イカれた駄耳にジャズの洪水

今宵も円盤漬け・・・     since 23rd Oct. 2006

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#856 Jackie McLean Quintet (Blue Note)

Jackie McLean - Quintet

A
1.The Three Minors
2.Blues in a Jiff
3.Blues for Jackie

B
1.Marilyn's Dilemma
2.Iddy Bitty
3.The Way I Feel

Jackie McLean (as) Kenny Dorham (tp) Sonny Clark (p)
Butch Warren (b) Billy Higgins (ds)

Rec-1962



今日はこんなアルバムを聴いています。これを取り上げるにあたり手持ちの関連していそうなアルバムをひっくり返して、やっとこの作品の出自を突き止めることが出来ました。このレコードはいわゆる非売品だったものなのですが、東芝EMIがアナログでリリースしていた「Blue Note LP 最後の復刻 第5回」の全30枚のうち、15枚分の応募券を送るとプレゼントされるという特典盤でした。ですからライナーも封入されていない簡素な仕様でこのアルバムが送られてきたのでした。この頃の自分は稼いだサラリーを一連のアナログ復刻シリーズの購入に積極的にブチ込んでおり、自分の欲求とレコード会社の策略がまんまと合致した結果、このような特典盤がかなりの枚数手元に残っています。振り返れば今も昔も全く変わらないスタンスでジャズを貪っていることに感心するやら呆れるやらです。

このマクリーンのアルバムは、ブルーノートの4116番という番号を用意されながらもリリースされなかった一枚でした。その後BN-LAのシリーズでは1967年の未発表と併せて『Hipnosis』(Blue Note)というタイトルの2枚組の中で発表されています。ブルーノートにはこのようなアルバムが他のアーティストのタイトルを含めて数枚ありましたが、後年に殆どが発掘され陽の目を見ていますね。

かなり久しぶりに聴いたので内容すらおぼろげになっていましたが、マクリーンのリーダー作での位置づけを改めて調べてみれば『Let Freedom Ring』と『One Step Beyond』の間の録音になるんですね。両アルバムの印象とかなり違っていてこのアルバムがどちらかと云えば比較的オーソドックスなスタイルであるため、当時の方向性の違いから発売を見送られたのではないかとブルーノート・ブックに記されていました。なるほどこの頃のマクリーンの作品は辛口指向へ舵を切っている時期でした。さらにその近くの録音を見てみるとやはり未発表だった『Tippin' the Scales』などのセッションも行われています。サイドでの参加作品から見ればケニー・ドーハムの『Matador』(United Artists)の直後の録音になるんですね。

個人的には刺激の強いジャズを今のところは欲していることもあって、これ以降に展開されたピリピリしたマクリーンが最高なのですが、こういうジャズの醍醐味を感じられるサウンドの彼もまたいいですね。相変わらずの独特のピッチで走る彼のアルトは他を寄せ付けぬくらい個性的で、ケニー・ドーハムやソニー・クラークと云った名手との演奏はジャズの王道を進みます。斜に構えた凛々しいマクリーンが目に浮かぶような演奏は、決してリリースを見送られてしまうような内容ではありませんでした。それだけにほぼ同時期に動き出しているシリアスなマクリーンとの対比がとても興味深く感じられます。
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テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/03/31(火) 23:59:42|
  2. Alto Sax
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#855 The Tip/David Murray (DIW-CD)

David Murray - The Tip

1.Sex Machine
2.Flowers for Albert
3.Removen Veil
4.M.D.
5.Kahari Romare
6.The Tip
7.Mailinda
8.One World Family

David Murray (ts,b-cl) Robert Irving III (syn,org) Bobby Broom (g)
Daryl Thompson (g→only1,3,7) Darryl Jones (b) Toby Williams (ds)
Kahil El'Zabar (perc,vo→only8) Olu Dara (cor→only2) G'Ra (wordist→only3)

Rec-1994



昨年リリースされているデヴィッド・マレイのブラック・セイント・カルテット名義のライブ盤『Live in Berlin』(Jazzwerkstatt)を発売日前に予約していたのになかなか手元に来ず、結局予定日から3ヶ月以上待たされて落手しました。東京に出た時、発売日直後に市場に流通していることを確認していたので、あまりの遅さになおさら憤慨させられました。田舎在住ですので大部分をネットでの購入に依存していますが、買う殆どが輸入盤のマイナー・レーベルと云うこともあり、且つジャズというマイノリティー・ジャンルの特性上、明らかにプレス数が少ないものを対象に追っかけしているわけであり、新譜であっても確実に手に入れると云う意味においては限界を感じさせられてしまいます。まぁこのアルバムのように手元にくればなんの問題もないのですが、注文して一年以上経っても手に入らないことがあることもしばしば。例えばペーター・ブロッツマン(Peter Brotzmann)のシカゴ・テンテットでの作品『Chicago Tentet At Molde 2007』(Okka)はもうすぐリリースされてから一年経つというのに未だに入手出来ず、またダニエル・ザミール(Daniel Zamir)の『Amen』(Acum)も結局音沙汰なし。いずれも発売前に予約しているというのに。いきなり愚痴から始まってしまってすみません。

今日は前述の作品ではなくて思いがけず入手することとなった15年ほど前のアルバムを聴いています。これはまた随分とくだけたというか多彩というか自由というか、大らかなマレイのアルバムだなぁと感じました。マレイの全貌というか変遷を理解していない当方にとっては、このアルバムで聴かれるスタイルが彼にとって全くの守備範囲のことであるのか冒険であるのかすら解っておりませんが、一般的なジャズの概念にとらわれるとなかなか手を伸ばしにくい部類の作品のような気もします。ただしマレイ自身の逞しいテナーは相変わらずパワフルであることを証明しており、楽曲のギャップもまた一興といったところです。

1曲目からネットリとしたファンク臭ムンムンのサウンドが飛び出してきます。と思えば2曲目はレゲエ調になり、3曲目はポエトリー・リーディングが出てきたりと変わり身の早さに呆気にとられてしまいます。そんな流れから現れる4曲目と5曲目、7曲目あたりは自分にとっての聴きどころのナンバーです。どちらかと云えばクールに響くこの3曲はマレイのテナー云々というよりも楽曲の良さに惹かれているのですが。ラストの8曲目にはヴォーカルも入っています。全体的にはエレクトリック・サウンドを全面に押し出したコンテンポラリーな内容になっています。

そういえば昨年末にマレイは新宿ピットインで公演していて、その模様を拙ブログにコメントを下さるpiouhgdさんが観に行かれているんですね。なんでも演奏中にメンバー間でモメたのだそうですが、マレイのことをそれほど知らない当方がさもありなんと思ってしまうのは何故なのでしょう。テナーの吹きっぷりから気性の荒さを推し量っているのか?自分でも明確に答えることが出来ません。

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  1. 2009/03/30(月) 22:53:34|
  2. Tenor Sax
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#854 Paul Bley - NHOP (SteepleChase)

Paul Bley - NHOP

A
1.Meeting
2.Mating of Urgency
3.Carla
4.Olhos de Gato

B
1.Paradise Island
2.Upstairs
3.Later
4.Summer
5.Gesture Without Plot

Paul Bley (p→exceptA-2,B-5,el-p→onlyA-1,A-2,B-5)
Niels-Henning Orsted Pedersen (b)

Rec-1973



久しぶりにこんなデュオ・アルバムを聴いていました。癖のあるピアニストですがハマると抜けられなくなってしまうポール・ブレイと、スーパー・テクニシャン・ベーシストのニールス・ペデルセンが静かな印象ながらも緊張感のある世界を表現しています。ポール・ブレイのアルバムの中では再発も繰り返された代表作と言ってもいいようなアルバムですね。

自分がポール・ブレイの作品に接したのはジャズを聴き始めてから間もなくの早い時期で、確か高校生の頃ではなかったかと思い返しています。一聴してその不思議なピアノのタッチとメロディアスというにはほど遠い演奏に捉えどころの無さを感じ、若かりし頃の自分はその良さが全く見出せずにすぐに放り出してしまったことを思い出しました。彼の録音は聴く時代によってスタイルが変化するのですが、フリーを感じさせる作品が取っ掛かりになってしまっては、無垢だった頃の自分にとってはこのような結果を招いてしまいます。ただ、昔も今も理解出来ないものに対して執念深いことは変わらなかったようで、数年後の大学生になった頃には多少の経験値が上がったのか、得も言われぬ彼の怪しさに惹かれてアルバムを色々と物色していました。ただそれはまだまだ入り込んでいた訳では無く、どちらかと云えば「恐いもの見たさ」に近い感覚で彼のジャズに接していただけではなかったかと、振り返ればそのように感じています。

これまではブレイに対して特段の贔屓のピアニストと云う感覚は持ち合わせていませんでしたが、最近フリーやインプロ系のアーティストを多数聴き込んでいることが功を奏しているのか、以前に比べると自分の中での彼の位置づけはかなり変化してきたように感じています。このアルバムなども昔では一聴してその良さを理解するには至りませんでしたが、自分がスポンジのようになれたおかげでこの独特な世界を吸収し浸透させていくことが可能になりました。

鋼のように冷たく響くブレイのピアノにペデルセンのベースが荘厳な音を刻んでいきます。ブレイが奏でるヒリヒリするような感覚の音を紡いでいくサマは辛口な切り口をあらわにしていますが、時折現れるささやかな温もりはその効果を倍増させます。ペデルセンのベースの重みはデュオではより明確に捉えられており、深遠で重厚な震えが堪りません。ながら聴きを許さない静かなる圧力に、こちらを瞑想の境地へ誘います。一音一音が沁み入ってくる感覚を反芻する自分がいます。

なお、ブレイはA-1はピアノとエレピを、A-2とB-5はエレピで演奏しています。

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  1. 2009/03/29(日) 23:56:22|
  2. Piano
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#853 Calima/Diego Barber (Sunnyside-CD)

Diego Barber - Calima

1.Piru
2.190 East
3.Desierto
4.Catalpa
5.Lanzarote
6.Richi
7.Virgianna
8.Air

1,3,4,5,8

Diego Barber (g) Mark Turner (ts) Larry Grenadier (b) Jeff Ballard (ds)

2.

Diego Barber (g) Larry Grenadier (b) Jeff Ballard (ds)

6

Diego Barber (g) Jeff Ballard (ds)

7

Diego Barber (g) Mark Turner (ts) Jeff Ballard (ds)

Rec-2008



奇しくもギタリストの初リーダー作が2枚ほぼ同時に届きました。まずはジュリアン・レイジ(Julian Lage)の『Sounding Point』(EmArcy)。若いギタリストですが既に場数を踏んでおりとても巧い。ソロあり、デュオあり、トリオあり、チェロ入りあり、バンジョー入りありとヴァラエティに富んだ編成が楽しめます。もう一方がカナリア諸島出身のディエゴ・バーバー。やはりこちらも巧い。どちらのアルバムもアコースティックが主体のサウンドであるので、パッと聴きの印象としては共通点が多いようにも感じられましたが、ジュリアン・レイジは曲ごとに変わる編成と楽器によって変化を付けてくるのに対し、ディエゴ・バーバーのほうは出自をサウンドへ明確に反映させており、且つ楽曲によってはメリハリも付けられています。

バックに陣取るのはマーク・ターナー、ラリー・グレナディア、ジェフ・バラードの面々。近年のジャズに疎い当方は、この組み合わせで"Fly"と云うグループが結成されていたことは外付けの情報で知った次第です。そしてこの"Fly"もほぼ同時期に『Sky & Country』(ECM)と云う2枚目の新譜をリリース。面白そうなので早速予約してみました。

全編アコギで通した一品で叙情的な一面がしっかりと捉えられています。ディエゴは現在はマドリッド在住とのことなのですが明らかにその土地を感じさせるテイストを含んでおり、ともすればジャズというよりもそちら寄りの雰囲気が色濃く出ていたりもします。その中で引き締まったジャズを感じさせる曲が4曲目と7曲目に置かれており、スローでじっくりと弾き込まれたトラックから一変して空気が入れ替わります。スピーディ且つパワフルでありながらも相変わらずクールな色調のマーク・ターナーのサックスが疾走し、ラリー・グレナディアのベースは小気味良くはずみ、ジェフ・バラードのドラムが活き活きと跳ね回ります。一本調子でどちらかと云えば単調になりがちな全体の雰囲気を変えることに成功していて、個人的な好みはこの2曲のほうでした。ラストの8曲目は20分を超える大作。物語が進んで行くような展開にディエゴ・バーバーの本質が垣間見えるようです。

