっています。そもそもフリー・ジャズを本格的に購入するようになったのは最近のことであるのでこの三人は初体験ですが、通して聴いてみると様々な表情の楽曲で構成されていて、気合いの入る瞬発力を持った即興もあれば実験的なアプローチをみせる曲もあって多彩です。スペイヒャーのアルトは比較的濁りが少なく敢えて形容すればクリアな質感を持っているように聴こえ、絶叫系ではなく深みのある音を繰っている感じがしました。ただ自分としてはなかなか入り込めないところもあり部分的には苦戦している曲もあったりします。その点ではこの作品への思い入れは今のところフィフティ・フィフティと云ったところでしょうか。通常のジャズの理解度も怪しい当方がフリーの世界を簡単に掴めるほど甘くないので、先ずは色々聴いてみて自分にシックリくる形を見つけるべく模索中です。

まったくゼロの知識から始めている現代フリー・ジャズの探索をしていると、ヨーロッパ勢が意外と多く活躍していることを実感しています。というよりもヨーロッパのほうが主流なのでしょうかね。アメリカのミュージシャンとの比率を調べてみたくなりました。それとこのアルバムでもそうなのですがクラリネットという楽器を用いて自己表現するフリー系のアーティストが結構多いのも最近の発見です。何せ参考書なしに首を突っ込んでいるので自分でどの辺りを探っているのかも全く見当がつかないのですが。しばらく試行錯誤は続きます。

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  1. 2008/12/20(土) 23:59:17|
  2. Alto Sax
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#758 9.9.99/Per Henrik Wallin Trio (Stunt-CD)

Per Henrik Wallin - 9.9.99

1.Squatty
2.Thelonious
3.Ask Me Now
4.Elegy
5.The Question of Evoking Social Disturbances is also a Question of Mental Health
6.What Time
7.Ryssland / Vastgotajazzen
8.Bye-ya
9.9.9.99
10.Work
11.For Heaven's Sake
12.We See
13.Mutterlein / Answer Me
14.Little Rootie Tootie

Per Henrik Wallin (p) Peter Janson (b) Leif Wennerstrom (ds)

Rec-1999



自分にとっての訴求力のある作品というのは、善かれ悪しかれ極端な事象を含めた、ある意味異質さを感じさせるものに惹かれる傾向があるようです。この作品の主人公ペル・ヘンリク・ヴァリンというピアニストもその人の数奇な運命に興味を惹かれました。

彼はスウェーデン人でキャリアは結構長く1975年から自身のリーダー作をリリースしており、1987年までは比較的コンスタントに作品を発表し続けていたようです(ここまでの枚数にして13枚)。しかし1988年に事故で半身不随となってしまい、リハビリの末に3年後の1991年に『Dolphins, Dolphins, Dolphins』(Dragon)でカムバックします。事故以降は車椅子での演奏を余儀なくされたそうですが、カムバック直後に今度は大病し、再び復帰したのが1998年の『Blues for Allan』(Flash Music)という作品まで期間があいてしまいます。そしてその作品の次に発表されたのがこの作品になります。米Wikiに依れば2005年の6月に亡くなられているようで、彼にとって試練のような人生はいかなるものだったのか、当方のような凡人には推し量ることも出来ません。この作品でも車椅子でピアノに向かう彼の姿が写っており、演奏家の執念のような鬼気迫るものを感じてしまいます。

そんなバイオを過去に読んでいて、このことがどうしても脳裏から離れなかったので、彼のアルバムを取り寄せてみようと思い立ち最初に引っ張ってみたのがこの作品でした。意味深なタイトルはなんのことはなく、1999年9月9日にデンマークはコペンハーゲン・ジャズ・ハウスでのライブ録音ということで、いわゆる英表記で日付を記すとこのようになります。ただ9曲目に同タイトルのトラックも収録されています。

一聴してモンク的なピアノに心を奪われます。実際にモンクの曲を6曲(2,3,8,10,12,14)も取り上げ、彼のオリジナルも4曲(5,6,7,9)収録されています。6曲目はピアノ・ソロで7曲目はピアノとベースのデュオです。異質に響く彼のピアノは不協和音とともにゴリゴリと押してきます。若干のたどたどしさを伴いながらも一音一音の打鍵が強く、モンクがシリアスに迫っても出せないような独特の雰囲気が滲み出ているように感じるのは、予備知識が植え付けられたことによる錯覚なのでしょうか。リズムの二人に派手さはないですが戦うピアニストに適切なアシストを施していて好感が持てます。ピアノと真摯に向き合う演奏は彼の機微をも感じさせる深いもので訥々とした自己表現の世界に酔いしれます。

これを聴いたことによって、果たしてハンディを負う前の演奏はどういうものなのかを知ると云う課題が出来ました。トラディショナルなものからフリー・ジャズまで幅広く吸収したそうですが、改めて彼のスタイルを確かめてみたくなりました。ただそれらは20年以上前の作品と云うこととヨーロッパのマイナー・レーベルでのリリースが殆どなので、作品を手に入れられるかどうかは結構難しそうな気もします。

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  1. 2008/12/19(金) 23:40:25|
  2. Piano
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#757 Miles in Tokyo/Miles Davis Live in Concert (Columbia)

Miles Davis - Miles in Tokyo

A
1.Introduction - If I Were Bell
2.My Funny Valentine

B
1.So What
2.Walkin'
3.All of You - Theme and Announcement

Miles Davis (tp) Sam Rivers (ts) Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b) Tony Williams (ds)

Rec-1964



ものを知らんというのは何とも恥ずかしいもので自分なんぞはこのブログで知識のなさを露呈しまくっていますが、何事も勉強のつもりで色々聴いてみて色々書いてみてをやっています。始末に負えないのは自分の書いたものに対して決定的なミスがある時に、それを気づかずに放置し続けると云うパターンが今までにも結構ありそうで、指摘がなければ当然そのまんまになってしまいそれを延々とウェブの世界に垂れ流し続ける可能性があるということはある意味恐怖です。そういうことを考えるとなかなか筆も進まなくなりますが、思い込みをなるべく避けて下調べをする必要性を習慣づけた方がどうやらいいようですね。あまりにも知らないことが多すぎる。

このマイルスのアルバムに関しても掲載したジャケットのものしか知らずに今まで通してきました。自分がジャズを本格的に聴き出しこの作品を手に入れた20年以上前の頃は、『マイルス・イン・トーキョー』と云えばこのジャケットでした。いわゆるCDが出始める前のアナログ・レコードの時代ですね。巷に出回る「イン・トーキョー」はこればかりで、ジャズ雑誌等に掲載されるジャケットもこのデザインでした。その後CDの時代になり当方はジャズから遠ざかり10数年経って戻ってきたのですが、いつのまにか「イン・トーキョー」は黒くて渋いジャケットに変貌していました。そのことをいつもお世話になっているpiouhgdさんのブログで初めて知った次第でした。その記事からすでに半年近く経ってしまいましたが。現在リリースされている黒いジャケットがオリジナルだそうで、この茶色は再発時に差し替えられたものなんですね。

Miles in Tokyo - Original

いソノてルヲ氏の司会で始まるこのアルバムは厚生年金会館で収録されたんですね。今となっては稀少な記録となったサム・リヴァース入りのクインテットですが、リヴァースの痛快無比な演奏を彼のリーダー作で知っているだけに、この演奏が思いのほかバランスのとれ具合が絶妙な形になっているので唸ってしまいます。ただしB-1あたりのリヴァースのソロには顔がニヤけてしまいますが。グループの過渡期の演奏なのでショーター在籍時の完成度には及びませんが、マイルスのトランペットはやはりよく唱っていてカッコいいですね。

できればこの時期のマイルス・クインテットを生で経験したかったですが、当方が生誕前ないしは赤子であったのでどうしようもありません。ないものねだりはいくらでもしますが空しさだけが残ります。

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  1. 2008/12/18(木) 23:58:59|
  2. Trumpet
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#756 Appetite for Structure/Petter Wettre (Household-CD)

Petter Wettre - Appetite for Structure

1.Trailerpark Blues
2.The One That Got Away
3.Trophy Wife
4.Dr. Livingston - I Pressume
5.All Dressed Up
6.Take it Away, But Bring it Back
7.Tailwind

Petter Wettre (ts,b-cl) Kim Johannesen (g) Anders Christensen (b)
Anders Mogensen (ds)

