イカれた駄耳にジャズの洪水

今宵も円盤漬け・・・     since 23rd Oct. 2006

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

#881 Life/David 'Fathead' Newman (HighNote-CD)

David 'Fathead' Newman - Life

1.Girl Talk
2.Life
3.Alfie
4.I Can't Get Started
5.Old Folks
6.Autumn in New York
7.Come Sunday
8.What a Wonderful World
9.Naima

David 'Fathead' Newman (ts,as,fl) Steve Nelson (vib) David Leonhardt (p)
Peter Bernstein (g) John Menegon (b) Yoron Israel (ds)

Rec-2006



まもなくファットヘッドの遺作となるアルバムが発売になるようです。『Diamond Head』(HighNote)からそれほどブランクなくリリースされる本作のタイトルは『Blessing』(HighNote)で、全9曲が収められています。なるほど"The Blessing"もラストに収録されているんですね。この作品は彼が亡くなられた約一ヶ月前の昨年末に録音されたようです。メンバーは今日取り上げたアルバムと全く同様のセクステット。ただし、このアルバムで聴かれるアルトは使用せず、また時折演奏するソプラノも使われておらず、新作はテナーとフルートのみだそうです。突如逝ってしまったファットヘッドの最後の作品もこのアルバムのように優しい気持ちになるような柔らかな出来なのでしょうか。まさにタイトル通りのような神からの贈り物に、仏教徒の当方も早速手配させて頂きました。

2006年のこのアルバムには自作曲の収録はなく、エリントンやコルトレーン、盟友であった故ジョン・ヒックスなどの曲や、ニール・ヘフティやバート・バカラックといった多彩な選曲で楽しませてくれます。タイトルを見るとサッチモのノドが即座に浮かんでくる8曲目など、馴染み深いナンバーのオン・パレードですね。

深みがあり艶っぽいファットヘッドのテナーがムーディーに迫り、優雅に飛翔するフルートも堪らなく魅力的ですね。瀟酒なスティーヴ・ネルソンのヴァイヴが温もりのある響きを持ってファットヘッドのリードに寄り添ってきます。ブライアン・キャロットなどの奏者も参加していましたが、彼の作品にはヴィヴラフォンは個人的に必要不可欠な楽器だと感じています。デヴィッド・レオンハートのピアノは端正で瑞々しく、ピーター・バーンスタインのギターはふっくらとした彩りを与えています。リズムの献身的なサポートも好感が持てますね。

レイ・チャールズの元で培われた彼のゆったりとした大らかな作風は、ここのところ刺激的なものを立て続けに求めている当方にとってはとても甘く優しく響き、尖った凸凹を丸く削り取ってくれるドクターのように懐が深いです。聴後にほんのりと温かくなる滋味深い作品でした。
スポンサーサイト

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/30(木) 23:24:51|
  2. Tenor Sax
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

#880 Live at the Velvet Lounge/The Fred Anderson Trio (Okka Disk-CD)

Fred Anderson - Live at the Velvet Lounge

1.Straight, But not Straight
2.To Those Who Know
3.Multidimensional Reality

Fred Anderson (ts) Peter Kowald (b) Hamid Drake (perc)

Rec-1998



いいなぁ、フレッド・アンダーソン。渋い、ゴツい、太い、男くさい。

シカゴの重鎮とも云われる彼は今年で既に80歳。この作品は御年69歳の頃の記録で、自身のライブハウス「ヴェルヴェット・ラウンジ」での収録になります。彼には似たようなタイトルのアルバムがあって、それはこの作品から2年後の同じハコでの記録である『On the Run - Live at the Velvet Lounge』(Delmark)というアルバムです。どちらの作品もムンムンとした熱気が捉えられており最高です。数多ある作品のうちまだまだ数枚のアルバムしか聴けていない状態ですが、フレッド・アンダーソンというミュージシャン自身を個人的にはかなり贔屓にしています。この作品も期待に違わぬカッコ良さでした。

フリーにカテゴライズされるであろうアーティストらしく、ここでは長尺の3曲で勝負しています。1曲目は33分強、2曲目は12分弱、3曲目は29分弱の白熱した濃厚なライブです。全編に亘っていつものエモーショナルなフレッドのテナーが力強く主張しており、速射砲のように繰り出されるフレーズに彼の神髄を見出します。既に鬼籍に入られたフリー・ジャズ界の名ベーシストであるペーター・コワルドの重々しくもシビレル旋律は、熱き即興ジャズの醍醐味に溢れた唸りを有しています。そしてどんな時もワクワクさせてくれるハミッド・ドレイクのリズムがやっぱり素晴らしい。こちらの気持ちを鼓舞させてくれるスリリングなリズムはスネアであってもパーカッションであっても変わりなく、キレ味の鋭さを伴って迫ってきます。