ディエゴのこともよく下調べせずに取り寄せたこのアルバムですので、彼がアコギ専門の奏者であるのかどうかすらも理解しておりませんが、アコギ好きの小生とは云えもう少し変化球を披露してもらえたらと感じてしまいました。そういう意味に於いては自身の持つカラーが明瞭なアーティストと云うことも出来るのですが。今後の彼の歩みも見守っていこうと思っています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/03/28(土) 23:59:41|
  2. Guitar
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#852 Tragicomic/Vijay Iyer (Sunnyside-CD)

Vijay Iyer - Tragicomic

1.The Weight of Things
2.Macaca Please
3.Aftermath
4.Comin' Up
5.Without Lions
6.Mehndi
7.Age of Everything
8.Window Text
9.I'm All Smiles
10.Machine Days
11.Threnody
12.Becoming

Vijay Iyer (p) Rudresh Mahanthappa (as→only1,2,3,5,6,10,11)
Stephan Crump (b→except9) Marcus Gilmore (ds→except9)

Rec-Unknown



気になるピアニスト、ヴィジェイ・アイヤーの最新作を取り寄せてみました。と思ったら全く同日の発売で、彼自身のグループであるフィールドワーク(Fieldwork)という名のユニットの『Door』(Pi Recordings)と云うアルバムもリリースされていました。彼のHPでMP3を聴いてみたのですが、一聴してその個性的なサウンドにノックアウトされました。これはヤラれるに違いないという確信がありました。実際に色々と聴いてみると本当に多彩なアプローチで、前述のフィールドワークと云うグループ(『Your Life Flashes』と『Simulated Progress』と上記の『Door』の3枚)はより硬派に感じられ、マイク・ラッドのポエトリー・リーディングと打ち込みやエレクトリックを大胆に駆使したプロジェクト(『In What Language?』と『Still Life With Commentator』の2枚)などもあって懐の深さを感じさせるに十分な音が居並んでおりました。

アイヤーはインド系アメリカ人で、両親が科学者で本人も物理学を専攻、奥さんもやはり科学者と云う理系のエリートなんだそうな。頭の良い人には頭の上がらない頭の悪い人間ですが、頭の良い人の創造する音楽に頭の悪い当方が強烈に反応したのがなんとも皮肉です。そんな要素が音楽にも滲み出ているのかと云えば、頭の悪い当方は間違いなく滲み出ていると思いました。そして彼は政治における反体制的なメッセージを自身の音楽でも多分に開陳させているようで、彼の意とするところは自分にはよく解りませんが個人的に怒りの表出した音楽は気になるので、ひょんなところで共鳴し合ったのかもしれません。

1曲目から自身の出自を感じさせる音塊が飛び出してきて、聴いている自分もエキゾチック・モードに突入です。約半数の楽曲に参加している、やはりインド系のラドレッシュ(ルドレッシュ)・マハンサッパのアルトがかなりインパクトがあって、アイヤーのゴリゴリと攻め込んでくるピアノとともにダイナミックでアブストラクトな世界を築いています。マハンサッパとベースのステファン・クランプはアイヤーの過去のアルバムでも頻繁に共演している盟友のようですが、先日新宿ピットインでダニー・グリセットのトリオでじっくり味わってきたマーカス・ギルモアがここでパワフルなドラミングで応戦しているのがとても嬉しい。フリー・ジャズほど不規則ではなく、かと云って解り易いオーソドックスなジャズとは一線を画しており、重々しい迫力を伴いながらテンションの高い演奏が繰り広げられていて大興奮の一枚となりました。

コレを聴いたあと他のアルバムの音源をチェック、耳に憑いて離れない強烈なトラックが目白押しで思わず彼関連の作品をさらに3枚もオーダーしてしまいました。予定外の出費に嬉しいやら悲しいやら。

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  1. 2009/03/27(金) 23:58:08|
  2. Piano
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#851 Guitars/McCoy Tyner (Half Note-CD)

McCoy Tyner - Guitars

1.Improvisation 2
2.Passion Dance
3.500 Miles
4.Mr. P.C.
5.Blues on the Corner
6.Improvisation 1
7.Trade Winds
8.Amberjack
9.My Favorite Things
10.Slapback Blues
11.Greensleeves
12.Contemplation
13.Boubacar
14.Baba Drame

McCoy Tyner (p) Ron Carter (b) Jack DeJohnette (ds)
Marc Ribot (g→only1,2,3,6) John Scofield (g→only4,5)
Bela Fleck (banjo→only7,8,9) Derek Trucks (g→only10,11)
Bill Frisell (g→only12,13,14)

Rec-2006



インプロ系のジャズを聴くことに開眼した小生ですが、通過しなければならないギタリストとしてはまずデレク・ベイリー、マルク・デュクレ、マーク・リボー等のミュージシャンを考えていました。日本人であれば高柳昌行さんや、近年活躍しているアーティストであれば大友良英さんとか。そんな折、昨年でしたかこのアルバムが新譜でリリースされる前にマーク・リボーがここで演奏していることを知り、彼のリーダー作を差し置いてこのアルバムで初体験してやろうと考えました。まぁそれ以上にマッコイ・タイナーとマーク・リボーの組み合わせが想像出来ず、かなり気になってしまったと云う側面のほうが大きいかもしれません。詳細を見れば5人のギタリスト(バンジョー含む)がかわるがわるマッコイ・トリオと火花を散らすカルテットの演奏であり、リボー以外にも想像を超えたところの組み合わせで猛烈に気になってしまいました。ジョン・スコは以前(1989年)にデュオで共演していたようですが、他にはデレク・トラックス(!)、そしてビル・フリゼール、ベラ・フレックのバンジョーまで。マッコイのアルバムもご多分に漏れず60年代全般と70年代、80年代の一部で終了していた当方ですので、近作はもちろんのこと今から10数年遡った音源ですらフォロー出来ていない有様です。久しぶりに再会した御大はこちらの予想を超えたメンツを率いてプレイしており、その探求はとどまるところをしらないと云った感じに受け取りました。

5人のギタリスト(バンジョー含む)のキャラクターが各々強烈に表出していて興味深い内容になっています。マーク・リボーは前述の通りしっかり聴いたのがここが初めてで、それまではMP3などをかじり聴きした程度でした。思ったほど極端な手法をとっているようには感じられませんでしたが、それでもやはり個性的で不思議な雰囲気を醸し出すギタリストですね。水と油のような関係かと思っていたのですが思いのほか違和感がないのでニヤけてしまいます。個人的に5人の中で一番すんなりと入ってきたのはジョン・スコの参加している2曲でした。彼特有のウネリが顔を出していますが、マッコイのピアノに自然に溶け込んでいてなかなか味わい深いです。ベラ・フレックのバンジョーは目からウロコが落ちる感覚でした。ディキシー好きの当方としてはバンジョーという楽器にはリズムをカッティングすると云う固定概念が刷り込まれていますが、ここでの彼はどちらかと云うとメロディを奏でる楽器に昇華させていますね。それと先日に自身のグループ、デレク・トラックス・バンドで新譜『Already Free』(Victor)を発表したスライド・ギターの名手がマッコイと共演とは。ジャズにとどまらないブルージーで粘着質なサウンドを醸しておりイカしています。ビル・フリゼールもジャズに固執しないスタイルのギタリストですね。12曲目などはなかなかグッとくる曲でした。彼は5月に来日が決まっているようですね。

このアルバムはCDの他に、その収録現場の様子を収めたDVDとの2枚組になっています。ラフな雰囲気が捉えられていてCDで聴ける音源の録音風景が見られるのは大変有難いことです。ライブなどの映像などはよくカップリングされていることが多いですが、スタジオ録音のこのようなショットはなかなか興味深いものがあります。山中千尋さんの近作にも収録中の映像DVDが付いていましたが、こういう企画は大歓迎です。

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  1. 2009/03/26(木) 23:57:12|
  2. Piano
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#850 The Reclamation Project/Ralph Peterson Fo'tet (Evidence-CD)

Ralph Peterson - The Reclamation Project

1.Further Fo
2.Song of Serenity
3.Long Journey Home
4.Insanity
5.Bottom
6.Turn it Over
7.Just for Today
8.Acceptance
9.For All My Tomorrow
10.Keep it Simple

Ralph Peterson (ds) Steve Wilson (ss) Bryan Carrott (vib,marimba)
Belden Bulloch (b)

Rec-1994



ラルフ・ピーターソンのフォテットは一般的にどのように評価されているのか気になるところです。やはり実験的なセットであり演奏されているジャズに対しても異質なものとして映るのでしょうか。自分はこの組み合わせが大好きで今さらながらかなり嵌り込んでいます。ピーターソンの全作品はもちろんのこと、フォテットに関してもまだまだ全てをフォローしきれていないのですが、このアルバムなどは当方の凡なる感性をビンビンに刺激してくれる魅力的なアルバムです。

全てがピーターソンのペンに依るもので、緩急の付いた個性的な楽曲が並んでいます。1曲目のブライアン・キャロットのヴァイヴでのリフの連打を聴くにつけ早くも興奮度は既に最高潮に高まります。続いて現れるベルデン・ブロックの強靭なベースと突進してくるピーターソンのドラム、これらが相まって疾走し出すと恍惚感すら漂ってきます。そしてスティーヴ・ウィルソンのソプラノが独特の世界を描き耳に憑いて離れません。

このグループは、ダイナミックなピーターソンのドラミングが満喫出来るのはもちろんのことなのですが、個人的にはスティーヴ・キャロットのヴァイヴ&マリンバが強烈で、それこそこの音楽を支配するかのような圧倒的な存在感が気に入っています。考えてみればヴァイヴのような楽器をこのようにアグレッシヴに鳴らす奏者をそれほど知らず、彼のパワフルな奏法には惹き付けられてしまいます。そういう意味ではフロントに陣取っているはずのスティーヴ・ウィルソンのソプラノを食ってしまうような活躍でもあると思われ、キャロットのヴァイヴは当方にとって実に興味深い対象として刻み込まれました。ピーターソンは言わずもがな、完璧に彼の資質が発揮された怒濤の攻撃をお見舞いしてくれます。手数の多さや音の派手さは一級品で、逆にそれが苦手な人もいるのかもしれませんが、ドラムと云う楽器に強靭さや豪快さを求める方にとってはこの上ない至福のビートであることは間違いないのではないでしょうか。シンプルなセットであることも影響しているのか、ベーシストのベルデン・ブロックの健闘も光っています。ピーターソンのドラムに十分に張り合っており、実にいいベーシストだと感じました。

フォテットの中でもこのアルバムはメロディの良い印象的なナンバーが並んでいると個人的には思っています。このグループの全てのアルバムを是非とも聴きたいのですが、既に手に入りにくいものが数多くあって、ハンターとしての自分の嗅覚を試されることになりそうです。何とか頑張ってみます。

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  1. 2009/03/25(水) 23:59:35|
  2. Drums
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#849 O Novo Som/Meirelles e os Copa 5 (Philips)

Meirelles e os Copa 5 - O Novo Som

A
1.O Novo Som
2.Voce
3.Samba do Carioca
4.Preciso Aprender a Ser so
5.Serelepe

B
1.Balanco Zona Sul
2.Pensativa
3.Solo
4.Ela e Carioca
5.Diz que Fui Por ai
6.Samba de Verao

-Meirelles e os Copa 5-

J.T. Meirelles (ts,fl) Roberto Menescal (g) Waltel Branco (el-g)
Eumir Deodato (p) Manoel Gusmao (b) Edison Machado (ds)