Rec-2007



先日新宿でアトミックを観た翌日、帰りしなにいつものようにCDを仕入れてから帰路につきました。相変わらずネットでは拾い難くなっている作品が鈴なりのように棚に刺さっていて思わず財布が軽くなってしまいましたが、まぁしょうがないですね。今ふと思ったのですがCDの輸入盤の価格ってあまり為替に左右されず落しどころが決まっているかのような値付けで、なんだかなぁと不思議に思っています。今は激しく円高なので差益還元して貰いたいところですが、相変わらず1800円から2300円ぐらいに集中していますなぁ。高いのだと二枚組でもないのに3000円超える盤もあったりして。いろいろと会社や流通の事情があるのでしょうが、経済状況が激変してもいつでも一緒の申し合わされたような価格設定はどうなんだろうと考えてしまいます。極端な円高でも円安でもいっつもおんなじ約二千円。昔々の大昔にこの業界に少しだけ在籍しましたが、輸入盤事情は殆ど知らないのです。輸入盤は基本的に店側の返品なしの完全買い取りになるのでしょうが、ちょっとその辺のカラクリを探りたくなる衝動に駆られてしまいました。

そんなセコい人間は今回は新古品と云うかアウトレットものに狙いを付けてウロウロしていました。新品であるのに棚から外される作品は結構あるもので、そのおこぼれをジックリと吟味します。こぼれるには売れないとか在庫過多とか理由があるので食指を動かされるものが極めて少ないのですが、この作品を見つけた時には嬉しいのと同時にちょっと悲しくなりました。特にアトミックを観た直後だっただけに。

アトミックの面々と同郷であるノルウェーのペッター・ウェトレは大好きなサックス奏者です。この人もアグレッシヴでホットな演奏をするプレイヤーで静謐さの欠片もありません。アトミックとも当然繋がりがあり、ベースのインゲブリクト・ホーケル・フラーテンと"The Trio"と云うグループで一緒に演っています。彼の師匠はデイヴ・リーヴマンだそうで"The Trio"や他の自身のリーダー作でも共演しています。このアルバムが新品で800円でした。一緒に刺さっていた彼の『Fountain of Youth』(Household)も1000円だったのですが既に持っているためスルーしましたが、心境としては拾ってあげたい気持ちで一杯になりましたよ。

このアルバムはギター入りのカルテット。常々思っていたのですが彼は断然ピアノ・レスが素晴らしいと思っていました。ピアノ・レスであるサックス・トリオの『Live at Copenhagen Jazzhouse』(Household)は未だにシツコク聴いています。そしてこのアルバムもピアノ・レスで、ギターが入ってもその本質は変わらずエネルギッシュです。ギターとのユニゾンが濃厚な味わいを醸し出しており、存在感のあるリズム陣との相性は複数のアルバムで既に組んでいるだけに抜群です。やはり一筋縄では行かない複雑なメロディを持つ曲が多いですが、難解であったりイヤミになるほどのエグみを含んだものはなく、モーダルな演奏が好きであれば引き込まれること請け合いです。満足のいく内容で嬉しくなりました。

彼の殆どの作品は自身のレーベルであるHouseholdからりリースされているのですが、あまり量販系のショップには入荷してこないので手に入れ難いことが難点でした。この作品も発表されていることはリリース時から知っていましたが、ネットから引っ張るのは価格の条件面から見送っていました。忘れた頃に店頭でディスカウント状態で再会するとは、何とも複雑な気分です。

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  1. 2008/12/17(水) 23:38:57|
  2. Tenor Sax
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#755 Day Trip/Pat Metheny (Nonesuch-CD)

Pat Metheny - Day Trip

1.Son of Thirteen
2.At Last You're Here
3.Let's Move
4.Snova
5.Calvin's Keys
6.Is This America ?
7.When We Were Free
8.Dreaming Trees
9.The Red One
10. Day Trip

Pat Metheny (g) Christian McBride (b) Antonio Sanchez (ds)

Rec-2005



年末年始に彼がやってきますなぁ。パット・メセニー・グループ名義で。ブルーノート東京にて足掛け2年で8公演ですよ。凄いですねぇ。ジャズ・ミュージシャンがビジネスとしてこの国の重要性を証明するに余りある日程の押さえかたは圧巻と言わずにはいられません。メセニー・グループ名義での当方の体験は1980年代迄で止まっているので、現在奏でられるサウンドにもの凄~く興味津々なのですが、小市民以下の自分にはチャージを見て目玉が飛び出ました。まぁ年末年始だしこのメンバーであれば当然かとも思うのですが入れ替え制のクラブなのでさすがに二の足を踏みます。チャージ以外に運賃や外泊の必要性も当方には生じるのでいつまでも思案にくれてばかりいたらアッという間に殆どの公演がソールド・アウトですよ。いやぁ、パット・メセニー恐るべし。いや、このご時世にこれだけのセールスが容易く可能であるこの国のファンは天晴れというしかないですね。素晴らしいです。参加出来ない自分が悔しい。回りくどい言い方に聞こえます?

てなわけで、さしあたっての彼の新しめの作品を聴いています。リリースは今年の早々に出たのですが録音自体は案外古いんですね。この作品の後、夏にリリースされた同メンバーの5曲入りの東京でのライブ盤『Tokyo Day Trip』(Nonesuch)が、ライブ盤好きの血が騒ぐということもあるのですが、なんとも好い感じでかなり繰り返し聴きました。ライブに比較するとこのアルバムは大人の雰囲気で迫っており、一番最初に聴いた印象としては語弊があるかもしれませんが地味にも感じられました。このダンディズムに平伏した愚耳が言うことですのであまり真に受けてもらっても困るのですが。

かといって、この演奏が退屈なものであるとは到底言える筈もなく静かなるスリリングさもしっかりと有しています。メセニーのギター・エフェクトが極力少なくシンプルにセットされていて、派手さの少ないサウンド構成によりそのような感想が出てしまったのでしょうか。また立ち位置がフュージョンではなくジャズであるので、過去のコンテンポラリーなサウンドに慣らされている当方にはそれらの演奏が完全に体の中に沁み込んでいるため、今さらながらパットの演るジャズに対して免疫が出来ていないような気もします。しかしながらどのようなスタイルで演奏しても紛れもなく彼の音であり、ギター・サウンドのみに関して云えば印象が全く変わらないのはある意味凄いことだと思いました。

クリスチャン・マクブライドとアントニオ・サンチェスという強力なリズムの布陣なのでアグレッシブな演奏を期待するのですが、アルバム・コンセプトからかワイルドなサウンドというよりも、透明感のある澄んだ音に深遠なベースとスコーンと響くスネアに細かく刻まれるシンバルの音が印象的でした。エレキにしろアコギにしろパットのふくよかなギターが良く唱っており瑞々しさを含んだプレイが気持ちよく届きます。

しかし・・・、長いことジャズを聴くのを休んでいたら彼の参加する知らないアルバムの多いこと多いこと。この時点で追っかけようにも萎えるほどのリリース量で、道のりは遠いと云うか険しいと云うか諦めた方がいいと云うか。

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  1. 2008/12/16(火) 23:52:31|
  2. Guitar
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#754 World Passion/Tigran Hamasyan (Nocturne-CD)

Tigran Hamasyan - World Passion

1.World Passion
2.What Does Your Heart Want
3.These Houses
4.Part 1 : The Fruit of the Truth
5.Part 2 : Eternity
6.The Rain is Coming
7.Mother's Lament
8.Frosen Feet
9.What is This Thing Called Love
10.Native Land

Tigran Hamasyan (p,el-p) Rouben Harutyunyan (duduk,zuma)
Ben Wendel (ss,ts) Francois Moutin (b) Ari Hoenig (ds)

Rec-2004



エスニック・テイストを楽しめるジャズと云えば、この人もその要素をタップリと保持しています。アルメニアのピアニスト、ティグラン・ハマシアンのデビュー作。彼のセカンド・アルバム『New Era』(Nocturne)が雑誌のピアノ・トリオ特集の記事で取り上げられており、この近作も当方にとって未知の国であるアルメニアのイメージを湧かせるに余りある雰囲気を醸した作品でしたが、カルテット+民俗楽器で演奏されたこのアルバムも同様にそのカラーを色濃く感じさせてくれます。ちなみに雑誌ではティグラン・ハマシャンとの表記になっていて多分そちらの方が正しいのではないかと思いますが、如何せんカタカナにすること自体に無理があるのでどちらが近いのかは判りません。