フレッド・アンダーソンはどちらかと云えば輪郭が見えやすい演奏で、フリー初心者の当方にとってはとてもとっつき易くて、なおかつ興奮ももたらしてくれる貴重なアーティストです。ちなみにこのアルバムのライナーをケン・ヴァンダーマークが担当しています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/28(火) 23:59:20|
  2. Tenor Sax
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#879 Stereo Society/Markus Schieferdecker (Jazz4ever-CD)

Markus Schieferdecker - Stereo Society

1.Rockgarden
2.Da Super Peuk
3.W.Y.A.B.O.R.
4.500 Euro
5.Stereo Society

-Garden of Childhood (Suite)-
6.Part I
7.Heimos
8.Part II
9.Badstrasse III

10.Rudi

Markus Schieferdecker (b) Lutz Hafner (ts) Rudi Mahall (b-cl)
Kevin Hays (p) Bill Stewart (ds)

Rec-2007



読めない。いかにもドイツ人らしい名前ですねぇ。シーファーデッカーでしょうか。彼はアルバート・マンゲルスドルフのところでベースを弾いていたようですね。マンゲルスドルフの作品は60年代と70年代のごく一部のアルバムしか聴けていなかったので彼の名前は初めて知りました。流れで調べていたらマンゲルスドルフが既に2005年に亡くなられていたことを確認してしまいました。あの個性的なトロンボーンは残された記録でしか楽しめないのですね。これからマンゲルスドルフを新たに開拓しようかしらん?

彼のこの作品はリーダー作としては初めての作品になるようですね。なかなか骨っぽく男らしいサウンドで繰り返し聴くに堪えうる好盤でした。五人のクレジットがありますが曲によって微妙に編成が異なるようです。またホーンにバスクラが加わっているところが個性的ですね。中盤から後半にかけて組曲が配されていますが、アルバムの流れを一変させるようなものではなく統一感のある作品であると思いました。動きのある惹き付けられる演奏が多い中、シットリと聴かせる3曲目のような静謐なナンバーも奏されており、エネルギッシュというよりも一貫した渋いダンディズムを感じさせるようなプレイが凛々しくてカッコいいです。

ゴツゴツした質感のベースがビル・スチュワートの軽快なリズムに絡むサマはなかなかスリリングであり、ボトムがカッチリ決まっていると演奏も引き締まってきますね。ケヴィン・ヘイズのピアノも青白く光った渋いプレイを披露しており、熱感が少ないながらも意識を喚起させる威力がある音を発しています。癖のある印象的なメロディを執り回すテナーとバスクラの色付けによって、この作品がさらに個性ある一品に仕上がっていることに貢献していますね。

ちなみにこのアルバムのライナーをリー・コニッツが一筆添えているのですが、それをさもありなんと感じさせてしまうような内容でした。なかなか面白かったです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/27(月) 23:55:36|
  2. Bass
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#878 Hobo Flats/Jimmy Smith (Verve)

Jimmy Smith - Hobo Flats

A
1.Hobo Flats
2.Blueberry Hill
3.Walk Right in
4.Trouble in Mind

B
1.The Preacher
2.Meditation
3.I Can't Stop Loving You

A-2~A-4,B-2

Jimmy Smith (org) Joe Newman (tp) Ernie Royal (tp) Clark Terry (tp)
Jimmy Cleveland (tb) Urbie Green (tb) Quentin Jackson (tb)
George Dorsey (as) Phil Woods (as) Al Cohn (ts) Zoot Sims (ts)
Milt Hinton (b) Jimmy Johnson (ds) Oliver Nelson (arr.,cond)

A-1,B-1,B-3

Jimmy Smith (org) Joe Newman (tp) Ernie Royal (tp) Clark Terry (tp)
Jimmy Cleveland (tb) Urbie Green (tb) Quentin Jackson (tb)
George Dorsey (as) Phil Woods (as) Al Cohn (ts) Zoot Sims (ts)
George Duvivier (b) Bill Rodriguez (ds) Oliver Nelson (arr.,cond)

Rec-1963



個人的に殆ど聴くことのないアルバムを敢えて聴いてみることにした。ヴァーヴのゴージャスなオーケストラが施されたクリード・テイラーのプロデュース作。この類いの作品を結構多く所有しているのですが、今となっては滅多に手に取ることがありません。このアルバムのコンダクター&アレンジャーはオリヴァー・ネルソン。聴く前から音が想像出来ますが、ジミー・スミスの黒いオルガンがどのように絡んでいるのか確かめるつもりでかけてみます。いや、恥ずかしながら殆ど内容を覚えていないのです。そういうレコードがかなりあるので少しずつでも自分のものにしようと画策中です。