Rec-1965



ジャズ批評の最新号である148号に載っていたDJの須永辰緒氏の文章に、ここのところCDやアナログ離れが深刻である旨が言及されていました。特に若い世代に至ってはCDが4割減でアナログは絶望的なんだそうな。音源のネット配信が主な要因なのでしょうが、確実にひと月に20枚以上は新品でCDを買っている小生のような人間は完全に異端な人種になってしまっているんでしょうね。CDが売れないと云う事象はもちろん知っていましたしアナログであるならなおさらといった感はやっぱり否めないところですが、自分が音楽ソフトにかける出費は昔と全く変わらないどころか増えているようにすら感じているので、もはや時代に逆行していると云わざるを得ない人間のようです。アナログと云えばジャズとはあまり縁の無い商品ラインナップのお店でありましたが、昨年の10月末にCISCOが廃業した時はビックリしました。音楽に関して何でも屋である当方は、都心在住時はオルタナティブ・ロックやテクノやヒップホップ、R&Bのビニールを調達する時には必ず渋谷か新宿のアルタの店舗に出向き、田舎に引っ込んだ近年にはシスコのウェブで利用していました。かなり重宝していただけに倒産と云う現実は当方にとっても厳しいものがあります。

そんな最近の自分は購入するソフトはCDオンリーと云っていいくらいの状態で、しかも新録含めた比較的新しい音源の探求に勤しんでいました。そういう意味では徐々にアナログへの執着が薄れてきています。以前はアナログ盤優先でしたが、現在は選択肢が両方あるなら安価なCDへ流れてしまいます。アナログはCD2枚分、ものによっては3枚分の価格ですので買うのをかなり躊躇する小市民です。と、ゴタゴタ言っていますがウェブでの値引きポイントがかなり貯まったので、この機会に須永氏編纂の昨年リリースされたLPを3枚取り寄せてみました。

ブラジルのグループ、メイレレス・エ・オス・コパ・シンコの『O Som』 (Philips)の続編であるこのアルバムは前作とメンバーがわりと変更されていて、共通するのはメイレレスとベーシストのマノエル・グスマォンだけです。リーダーのメイレレスは昨年の6月に亡くなられてしまったんですね。それとピアニストにデオダートと云う見慣れた名前がクレジットされています。あと前作はトランペットを含んだ二管クインテットでしたが、こちらのアルバムではトランペットを抜いてギタリストを二人擁しています。編成を変更したことによって前作よりもサンバの雰囲気溢れるサウンドに仕上がっています。新たに加わった2本のギターが実に効果的で、メイレレスの良く唱うテナーとフルートが心地よく響きます。しっかりとジャズのテイストをベースに感じられるので、極端に軽くならないところに好感が持てます。

さわやかな風が吹き抜けるウキウキするサウンドはとても気持ちのいいものですが、もう少し暖かくなってからのほうが雰囲気が出そうですね。その時期になってから改めて試してみようと思っています。

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  1. 2009/03/24(火) 23:59:02|
  2. Combo
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#848 Beyond the Sound Barrier/Wayne Shorter Quartet (Verve-CD)

Wayne Shorter - Beyond the Sound Barrier

1.Smilin' Through
2.As Far as the Eye Can See
3.On Wings of Song
4.Tinker Bell
5.Joy Ryder
6.Over Shadow Hill Way
7.Adventures Aboard the Golden Mean
8.Beyond the Sound Barrier

Wayne Shorter (ts,ss) Danilo Perez (p) John Patitucci (b) Brian Blade (ds)

Rec-2002~2004



自分の中にジャズのブランクがあって、その空白の10余年を埋めようとその頃の作品を手に入る範囲で聴いています。1年ほど前にウェイン・ショーターの近作を試してみようということになって、個人的な趣向からこの作品と『Footprints Live!』(Verve)と云う2枚のライブ盤を購入したのでした。そしてその見事でエネルギッシュな演奏に引き込まれ没入していたのですが、本日は改めてこの作品を聴き返しています。

これは2002年から2004年までのライブをまとめた作品なのですが、自分の買った輸入盤には曲ごとの詳細が表記されていませんでした。収録場所が北アメリカ、ヨーロッパ、アジアと何とも漠然とした情報のみしか提示されていません。このあたりは国内盤のほうは補完されているのでしょうか。しかもあちらにはボーナス・トラックまで収録されているようですし。ウェブでデータを得ようとして今のところ解ったのは、6曲目が「東京ジャズ2002」での演奏であるということだけです。全貌の詳細が明らかになっているサイトがないか、後でもう少し確認してみましょう。

最初聴いた時は、瞬間的に「凄い!」と云う衝撃と「簡単には理解出来ない!」と云う感情がないまぜになってちょっとした放心状態を味わいました。「何だこの強力な音楽は」と電撃的なショック症状を伴いながら、現実は実態を掴みきれていないと云ういかにも凡庸な感想しか出てきませんでした。で、繰り返し摂取の日々を送るのですが、正直に言うと現在も明解な結論を得られずに至っています。それはもう一枚の『Footprints Live!』も同様でした。でも敢えて卑怯な表現で言ってしまえば「いかにもショーターらしい!」ということになります。しかしながらこのスリリングな演奏は何なのでしょう。演奏自体で聴かれる印象よりも緊張度が異様に高く、興奮度はMAXでありレッドゾーンに突入です。とてもスパイシーで刺激的なジャズです。これほど緊張感に溢れたメンバーの対峙がリアルに捉えられているジャズもなかなか珍しいのではないでしょうか。ショーターのサックスはインスピレーションの宝庫のように音色を紡ぎ出し、ダニーロ・ペレスのピアノのきりもみ状に迫るピアノは大迫力です。パティトゥッチのダイナミックなベースは存在感抜群で、小生の求めるパワフルなブライアン・ブレイドの姿がここにはありました。いやぁ素晴らしいではないですか。惜しむらくはフェードアウトで終わる曲があること。ぐいぐいと引き込まれている最中であるだけに誠に残念至極であります。

ウェイン・ショーターが昔も今も刺激的であることを身をもって証明してくれていて、久しぶりに再会したオヤジは嬉しくて身悶えしてしまいます。そんなショーターも今年で御年75歳。それを知ってまたまた愕然とする冴えないオヤジがここにいます。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/03/23(月) 23:58:45|
  2. Tenor Sax
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#847 Shared Contemplations/Joe Cohn (Criss Cross Jazz-CD)

Joe Cohn  - Shared Contemplations

1.Just One of Those Things
2.You Turned the Tables on Me
3.I Gotta Right to Sing the Blues
4.I Love You, Samantha
5.Blue Serge
6.Something for Lisa
7.Man With a Horn
8.49th Street
9.Barbados
10.Danielle

Joe Cohn (g) Peter Beets (p) Peter Washington (b→only1,2,7,10)
J.J. Wiggins (b→only3,4,5,6,8,9) Willie Jones III (ds→only1,2,7,10)
Joost Van Schaik (ds→only3,4,5,6,8,9) Dmitry Baevski (as→only7)

Rec-2007,2008



ジョー・コーンというギタリストを聴いてみました。ありきたりな名前であるなぁなどと無礼なことを思っていたら、実は彼はアル・コーンのご子息でした。そしてオカァちゃんはベツレヘムに作品を残している歌手のマリリン・ムーアなんだそうです。マリリン・ムーアの『Moody』(Bethlehem)が手元にあるのでジャケ裏を眺めていたら、アル・コーンがシッカリと参加していました。なぁるほどそうですか、後でこのレコードも聴き直してみましょう。この作品の主役、ジョー・コーンのプレイはピーター・ビーツのリーダー作で既に聴いていたのですが、この作品でも彼が参加しているので個人的には期待をしていました。このアルバムは記念すべき彼の初リーダー作で、異なる時期の2セットの録音がパッケージされていて、基本はカルテットでの演奏ですが録音時期によりリズム陣のみが変更になっています。アメリカ組とオランダ組に分かれているんですね。

ヴァラエティに富んだ10曲のなかに自身のオリジナルは1曲も無く、その代わりに父上の楽曲が2曲(6,10)演奏されています。馴染み深いナンバーが中心のセレクトになっているので感情移入がしやすいですね。通して聴いてみるとオーソドックスなアプローチでよくスウィングする好盤であると感じました。ジョー・コーンの奇を衒わない真っ直ぐな演奏は好感が持てます。曲の髄を引き出すプレイは文句無く楽しめるしどこまでも快調に響きます。アップテンポやブルージーな楽曲もソツなくこなしますが、個性的な部分を身に付ければさらに一皮剥けるギタリストであろうと感じました。またバックのサポートも素晴らしいです。オランダのピアニスト、ピーター・ビーツは本当に巧いプレイヤーで自身の引き出しも多く持っており、クラシカルなピアノも弾けばこの盤のように良くスウィングする粘っこいピアノも表現出来る器用なアーティストです。リズムも極端な仕掛けを用いずに活きの良さを信条としたプレイぶりに感じられ、自然とのせられてしまう威力がありますね。ちなみに7曲目のみアルト・サックスが客演していて変化を持たせています。

最近は個性的なものに目がない当方ですが、たまにはとことんエンジョイ出来るこのようなアルバムもいいですね。奏者のほうから徹底的に楽しんでやろうというような姿勢が垣間見える演奏は底抜けに明るくて、出てくる音に身を委ねるだけでこちらも幸せな気分になりました。

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  1. 2009/03/22(日) 23:03:34|
  2. Guitar
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#846 The Comedy/The Modern Jazz Quartet (Atlantic)

The Modern Jazz Quartet - The Comedy

A
1.Spanish Steps
2.Columbine
3.Pulcinella
4.Pierrot

B
1.La Cantatrice
2.Harlequin
3.Piazza Navona

-The Modern Jazz Quartet-

Milt Jackson (vib) John Lewis (p) Percy Heath (b) Connie Kay (ds)
Diahann Carroll (vo→onlyB-1)

Rec-1960,1962



かなり久しぶりにMJQを聴いてみました。しかも普段自分があまり手に取らないアルバムを意識的にチョイスしてみました。何故この作品をあまり聴かないのかは、全体的にアルバムから醸し出される雰囲気がどうも苦手で、いわゆるジャズの概念をストレートに感じにくいと云ったところが要因でしょうか。いや、この表現には語弊があるかな。うーん、説明が非常に難しい。念のため誤解の無いように補足すればMJQが苦手という訳では全くなく、むしろ自分が物心ついた時からMJQを含めたオヤジ所有のジャズのレコードが自宅で流されていた環境下で育ったようなものなので、個人的に思い入れのあるMJQのレコードというのはタップリとあります。彼らの独特な楽想は聴くレコードによって様々な感情が沸き立ってくるのですが、数多ある作品の中でも個人的な相性というのは少なからずあるようです。

改めて調べてみると、イタリアの仮面劇「コメディア・デラルテ」が題材になっている組曲仕立ての作品とのことなのですが、どうやらこのコンセプト自体が自分の趣向に合わないようだということを遅ればせながら理解しました。アンテナを大きく広げて分け隔てなく色んなものを吸収したいと常々思っているのですが、情けないことに自分自身の一番弱いであろう部分を突かれたといった塩梅です。さぁ困った。

というわけで、今のところ完全に先入観が支配しているこのアルバムを改めて聴いてみたのですが、やっぱりあまり得意ではありません。高尚なもの(貧弱な脳ミソはこのようなアプローチを単純に高尚なものと位置づけてしまいます。)に滅法弱い下衆な人間はこの世界を前にどうしたらよいのか判らなくなります。一度聴き、二度聴き、三度聴きしているうちに自分の中で音楽を断片的に分解して聴いていることに気づきました。具体的に言えば、テーマなどの導入であるとか題材となっている音楽を構成する骨格の部分と、そのブリッジに現れるそれこそジャズを色濃く反映したプレイを、意識的に脳内で仕分けして楽しんでいるようなそんな感覚です。これは音楽を鑑賞する上ではかなり問題があるなぁと自分でも参ってしまいました。本当に困ったものです。繰り返し繰り返しで聴いていけば、このような馬鹿げた解釈は矯正されていくのでしょうか。今日は自分の限界をみてしまったような感覚に陥っています。まだまだ試行錯誤は続くようです。

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  1. 2009/03/21(土) 23:58:54|
  2. Combo
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#845 Season of Changes/Brian Blade & the Fellowship Band (Verve-CD)