彼が来日しているのかどうかは知らないのですが有難いことにYouTubeには沢山の演奏がアップされていて、是非生で観てみたいアーティストである彼の演奏の片鱗を窺うことが出来るのは当方にとってとても嬉しいことです。この作品のリリース時は確か16歳くらいだと思いましたが、現在でも日本で云うところの成人したくらいの年齢なんですねぇ。若いことは承知していたのですが、映像を見ているとその華奢な体つきにビックリしてしまいました。背丈も随分小さく見えるのですがどのくらいなのかはよく判りません。この映像なんかだとステージに出てくるリズム陣との比較からして、日本人並みに華奢に感じるのですが実のところはどうなのでしょうね。でも演奏ではそんなことは微塵も感じさせずパワフルさをみせつけるのですから堪らないものがあります。

個性的なメロディが耳に憑いて離れないのは彼の全ての作品から感じるのですが、このアルバムは特にサックス奏者を置くことによってメロディが強調されたことにより、さらにその印象を強くさせています。さらに強力なリズム陣を迎え入れているので演奏のメリハリがしっかりと付いており緩さやダレがありません。徹底的に自分の世界に拘ることにより特徴のあるサウンドが生み出されて独自の世界を築くことに成功しています。曲によって加えられたdudukとzumaと云う民俗楽器が曲調からなのか違和感なくマッチしており、パンチの効いた香辛料のような働きをしているような気になります。

アルメニアの隣国のトルコに行ったことはあるのですが、体験した範囲で云えば現地のテレビやラジオでかかっていた音楽に曖昧ながらも共通点のようなものを見出す自分がいます。ただし両国は歴史的な問題で対立関係にあるそうで、当事者からすれば一緒に語られるのは困ることなのかも知れません。

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  1. 2008/12/15(月) 23:46:17|
  2. Piano
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#753 Sketch of Tel Aviv/Third World Love (Small Records-CD)

Third World Love - Sketch of Tel Aviv

1.A Touch of Tahini (Tsafdina)
2.Sketch of Tel Aviv
3.Suite African #2
4.Hareshut
5.S'ai N'wai
6.zhorizon (Kav Haofek)
7.Suzanna (A.K.A. Rock Ballad)
8.Three Four (Not a Jazz Tune)

-Third World Love-

Avishai Cohen (tp,effects) Yonatan Avishai (p,el-p→only6,vo→only4)
Omer Avital (b,oud→only4) Daniel Freedman (ds,perc)

-Guest-

Eviatar Banai (vo→only6)

Rec-2005



自分の場合は音楽で「サード・ワールド」と云えばレゲエ関連のグループをすぐに思い出すのですが、「サード・ワールド・ラヴ」と云うグループがジャズのバンドにありました。イスラエルのアーティストの創り出すサウンドはエスニックなジャズと云っていいのでしょうかとても興味深い演奏で、しかも自分のツボをとても刺激してくるので病みつきになってしまいます。そういう意味では正統派のジャズとはひと味もふた味も違いますが、彼らのプレイを聴いていると首を突っ込まずにはいられない衝動に駆り立てられてしまいます。

イスラエルのベーシストと云えばアヴィシャイ・コーエン(この作品のトランぺッターではない同名異人のベーシスト)をここのところよく聴いていました。そして彼と双璧と云えるベーシストがオマー・アヴィタル。オマー・アヴィタルのアルバムを探っていたところ、彼が加わっていたのがこのグループでした。彼らのHPを見てみると今まで4枚のアルバムをリリースしているようで、このアルバムと近作である『New Blues』(Anzic)は容易に手に入れることが出来るようです。最新作も情景が見えるかのような香しいニオイを放ったよいアルバムでした。Anzicというレーベルの歴史や成り立ちはよく解らないのですがイスラエルのミュージシャン御用達のようなレーベルですね。自分のような人間はこのレーベルをDigするとかなり楽しめそうな気がします。

その名も「スケッチ・オブ・テルアビブ」と命名された作品ですが、やはり前述のようにかの地の香り高いジャズが全編に展開されます。優れた演奏はもちろんのことなのですが、先に立つのは雰囲気の素晴らしさに心を奪われます。トランぺッターのアヴィシャイ・コーエンのプレイは大らかで、曲によってはエレクトリック・エフェクトを使用しており雰囲気満点です。彼のデビュー・アルバムは衝撃的でしたが、以降にリリースされた2作目、3作目と、徐々に自分の好みから離れつつあったのでこの作品のプレイがかなりストレートに訴えてくる内容だったのが嬉しいところです。そしてピアニストのヨナタン・アヴィシャイのエキゾチックなプレイも盛り上げてくれます。ベーシストのアヴィシャイ・コーエンのアルバム『Gently Disturbed』(Razdaz)でのシャイ・マエストロ(Shai Maestro)にしろ、イスラエルのピアニストはグッとくる旋律を紡ぎ出してくれて堪らない魅力を感じさせてくれます。オマー・アヴィタルのベースはムチムチとした質感が刺激的で、ドラムのダニエル・フリードマンとともに演奏を躍動させるに余りある仕事ぶりです。民俗的なテイストをより強調させたような4曲目にはオマー・アヴィタルのかの地の弦楽器らしきものの演奏やヨナタン・アヴィシャイのヴォーカルが披露されていたり、6曲目にはゲストのヴォーカルが導入されていて異国情緒タップリに仕上がっています。

純粋なジャズを好む向きにはかなり異端な扱いを受けそうな気もしますが、この世界観はとても惹かれるものがあり、また媚薬のような常習性を伴っていて当方にとっては抜け出し難いものがあります。

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  1. 2008/12/14(日) 23:52:39|
  2. Combo
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#752 Adjust/Gerald Cleaver (Fresh Sound New Talent-CD)

Gerald Cleaver - Adjust

1.Hover
2.The Wheat and the Tares
3.Force of Habit
4.Way Truth Life
5.Chinese Radio
6.Sight
7.Veil

Gerald Cleaver (ds) Andrew Bishop (cl,ss,ts) Craig Taborn (org,key)
Ben Monder (g) Mat Maneri (viola) Reid Anderson (b,el-b)

Rec-2000



間違いなく今までのジャズでは味わえなかった新しい何かを感じさせるものがあるということをこのCDのレビューからから読み取り、引っ張る前から期待をしていました。ドラマーのジェラルド・クリーヴァーの名前はその記事によって初めて知ったのですが、メンバーにクレイグ・テイボーンやバッド・プラスのリード・アンダーソンの名前があったのでさらに期待をしていました。レコーディングから既に8年が経っていますが、この辺りのジャズをリアル・タイムで体験出来ていない当方にとっては全て新譜と同様であるので、また新たなアーティストに触れることが出来ると云う嬉しさが増幅して押し寄せてきます。

そして期待通りの指向性に思わず唸ってしまいます。アプローチとしてはこのようなタイプのものは今ではそれほど珍しくはないと思うのですが、やはり節々に斬新さは感じさせてくれて一聴してただならぬ雰囲気に息をのみます。先ず耳に飛び込んで来るのはジャズらしからぬギターに掻きむしられるヴィオラ、そして実に攻撃的で爆発力のある、これまたジャズを連想させないドラムが凄いことになっています。怪しげにコード・チェンジするグニャグニャしたサウンドと予測不可能な旋律にシリアスに暴発する面々。混沌とした渦の中に投げ込まれるような感覚に支配されます。

ジェラルド・クリーヴァーのドラムはゴツくて音もデカく最高です。重々しく破壊的なドラミングが不規則なテンポとともに突進してきます。そこへベン・モンダーのブチ切れたギターがハウリングとともに唸り声をあげ、マット・マネリの常識を覆すヴィオラがモンダーのギターとともに暴れ回っています。怪しげな世界を演出するのはクレイグ・テイボーンも同様です。彼が現在のような演奏スタイルになる前はフリー・ジャズ畑のプレイヤーだったそうで、その足跡を感じさせる柔軟なプレイをこの作品でも魅せてくれます。アンドリュー・ビショップと云うサックス・プレイヤーは多分初めて聴いたと思うのですが、変幻自在のサウンドに容易く対応する力量はなかなかのものです。リード・アンダーソンのベースはこの作品ではエレベのほうが存在感があるように感じました。トータル・サウンドからしてもインパクトは抜群ですが、主役のクリーヴァーの爆発するドラムは2曲目や5曲目辺りが最高潮で、一発一発の強烈な打撃をスネアにおみまいするが如き豪快さです。

個人的に大好きなフレッシュ・サウンド・ニュー・タレント(FSNT)と云うレーベルですが、ジャズにサムシング・ニューを加味した作品が沢山リリースされているので、どんどんと探りを入れたくなる欲求が高くなるレーベルです。モダン・ジャズでもフリー・ジャズでもフュージョンでもないオルタナティブなサウンドが刺激的で、こういう濃厚な音楽を聴くと血流が早くなってしまいます。その分聴く人を選ぶタイプのジャズと云うことになろうかと思うのですが。

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  1. 2008/12/13(土) 19:22:25|
  2. Drums
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#751 A World of Piano !/Phineas Newborn Jr. (Contemporary)

Phineas Newborn Jr. - A world of Piano !