聴いてみると思いのほか楽しむことが出来ました。シットリ路線でやられると自分の興味を持続させることが困難になるのですが、ここはジミー・スミスと云う稀代のエンターテイナーが主役であったことが功を奏したようです。華美な装飾(敢えてこう書く)は自分の趣味ではないのですが、これはなかなか宜しいんじゃないでしょうか。何せジミー・スミスがオーケストラに埋もれる訳がありませんのでシッカリと彼の味が滲み出ていて良い雰囲気です。とっても楽しく仕上がっています。ふと目をやれば贅沢なメンバーが揃っていますなぁ。いやぁこれはソロも聴いてみたいぞ、と無い物ねだりが出てくる始末。ジョー・ニューマンにクラーク・テリー、アービー・グリーンもいるではないか。そしてフィル・ウッズにアル&ズートまで。変な方向に関心が行ってしまいました。

とかなんとか言っていたら、BSフジで放送されるブルーノート東京でのハンク・ジョーンズのライヴ映像が始まったのでコッチに集中します。ではごきげんよう。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/25(土) 23:41:27|
  2. Organ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#877 The Thing Action Jazz (Smalltown Superjazzz-CD)

The Thing - Action Jazz

1.Sounds Like a Sandwich
2.Chiasma
3.Broken Shadows
4.Ride the Sky
5.Better Living...
6.Danny's Dream
7.The Nut / The Light
8....Through BBQ
9.Strayhorn

-The Thing-

Mats Gustafsson (grafton plastic alto,bs,slide-sax)
Ingebrigt Haker Flaten (double-b) Paal Nilssen-Love (ds,perc)

Rec-2005



「静」のフラーテンを聴いたら「動」のフラーテンが聴きたくなったのでコレを。何時聴いてもインパクト抜群で思わず吹き出してしまう"The Thing"の濃厚な一撃を今日は食らわされています。

これはもはやパンク・ロックではないのかと思わせるくらいに強烈な冒頭の「サウンズ・ライク・ア・サンドウィッチ」の激しさ。この曲の主であるCato Salsa Experience(カトー・サルサ・エクスペリエンス)のことは全く知らなかったのですが、どうやらノルウェーの4人組のグループのようですね。位置づけとしてはオルタナティブ・ロックにカテゴライズされているようです。iTunesに入っているカトーの同曲を聴いてみるとやはり激しくブチ切れたサウンドが飛び出してきました。しかもよーく見ればコレも"The Thing"との共演ではないですか!もっと言えばジョー・マクフィー(Joe McPhee)まで参加してるし。いやぁ自分の知らんところで彼らはいろんなこと演っていたんですね。マッツ・グスタフソンの変態バリトン・サックスがアホみたいに暴れ回っているのでこちらも呆気にとられてしまいます。と思えば、2曲目になんと山下洋輔の「キアズマ」まで演奏されているではないか。一転して、どフリーでガンガン攻めてきます。マッツの咆哮にキレまくるニルセン・ラヴのドラムが猛烈です。彼らの場合は3曲目のような渋い演奏も突如現れるので油断がならんですな。4曲目のカッコ良さはどうよ、と云わんばかりのダイナミックなプレイ。ニルセン・ラヴが相変わらず凄いことになっています。5,6と怒濤の攻撃を続けて受けまくりこちらの戦闘能力も低下、グロッキー状態です。しかし6曲目のラーシュ・ガリンの曲がこのようになってしまうとは・・・。7曲目のメドレーのラッシュも凄いですな。演奏の合間にいちいち発される気合いの入った声に撃ち抜かれます。以後の曲もやっぱり食らわされまくって抜け殻に。

しかしながらこのパワーは何処から来るのか。何が彼らをここまで衝き動かすのか。凡庸な白子脳には理解不能です。ヘラヘラと笑いながら音塊に為すすべなく平伏してしまうのです。でも自分にとって彼らのジャズは固着した概念を叩き壊すのに必要な音楽なんだよなぁ、と改めて思ってしまいます。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/24(金) 23:48:24|
  2. Combo
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#876 Elise/Ingebrigt Haker Flaten, Hakon Kornstad (Compunctio-CD)

Elise - Ingebrigt Faker Flaten, Hakon Kornstad

1.Ak, Mon Jeg Staar i Naade (Performed by Elise Flaten)
2.Ak, Mon Jeg Staar i Naade
3.Paa Hinside Orken
4.Etter Elise
5.Death and the Flower
6.Dagen Viger og Gaar Bort
7.Skulde Jeg Min Gud ei Prise
8.For Himmerigs Land Maa Man Kjempe