Brian Blade - Season of Changes

1.Rubylou's Lullaby
2.Return of the Prodigal Son
3.Stoner Hill
4.Season of Changes
5.Most Precious One
6.Most Precious One (Prodiigy)
7.Inprovisation (Jon & Myron)
8.Alpha and Omega
9.Omni

-The Fellowship Band-

Brian Blade (ds) Jon Cowherd (p,pump-org,moog,wurlitzer) Kurt Rosenwinkel (g)
Myron Walden (as,b-cl) Melvin Butler (ts) Chris Thomas (b)

Rec-2007



新譜情報を調べることが楽しいです。いちいち掲げませんが欲しい作品が目白押しでまたもや散在しそうです。指折り数えると候補が30枚以上あって両手両足で足りません。このような状況なのでむやみやたらと購入すると破産するのでそれは出来ません。ですので気になるものをピックアップし、その中から吟味せざるを得ない状態です。4月発売のリリース・インフォにブライアン・ブレイドの新譜『Mama Rosa』(Verve)が含まれていました。この作品は国内盤も出るようですね。さてそこで考えてしまいます。なんでもこの作品は自作の楽曲を彼自身が歌う、シンガー・ソングライター・アルバムなのだそうです。うーん、困った。自分の求めるブライアン・ブレイドとは当て嵌まらなそうです。ドラマーにはドラム中心でアルバムを構成してもらいたいワガママなリスナーです。「ガツーン」「ドシャーン」と圧倒して欲しいし、座して聴く己の尻をも浮かす攻撃を食らわして貰いたいと常々思っています。ですから今日取り上げる彼の「フェローシップ・バンド」も、コンセプトを理解しているとは云えもの足らなくてしょうがなかったのです。ちなみに彼はビルボード・ライブ東京&大阪&福岡で7月に公演が決まっているようです。やはり彼はノドを披露するのでしょうか。

そんなことを考えながらこのアルバムを聴いていました。すると意外とスッと入ってくるので自分でもちょっとビックリです。やっぱり偏見はよくないなぁと思いながら楽しんでいる自分がいます。いつもながら現金なものです。ドラマーとしてのブライアン・ブレイドのプレイのみを注視してこのアルバムを追いかけると、どちらかと云うと静的なサウンドが中心で、刺激が少なくホットに煽り立てる訳では無いのでもの足らなく感じてしまうということなのでしょう。自分は偏狭になりがちな人間なので繰り返しの服用が必須です。音楽としての完成度の高さに思わず言葉に詰まります。雄大な情景を描くブレイドの演出は高尚で、クサレ耳には執拗に注入してやりたくなる耽美な世界が広がっています。個人的にはカート・ローゼンウィンケルのギターがとても印象的でした。

と、このアルバムを改めて再認識した結果、今度の新譜の扱いについてさらに迷ってしまいます。食わず嫌いは結果的に勿体ないことを承知しているので悩みどころです。取り敢えずはダイジェストのMP3で確認して、それから結論を出してみようかと考えています。

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  1. 2009/03/20(金) 23:57:12|
  2. Drums
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#844 On My Way Back Home/Daisuke Abe (Nagel Heyer-CD)

Daiske Abe - On My Way Back Home

1.On My Way Back Home
2.Go!
3.An Answer
4.Leaving
5.Machine
6.Kura
7.Eyes in the City
8.I-Shi
9.Last Call

Daisuke Abe 阿部大輔 (g) Walter Smith (ts) Aaron Parks (p) Matt Brewer (b)
Rodney Green (ds) Gretchen Parlato (vo→only4,6)

Rec-2004



新譜の輸入盤あさりをしていると、自分の知らない日本人ジャズ・ミュージシャンのアルバムが結構引っかかってきます。なかには日系人だったりすることもありますが、それでもかなりの日本人が海外のレーベルから作品をリリースしているので以前からビックリしておりました。彼ら(彼女ら)の多くは殆どが拠点を海外に移していてその土地で頑張っており、主に地元ないしはその周辺国でライブ活動を続けているようです。そしてそれらの殆どが国内盤として紹介されておらず、今のところは自分のような一部の好事家だけがその存在を認識するような現状であるのだろうと思います。

少し余談になりますが、そのようなアーティストを思いつくままに挙げて行くと、大好きなレーベルのフレッシュ・サウンド・ニュー・タレント(FSNT)に、NYに拠点を置くギタリストの西藤大信(Hironobu Saito)さんが3枚のリーダー作を録音しています。共演しているメンバーも豪華で期待のほどが窺えます。彼は来月に目黒のブルース・アレイや六本木のアルフィー等でライブがあるようですね。それからドイツが拠点の女流ヴァイビストの斉藤易子(Taiko Saito)さん。Pirouetレーベルに『Koko』と云うタイトルのアルバムを、ニコ・マインホルドとピアノとマリンバ(&ヴァイヴ)のデュオで吹き込んでいます。他にはやはりNYで活躍するピアニストの秋田誠子(Seiko Akita)さん。自身のレーベルから『Temptation』(Seiko amusic Records)をリリースしており、この作品にはロニー・プラキシコが参加しています。またデンマークを拠点にしたピアニスト、平林牧子(Makiko Hirabayashi)さんもいます。彼女のアルバムはEnjaやStuntなどのレーベルからリリースされており、かなり刺激的な音を構築しており興味深いアーティストです。今月には新譜『Hide & Seek』(Enja)がリリースされました。

とまぁ、挙げればきりがないくらいにワールドワイドに活躍する日本人ジャズ・ミュージシャンですが、今日取り上げたギタリストの阿部大輔(Daisuke Abe)さんもそんな一人です。彼の拠点はNY。この作品はドイツのレーベルであるナゲルへイヤーからリリースされています。今のところ自身のリーダー作はこのアルバムのみのようですが、2007年に録音されている、やはりNYで活動していたヴァイビストの山下真理(Mari Yamashita)さんのアルバムにも参加しています。

阿部さんのこのアルバムは、集っているメンバーが個人的にとても好みであったのでとても気になっていました。小生も以前に来日公演を観に行ったアーロン・パークスや、やはりアーロン・パークス・トリオを率いて先日来日したヴォーカリストのグレッチェン・パーラト、またテナー奏者のウォルター・スミスの参加も嬉しいです。ヴォーカルのパーラトは前述の山下真理さんのアルバムにも参加しています。また前述の西藤大信さんのFSNTレーベルの作品とこの阿部大輔さんの作品のメンバーが近似していることから、彼らの周辺の人脈を察することも出来ます。

全ての曲をオリジナルで占めた意欲作になります。そしてこのアルバムを聴いてみてとても気に入りました。先ず一聴して思ったのは透明度を持った浮遊間のあるギターの音色の心地よさ。極私的な感想ですが、全体的に醸し出されるサウンドからマイク・モレノやラージュ・ルンドのアルバムを連想させ、参加メンバーがそれらと相互共通する部分もあることから彼らの作品が好きな方にはお薦め出来るアルバムだと思います。ウォルター・スミスのテナーと阿部さんのギターのユニゾンが曲の印象度を増す効果を生み出しており、スリリングなものからメロディアスなものまで多様に展開します。アーロン・パークスのピアノは、もうソレと判る音色が最高でやはりここでも存在感を示していますね。リズムも緩急を自在に操っており、スピーディな曲ではアグレッシヴに対応しパワフルさを如何なく発揮しています。グレッチェン・パーラトは2曲に参加しており、自身のアルバムではボッサ・テイスト溢れる作品でしたが、ここの4曲目ではシットリと聴かせており6曲目ではコーラスを披露しています。

サイドのメンバーから興味を持った形ではありましたが、かなり自分好みのサウンドを生み出していて今さらながら夢中になっています。もっともっと日本のジャズ・ファンに訴求出来るような体制作りがあればいいのに、と複雑な心境でもあります。レコード会社も媒体も今以上に海外で頑張る日本人にどんどんスポットを当ててもらいたいものです。あまりに情報が少なすぎます。

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  1. 2009/03/19(木) 23:58:39|
  2. Japanese
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#843 Rufus/John Tchicai, Archie Shepp (Fontana)

John Tchicai - Rufus

A
1.Rufus (Swung, His Face at Last to the Wind, Then His Neck Snapped)
2.Nettus

B
1.Hoppin'
2.For Helved
3.Funeral

John Tchicai (as) Archie Shepp (ts) Don Moore (b) J.C. Moses (ds)

Rec-1963



昔から何でも聴いてやろう精神でレコードを買っていたので、モダンのようなオーソドックスなものはもちろんのこと、当然このアルバムのようなフリーもかなり買いました。物心つく前から刷り込まれていたディキシーやスウィングを並行しながら物色しつつ、ヴォーカルの華やかさにも興味を持って首を突っ込む始末。ビッグバンドの迫力にも開眼し、当方のショボイ装置を前に体を揺する日々を送っていました。でもやっぱりフリーのハードルは高かった。なかなか受け入れる態勢が整わず、レコードは増えるもののシッカリと通して聴けた作品はそれほど多くありませんでした。その殆どのケースは聴きどころと云うものが掴めずに右往左往する状態で、取り敢えずなんとなーく流し聴きしていたというのが本音でしょうか。この作品も20年以上前の学生時代に購入したものですが、その良さが理解出来ずに長い間放置していたような状態です。で、半年ほど前からフリー・ジャズを改めて意識的に聴くようになって、その多様な表現方法を吸収し楽しんでいる最中の今こそ、このアルバムの再評価をしてみたくなりました。まぁ当方は評価を下せるようなタマではありませんが。

ジョン・チカイと云う人はデンマーク生まれなんですね。このアルバムを聴き直すまで全く解っていませんでした。そして以前は近寄り難かったこの作品も何事も無く受け入れることが出来ました。かなり迫力がありノイジーだと思っていた印象は、今聴いてみると全くそんなことはなくて単なる先入観であったことが解ります。寧ろA-1などはスピーディでスリリングなリズムの上でチカイのアルトとシェップのテナーが会話をしているような、そんな感覚で聴けました。それはそれでシェップやチカイの訴えようとしている精神性と相反しているようでなんとも心許ないですが、近年のフリー・インプロでの強烈な咆哮を連日浴び続けていると、このサウンドが秩序立った音に聴こえてくるから不思議です。無論、このアルバムがスリルに欠けると言うつもりは毛頭なくて、ドッシリと据わったドン・ムーアのベースとJ.C.モーゼスのドラムが解り易い骨格を形成していることが功を奏しており、縦横無尽のチカイのアルトと味のあるシェップの節回しが活きています。

チカイもシェップもシッカリ健在。両者とも精力的に活動しているようですので、最近の音源を是非とも試してみたくなりました。ディスコを見て興味津々なのですが、サンプラーやハープシコードと共演するジョン・チカイの想像がなかなか出来ません。

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  1. 2009/03/18(水) 23:56:42|
  2. Alto Sax
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#842 3.a.m./Georges Arvanitas Trio (Pretoria)

Georges Arvanitas - 3.a.m.