A
1.Cheryl
2.Manteca
3.Lush Life
4.Dahoud

B
1.Oleo
2.Juicy Lucy
3.For Carl
4.Cabu

Phineas Newborn Jr. (p) Paul Chambers (b→onlySide-A)
Sam Jones (b→onlySide-B) Philly Joe Jones (ds→onlySide-A)
Louis Hayes (ds→onlySide-B)

Rec-1961



実に久しぶりにレコードを聴いています。たまたま手に取ったレコードはピアノで雄弁に語るフィニアス・ニューボーン・ジュニアのものでした。彼の圧倒的なテクニックを楽しめる作品は沢山あって、個人的には初期の大傑作であるアトランティック・レーベルの『Here is Phinias』が一番凄いことになっていると思うのですが、これも負けず劣らずに素晴らしい出来です。

この作品は二つのセットからなっていて、A面はポール・チェンバースとフィリー・ジョーのリズム、B面はサム・ジョーンズとルイ・ヘイズのリズムで、両者の録音には一ヶ月ほどの開きがありA面は61年10月でB面は61年11月のレコーディングになります。どちらのセットも甲乙つけ難いのですが、リズム陣の個人的な好みから僅かにA面に惹かれている自分がいます。ただし差異をつけるような内容ではなくどちらも快調で、フィニアスの強烈な早弾きにキレのよいリズムが対峙している極上の演奏です。

何度聴いても彼のピアノはため息が出るほど眩く、指がどんなことになっているのか興味津々になってしまいます。彼のオリジナルは一曲もなく比較的良く耳にするナンバーが並んでいますが、非常にこなれていて正に自分のものとしており、またオリジナリティーも存分に発揮された極上のサウンドに大変満足します。A面ではディジーの看板曲であるA-2の「マンテカ」がスウィング感溢れる一品に仕上がっており、チェンバースのベースとフィリー・ジョーのドラムが活き活きと飛び跳ねていて最高のグルーヴを得られます。A-3のバラードなどは過度に演出するわけではないのですが、曲の髄を充分に引き出しており美しい演奏です。B面ではB-1の超速のイントロが強烈な「オレオ」がインパクト抜群です。リロイ・ヴィネガー作のB-3のワルツも印象的です。

手持ちが再発の国内盤とは云えこの時期の録音としては音質も抜群で、驚異的なパフォーマンスがクリアに表現され、輪郭のクッキリしたベースとドラムが高揚感を誘発します。優れた演奏が最上の音質により輪をかけて素晴らしく聴こえ、古びた貧相な自分の装置でもなかなかに満足出来る、忘れた頃に手に取りたくなる秀作だと思います。

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  1. 2008/12/12(金) 23:59:56|
  2. Piano
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#750 The Heart of Things - Live in Paris/John McLaughlin (Verve-CD)

John McLaughlin - The Heart of Things

1.Seven Sisters
2.Mother Tongues
3.Fallen Angels
4.The Divide
5.Tony
6.Acid Jazz

John McLaughlin (el-g) Gary Thomas (ts,ss) Otmaro Ruiz (key)
Matthew Garrison (el-b) Dennis Chambers (ds) Victor Williams (perc)

Rec-1998



ここのところしつこいくらいにアトミックのネタで引っ張っていましたが、ちょっと趣旨を変えてこのようなアルバムを聴いています。実はアトミックが都内でライブを演った先週の土日(6日・7日)にかけて、もう一つ観たかったライブが重なっていたのです。さすがにこちらの方は断念したのですが、少し未練もあったりして往生際の悪いことこの上ない状態です。

ジャズというよりもフュージョンですが、ギタリストのディーン・ブラウンが4日~7日にライブを演っていました。それはギター・トリオだったのですが、サイドにベースのウィル・リーとドラムのデニス・チェンバースという個人的には垂涎のメンバーが名を連ねていました。特にファンク・マスター、デニス・チェンバースは約20年前にジョン・スコフィールドと来日したときの人見記念講堂でのステージを観ているのですが、その存在感と圧倒的なパワーによって失禁するくらいに激しく興奮し、それ以来その勇姿が目に焼き付いて離れないという強烈な体験をしています。その時のステージがジョン・スコフィールド名義の『Pick Hits Live』(Gramavision)というCDになっていて、全ての音源を抑えたコンプリート盤まで後追いでリリースされたりしています。その時にも演奏されていた長尺のドラム・ソロがある"The Nag"という曲があるのですが、それとほぼ同時期のものと思われるデニ・チェンのドラム・ソロの2分程度の極僅かな断片がYouTubeにアップされていました。思わず懐かしく見入ってしまいましたよ。

その後に環境の変化でしばらくジャズやフュージョンからは遠ざかっていたので個人的には彼の変遷はプッツリと途切れていたのですが、最近になってそれ以降の音源を取り寄せています。例えばスティーブ・カーンのところでのものとか、このマクラフリンとかを今になってヒイヒイ言いながら聴いています。やっぱりカッコいいですね。

東京で観たジョン・スコのライブから約11年後のここでのデニ・チェンも変わらずにパワフルでした。これはマクラフリンのパリでのライブ盤ですが、この頃はゲイリー・トーマスが加わっているんですね。楽器からもメンバーからもどちらかと云えばコンテンポラリーな内容であることが判りますが、決して甘さをみせずにスピード感を伴ったスパイスの効いた演奏で嬉しくなります。マクラフリンの早弾きとゲイリー・トーマスのサックスが触発し合いテンションの高さがみなぎっています。それとこういうサウンドにはやっぱりエレベがマッチしていますね。ギター張りの演奏で応戦していて、まさにベース・ギターと云った演奏です。デニ・チェンのドラムもパワフルで重々しく、お得意の強烈なソロは5曲目で聴くことが出来ます。

マクラフリンはこのグループ以前にジョーイ・デフランセスコとオルガン・トリオを演っておりそこでもやはりデニ・チェンを起用しているのですが、おそらくその頃のステージでの映像と思われるデニ・チェンのドラム・ソロがYouTubeにアップされていました。コレまた粘っこいビートで圧倒されてしまいます。

ドラム視点で云々したついでに最後にもう一つ。デニ・チェンとは関係ないけど、ちょっと笑ってしまったオマケのドラム・ソロ。彼が16歳ってホント?終盤はほとんど曲芸の域です。絶句。

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  1. 2008/12/11(木) 23:58:09|
  2. Guitar
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#749 Concentric/John Butcher & Paal Nilssen-Love (Clean Feed-CD)

John Butcher & Paal Nilssen-Love

1.Pipestone
2.Mono Lake
3.Point Lobos
4.The Stob

John Butcher (ts,ss) Paal Nilssen-Love (ds,perc)

Rec-2001



アトミック関連がまだ続きます。最近はポール・ニルセン・ラヴ名義の作品も多数取り寄せて聴いています。以前にもケン・ヴァンダーマークと演った『4 Corners』(Clean Feed)を取り上げたことがあります。あのシンプルなドラム・セットで、どうしてあのような強烈なパフォーマンスが出来するのか不思議だったのですが、実際に目の当たりにすると非常にスピーディなドラム・ワークに釘付けになっていました。パワフルなサウンドに関心がいきがちながらも、即興性溢れるテンポの変化が大きい楽曲での呼応の仕方とかも興味深く目に焼き付けていました。

そんな彼の沢山のアルバムの中から、昨日の続きのようになりますがテナー・サックスとの即興デュオの作品を聴いています。デュオはフリーでは珍しいセットという訳ではないようで、互いの激しい掛け合いの演奏も期待出来ますし、色々とフリーのアルバムを探っていると比較的目にする組み合わせのようです。このアルバムは約7年前のわりと古い録音ですがリリースは2年ほど前のものです。ニルセン・ラヴのデュオものとしては、テナーやアルトやソプラノ等の各種サックスをプレイしトランペットまで操るベテラン・プレイヤーのジョー・マクフィーとの作品『Tomorrow Came Today』(Smalltown Superjazzz)が最近リリースさればかりであり、こちらも呪術的で濃厚で熱い演奏が展開されていて楽しませてくれました。