Ingebrigt Haker Flaten (double-b) Hakon Kornstad (ts,fl)

Rec-2008



自分にとってはそれなりにハードルが高いと認識していた上で、それでもとぉーっても気になっていたアルバム。時間がかかったけれど何とか落手出来ました。新譜であるのになぜこんなに気を揉まないといけないのか。他にもオーダーのタイミングで聴けていない新譜が沢山あります。

インゲブリクト・ホーケル・フラーテンとホーコン・コーンスタのデュオ・アルバム。予備知識は既に入っていて、スウェーデンのリンチェピングと云うところにあるお城の中で録音した作品ということ。一曲目の導入にフラーテンのおばぁちゃんが歌っている賛美歌を収録していること。かの地のトラッド集になっていること等々(5曲目にキース・ジャレットの名曲が入っていますが)。なかなかゴージャズな体裁のボックス・ケースに収納されているなぁ、と思ったら内側はわりと簡易的な作りなので拍子抜けしました。それでもブックレット等が封入されていて、この作品に相当のこだわりがあることが窺えます。

今までどちらかと云えば激しいプレイのフラーテンのベースばかり体験してきた当方にとっては、この組み合わせとコンセプトはちょっとした冒険です。それとコーンスタのサックスは自分にとっては入り込みにくいアルバムも過去にあったので、果たしてコレはどうなのかと云う不安も伴います。そもそも相変わらずの激しいもの好きであることに変わりはないですので。

到着してから繰り返し繰り返し聴いていますが自分の思ったほどに抵抗はなく、それよりもかなり興味深く聴けています。コンセプチュアルなアルバムですので独自な世界観が漂っていて、高尚なものは当方の愚脳では計りきれない場合が多いのですが、この深みのある音楽にはそういった次元で物事を判断させない静かなる力強さが備わっているのかもしれません。

コーンスタの説得力のあるサックスに、最小限の彩りを与えるフラーテンのベース。彼らの意とするところを汲み取れているのかどうか心許ないですが、ジックリと向き合って聴いています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/23(木) 23:59:30|
  2. Bass
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#875 Alone Together/Tim Hagans (Pirouet-CD)

Tim Hagans - Alone Together

1.See You Again
2.Not Even the Rain
3.Sweet Peace Tree
4.Over and Back
5.You Don't Know What Love is
6.Alone Together
7.Stella by Starlight

Tim Hagans (tp) Marc Copland (p) Drew Gress (b) Jochen Ruckert (ds)

Rec-2006



在庫があったことと、iTunesのMP3で音を確認するとなかなかストレート・アヘッドな演奏が聴かれたので取り寄せてみることにしました。このトランぺッターを聴くのもご多分に漏れず当方にとっては初めてのことです。もちろん名前はあちこちで散見していたので以前から知っていました。でも名前の読み方が怪しいので調べてみました。で、ますます判らなくなりました。ティム・ヘイゲンス?ヘイガンス?語尾は濁るの?どの組み合わせで検索してもほぼ均等の数がヒットします。そもそもカタカナで表記すること自体に無理があることは過去に幾度も経験があるので重々承知していますが、出来るだけ近いニュアンスの発音を知っておきたいなぁ、といつもの欲求が頭によぎります。

彼のHPでディスコを調べてみると、録音は1980年代初頭からあるようですのでキャリアは30年以上ということになるのでしょうか。1954年4月19日生まれとのことなのでつい先日に55歳になったばかりですね。このレーベルではお馴染みのマーク・コープランドがピアノで参加しています。そしてベースのドリュー・グレスにドラムのヨーヘン・ルッカートと云う布陣。

コープランドの4曲(1,2,3,4)とよく知られた3曲を合わせて計7曲。凛とした世界観を創造したなかなかの好アルバムだと思いました。真摯に奏されるトランペットは奇を衒うことなく実直で清々しさを感じさせてくれました。ピアノにマーク・コープランドを配することによって、この人特有の一筋縄でいかない解釈がうっすらと垣間見えるのが面白いところです。また、リズムの小気味よさがストレートに耳に届くので自然と乗せられてしまいます。

全体的には派手な印象はありませんがキリッと引き締まったサウンドはとても気持ち良く、滋味深さを感じさせる作品でした。比較的手に取る回数が多くなりそうな作品になってくれそうです。買ってよかった。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/21(火) 23:58:09|
  2. Trumpet
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#874 Dance of the Soothsayer's Tongue/Dennis Gonzalez NY Quartet at Tonic (Clean Feed-CD)