A
1.Three a.m.
2.A Night in Tunisia
3.Celia

B
1.Softly as in the Morning Sunrise
2.Our Delight
3.What's New
4.T.W.A. Blues

Georges Arvanitas (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)

Rec-1958



フランスのジョルジュ・アルヴァニタス(「ス」が付くとシックリ来ないので以降「アルヴァニタ」と表記します)とアメリカのダグ・ワトキンスとアート・テイラーと云うリズム陣を従えた作品。マイナー・レーベルと云うことで昔から垂涎盤でしたが、20年ほど前にリイシューされた輸入LPを喜び勇んで購入したことを思い出します。同レーベルではこのアルバムの他に、ジーン・テイラーのベースにルイ・ヘイズのドラムと云う布陣で『Cocktail for Three』といういわゆる「青アルヴァニタ」と云う作品もあって、これらが同時復刻されたので当然のように両方買い求めたのです。この二作品は澤野工房でともに発売されていたようですが、今日取り上げた「赤アルヴァニタ」のほうは既に廃盤になっているようですね。

個人的には1970年前後のアグレッシヴにキレまくるアルヴァニタが一番好きなのですが、アメリカの黒いリズムと組んだこのシリーズは彼にとっても異色のアルバムと言っていいのかもしれません。また1958年と云う彼の最初期の演奏が聴けると云う意味に於いても興味深いものがあります。

年代からそうなるのか、この頃のアルヴァニタはオーソドックスなアプローチで如何にも50年代と云ったサウンドです。ダグ・ワトキンスのベースの導入から始まるタイトル曲、A-1が最高です。ズッシリとした屋台骨を持ったリズムに乗ってアルヴァニタのピアノがブルージーに響きます。御馴染みのA-2は奇を衒ったところは無いのですが、やっぱりワトキンスの重々しいベース・ラインに気を取られてしまいます。アート・テイラーのドラム・ソロも迫力のあるインパクトを持っています。バド・パウエルの名曲A-3も印象的なメロディを忠実に再現するアルヴァニタのピアノに好感が持てます。名曲B-1は冒頭と終盤にワトキンスのベースで主旋律を執らせると云う手法で展開しています。曲に変化を持たせていてアート・テイラーのブラシが気持ちいいです。高音域を転がすピアノもいいですね。B-2はスピーディに疾走するタッド・ダメロンの名作。一転B-3はスロー・バラードで聴かせてくれます。ラストのB-4はタイトル通りのブルース。渋さが滲み出ています。

アルヴァニタのピアノも良く唱っており素晴らしいのですが、個人的にこの作品はダグ・ワトキンスのベースを聴く盤であると感じています。各自にソロがシッカリと与えられていますがワトキンスのベースがことのほか印象的で、とても良くまとまった作品ですが、ひと際惹き付けられる存在感があります。新譜を中心に聴いているとサウンドについてはやはり新鮮さは薄らぎますが、ベース好きには是非聴いて欲しいアルバムですね。

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  1. 2009/03/17(火) 23:56:04|
  2. Piano
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#841 Dreams/Marc Miralta Quartet (Fresh Sound New Talent-CD)

Marc Miralta - Dreams

1.Dreams
2.Way Out Willy
3.Cami del Bosc
4.Be Careful What You Dream (...Because it Can Come True)
5.Ara Si!
6.Dim. Blues
7.Pentatakin
8.Eastern

Marc Miralta (ds) Seamus Blake (ts) Ed Simon (p,el-p→only2)
Omer Avital (b)

Rec-2007



かなり良かった。スペインはバルセロナ出身のマーク・ミラルタというドラマーがリーダーのカルテット。フロントにシーマス・ブレイクのテナーを据えてその土地のニオイが微かに感じられる演奏が8曲パッケージされています。彼はそれ以前に今作のセットからピアノを抜いたサックス・トリオで『Sun Sol』というアルバムを1999年にフレッシュ・サウンドに吹き込んでおり、また同レーベルに"OAM Trio"と云うグループで2枚(1999年の『Trilingual』と2002年の『Flow』)録音しています。この"OAM Trio"はメンバーの頭文字をとって名付けられているようで、他はアーロン・ゴールドバークとオマー・アヴィタルと云う大変魅力的な組み合わせなので、是非聴かなければと思っているのですがまだ体験出来ていません。またこのグループではマーク・ターナーを加えた2001年のライブ盤『Live in Sevilla』(Lola Records)もあるようで、こちらの興味も尽きないですね。ちなみに彼はフレッシュ・サウンドでセスク・ミラルタ(Cesc Miralta)と云うサックス奏者とも共演しているのですがどうやら彼とは兄弟のようですね。ルックスもかなり似ているので双子にも見えるのですが。そのように感じましたが真相は調べていないので判りません。

2曲目がシーマス・ブレイク作、8曲目がエド・サイモン作、その他6曲がミラルタのオリジナルになります。このアルバムの冒頭のタイトル曲を聴いて飛び上がって喜びました。コレは当たりだと。こう云ったインパクトのある導入でいきなりキレの良いドラムが突っ込んでくるパターンの曲は堪らない魅力があります。エド・サイモンのピアノが奏でる強烈なリフはオマー・アヴィタルのゴツゴツしたベースとともに執拗に繰り返され、シーマス・ブレイクのテナーが印象的なメロディを描き出し、キメどころをわきまえたミラルタのアグレッシヴなドラムがスリリングです。いやぁ最高。個人的なこのアルバムの聴きどころは圧倒的に1曲目に集約されているのですが、続く2曲目などもエド・サイモンがエレピを操っていてとてもいい味わいに仕上がっています。あとはオマー・アヴィタルのイントロのベースが印象的な5曲目なども彼の地の雰囲気に溢れていて入り込んでしまいます。

フレッシュ・サウンドの作品はオーソドックスなものからエレクトリックや打ち込み、オルタナティブなものなど多岐に亘っており、このレーベルの提示する指向は幅広くどの作品に接してもワクワクさせられます。単にサウンドからくる印象だけではなくて、スペインのレーベルと云う特性を活かして地元の優れたミュージシャンを世に問うという側面も持っていて、個人的にはこのレーベルが教えてくれたミュージシャンにかなりの愛着を持っています。そういえば先日来日していたブラッド・メルドーもこのレーベルが出発点だったんですよね。

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  1. 2009/03/16(月) 23:53:13|
  2. Drums
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#840 Autumn Song/Mose Allison Trio (Prestige)

Mose Allison - Autumn Song

A
1.Promenade
2.Eyesight to the Blind
3.It's Crazy
4.That's All Right
5.Devil in the Cane Field

B
1.Strange
2.Autumn Song
3.Do Nothing 'till You Hear From Me
4.Spires
5.Groovin' High

Mose Allison (p,vo→onlyA-2,A-4,B-3) Addison Farmer (b) Ronnie Free (ds)

Rec-1959



全く季節感を与えない当ブログ。春先ながら「オータム・ソング」というアルバムを聴いてみた。歌うピアニスト、モーズ・アリソンのピアノ・トリオ。このアルバムでは披露していませんが彼はトランペットまで吹きます。今から20年以上前に中古レコード屋に入り浸っていた頃、アリソンのレコードはエサ箱で多く目にしており沢山の作品を買い込みました。しかも程度の良いオリジナルでも安価に購入出来たので結構揃えることが出来ました。このブログでも過去に『Local Color』(Prestige)を取り上げたことがあります。人気があるからある程度の中古が出回るのか、それともその逆で飽きられて手放される確率が高かったのか。そんな彼のアルバムはこのプレスティッジに沢山残されています。

正直云えば個人的にあまり彼のヴォーカルが得意ではありません。上手いんだか下手なんだか判らない弱々しい歌唱がどうしても気になるのですが、本国アメリカでは彼のヴォーカルに人気があるということをどこかで読んだことがありました。ということは彼はピアニストというよりもシンガーとして認知されていたのでしょうかね。プレスティッジでは明らかに異色のキャラクターながらかなり好評を博したようで、リーダー作の多さにもその人気が垣間見れると云ったところでしょうか。

アルバム全10曲中のうち3曲でヴォーカルを披露しています。やっぱり自分としては今ひとつピンと来ません。味のある歌唱ですが繊細で自分の趣向ではどうしても物足りないのです。それよりもテンポよくスウィングするピアノ・トリオのほうが断然魅力的に映ります。ヴォーカルと同様に軽いタッチで聴かせるピアニストと思いますが、とてもよく転がるピアノで聴いていて気持ちがいいです。リズム陣も小気味良くサポートしています。

上記のような経緯からアリソンの作品も結構試してみたのですが、強いて云うとどの作品も同じに聴こえてしまうんですよね。この人のパターンというものがあって「あっ、いつもの通りだ」とあたり前ながら再確認します。でも、それが心地よくてターン・テーブルに載せてしまう自分でもあるのですよ。ヴォーカルはやっぱりあまり好きになれませんが。

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  1. 2009/03/15(日) 23:58:32|
  2. Piano
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#839 Fata Morgana/Friedrich Gulda Live at the Domicile (MPS)

Friedrich Gulda - Fata Morgana

A
1.Sunshine
2.Im Wald
3.Encore

B
1.Fata Morgana : Part 1) Die Wuste, Part 2) Die Oase, Part 3) Tanz

Friedrich Gulda (p→onlyA-1,B-1,el-p→onlyA-2,A-3)
Fritz Pauer (p→onlyA-2,A-3,el-p→onlyA-1,B-1) Klaus Weiss (ds)

Rec-1971



今日もアナログ・レコードを聴いています。

クラシックはどちらかと云うと苦手ですが、クラシックとジャズの両刀使いのアーティストが演るジャズは結構好きです。このアルバムのフリードリッヒ・グルダ然り、もう一人の巨匠ピアニストのアンドレ・プレヴィン然り。ただしジャズの世界で活躍するミュージシャンのクラシック寄りの音楽は苦手だったりします。ピアノのジャック・ルーシェとかオイゲン・キケロとか、リード奏者のジョン・ラポータのクラシック寄りの演奏とか。ウィントン・マルサリスのクラシックでのアプローチのものは関心がありませんが、彼の演るジャズにはやっぱり刺激を受けます。そんな完全ジャズ型人間の当方ですが、いつもの通りそこに理解度が伴わないと云う決定的致命傷を抱えています。目からウロコが落ちるように、ハタと膝を打つようにジャズが解りたいものだと常々思っているのですが、ガキの頃から30年近くも聴いているのにこのザマなので、諦めたほうがいいのかも知れません。

くだらん前置きはこのくらいにして、今日はグルダのMPSに録音されたちょっと変わったドミシルでのライブを聴いてみた。グルダのMPS音源としては5枚組のCD-BOXが出ていたりと復刻が意外と活発で、このアルバムも単体でCD化されていたりしてちょっとビックリしています。いや、個人的には嬉しいことなのですがどのくらいの需要があるのかなぁと漠然と思ったわけです。

それにしてもこの組み合わせは面白いですね。グルダとフリッツ・パウアーのピアノとエレピを聴くことが出来るトリオになります。グルダがピアノであればパウアーがエレピ、またその逆もありと云った編成です。ドラマーには昨年末に66歳で急逝されたクラウス・ヴァイスが務めています。冒頭の曲から時代を感じさせるジャズ・ロックで迫ってきます。パウアーは自身のライブ盤『Live at the Berlin "Jazz Galerie"』(MPS)の一部でもジャズ・ロックを披露していますね。エレピで奏でられるベース・ラインがなんとも微笑ましいです。と思えばA-2はちょっとシリアスな曲調だったり、A-3はノリのよいブギウギ調のアップテンポの曲だったりと変化に富んでいます。そしてB面は組曲になっていて、なんとアヴァンギャルドなアプローチも導入し大胆な展開を繰り広げています。

単純にこの時代特有のサウンドを詰め込んだと云ってしまえばそれまでなのですが、特徴のある編成の妙により面白い世界が創られていて興味深く聴いていました。でもやっぱり実験的な一面が垣間見れるので広く受け入れられるにはなかなか難しいのかなと思っています。

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  1. 2009/03/14(土) 23:58:27|
  2. Piano
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#838 Thelma Gracen (EmArcy)

Thelma Gracen

A
1.I'll Remember April
2.Night and Day
3.I'll Never be the Same
4.Tea for Two
5.I'll Get by
6.Out of Nowhere

B
1.Solitude
2.Just You, Just Me
3.I'm Yours
4.People Will Say We're in Love
5.More Than You Know
6.Let There be Love

Thelma Gracen (vo) George Auld (ts) Quen Anderson (tb)
Berney Kessel (g) Lou Levy (p) Joe Comfoort (bs) Sid Balkin (ds)

Rec-1955



20年以上前に国内盤でリリースされたこのアルバムですが、当時復刻されるにあたり結構な話題となっていた記憶があります。現在は廃盤になっているようですがCDでもリイシューされていたようですね。確か復刻当時はこのアルバムが彼女の唯一の吹き込みであることが強調されていたと思うのですが、やはり他には録音が無かったのでしょうかね。ともあれ久しぶりに古い録音のヴォーカル・アルバムを堪能しています。