昨日聴いていたホーコン・コーンスタ&ホーヴァル・ヴィークのデュオとは180度真逆の攻撃的なサウンドが強烈です。ジョン・ブッチャーは初めて接したアーティストですが、当方のようなフリー・ジャズの入り口を右往左往している若輩者には七変化を魅せてくれるサキソフォニストに感じられ、サックスの新たな可能性を発見させてくれるアーティストです。それらがどういう奏法なのか理論に対しては全く知識がありませんが、想像を掻き立てられる不思議なサウンドが満載で実際にこの目で見てみたい衝動に駆られます。猛烈なブロウもあれば細かなタンギングでリズムを創ったりもしており多彩な表現です。ホットなブッチャーのフリー・インプロを鼓舞するかのように、ここでのニルセン・ラヴの緩急の付いたドラムも炸裂しまくっていてなかなか過激です。ハードなリズムはもちろん、効果的なパーカッションにも目を見張るものがあります。

最後に余談を。最近はCDのケースが特に多様化してきてプラケース派の当方としてはなんだか複雑な気分です。最近のジャズCDを山のように漁ってきたおかげで、ケースに於けるレーベルごとの特色がだんだんと掴めてきました。例えばMaxjazzやPirouetならデジパック、Nocturneならさらに薄めのデジパック、ECMならプラケースにカバー(箱)付き、クリスクロスはプラケース等々。そして極私的インパクト大のレーベルは、ドイツのWinter & Winterの堅牢な化粧段ボールで作成されたケースと、ポルトガルの会社のこのClean Feedというフリー系のアルバムを多数抱えているレーベル。ご存知の方も多いでしょうがClean Feedは4ッ折に畳まれたボール紙にジャケットの部分になるデザインのシールが貼付されており、封にはなんと磁石が使われています。全てがこの体裁でもないのですがここのところはこのタイプのものが多いような感じです。正直言えば不良品率の高い輸入盤では、デジパックや紙ジャケやこういう特殊なものを含めてあんまり好きではないのですよ。レーベル側のコストの面では多大な貢献をしているような感じはしますが、出来れば壊れても代替の汎用ケースが利用出来る通常のプラケースにしてもらいたいなぁと思うのです。デジパックのCDトレイの爪折れは交換がどうにもならないので何度もウンザリさせられているのです。以上、愚痴でした。

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  1. 2008/12/10(水) 21:09:08|
  2. Tenor Sax
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#748 Eight Tunes We Like/Hakon Kornstad & Havard Wiik (Moserobie-CD)

Hakon Kornstad & Havard Wiik

1.Touching
2.Jesus Maria
3.Birth
4.Calls
5.Op. 7 - Sehr Langsam
6.The Peacocks
7.Humpty Dumpty
8.Autumn in New York

Hakon Kornstad (ts) Havard Wiik (p)

Rec-2003



何やらアトミックを二連チャンで楽しんだ人の感想をウェブで拝見していると最終日の盛り上がりは凄かったそうで、一旦落ち着いてきた気持ちが再び煽られ、悔しいのと羨ましいのとでコレばっかりはどうにもならずハンカチをしがんでしまいます。当然盛況になると予想はしていたものの経験出来なかった人間としては連なる文字列にツッコミを入れる勢いで、想像の域を出ない現実に無念さが募ります。

そんな感じで加勢された挙げ句にアトミック関連をシツコク聴いています。今日はピアノのホーヴァル・ヴィークとテナーのホーコン・コーンスタのデュオ・アルバムです。私にとって当初はこのスペルがなんと発音するのか全く理解出来ず、本当に読みにくい名前でした。厳密には彼らの名前の表記は、H(a)konの(a)の上に小さな○が付き、同様にH(a)vardの(a)の上にも小さな○が付きます。学のない人間なのでこれで読みが「オ」に近い音になるようだと浅い解釈で結論づけてしまったのですが本当のところはどうなんでしょう。機種依存文字は文字化けしそうなので無理には入れないようにしています。

このデュオでは2枚の作品を吹き込んでいるようで、このアルバムはこのペアでの最初の作品のようです。ちなみにセカンドは『The Bad and the Beautiful』(Moserobie)と云うアルバムで、その時のプロモーションで来日も実現しているようです。やはりピットインで今から約1年前に公演が行われていたようですので、アトミック周辺のアーティストの来日は知っている方にはもうお馴染みと云うことになるのでしょう。そしてコーンスタはアトミックのベースのインゲブリクト・ホーケル・フラーテンともデュオ・アルバム『Elise』(Compunctio)をリリースしています。ニルセン・ラヴとのデュオ『Schlinger』(Smalltown Superjazzz)や彼を含めたトリオの作品等もあってアトミックとの関連はとても深いです。それもそのはずで当方は全く知らなかったのですが、同郷云々以前にホーコン・コーンスタは初期のアトミックのメンバーだったそうです。現在はWibuteeと云うグループで活動しているようで、なんかもうややこしくて訳が分かりません。さすがに彼らを最近知ったばかりの自分にはまだまだ未知のことばかりで、徐々に全貌を掴んで行きたいとは考えていますが、各メンバーがあちこちのグループで顔を出すので体系的に把握していかないとすぐ混乱してしまいます。

このアルバムはテナーとピアノのデュオですが、思いのほかしっかりと構成された作品のように感じました。即興性の強さを以て各自が我を見せつけ暴走するようなタイプのジャズではなく、互いの呼吸を計りながら演奏を繰り出すような慎重姿勢のようなものを感じました。ジックリと音を選りすぐって醸される雰囲気が高尚さを漂わせます。ただ単純な回路で出来ている当方の神経には直情的な演奏の方が入り込み易いと云うことがあり、アトミックでのアプローチをも踏襲されたジャズであることは理解出来るのですが、個人的にはあまりシックリこないというのが正直なところです。この作品のコンセプトから、なんとなくクラシックや現代音楽辺りの臭いを感じ取ってしまい、そういう要素が脳裏をよぎってしまうことによって素直に音楽に入り込めないのが一番の問題なのかもしれません。それとこの作品を聴くことによって、自分にとってのベースとドラムの重要性を如実に理解させられるのも何とも困った現象です。

何でもかんでも手放しに喜べればこれほど幸せなこともないのですが、この音楽は自分にとってはなかなか手強く、関連したアーティストの作品とは云えども一筋縄ではいかないことを理解したのが今回の収穫です。何度も聴いてみたけれどハードルの高さを感じさせられ、こういうジャズを理解出来る能力を持ちたいという憧れのような心境にもなります。単気筒構造の自分にとってはまず無理なことなのは解っているのですが。

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  1. 2008/12/09(火) 21:37:30|
  2. Tenor Sax
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#747 Painbody/Magnus Broo Quartet (Moserobie-CD)

Magnus Broo - Painbody

1.Africa
2.Painbody
3.Das Boot
4.Vera Li
5.Second Wind
6.Clockwise
7.Koba
8.Smolk
9.Don Don

Magnus Broo (tp) Torbjorn Gulz (p) Mattias Welin (el-b) Jonas Holgersson (ds)

Rec-2007



ライブを観て玄翁で殴られるような衝撃を受けると頭の中でグルグルとその模様が繰り返し出現してきます。なんというか、実験の為にラットやマウスに何らかの劇薬を注入すると結果的に反復する行動をとるような、単純なオッサンはそんな状態に陥っています。なので手持ちのアトミック関連を反芻するが如く摂取し続けています。

とにかく自分の観たステージでの極私的白眉は"Painbody"でした。それはもう鳥肌モノの演奏で現場を目撃出来て良かったなぁと、ジワジワと実感してきました。"Painbody"はアトミック名義の『Retrograde』(Jazzland)にもスタジオ録音とシアトル・ライブの2ヴァージョンが収録されていましたが、ほぼ同時期にリリースされているマグヌス・ブルー名義のこのアルバムにも入っており、しかもアルバムの冠になっています。個人的にはメンバーのソロやプロジェクトものより、アトミックと云う集合体のプレイに魅力を感じていることは間違いがないのですが、この際改めておさらいしてみようと云う気になってきました。