Dennis Gonzalez - Dance of the Soothsayer's Tongue

1.Reaching Through the Skin
2.The Matter at Hand
3.Dance of the Soothsayer's Tongue
4.Soundrhythium
5.Afrikanu Suite (Part 1-5)
6.Archipelago of Days

Dennis Gonzalez (tp) Ellery Eskelin (ts) Mark Helias (b)
Michael T.A. Thompson (soundrhythium percussionist)

Rec-2003,2004



デニス・ゴンザレスというトランぺッターを聴いたのは今回が初めてですが、キャリアは既に30年と少し経っていてもうベテランなんですね。エラリー・エスケリンの参加を確認したこととこのアルバムがライブ・パフォーマンスであること、そしてClean Feedからリリースされていたことなどがキッカケとなって購入してみました。

彼が演っているような音楽のことはロフト・ジャズと云う名前で表現されているんですね。名称は漠然と知っていてもお勉強が苦手な当方は今ひとつピンと来ない状態でしたので改めて調べてみることにしました。「NY中心で興った反戦運動から派生して出来たモダン・アートの若手芸術家の集まりで、商業主義を排したジャズ・ムーヴメント」とある。頭の悪い小生には抽象的すぎてますます輪郭がぼやけてくるのですが、フリー・ジャズとの密接な関係性があることは理解しています。もうちょっと首を突っ込んでみるとサム・リヴァースやドン・チェリーやオリヴァー・レイクやアーサー・ブライスの名前が。そしてオーネット・コールマンのスタジオ「アーティスト・ハウス」が震源であるような記述が。ああ、なんとなく掴めてきた。

デニス・ゴンザレスのこの作品などはラフでザックリとした質感が聴いていてなかなか面白く、ある種の大らかさまで漂ってくるくらいに整然としている感じもします。でも淡々と聴こえても決してヌルいわけではないんですよね。どちらかと云えばフリー云々ということを全く感じさせない音楽で、ゴンザレスの渋いトランペットに存在感抜群のベースとドラムの二人三脚が堪らない効果を生んでいると思いました。リズムの好きな方には聴きどころの多い作品ではないでしょうか。エスケリン目当てでこのアルバムを購入したのですが、ゴリゴリと責め立てるような演奏ではなく、ゴンザレスと同様に余計な力が抜けたゆったりとした表現で聴かせてくれます。激しいインプロ合戦というよりも互いの駆け引きを楽しむような演奏に感じられました。

最近はこのようなジャズにも面白みを見出しているところです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/20(月) 22:59:27|
  2. Trumpet
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

#873 Moonscape/Michael Garrick Trio (Airborne-CD)

P2280004.jpg

1.Moonscape
2.Music for Shattering Supermarkets
3.Sketches of Israel
4.A Face in the Crowd
5.Man, Have You Ever Heard
6.Take-Off

Michael Garrick (p) Dave Green (b) John Taylor (b) Colin Barnes (ds)

Rec-1964



えっ、コレだけ?マキシ・シングルかよ、と思うくらい短い収録時間です。何せ20分ちょっとで終わってしまいます。そもそもこの音源は10インチ・レコードでリリースされたものなのです。しかもプレスされた原盤は99枚のみということで、このCDの再発が決まった約2年ほど前にはかなり大々的にインフォメーションがありました。リイシューにあたってCDの他にアナログも500枚限定でプレスされているのでリキの入り具合がわかるというものです。オリジナルはAirborneと云う自主レーベルだそうで、イギリスのTrunk Recordsが今回の発売元です。マイケル・ガーリックは個人的にも20年以上前のアナログの頃から気に入って聴いていたアーティストであるので、よもやのこのアルバムの発売には度肝を抜かれました。このブログでも1978年の『You've Changed/Michael Garrick Trio with Don Weller』(Hep)や、2001年の『Don Rendell Reunion with Ian Carr & Michael Garrick』(Spotlite)などを過去に取り上げています。

ガーリックのピアノ・トリオですがメンバーの入れ替えが一曲だけあります。デイヴ・グリーンが5曲でベースを担当していますが、ジョン・テイラーというベーシストが一曲だけ参加しているようです。パーソネルの詳細が明記されていないので該当のトラックがわかりません。ジョン・テイラーと云えばイギリスでは同姓同名の巨人ピアニストが有名ですが、どうやら同名異人のようですね。