二管コンボをバックに従えてセルマ・グレーセンの小気味良い歌唱が楽しめる小品です。ヴォーカル・アルバムですのでイントロや間奏、バックでシンプルなアンサンブルや各自のソロが執り回されている程度ですが、コレがなかなか洒脱なバッキングで心地よく響いてきます。ジョージ・オールドのシンプルながらも深みのあるテナーやクエン・アンダーソンの大らかなトロンボーンが実にゆったりとしていい味を出しており、ヴォーカルのバッキングには理想的なルー・レヴィーのピアノが良く転がっています。ところどころに入ってくるバーニー・ケッセルのギターがいいアクセントになっていて効果的な演出をしています。

セルマ・グレーセンはなかなか雰囲気のあるヴォーカリストですね。いかにも50年代のシンガーと云った歌唱ですがウマいです。ヴァラエティに富んだ12曲で様々な表情を魅せてくれています。若干ハスキーがかった伸びのある声は中音域から高音域にかけてが魅力的ですね。情感豊かなセルマの歌唱がバックのコンボの演奏によってその魅力がさらに増します。当時の事情は判りませんが、このクラスのヴォーカリストでリーダー作が一枚だけと云うのは本当に勿体ない気がします。

以前にも書いたのですが、ヴォーカルの場合はバックがオーケストラやストリングスではなくて、スモール・コンボのほうが好みです。やはりポピュラーではなくジャズらしいサウンドを求める自分がいます。このアルバムはその欲求を満たしてくれる要素が十分に備わっており、久しぶりに50年代のヴォーカルを満喫出来ました。

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  1. 2009/03/13(金) 23:54:52|
  2. Vocal
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#837 2-3-4/Shelly Manne (Impulse)

Shelly Manne - 2-3-4

A
1.Take the "A" Train
2.The Sick of Us
3.Slowly

B
1.Lean on Me
2.Cherokee
3.Me and Some Drums

A-1,A-3,B-2

Shelly Manne (ds) Coleman Hawkins (ts) Hank Jones (p) George Duvivier (b)

A-2,B-1

Shelly Manne (ds) Eddie Costa (p→onlyB-1,vib→onlyA-2) George Duvivier (b)

B-3

Shelly Manne (ds) Coleman Hawkins (p,ts)

Rec-1962



思い出の一枚を久しぶりに聴いてみた。シェリー・マンの多様な編成が楽しめる画期的な作品。タイトルの『2-3-4』は恐らくデュオ、トリオ、カルテットと云う意味なのでしょう。良く知られているナンバーが多いですが、変化に富んだ6曲が収録されています。

昔々の大昔、当方が青二才の学生だった頃から既にジャズ好きでしたが、高校生の頃は当然経済的に自立していないので軍資金は少なく、当時の少ないバイト代をその頃から中古レコードを買うのに使っていました。この時期はジャズの本当の楽しさに目覚めたばかりだったので好奇心も特に旺盛で、ただし沢山レコードが買える訳では無いので専らラジオでジャズのエア・チェックをやっていました。個人的にはAMから流れるジャズが好きで当時はそれなりに番組があったのですが、TBSラジオで日曜深夜にやっていたお気に入りの番組の中でこのアルバムのA-3が流れていてショックを受けました。何とも濃厚で太いテナーが流れてきて、首筋がゾワゾワっとして逆毛立ったことを覚えています。その後に知ったのですがムード・テナーかと思わせるくらいに淫靡に響かせるテナーの主はコールマン・ホーキンス。ホーキンスはジャズ好きの親戚の叔父から既に刷り込まれていましたが、このトラックの印象は認識していた感覚とは少し違ったのでビックリしたのです。このアルバムに入っていることを突き止めすぐに買いに行きました。

聴いてみるとそのトラックとB-2のホーキンスが濃厚で、他で聴かれる2曲ではそれほどの淫靡さには感じられませんでした。そのくらいそこでのホーキンスはネットリとテナーを吹き上げています。かなり斬新な導入から始まるカルテットのA-1は、この曲の概念を変えてくれる面白さを実感します。そういう意味ではB-2もなかなか新鮮です。A-2はエディ・コスタのヴァイヴ+リズムと云うトリオ。B-1はピアノ・トリオ。B-2はカルテットでの演奏。B-3はマンのドラムとホーキンスのピアノ&テナーのデュオと云うちょっと珍しいパターンにも挑んでいます。ホーキンスのピアノはコレ以外の作品でも聴けるのでしょうかね。シェリー・マンは派手さはないものの非常に小気味良く、軽やかに演出してくれるドラマーで、ジョージ・デュヴィヴィエのベースは各トラックで旨味が抽出されています。ハンク・ジョーンズはやっぱり綺麗なピアノを弾きますね。

最近は新譜を含め比較的録音の新しいCD中心で聴いていますが、昔から馴染んでいる作品をたまに取り出して聴いてみるのもいいものですね。何せ既にシッカリと記憶に刷り込まれているのでホッとすると同時に、メロディが口について出てきてしまいます。

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  1. 2009/03/12(木) 23:56:05|
  2. Drums
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#836 Constellations/Dave Douglas' Tiny Bell Trio (hatology-CD)

Dave Douglas -  Constellations

1.Constellations
2.Unhooking the Safety Net
3.Hope Ring True
4.Taking Sides
5.The Gig
6.Scriabin
7.Les Croquants
8.Maquiladora
9.Vanitatus Vanitatum

Dave Douglas (tp) Brad Shepik (g) Jim Black (ds)

Rec-1995



先日の上京で購入したもう一枚はコレ。キズ盤だったけどHatologyのHPでも廃盤扱いになっていたしスルー出来なかったので購入してみました。デイヴ・ダグラスは最近とても気になるアーティスト。それも古い録音のほうが面白いことに気づいたので意識的に買うようにしています。タイニー・ベル・トリオ名義の作品を聴いたのは初めてだったけれどなかなかアグレッシヴな作品でした。

ダグラスのタイニー・ベル・トリオとしては4枚がリリースされているのでしょうか。このアルバムはそのセカンドになるようです。内訳としては初回は1994年作の『Tiny Bell Trio』(Songlines)、続いて本日取り上げたハットロジーの作品、3枚目は1997年の『Live in Europe』(Arabesque)、今のところのラストの4枚目は1999年の『Songs for Wandering Souls』(Winter & Winter)と云うラインナップのようで、各作品でメンバーの変動などは無いようです。しかしそれ以降10年間このグループでの吹き込みが無いということは既に消滅していると考えてよいのでしょうかね。

トランペットにギター、ドラムと云う組み合わせはなかなか新鮮です。特にジム・ブラックがドラマーとして座っていることは当方にとってはとても嬉しいですね。絶対に刺激的なビートを生み出してくれることを確約してくれるのですから。このスリー・ピースはザックリとしたラフさ加減がいい塩梅ですね。極端に過激な手法で押してくるわけではないのですが、荒削りなダグラスのトランペットにブラッド・シェピックの若干のワイルドさを伴ったギターが独特のエキゾチックな旋律で迫ってきます。それを煽るかのように対等に戦うジム・ブラックのドラムはやはりホットで、緊密な三者のバトルが生々しく録られていてかなり興奮出来る内容でした。

ダグラスの初期の音源がなかなか手に入りにくい状態になっているので、今後少しずつでも拾っていければと思っています。CD時代になってからのジャズを取り寄せていて改めて感じるのですが、作品が廃盤になるサイクルが本当に極端に早いですね。近年の作品でも機を逃すとパッタリと音沙汰がなくなりますし、当然のことながら90年代のアルバムの殆どは既に新品では殆ど手に入らない状態です。聴きたくてウズウズするアルバムがゴマンとあるのです。何とかならんのでしょうか。

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  1. 2009/03/11(水) 23:59:26|
  2. Trumpet
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#835 Eternal Balance/Charles Owens Quartet (Fresh Sound New Talent-CD)

Charles Owens - Eternal Balance

1.No Resolution
2.In the Still of the Nigh
3.I Got it Bad
4.Yesterdays
5.Virginia's Song
6.Eternal Balance
7.April in Paris

Charles Owens (ts) Jason Lindner (p) Omer Avital (b) Daniel Freedman (ds)

Rec-1999



好きなレーベルであることと、サイドのメンバーに惹かれて聴いてみたくなったので買ってみた。チャールズ・オーウェンズと云うサックス奏者のことは例によって全く知りません。検索すると同名のアメフトの選手ばかり出てきてしまうので結局わからずじまいでした。彼のリーダー作はコレ以外は無いのでしょうかね。メンバーの中で先ず気になったのはジェイソン・リンドナー。以前買ってみた彼のライブ・アルバム『Live/UK』(Sunnyside)や、リーダーのオーウェンズ以外の3人全員が参加している、アナ・コーエン(Anat Cohen)の『Notes From the Village』(Anzic)を聴いて興味を持っていたので、いずれは他にも色々と手を伸ばしてみようと常々考えていました。リンドナーとは共演の多いオマー・アヴィタルにダニエル・フリードマンと云うリズム陣がこのアルバムにも当て嵌まっているのでやっぱり期待してしまいます。というわけでリーダーを知らなくても手が出てしまったというわけです。ちなみにリンドナーは現在来日中で、チリのヴォーカリスト、クラウディア・アクーニャのグループ・メンバーとしてブルーノート東京で今日(10日)まで、明日(11日)は名古屋ブルーノートで公演があるようです。

このアルバムは先日ダニー・グリセットを観に行った翌日に都内で仕入れてきたのですが、見切り品の扱いなのか新品なのに1000円と云う破格値で、色々と聴き齧ってみたい当方にとってはとても有難いですね。東京に出ると安価でCDが買えるので思わず散在してしまいますが、今回はかなり我慢してコレともう一枚だけで踏みとどまりました。残りの他の一枚は明日取り上げる予定です。

オーウェンズのオリジナルは3曲(1,5,6)のみ。オーウェンズのテナーは軽やかで良く唱うのですが、ちょっとシンプルすぎやしないかと多少のアクが必須な自分には少しもの足らない感じがあります。そういう意味では他の3人も上手く纏めているものの、もう少し+αが欲しいというのが正直な感想になります。ただし彼の書いたオリジナルはなかなか魅力的で、この作品の中では5曲目などが際立っていました。ストレートに奏されるジャズ好きの人には及第点なのかもしれませんが、最近の自分の趣向からするとやっぱりおとなしすぎる感は否めず、もう少し冒険して欲しいなぁという願望が募ります。そもそもがそのようなスタイルのアーティストではなさそうでもあるので、こちら側の無い物ねだりと云ったところなのでしょうか。

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  1. 2009/03/10(火) 17:38:22|
  2. Tenor Sax
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#834 Never More/Daniele Scannapieco (Via Vento Jazz-CD)

Daniele Scannapieco - Never More

1.It Could Happen to Me
2.Never More
3.God Will Provide
4.After the Rain
5.Nose Off
6.Few Words
7.Just an Old Song for Miss Kay
8.Fast Mood
9.Autumn in New York
10....is Good...