当然受ける印象は違ってきます。アトミックではクインテットですがココではカルテットです。しかもベーシストはエレベを使用しています。演奏はアトミックよりも軽快且つ明解であるのですがそこにヌルさを微塵も感じさせない主張するジャズはさすがだと言わざるを得ません。従ってエレベが起用されることによる違和感も出ているとは全く思えません。ワン・ホーンということもあり、ブルーのパワフルなトランペットがこの作品でも全開で、独特な色合いの曲が連なっています。タイトル曲の2曲目はもちろんですが、他にもメロディが印象的な3曲目やトルビョルン・グルツのピアノでのシリアスなリフが最高な6曲目なども最高です。〆の9曲目もカッコいい。4曲目はブルーの抜けたピアノ・トリオでの演奏で、続く5曲目の序章となるような役割を担っていると思います。

余談ですが、彼の名前は少し前まで「マグナス・ブロー」だと思っていました。ただチケットやチラシの表記と、ライブでのメンバー紹介の発音で「マグヌス・ブルー」がやはり本来の発音に近いということが判りました。外人さんの名前のカタカナ表記は本当に厄介です。とくにアトミックの連中の母国ノルウェーやポーランド辺りのミュージシャンはなんと読んでいいのか判らない表記ばかりで、日本語読みが定着していないミュージシャンに関してはカタカナで書くのを躊躇させます。

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  1. 2008/12/08(月) 22:43:51|
  2. Trumpet
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#746 Happy New Ears !/Atomic (Jazzland-CD)

Atomic - Happy New Ears ! (Jazzland-CD)

1.Roma
2.St Lureplass
3.Cosmatesco
4.Two Boxes Left
5.Soundtrack
6.Poor Denmark
7.ABC 101 B
8.Sooner or Later
9.Crux
10.Closing Stages

-Atomic-

Fredrik Ljungkvist (sax,cl) Magnus Broo (tp) Havard Wiik (p)
Ingebrigt Haker Flaten (b) Paal Nilsen-Love (ds)

Rec-2005



なんというタイミングか、3枚組のライヴ・アルバム『The Bikini Tapes』(Jazzland)を手に入れ、その放出される圧倒的なエネルギーを聴いた興奮で来日したらば何を犠牲にしても絶対観に行くとログで宣言したのがわずか一ヶ月半ほど前。その時は全く来日の予定があるとは知らずにただただ観たくてしょうがない欲求に駆られていたのですが、まさか年内にその希望が叶うとは!あまり強運であるとは思えない自分ですが、こればかりは何か良いものに憑かれているのではと小躍りしましたよ。なるほど、どおりで『Retrograde』(Jazzland)の国内仕様盤が発売された訳ですね。当然の如くこんなに恵まれた機会をスルー出来る訳もなく、年末の慌ただしい最中ながらも嬉々としてお出かけしてしまいます。有難いことに週末のライブであり願わくば2日連続で体験したかったのですが、田舎者のハンディでさすがに2泊の外泊は難しく土曜日のステージのみで断念しました。今回の来日では初めて大阪、京都、名古屋でも演奏しているようでそのトリがピット・インでの2ステージとなったようです。個人的にはスタジオ録音のものよりもライヴ・パフォーマンスの激しさにノック・アウトされているので期待値は尋常ではありません。鼻血が吹き出るくらいの興奮を彼等には要求してしまいます。

と、ココまで書いて土曜日に家を出ました。そして昨晩アトミックを目に焼き付けてきました。一泊して夕方に帰宅、余韻に浸りながら悶々としております。目を閉じると猛烈な興奮が甦りとても有意義な体験をしたと改めて感じています。ライブが終わると常に思うのですが、今晩にもステージがあるだけに今回は特に後ろ髪を引かれる思いでした。都内に住んでいれば確実に二連チャンを決行しています。さすがに終電を気にしながらは難しく、しかも年末ですから今回ばかりはさすがに無茶は出来ませんでした。

いつ以来か忘れてしまうくらいに久しぶりのピットインに何とか迷わず到着。客席はごった返していました。サイドの椅子はもちろん後方も鈴なりの大盛況です。そして実際に鼻血は吹きませんが、脳内では完全に出血していました。いやぁ、やっぱり彼等の演奏は最高でした。近作中心の選曲でしたが手に汗握るシリアスな展開と爆発するフリー・インプロにヤラれっぱなしでした。そしてマグヌス・ブルー作の"Painbody"で最高潮に。めまぐるしく変わる地鳴りを伴ったニルセン・ラヴの強靭且つ柔軟なテンポと血管が切れるかのようなユンクヴィストとブルーの咆哮、ホーケル・フラーテンの鞭打つベースにホーヴァル・ヴィークの強打されるピアノが渾然一体となった演奏はえも言われぬ快感を誘発します。今日取り上げているアルバムからも6曲目や7曲目、9曲目など複数プレイされていました。願わくば"Boom Boom"を生で演奏してほしかったのですが、昔の曲は演らないという彼等の言葉をどこかで目にしていたので残念ですが最初から諦めていたのです。やはり聴くことは叶いませんでしたが金輪際演奏する機会はないのでしょうかね。

それと久しぶりに行ったライブ・ハウスはジャズ・クラブと違って本当にいいですね。いつも、さぁこれからという時に終了してしまうジャズ・クラブは本当にアッという間で、徐々に暖気していきたい当方には名残惜しさで不完全燃焼で終わるパターンが続いてしまいます。今回のピットインは約二時間半の濃密なステージで失神するに余りある贅沢な空間でした。今ではすっかり止めてしまった煙草の紫煙まみれになるのも何時振りか判らないぐらいですが、ある種の懐かしさを感じてしまうくらいに全てを肯定してしまいます。来日するアーティストをライブ・ハウスで観れる比率がもっと高ければ有難いしとても嬉しいことなのに、と今回の件で改めて思ってしまいました。

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  1. 2008/12/07(日) 23:26:00|
  2. Combo
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#745 Big Picture/Trio M (cryptogramophone-CD)

Trio M

1.brainFire and bugLight
2.For Bradford
3.Naive Art
4.Big Picture
5.Modern Pine
6.Secrets to Tell You
7.FreeKonomics

-Trio M-

Myra Melford (p) Mark Dresser (b) Matt Wilson (ds)

Rec-2006



これ迄にどのくらいの枚数のCDを買ったのか想像もつきません。自分は音楽に関しては何でも屋であるのでジャズはもちろん、ロックやポップス、ラップやテクノやソウル、日本のポップスやフォーク、さらにはアジアンポップスや中近東のワールド・ミュージックまで節操もなく買い倒してきました。CD以外にもジャズの中古や新譜のレコードや、ヒップホップやテクノ等のいわゆる12インチ・シングルなどのビニールまで。恐らく万に近い数千枚は買っていますが置き場所の問題と度重なった引っ越しの為にその大半もその都度処分してきました。今では手に入らず後悔するようなモノも数えきれないくらい処分したので今更聴きたくなっても後の祭りです。先日まで大騒動だったタイへ赴任中はジャズなど聴こうと思っても聴ける環境ではなかったので、当然タイ・ポップスや向こうでの演歌のような位置づけである、モーラムやルークトゥンまでに手を出すと云う際限のなさです。実際そのほうがローカル・スタッフとの関係も築けたので音楽好きにとっては一石二鳥だったりします。そんな過去の変遷が少しとは云え未だに手元に残っていたりしてたまに眺めたりしています。

そんな感じてひたすらCDやレコードを現在進行形で購入し続けていますが、特に輸入盤を買ってみて気づいた異変は数限りなくあります。もう驚くこともなくなりましたが一番多いのはケースの破損や爪折れで、あまりに頻繁におきるので怒りもおきなくなってきました。それとともに盤にキズが付いていることも稀にありますが、それも再生出来れば問題なしというスタンスまで悟りをひらけるような仏のオッサンと今では化しています。それとよく判らないのは新譜のシュリンクを開けてみてジャケとCDに指紋がベットリと付いていることがたまにあったりします。うがって考えれば何となく理由が判りますし、「そんな時には丁寧に扱えよ!」と怒鳴りたくもなりますが流石に向こうの連中はそこらへんはガサツに出来ているのかも知れません。ありそうで一度もなかったのは中身違い。中古レコードの中身違いは数回ありましたが新譜のCDに関しては今のところ経験がありません。そんな中で一番ビックリしたのは「コクトー・ツインズ」(Cocteau Twins)と云うUKのグループのマキシを買った時に中身のCDがただの透明な円盤だったこと。当然かかるわけもなく唖然としたことを思い出しました。そして前置きが長かったですが今日取り上げるこの盤でまたまた初めての経験をしてしまいました。