内容としてはなかなか骨っぽいサウンドのピアノ・トリオですね。オーソドックスなものを期待すると肘鉄を食らわされるようなハードな一面も垣間見え、スウィングするものやメロウに展開していくものもありますが、見事にガーリック独自の世界が開花しています。シリアスさを多分に含んだキリッと引き締まったサウンドが凛々しいです。硬質に響くピアノが凡百のピアノ・トリオと一線を画していることを強調するかのように鈍色の光を放射し続けます。4曲目などはベースやドラムとの掛け合いもスリリングで青白い炎が立ち上ります。

聴く人によってはある種の取っつきにくさが付いて回るであろう作品ですが、ドライで傷口に塩をまぶすようなヒリヒリしたテンションは嵌ると病みつきになってしまいます。インプロ系のジャズに開眼した当方にとってはこういう作品も堪らない魅力があります。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/17(金) 23:56:21|
  2. Piano
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#872 Tomorrow Yesterday Today/Melvin Rhyne (Criss Cross Jazz-CD)

Melvin Rhyne - Tomorrow Yesterday Today

1.Lover Come Back to Me
2.Buffalo
3.Jingles I
4.Darn That Dream
5.Niambi
6.Five Flat Minor
7.Enchantment
8.Tangerine
9.Easy Living
10.Jingles II

Melvin Rhyne (hammond B3 org) Tad Shull (ts→only2,4,8,9) Peter Bernstein (g)
Kenny Washington (ds)

Rec-2003



今までオルガンには聴いていて楽しいものを求めていました。ところが最近のオルガンはクールな色合いのものが見られるようになってきていて、自分のあまり経験したことの無いサウンドが聴かれるようになってきました。それが意外と新鮮な響きでオルガンの新境地を見出したかのような喜びにも繋がりました。多様なタイプのジャズにフィットするような楽器になってきたということでしょうか。その点、メルヴィン・ラインのオルガンはブルージーでホットなサウンドが出てくるので、自分の根本にあるオルガンの概念を再確認させてくれるようなアーティストです。何せウェス・モンゴメリーのところで弾いていたオルガニストであるので年季の入ったプレイは半端なく、滲み出てくる黒くてネットリとしたフィーリングはオルガンの王道を往くものです。

メル・ラインのオリジナルは2曲(5,6)のみ。他はよく知られたお馴染みのトラックをソウルフルに聴かせてくれます。このアルバムではオルガン・トリオの定型であるギター入りのセットが6曲と、その他の4曲がタッド・シュルのテナーが聴かれるカルテットと云う、メリハリの利いた組み合わせをとっています。

ラインのオルガンは快調で、アップテンポでもスローでもゴキゲンなグルーヴ感を生み出しています。ピーター・バーンスタインのギターがオルガンにとても良くマッチしており、ふっくらとしてメロディアスでホーン・ライクなギターが実に印象的です。ケニー・ワシントンのドラムも存在感抜群で、小気味よく決まる一撃が心地よく響きます。タッド・シュルも派手さはないですが太いテナーを聴かせてくれます。4曲目や9曲目などは妖艶に迫ってきますね。

何の衒いもなく極上にスウィングするジャズは理屈抜きに楽しめますね。このベテランが現在もなおコンスタントに録音を残してくれていることも嬉しく思っています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/16(木) 23:58:02|
  2. Organ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#871 Spirits/The Lasse Lindgren Big Constelleation (Imogena-CD)

Lasse Lindgren - Spirits

1.Birdland
2.Airegin
3.Gonna' Fly Now
4.Maria
5.The Fox Hunt
6.Si Si Mf
7.New Bag Blues
8.Left Bank Express
9.I Can't Get Started With You
10.The Serpent
11.I Got the Spirit / Blue Birdland

Lasse Lindgren (tp,valve-tb,didgeridoo,extra-perc,vo) Robin Rydquist (tp)
Johan Holmberg (tp) Fredrik Hakansson (tp) Lars-Goran Dimle (tb)
Niklas Rydh (tb) Johan Borgstrom (as,ss) Bjorn "Skane" Cedergren (ts)
Jens Nilsson (ts) Erik Kristofferson (bs) Johan Johansson (p,key)
Owe Almgren (el-b) David Sunby (ds) Goran Kroon (ds)

Rec-2008



スウェーデンのトランぺッター、ラッセ・リンドグレンのビッグ・バンドもので、2006年に亡くなられたメイナード・ファーガソンへのトリビュート作品になります。この作品は国内盤では「金管王」という秀逸なネーミングが付けられていて、しかもバンド名が「巨大星雲ビッグ・バンド」とご丁寧に和訳までされているあたり、何ともインパクト抜群で興味をソソられるような仕様になっていますね。ジャケットもラッパがどアップで、極太な筆文字とともに視覚的にも強烈です。