Daniele Scannapieco (ts) Fabrizio Bosso (tp→only1,5) Dado Moroni (p)
Ira Coleman (b) Greg Hutchinson (ds)

-B.I.M. Strings Ensemble- (only2,6)
Marcello Sirignano (vin) Antonio Cordici (vin) Roberto Milana (vin)
Antonella Franceschini (vin) Federico Vozzella (vin) Patrizia Pangrazi (vin)
Teresa Ceccato (viola) Silvia Andracchio (viola) Giuseppe Mule (cello)

Rec-2004



今をときめくハイ・ファイヴのメンバー、ダニエレ・スカナピエコの少し前のアルバム。近作の『Lifetime』(Picanto Records)を発売時に取り寄せて聴いてみたのですが、これがなかなか良かったのでこのアルバムも購入してみました。基本はカルテット編成ですが、トランぺッターのファブリツィオ・ボッソも2曲で客演。そしてストリングス入りも2曲収録されています。

おー、ここでのピアノはイタリアの名手、ダド・モロニなんですね。そしてリズムはアイラ・コールマンとグレッグ・ハッチンソンと云うアメリカの精鋭たち。米伊の混成チームのこのグループは、初っ端からストレート・アヘッドな直球ジャズが飛んできます。「スカッとさわやか」などと云う、どこぞのキャッチ・コピーが浮かぶような爽快な演奏。と思えばシットリと叙情的に唱い上げるスカナピエコのテナーが瑞々しい、タイトル曲の2曲目などアルバムの構成上でも変化をつけたコントロールで投げ込んできます。2曲で採用されているストリングスは、軽めに装飾するような比較的アッサリとした感じを受けました。ふっくらとしたスカナピエコのテナーは力強さと云う意味においてはそれほど感じませんが、太めの艶のある音と淀みない軽快な節回しが気持ちよく、アグレッシヴさよりも表現力に重きを置くかのようなプレイに感じられました。2曲のみで参加しているファブリツィオ・ボッソは、さほど全面に出て来ているようには感じられないのですが、流暢に奏されるトランペットはボッソとすぐに解る存在感で、やはり彼が入ると演奏が引き締まりますね。ダド・モロニのピアノもよく唱っていますが、個人的白眉は8曲目のソロ。ガンガン攻めるモロニのピアノが強烈です。

基本的にハイ・ファイブが好きな人には楽しめる内容だと思います。スカナピエコの豊潤なテナーが満喫出来ますが、今現在の自分の趣向からいくと、濃厚で攻撃的なジャズを聴いた後に挟むインターバルとして取り出すような役割になってしまいそうです。もちろん中身は◎なのですが。

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  1. 2009/03/09(月) 23:56:42|
  2. Tenor Sax
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#833 Time Lines/Andrew Hill (Blue Note-CD)

Andrew Hill - Time Lines

1.Malachi
2.Time Lines
3.Ry Round 1
4.For Emilio
5.Whitsuntide
6.Smooth
7.Ry Round 2
8.Malachi (Solo Piano Version)

Andrew Hill (p) Greg Tardy (ts,cl,b-cl) Charles Tolliver (tp)
John Hebert (b) Eric McPherson (ds)

Rec-2005



アンドリュー・ヒルの未発表ものらしき音源が半年ほど前にリリースされていてそれがとても気になっています。それはチコ・ハミルトンとのデュオで1993年に録音された『Dreams Come True』(Joyous Shout)と云うアルバムなのですが、自分自身がこの時期のジャズ全体のムーヴメントに非常に疎い事と、個人的にあまり得意ではないチコ・ハミルトンが90年代の中頃にアンドリュー・ヒルとどのようなデュオを演っているのかにとても興味が湧いてきました。ヒルが1998年にフランスでソロ・ライブを行った時の音源『Les Trinitaires』(Jazz Friends Productions)を聴くことが出来たので、その比較のためにもさらに5年前のこのアルバムが聴いてみたくなったということもあります。そんなことを考えていたら以前から楽しんでいたこのアルバムが今日は無性に聴きたくなったというわけです。

2005年録音のこのアルバムは彼が亡くなられた約一年半ほど前に録音されたクインテットで、米ブルーノートからの復帰第一作としてリリースされた作品でした。自分はヒルの訃報とともにこの作品を取り寄せる形で接したのですが、その時に久しぶりに聴いたアンドリュー・ヒルは60年代に記録されているブルーノートの諸作よりも鋭い刃は影を潜めているものの、超然とした独自の世界は全く薄らぐ事なく屹立していたので嬉しくなったことを思い出します。この世界は真似しようのないヒルそのもののジャズであり、またその際立った個性ゆえに一般的にはなかなか浸透のしにくい世界でもあったことは想像に難くありません。でも一度その魅力に取り憑かれるとなかなか離れられず、媚薬のような常習性を含んでいることも彼の音楽の特徴ではないかと考えます。

コレを最初に聴いた時にも、その良さを実感しつつも到底一聴して内容を理解出来るようなジャズではないことはすぐに解りました。不規則に繰り出されるリードとトランペットのアンサンブルにヒルのピアノが加わると、まさに無敵の世界に引きずり込まれます。何とも形容のし難い温かさと冷たさが同居するその音楽に夢中になってしまいます。固い氷を溶かすつもりで繰り返し繰り返し身をまかせながら接して行くと、徐々に融解していくかのようにヒルの世界の輪郭が見えてくるようなそんな感覚。これがアンドリュー・ヒルと云うアーティストを聴く当方にとっての醍醐味となっています。

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  1. 2009/03/08(日) 23:59:10|
  2. Piano
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#832 Encounters/Danny Grissett (Criss Cross Jazz-CD)

Danny Grissett - Encounters

1.Hopscotch
2.Waltz for Billy
3.A New Beginning
4.Encounters
5.Toy Tune
6.Sunrise
7.It Could Happen to You
8.Never Let Me Go
9.Git!

Danny Grissett (p) Vicente Archer (b) Kendrick Scott (ds)

Rec-2007



最近はフリー・ジャズに舵を切っている感のある当方ですが、もちろんメインストリームのジャズを蔑ろにするつもりはありません。ということで、このアルバムがなかなか良かったので来日中のダニー・グリセットを観に新宿ピット・インまではるばる行ってきました。ピット・インの夜の部を観ると確実に終電に間に合わないので昨晩は投宿です。関係ない話ですが布団を蹴っ飛ばしたようで今日は妙に熱っぽくボーっとしています。グリセットの今晩の公演先は甲府のKIPSというところでプレイしていたようですね。ちなみに東京では今度の14日(土)に南青山のBody & Soulでもう一度公演があるようですのでまだ観れるチャンスがありますよ。

そもそも今日取り上げたこのアルバムは昨年に新譜予約の形で注文していたのですが、いつまで経っても手元に来ずに落手するのが遅かったことを思い出しました。このレーベル(クリスクロス)はいつも入荷が遅くて往生させられるのですが、先月リリース扱いの初春の新譜4枚は、そのうちの3枚がすでに届いているので今回はまずまず予定通りと云ったところでしょうか。

このアルバムで初めてダニー・グリセットと云うピアニストを体験したのですが、この作品は彼のセカンド・アルバムで、デビュー作は同レーベルで2005年に録音された『Promise』と云う作品です。セカンドを聴いた感想としてはクールな肌触りが凛とした空気感を保っていて、テクニカルながらも派手さを感じさせず楽曲も自身のオリジナルを中心に据えており、甘さを極力排除した現代的なピアノ・トリオで二度三度と聴くごとに深みの増してくる滋味深い作品でした。

今回の来日メンバーはこの作品の主役とベーシストは一緒で、ドラマーにマーカス・ギルモアを加えたトリオでした。BQE Trio (Brooklyn Queens Expressway Trio)と銘打ってのグループです。グリセットはもちろんなのですが、2007年のロバート・グラスパーの来日ステージ以来のヴィセンテ・アーチャー体験が嬉しい。マーカス・ギルモアは御大ロイ・ヘインズのお孫さんだそうな。そして日本のトランペットの第一人者、原朋直さんを数曲ゲストに迎えての演奏でした。

スタンダード・ナンバーや自身のこの作品(5曲目や6曲目など)から、またフレディ・ハバードのトラックなども交えてタップリと満喫出来ました。CDを聴いた印象と劇的な変化はありませんでしたが、グリセットのピアノがかなりアグレッシヴに攻める場面もあって、それはなかなか連想させなかったことでしたのでかなり興味深く聴いていました。個人的にはヴィセンテのベース・ソロがタップリ堪能出来たことがとても良かったです。マーカスのドラムもなかなかスリリングで、原さんの鋭く切れ込むトランペットが入ると空気が一変します。若々しくてやはり凛としたキレのあるサウンドをタップリと浴びてくることが出来てとても有意義な空間でした。やっぱりライブは良いですね。

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  1. 2009/03/07(土) 23:58:33|
  2. Piano
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#831 The Far Side/Tony Reedus (Evidence-CD)

Tony Reedus - The Far Side

1.The Far Side
2.Song of Gideon
3.Never Let Me Go
4.You and the Night and the Music
5.I Just Can't Stop Loving You
6.On Green Dolphin Street
7.The Stumbling Block
8.Summer Night
9.The End of a Love Affair
10.Calvary

Tony Reedus (ds) Mulgrew Miller (p) Charnett Moffett (b)
Bill Evans (ts,ss→only1,2,5,7)

Rec-1988



ジャケットに写っている彼の風貌、スキンヘッドにグラサンに髭と云う強面を眺めていて、ジャズ・ドラマーには何故かこのパターンが多いような気がしてしまいました。いや、単なる思い込みだけで根拠なんか無いんですが、なんとなくそんなふうに感じたのですよ。で、気になってしまったので引っ張ってみようと思いました。はい、購入する動機はサマザマです。こういった思いつきでしょっちゅうCDを買っています。殆ど適当なモンです。しかしバックのデザインは何なのでしょうかね。ガラスが割れたようなイメージ?光が差し込んできたようなイメージ?

主役のドラマー、トニー・リーダスのことは例によって全く知りません。困った時の"Wiki"頼みで調べてみると、アメリカのWikiでは彼自身の記事がありませんでした。もう少し調べるとドイツのWikiで引っかかってきました。1959年メンフィス生まれ云々。ドイツ語はお手上げなので色々と検索していると、ベーシストの北川潔さんのブログで昨年(2008年)の11月17日、49歳と云う若さでトニーは夭逝されていたという事実を知ってしまいました。

この作品は1989年にJazzCityと云うレーベルからリリースされたオリジナルをリイシューしたもののようです。それによって上掲のイカついジャケに改変されたようですね。オリジナルのデザインは下掲のもののようです。全然イメージが違いますが、個人的には濃ゆいリイシューのジャケットのほうが好きですね。

Tony Reedus - The Far Side (Original)

さてこのアルバム、なかなか気に入っています。オーソドックスなアプローチながらも演奏にメリハリが効いていてうまく纏まっていると思います。トニーのオリジナルは冒頭のタイトル曲のみで、他はよく知られた曲を中心に編まれています。5曲目にマイケル・ジャクソンのナンバーを取り上げているのはご愛嬌ですね。

ピアノ・トリオにビル・エヴァンスのサックスが客演(4曲)と云ったシチュエーションと捉えてよいのでしょうか。存在を認識しながらもエヴァンスのサックスを殆ど聴いたことがなかったのですが、結構アグレッシヴなプレイもする人なんですね。冒頭のタイトル曲などはスピーディーに疾走する辛口のナンバーなのですが、各々の見せ所がタップリ詰まっていてカッコいいです。マルグリュー・ミラーのピアノはパワフルで煽るようなテクニックで迫り、チャーネット・モフェットの重心の低いベースがサウンドに厚みを持たせます。トニーのドラムは手数が比較的多めな印象で、シンバルがとても効果的に使われていることに気分が高揚してしまいます。多少中だるみする部分も本音を言ってしまうと感じられるのですが、全体的にはキリッと引き締まっていて爽快感の残る演奏になっていました。彼のこれからの演奏を聴くことが叶わないのは大変残念なことです。

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  1. 2009/03/06(金) 16:19:03|
  2. Drums
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#830 Song Out of My Trees/Henry Threadgill (Black Saint-CD)

Henry Threadgill - Song Out of My Trees

1.Gateway
2.Over the River Club
3.Grief
4.Crea
5.Song Out of My Trees

1

Henry Threadgill (as) Ted Daniel (tp) Brandon Ross (g) Jerome Harris (b)
Gene Lake (ds)

2

Brandon Ross (alto-g) James Emery (soprano-g) Ed Cherry (g)
Jerome Harris (bass-g) Myra Melford (p)

3

Henry Threadgill (as) Tony Cedrus (accordion) Amina Claudine Myers (harpsicord)
Diedre Murray (cello) Michelle Kinney (cello) Mossa Bildner (voice)

4

Ted Daniel (hunting horns) Brandon Ross (alto-g) James Emery (soprano-g)
Ed cherry (g) Jerome Harris (bass-g)

5

Henry Threadgill (as) Ed Cherry (g) Amina Claudine Myers (org)
Reggie Nicholson (ds)