先日引っ張ってみたこのアルバムはフリー系の女流ピアニスト、マイラ・メルフォードを含めたメンバー3人の頭文字をグループ名にしたピアノ・トリオです。彼女は藤井郷子や橋本一子等の日本の女性ピアニストとの共演もあるようですね。でこのCD、中身が2枚入っていました。全く同じもの2枚です。以前「スレイド」(Slade)と云うUKのロック・バンドのCDを買った時には同じジャケが2枚入っていたことがあります。いや、ジャケのダブりは数回ありましたが、それらの詳細までは思い出せません。ただ今回のようにトレイにCDが2枚重なって収められていたことは初めてです。得なのでしょうが嬉しくも何ともありません。もう一枚が違う中身であれば少しは得したような気分になるかもしれませんが。

本題に入るまでウダウダと御託を並べてしまいました。マイラ・メルフォードの作品はこれより先にBe Beard名義の『The Image of Your Body』(Cryptogramophone)を聴いています。この作品にはベトナム系トランぺッターのクォン・ヴーやベースのツトム・タケイシなどの先鋭的なアプローチを信条とする大好きなプレイヤーが名を連ねていたので購入したのですが、アグレッシヴに攻めるような曲ではなかったので個人的にはまだ良さを見出せずに苦戦していました。では目先を変えてピアノ・トリオではどうなのかを確かめてみたくなったのです。パワフルなベーシスト、マーク・ドレッサーも参加していることに期待が持てます。

通して聴いてみて、エレクトリックな処理で表現された前述の作品よりはアコースティックなこのアルバムの方が本質が見え易いような気はしました。ただ、女性だからなのかスタイルなのか迫力の面では自分の描いていた演奏よりも少し物足りなく、ガンガン攻めるよりも実験色の強いタイプのアーティストなのかもしれないなぁ、と感じるようになってきました。まだ彼女のアルバムを2枚しか聴いていないので結論づけるわけにはいきませんが、エレクトリックにしろアコースティックにしろ向いている方向性が同一であるように感じています。エネルギーの爆発でドッとなだれ込むような演奏ではなく互いの駆け引きに重きを置いた演奏で、自分の好む解り易い直情的な演奏ではありませんでした。もちろん敬遠するようなものではなく、氷を溶かすように少し時間を掛けてこの演奏のやりとりが解るようになりたいという願望を持っています。シリアスな張りつめたテンションを早く理解出来るようなオッサンになりたいと課題を突き付ける作品でした。

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  1. 2008/12/06(土) 03:46:26|
  2. Combo
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#744 The Art of War/Ralph Peterson (Criss Cross Jazz-CD)

Ralph Peterson - Art of War

1.The Art of War
2.Iner Sanctum
3.Freight Train
4.All My Tomorrows
5.Apocalypse
6.A Choice Not Taken
7.Smoke Rings
8.Portrait of Jenny
9.Monief
10.Big Jimmy

Ralph Peterson (ds) Jeremy Pelt (tp,fl-h) Jimmy Greene (ts,ss)
Orrin Evans (p) Eric Revis (b)

Rec-2001



ココ十数年のジャズの流れを汲むべく貪欲に取り寄せては聴くことを繰り返しています。最近になって接するようになった1990年~2000年代のジャズですが、まだまだ爪の先にも及ばない程度の数の作品にしか触れていないことは自覚しているとは云え、それでもココ一年半ほどで500枚以上のCDを聴くことが出来ました。理解度の伴わない当方には絶対に少ない数の作品をジックリと聴き込む方が正しいジャズの楽しみかたであろうという自覚があるのですが、湯水のように生み出される新譜の数と、すぐに市場から消えていく余りにも短いサイクルのCDばかりという現実の狭間で、情けないことに加速度を増して手を出す自分をコントロールすることが難しくなってきました。今は勢いで暴走し続けていますが、いずれ脱線してしまわないか自分でも予測不可能な状態です。まぁ聴けるうちが華なので取り敢えずは本能の赴くままに行ってみようかと思っていますが。

そんな形で手に入れた作品の中から久々に正統派の2ホーン・クインテットを楽しんでいます。ストレート・アヘッドなプレイが清々しいジャズで、ラルフ・ピーターソンのハードなドラミングとともにグルーヴ感溢れるエネルギッシュなプレイを満喫出来ます。ピーターソンのオリジナルは6曲(1,3,4,6,7,9)で、8曲目以外はメンバーの作品で固められています。若々しく凛とした空気感を維持した辛口の気合いの入った演奏が素晴らしく、曲の交互で絶妙な緩急を付けていく構成で聴く側を盛り上げてくれるカッコ良さです。このラルフ・ピーターソンと云うドラマーは痛快無比なテクニックで聴き手を常に鼓舞してくれます。この人のタイコをオミマイされるとどうしても前のめりに傾斜する自分を抑えることが出来ません。全体的には比較的クールに執り回されるフロントのホーン陣のプレイとの対比によってさらにその感を強くします。その二管は自分にとってはお馴染みになったジェレミー・ペルトとジミー・グリーン。振り返れば新たに取り寄せたジャズ作品のなかで、ジェレミー・ペルトがトランペッターとして参加している比率が異常に高かったりします。好みのプレイヤーであるのでそれは当然なのですが、ちょっとバランス的にどうかとも思うようになってきました。ジミー・グリーンに関しては未だワン・ホーンでの作品を聴いたことがないのでコレは今後の課題です。刺々しさをさほど感じないペルトのマイルドな音色にグリーンの力強い擦れたテナーが良い味わいを加味しています。そしてパワフルさとエレガントさを同居させたオリン・エヴァンスのピアノと深く沈み込むエリック・レヴィスのベースがガッチリと脇を固めます。

曲が進むにつれてアグレッシヴさの増すピーターソンのドラムに悶絶必至の内容です。あまりの存在感にチビりそうになります。特に9曲目、10曲目のドラム・ソロは思わず笑えてきます。圧倒的なモノを目の当たりにすると当方の場合はアホの子のようにヘラヘラしてしまいます。悲しいかなこのアルバムのピーターソンで当方はアホの子になってしまいました。こういうのを生で観ることが出来ると失神するかもしれません。そのおこぼれを頂戴するためにこの後YouTubeで検索をしてみようと画策中です。

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  1. 2008/12/05(金) 23:33:14|
  2. Drums
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#743 Beat Reader/Vandermark 5 (Atavistic-CD)

Vandermark 5 - Beat Reader

1.Friction
2.New Acrylic
3.Any Given Number
4.Signposts
5.Speedplay
6.Compass Shatters Magnet
7.Further From the Truth
8.Desireless

-Vandermark 5-

Ken Vandermark (bs,cl) Dave Rempis (as,ts) Fred Lonberg-Holm (cello,electronics)
Kent Kessler (b) Tim Daisy (ds)

Rec-2006



ケン・ヴァンダーマークを知ったのはごく最近のことです。このブログのコメント欄でご教示下さったsheppさん有難うございます。とにかく現在進行形のフリー・ジャズを受け止めたいと云う一心で、試行錯誤しながらミュージシャンを覚え、作品を検索し、MP3を聴いてみて自分に入り込めそうなものから色々と試しています。

ヴァンダーマークのCDでわりと最近のもので入手し易いものという条件で探し、第一候補になったのがこの作品でした。彼の率いるグループである「ヴァンダーマーク・ファイヴ」での作品です。フリー・ジャズのミュージシャンに限らないのでしょうが、どちらかと云うとフリー系のアーティストは様々な編成の複数のグループを駆使し活動しているように感じており、全く知らないど素人が参考書もなく入門すると全貌の把握がかなり難しかったりします。ヴァンダーマークのアルバムで最初に聴いたのがコレですが、続けて聴いてみたのが『4 Corners』(Clean Feed)と云うカルテットのグループで、この作品はそれ以前から楽しんでいたノルウェーの先進的なジャズ・グループであるアトミック(Atomic)というグループのマグヌス・ブルー(マグナス・ブロー)とポール・ニルセン・ラヴの参加によって知ったのがキッカケですので、これにケン・ヴァンダーマークが参加していることが判ったのは完全に後付けのことです。まぁ、色々と聴いていってアーティスト同士の繋がりを知ることが出来るのはとても有意義なことなのですが。