Lasse Lindgren - Kinkanoh

その点このオリジナルはいかにも地味で、出てくるサウンドをイメージさせるには圧倒的に国内盤に軍配が上がりますね。

ファーガソンの十八番のナンバーを多数取り上げ、それこそファーガソン張りのハイノートをリンドグレンがブチかましています。ですから文句なく楽しい。文句なく派手である。当然の如くお馴染みのファーガソン・サウンドを彷彿とさせるコンテンポラリーなビッグ・バンドになります。何層にも重なった豪快なアンサンブルに、闇を切り裂く矢のようなトランペットが炸裂しています。スピード感に溢れテンションの高さは半端なく、惹句にもある「血管ぶち切れ」や「高音男」という何とも吹き出してしまう表現も納得です。

なーんにも考えないでこのようなド派手な音を浴び続け、その音圧に屈するのもたまには悪くありませんね。でも聴いていて笑えてきてしまうのはなんなのでしょう。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/15(水) 23:54:49|
  2. Modern Big Band
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#870 In My Element/Robert Glasper (Blue Note-CD)

Robert Glasper - In My Element

1.G & B
2.Of Dreams to Come
3.F.T.B.
4.Y'outta Praise Him (Intro)
5.Y'outta Praise Him
6.Beatrice
7.Maiden Voyage / Everything in its Right Place
8.J Dillalude
9.Silly Rabbit
10.One for 'Grew
11.Tribute

Robert Glasper (p) Vicente Archer (b) Damion Reid (ds)

Rec-2006



いやぁ、もう大失敗。やっぱり改めて後悔してしまった。あんだけ体を揺らされ没入するんであれば通しで観ればよかった。すげぇ後悔。今度は何時来るんだ?

ロバート・グラスパーの公演を観るのは一昨年の10月以来、一年半ぶりの二回目になります。再来日を知ったとき最終日の最終ステージ(13日・月曜日2ndセット)を観るために綿密にスケジュールを調整、昨日出かけて参りました。予約の時点で通しで2セット観るかどうか凄く悩んだのです。で、時間的に自分の都合が不確かであったことと予算のことも含めて冒険はしませんでした。でも実際は何とかなったし、あまりに刺激的なパフォーマンスだったしでもう悶絶寸前、後悔先に立たず。元々一昨年も嵌りまくった経験をしているくせに何をか言わんや、ですな。というわけで今回の来日をとても楽しみにしていました。願わくば新譜の便りとともに来て欲しかったのですが。・・・と思っていたらアコースティックとエレクトリックの2バンドを収録した『Double Booked』(Blue Note)というアルバムが今夏に出るようだ。凄く楽しみです。

今回は早めに到着したおかげで最前列で観ることが出来て大興奮。彼のリーダー作は3枚リリースされており、明らかなヒップホップ・アルバムを除いてサイドでの仕事もかなりの音源を既に聴いていました。しかし昨日は知っている曲は2曲のみ、ただしそれが大胆なアレンジが施されたあまりに熱い解釈であったので仰け反ってしまいました。かなりの部分を自分が体験出来ていないトラックが中心となって構成されていたのですが、これがドラマチックでパワフルで昇天寸前になりそうなくらい強烈なステージであったので、丸一日経った今でも未だに尾を引いています。

今回のメンバーはグラスパーの他、リズムはヴィセンテ・アーチャーとジャマイア・ウィリアムス。ヴィセンテはつい一ヶ月前にピットインでのダニー・グリセットのライブでも堪能。個人的には一番接しているベーシストですが、あまりに聴く機会が多いので日本に住んでるんじゃないかとアホなことを考えてしまうくらいです。

今回のステージで、いきなりベースのヴィセンテに対しジョークでハービー・ハンコックと紹介するあたり、つかみはオーケーと云ったところでしょうか。一昨年よりも明らかにリラックスしていることが窺えます。印象的なリフで構築されたグラスパー節がやはり炸裂しており、無限にループするかのような麻薬的な心地よさは相変わらず一級品でした。そして今回はローズも駆使した演奏もあって嬉しさ二倍です。ヴィセンテのベースも見せ所が多く、グラスパーとの阿吽の呼吸は長年の信頼関係を感じさせます。そしてドラムのジャマイア・ウィリアムスのジャズを超越した強力なビートには度肝を抜かれました。一挙手一投足を目前のかぶりつきで堪能しましたが怒濤の攻撃で開いた口が塞がりません。汗ほとばしるアグレッシヴさと唸り声を上げて突進してくるリズムにノックアウトさせられました。ロバート・グラスパーがエンディングに東京でのライブは最高だと言ってくれたことは、リップ・サービスだったとしても率直に感動を覚えました。