Rec-1993



とても気になるヘンリー・スレッギルと云うアーティストのアルバムを買ってみた。当方にとって初めて聴くミュージシャンです。彼も昨日取り上げたフレッド・アンダーソン同様シカゴのミュージシャンなのですね。彼のアルバムはそこそこタイトル数があるのですが今は大部分が入手困難なようで、参加しているグループ『Air』(エアー)の数作とごく一部のリーダー作くらいしか流通していないようです。なのでたまたま入手出来たのがこの作品と云っただけで、この作品に特に思い入れがあったわけではありません。

何せ全くわからない未知のプレーヤーで予備知識を入れようにも日本語で読める適当なサイトや書物を見つけられず往生しています。しかも購入してから気がついたのですが、彼の参加していない曲が2曲(2,4)もあるのでどういうことなのか「?」が出てきます。米Wikiでのディスコでそのことが確認出来るのですが、なにか独特な位置づけにあるアルバムのような感じがしますね。そこのところはライナーの英語と格闘しなければならないのでしょうが、英語アレルギーの当方には読む前から既にお手上げ状態です。演奏されている楽器もなんとも個性的なセレクトで、すんなりと入ってくるかどうか心配でもあります。

通して聴いてみて解ったことは、スレッギルのアルトを堪能するのには足らない内容であったということ。いや、アルバムの出来ということではなくて楽器での出番が少なすぎるので演奏に関しては参考にしにくいですねぇ。ただし存在感のあるパワフルで熱いアルトでのプレイの片鱗が3曲目辺りで確認出来たので、彼のセクステットでの作品などで確認したくなってきます。それとこのアルバムは彼にとってコンポーザーとしての役割が大きかったということは聴いてみて理解出来ました。

1曲目はブランドン・ロスのギターのインパクトが高く、浮遊感を伴ったサウンドが印象的です。2曲目や4曲目などはギター・アンサンブルが耳を惹きますね。スーパー・ギター・トリオ(アル・ディ・メオラ&パコ・デ・ルシア&ジョン・マクラフリン)のような風合いやバロック的な雰囲気も魅せながら、マイラ・メルフォードのゴツい解釈のピアノやテッド・ダニエルのハンティング・ホーンの取り合わせがなかなか斬新です。3曲目は掻き毟られるチェロと民族的なヴォイスがエキゾチックに絡み、アコーディオンやハープシコードが牧歌的な雰囲気を醸し出しています。ラストの5曲目はオルガンとギターが主導権を握っていますが、この作品の中では一番ジャズらしい演奏になっているような気がします。

というわけで初めてのスレッギル体験はどうやら不完全燃焼に終わったようですが、作品の内容としては異質ながらも結構楽しめたようです。どの辺りの作品が彼の本質を射抜いたアルバムなのでしょうかねぇ。今後も試行錯誤が続きます。

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  1. 2009/03/05(木) 23:29:58|
  2. Alto Sax
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#829 On the Run - Live at the Velvet Lounge/Fred Anderson (Delmark-CD)

Fred Anderson - On the Run

1.Ladies in Love
2.On the Run
3.Smooth Velvet
4.Tatsu's Groove
5.Hamid's on Fire

Fred Anderson (ts) Tatsu Aoki 青木達幸 (b) Hamid Drake (ds)

Rec-2000



ベテランのサックス奏者、フレッド・アンダーソンのアルバムを初めて聴いてみた。なるほど彼はシカゴのプレイヤーだったんですね。地元のジャズ&ブルースのレーベルであるデルマークからのリリースは熱気溢れるサックス・トリオで、コレは自身が経営するハコでのライブ録音。シカゴ在住の日本人ベーシストであるタツ青木と、やはりシカゴの重鎮ドラマーのハミッド・ドレイクと云う強力な布陣で、録音時71歳と云う年齢ながらそんなことを微塵も感じさせないくらいに御大のブロウが強烈で、刺激的でイカした内容でした。

全5曲の内容は全てが3人のオリジナルで、1曲目のテナー・ソロが4分半ほどですがトリオで演奏される残りの4曲は全てが10分を超える長尺のナンバーになります。2曲目が16分、3,4曲目が19分前後と云うライブならではの熱いプレイが聴かれます。それにしてもタフガイ翁、フレッドのパワフルなテナーが艶っぽく響き興奮しまくりです。いやぁ素晴らしい。フリー・ジャズにカテゴライズされるミュージシャンでしょうが、この演奏からはいわゆるフリーキー・トーンであるとか解り易い特性を持った演奏ではなく、自由度は高いながらも至ってナチュラルにテナーを吹き鳴らしており、ゴツいリズムの上で踊りまくるかのようなフレッドのテナーは、湯水のように止めどなくフレーズが溢れ出してきてドップリとその世界に没入してしまいます。何せ彼の演奏を聴くのは初めてですので常にこのような演奏スタイルであるのかは判りませんが、必要以上にリキまず、でも矢継ぎばやに旋律が繰り出されるサマは聴いていて惹き込まれます。自分にとってはかなり好みのタイプの演奏です。

御大の活躍に負けじとリズム陣も強靭。各自のソロもタップリと執られており活き活きとした迫力のあるプレイは相互効果によって高みに達しています。特にハミッド・ドレイクのドラムのパワフルさは強烈で、ケツを蹴り上げるかのようなアッパービートが堪らなくノックアウトさせられます。青木のベースもゴツゴツとした質感が素晴らしく、ウネリを伴ってハミッドのドラムと絡み合いながら迫ってきます。

フレッド・アンダーソンはキャリアの割には地元以外で注目されたのが遅かったのだそうですが、やはりローカルで活動しているとそのようになってしまうのでしょうかね。そういう意味合いからなのかアルバムの数は近年のほうが多かったりするようです。この作品によって当方は俄然興味を持ち始めた状態です。以後色々と試してみようと思っています。

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  1. 2009/03/04(水) 23:59:45|
  2. Tenor Sax
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#828 Sound of Feelings/Joachim Kuhn (BYG)

Joachim Kuhn - Sounds of Feelings

A
1.Shadows, Wherever We Turn
2.Scandal
3.Wester Meaning
4.Gaby Love

B
1.El Dorado
2.In the Middle of the Way
3.Wellcome

Joachim Kuhn (p,as,shenai,fl,tambourine,bells) J.F. Jenny-Clark (b,fl,bells)
Aldo Romano (ds,fl,tambourine,bells)

Rec-1969



昨日のスティーヴ・キューンの記事で触れたヨアヒム・キューンが聴きたくなったので今日はアクチュエル・シリーズのコレを。名前と同様にならないのは当然ですが、同じピアニストでありながら抱かせる印象はかなり違います。この時代のヨーロッパのフリー・ジャズに共通する過激でシリアスなサウンドにポップで解り易いジャズ・ロック的手法を交互に繰り出すサマはかなり異質です。トリオ編成でありながらも各々が多種の楽器を操り、カオス渦巻くサウンドはおどろおどろしさすら漂う場面があります。ヨアヒム・キューンが残した数あるアルバムの中で、この時期の作品しか知らない当方にとっては、彼の創出するサウンドはとっつきにくいイメージで、かといって苦手だと云うほどのものでもなく聴くたびに首を傾げてしまう困った過去があります。ただし今はフリー・ジャズに積極的であるので印象も違ってくるはずだと思ってこの作品に挑んでみました。

ヨアヒム・キューンを聴くにあたり、このアルバムと同時期のもう一枚『Paris is Wonderful』(BYG)も試してみましたが、後者の作品はギター入りの曲を含んだりツイン・ドラムであったりと3曲のみの収録ですがなかなかヴァラエティに富んでいます。こちらの作品は見た目はピアノ・トリオですが、実際にはヨアヒムはアルトやフルートなどのリードとピアノ&パーカッションの類いの両刀使いであるので印象にかなり変化がつきます。そしてそのアルトの取り回しが凄まじい。取り憑かれたように暴走するA-3のヨアヒムのアルトは鬼気迫るインパクトに満ち溢れた咆哮で、弛緩した状態で接すると度肝を抜かれるものがあります。ただし前述したようにアブストラクトに爆発したかと思えば、タテノリのビートに妙に印象的なピアノの旋律をのせたりするので一筋縄にはいきません。この緩急がこのアルバムの肝なのでしょうがコレを聴いた当初はそれほど楽しめるのもではありませんでした。今コレを冷静に聴くとメロディが際立っている曲が大半で、またそれが好い曲であるので意外に楽しめています。個人的にはヨアヒムよりも思い入れがあるジャン・フランソワ・ジェニー・クラークとアルド・ロマーノのリズム陣の活躍も嬉しく、特にジェニー・クラークのベースは輪郭がクッキリと浮かび上がっていてゴリっとしたサウンドが最高です。

確実に聴き手を選ぶ作品でしょうが、ここのところのフリー漬けでコレにもかなり近づくことが出来たような気がしています。でもアヴァンギャルドに迫ったりジャズ・ロックで煽ってみたりと、敷居が高いのか低いのか判断の難しいアルバムです。この時代が生んだ作品と言ったら安直でしょうかね。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/03/03(火) 23:57:18|
  2. Piano
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#827 Live in New York/Steve Kuhn (Cobblestone)

Steve Kuhn - Live in New York

A
1.Gloria
2.The Child is Gone
3.The Real Guitarist (in the House)
4.The Saga of Harrison Crabfeathers

B
1.Chicken Feathers
2.Ida Lupino
3.Raindrops, Raindrops
4.Thoughts of a Gentleman

Steve Kuhn (p,el-p) George Mraz (b) Bruce Ditmas (ds) Sue Evans (perc)

Rec-1972



現在も活躍中のスティーヴ・キューン。例によって比較的新しい録音であるブルーノートのライブやヴィーナスの諸作、ECMやレザヴォアなどに吹き込まれたものは殆ど聴けていません。聴くことが出来たのはヴィーナスの『Temptation』1枚くらいでしょうかね。ですから自分の知っているキューンは今のところ1960~70年代に限られてきます。その中でもあまり取り上げられることの少ないこの作品を聴いてみました。

A-1とB-2以外の6曲がキューンのオリジナル。時代を思わせるサウンドに気をとられてしまいます。このライブでのスティーブ・キューンはピアノとエレピを両刀で駆使していますが比率としてはエレピの方が多く感じられます。4ビートに固執しない柔軟なサウンドは70年代初頭のジャズでは主流でしたね。ブルース・ディトマスのドラムからそのようなことをイメージします。でも立ち位置はジャズに置かれておりフュージョン寄りのようなサウンドではありません。キューンの作風に散見される感傷的なメロディを持つナンバーや、これまたこの時期の彼には見受けられるフリーににじり寄った解釈なども垣間見え、音がエレクトリックにシフトしてもキューンそのものであることを実感します。でも個人的には1968年の『Watch What Happens』(MPS)が一番好きなのですが。クレジットにはありませんが、2曲(A-4,B-4)で短めのヴォーカルを披露しているのはキューン自身でしょうか。前年録音の『Steve Kuhn』(Buddah)でも歌っているようですし。

キューンと云えば、ジャズを聴き始めた当初にスティーヴとヨアヒムとロルフと云う3人のキューンがいたので、何も知らなかった当方は3兄弟なのかと考えたことを思い出します。実際のところはスティーヴ・キューンはドイツ系のアメリカ人で、ロルフ(兄・クラリネット&アルトなど)とヨアヒム(弟・ピアノ)がドイツ人でこちらが兄弟なんですよね。ロルフ&ヨアヒム兄弟は主にフリー畑で活躍していたことは当時の音源で知っているのですが、やはりその後の作品が聴けていないのでどのような変遷を辿っているのか気になるところです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/03/02(月) 23:56:38|
  2. Piano
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ぬどい

Author:ぬどい

タイトル通りのブログです。聴くジャズに垣根をつくらずがモットーです。駄耳の持ち主ですがジャズが好きで連日湯水を浴びるが如く聴き続けています。しかし自分の耳は全く向上しません。近年ジャズに戻って来たためここ10数年のアーティスト&作品には非常に疎く探求中です。今までに所有してきたレコードの聴き直しと新たなる発見を求めて購入したCDの感想を備忘録を兼ねて更新しております。ど素人が主観のみで書いているログですので当然ココではお勉強は出来ません。検証は他所でやって戴いたほうが確実かと思いますのでその旨ご了承願います。(ただ今さぼりモード突入中)


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