しかしバリトンという楽器はこう云ったジャズには打ってつけであることがよく理解出来る内容です。ヴァンダーマークのブロウは男らしく豪放で、図太い音塊を放出し続けます。彼はココではクラリネットも使用しますがやはりバリトンの印象が強く残ります。他のアルバムではバスクラも使ったりしていますね。他のメンバーで知っているアーティストはいないのですが、フリー・ジャズ初心者の自分にとってのそれ以外のインパクト、ナンバー・ワンはチェロの存在です。アルコ奏法でまさに引っ掻き回されるようなワイルドさと、曲によってはソレにエフェクターを噛ましたアヴァンギャルドさが強烈です。私的な感想ですが全体的なサウンドはそれほどドシャメシャではなく静的な印象もあります。2曲目や5曲目、6曲目や8曲目等は部分的にはリズムもしっかりとしたビートを刻んでいたりするのでわりと聴き易かったりします。そんな中グニャグニャとしたカオスな展開も同様にあって、やはりフリーならではの濃厚なエキスもタップリと含まれています。

個人的には聴き易い部類のフリーでしたが、ヴァンダーマークですらまだまだ未知の作品&グループが底なしに待ち構えているので、混沌とした闇の中を探検するが如くこれから突き進んでいくことを楽しみにしているのです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/12/04(木) 00:28:44|
  2. Combo
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#742 Loud... Louder... Stop/The Neil Cowley Trio (Cake-CD)

Neil Cowley - Loud... Louder... Stop

1.His Nibs
2.Dinosaur Die
3.Scaredy Cat
4.Ginger Sheep
5.Clumsy Couple
6.Captain Backfire
7.Well
8.We are Here to Make Plastic
9.Synaesthesia Traffic
10.Streets Paved With Half Baguettes Pt2

Neil Cowley (p) Richard Sadler (b) Evan Jenkins (ds)

Rec-2007



今まではあまりにもピアノ偏重でジャズを聴いてきたという自覚があり、このブログでも飛び抜けてピアニストのリーダー作が多く取り上げられているので、意識的にホーンやギター、ベースにドラムがリーダーになる作品を探している自分がいます。最近では頻繁に表明している通り、自分の趣向もオーソドックスなものからひと捻りもふた捻りもあるものやアプローチがちょっと変わっているものに意識がいくようになってきました。実際にホーンもののほうをよく聴くようにもなってきて、それは恣意的に仕向けてきた聴き方であるとは云え、最近では違和感なくそのような傾向にもなってきています。しかしながら潜在的にはピアノは大好きな楽器であるので無視することも出来ません。実際ジャズ関係の書物で取り上げられるのがピアノものである比重が高いこともあって、自分の中の興味が鎮火するようなことはなく、いつまでも弱火のような状態でプスプスと継続しています。そんな折に『ジャズ批評』がピアノトリオの特集を組んだので、眠っていたものがムクムクと起き上がるような感覚になり、欲求を抑えるのに躍起になるのですがどうも駄目なようです。

ただしオーソドックスなスタイルのものに食指が動かないのは事実で、インパクトの強そうなものやフリー寄りのものを探してしまいます。複数の候補の中で面白そうな作品であったのがこのアルバムでした。下調べのつもりで彼のHP(音が出ます)でサウンドを確認してみると、自分の顔が緩むことを自覚してしまいました。そしてmyspace(音が出ます)を聴いた時点で発注する衝動を抑えきれなくなってしまいました。

ニール・カウリーはイギリスのピアニスト。聴いての通りかなり現代的な解釈に立ったサウンドです。マトモな4ビートは1曲もありません。この作品は昨年度のBBCジャズ・アワードのアルバム大賞を獲得したそうです。特異なアプローチというほどではないけれど心のどこかに引っかかるモノを有していて繰り返し聴いてしまいます。完全に自分の弱みである「繰り返されるリフ」のワナにまんまと嵌ってしまい「ヤラれたなぁ~」と頭を掻きます。凝り固まった体をマッサージでほぐすときに、ツボをピンポイントで攻撃してくるような構成に降参してしまいます。ただし少し度が過ぎてるような感じもあってどうなのかなぁと思うフシも正直あることと、彼のスタイルからブロック・コードの比重がかなり多いのでピアノの旋律の魅力という意味ではモノ足らないことは致し方ない部分なのかもしれません。敢えて特化した個性として考えれば問題ないですが、この辺は好みの差が出てきそうな要素ではあります。

今はかなり面白がって聴いていますが、自分にとっての賞味期限がどのくらいであるのかはちょっと判断出来ません。あれ、何で最後はネガティブな結びになってしまったのでしょう?インパクトがあり過ぎたからでしょうか?

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/12/03(水) 03:14:16|
  2. Piano
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  4. | コメント:0

#741 Live at the Zinc Bar NYC/Lonnie Plaxico Group (Plaxmusic-CD)

Lonnie Plaxico - Live at the Zinc Bar NYC

1.Red Light District
2.Emergence
3.Delusion
4.Too Young to Go Steady
5.Emancipation
6.Inner Voice
7.Old Folks
8.Matrix
9.Squib Cakes

Lonnie Plaxico (b,el-b) Jeremy Pelt (tp) Marcus Strickland (ts)
George Colligan (p,key) Nathaniel Townsley (ds)

Rec-2002



このアルバムには対の作品と云ってしまっても差し支えないものがあって、それが『Live at the 5:01 Jazz Bar』(Plax Music)になります。そのアルバムは今回取り上げた作品の全ての曲を含んでおり、録音もほぼ同時期なので互いの聴き比べが出来ます。で、自分の好みはと云えばこれが圧倒的に「5:01 Jazz Bar」に軍配が上がります。プラキシコのライブと云えばそちらばかり寵愛していたのでこの「Zinc Bar」に対しての印象がかなり薄いです。今日たまたま目についたこのCDを重複しない曲の確認も含めて久しぶりに聴いてみようと思いました。確かめてみると自分が反応している部分として、エネルギッシュなプレイであるか否かは勿論のこと、ミキシングの具合やオーディエンスの反応までを指標にしていることに気づかされます。「5:01 Jazz Bar」の演奏はそれらの因子がよりダイレクトに伝わってくるものがあり、音質がイマイチながらも聴き比べると愛聴する理由が明確になります。

ではこのライブはどうなのかと云えば、やはり濃厚なジャズ・ファンク・アルバムであると断言出来ます。ただしどこまでも比較するようなことを述べてしまうと、こちらのほうがグルーヴ感というものが少なめに感じられ、強烈な演奏なのにおとなしくも感じられるのが不思議なくらい「5:01」のキレ具合に半端ないものがあります。そしてその鍵がレコーディング・レベルやミックスの部分で増幅されていることにより、自分の中での差が生まれているように思えてならないのです。まぁクサレ耳と陳腐な装置で当方には二重のハンディがありますから、できれば間引いて理解して貰えれば有難いですが。

このライブは全9曲ですが、「5:01 Jazz Bar」と重複しない曲は5,7,8の3曲のみです。それらの3曲を改めて聴いてみると、5曲目はやはり複雑に交差するメロディとめまぐるしく変わるコードが際立っていますがインパクトとしては他の曲の方があるような気がします。7曲目はジェレミー・ペルトのトランペットを大きくフィーチュアした印象的なバラードでこの部隊からはなかなか連想しづらいメロウな一品です。8曲目はスピード感溢れるストリックランドのサックスとジョージ・コリガンのエレピの煽り具合が何ともカッコいいナンバーです。

全体的には相変わらず予測し難いコード進行とあちこちに飛びまくるフレーズに唸りつつ興奮してしまいます。ブツ切りのセンテンスをオミマイされているような感覚に支配され、その音塊をひたすら受動的に浴びることがこの連中の音楽を聴く上での神髄であると勝手に解釈しています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/12/02(火) 23:58:53|
  2. Bass
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  4. | コメント:0
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ぬどい

Author:ぬどい

タイトル通りのブログです。聴くジャズに垣根をつくらずがモットーです。駄耳の持ち主ですがジャズが好きで連日湯水を浴びるが如く聴き続けています。しかし自分の耳は全く向上しません。近年ジャズに戻って来たためここ10数年のアーティスト&作品には非常に疎く探求中です。今までに所有してきたレコードの聴き直しと新たなる発見を求めて購入したCDの感想を備忘録を兼ねて更新しております。ど素人が主観のみで書いているログですので当然ココではお勉強は出来ません。検証は他所でやって戴いたほうが確実かと思いますのでその旨ご了承願います。(ただ今さぼりモード突入中)


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