そんな余韻を引きずりながらこのアルバムを聴いています。自分にとってジャズとヒップホップとの融合とか、もうそんな色眼鏡のような論調はどうでもいいことです。新しい世界を提供してくれたことに感謝するのみです。

帰国後はすぐにオークランドでMos Defとライブですか。忙しいわ多才だわでやはり羨望してしまいます。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/14(火) 23:59:15|
  2. Piano
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#869 Once Upon a Time/The Alan Skidmore Quintet (Deram-CD)

Alan Skidmore - Once Upon a Time

1.Once Upon a Time
2.Majaera
3.The Yolk
4.Old San Juan
5.Free for Al
6.Image

Alan Skidmore (ts) Kenny Wheeler (fl-h) John Taylor (p)
Harry Miller (b) Tony Oxley (ds)

Rec-1969



こう云ったアルバムは、オリジナルに全く執着しないと云うか出来ない当方のような人間にとっては、再発されないと聴く機会すら全く与えられないので、これがCD化されていたことを知った時には快哉を叫んだ思い入れのある一枚です。今の相場は全く知りませんが自分が追っかけていた頃は軽く5ケタ超えの値段だった作品です。イギリスのVocalionという会社は痒いところに手が届くラインナップで当方を刺激しまくり、UKの垂涎盤と謂われた作品群がズラッと居並んだところを目にしてしまうと、やっぱり手当たり次第と云ってもいいくらいに大量に購入してしまいました。このアルバムもDeramから出ていたオリジンを復刻し、且つかなり安価に手に取ることが出来た喜びで、日本人らしく手を合わせてしまいます。

それにしても豪華なメンツですな。今改めて見ても唸らされるクインテットです。先鋭的なアラン・スキッドモア(スキドモア)のテナーに泣く子も黙るケニー・ホイーラーがフリューゲル・ホーンでフロントを張っています。当時は現在とは比較にならないくらいに鋭利なナイフのような色彩を放っているジョン・テイラーのピアノが聴けることも嬉しい。そしてハリー・ミラーとトニー・オクスレーと云う魅力的なリズムも堪りません。

スリリングでモーダルなUKジャズが凛とした空気感とともに押し寄せてきます。クールな展開がカッコ良く時折突入していく自由度の高いアプローチには興奮の坩堝へと突き落とされます。この年代のヨーロッパ・ジャズに多く見られるシリアスさもわずかながら伴いますが、立ち位置がフリー・ジャズというほどでもないので、己のクサレ耳もその種の聴き疲れを起こすことはありません。ピリピリとした静かなるテンションと前がかりになった時のスピード感には彼らのダンディズムを感じずにはいられません。そういった要素が4曲目などには顕著に現れていると思います。5曲目ではダイナミックなフリー・インプロが満喫出来ます。

この辺りの刺激的なサウンドは今の自分にとっては一番のご馳走で、新録ものに目がない当方にとってこのアルバムはかなり古い録音の作品ながらも、思わずおかわりをしてしまいたくなるような男気に溢れたサウンドが堪らない一品です。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/13(月) 17:49:25|
  2. Tenor Sax
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#868 April in Paris/Count Basie and His Orchestra (Verve)

Count Basie - April in Paris

A
1.April in Paris
2.Corner Pocket
3.Did'n You
4.Sweety Cakes
5.Magic

B
1.Shiny Stockings
2.What am I Here for
3.Midgets
4.Mambo Inn
5.Dinner With Friends

Count Basie (p,org) Wendell Culley (tp) Reunald Jones (tp) Thad Jones (tp)
Joe Newman (tp) Quincy Jones (tp→onlyB-4,B-5)
Henry Coker (tb) Bill Hughes (tb) Benny Powell (tb)
Bill Graham (as) Marshall Royal (as,cl) Frank Wess (ts,fl) Frank Foster (ts)
Charlie Fowlkes (bs) Freddie Green (g) Eddie Jones (b) Sonny Payne (ds)
Joe Williams (vo)

Rec-1955,1956



久しぶりに自分の原点にかえってこのような作品を聴いています。高校生の頃から聴いていたこのアルバムですが、自分の場合は物心がついた頃からスウィング&ディキシー・ジャズが流れる環境で育ったので、当時からこのあたりの作品は当然のように自然に受け入れる態勢が整っていました。最近ジャズに戻ってきて新録ジャズの新鮮さに感動し、また革新的なアプローチでの演奏なども貪欲に吸収していきたい当方にとっては、意識的に仕向けていかないとこのようなスタイルの演奏をなかなか顧みる機会が与えられない状態です。ゆったりとした日曜日にマッチするのではないかと気になって思わず手に取ってみました。

当方にとってこのアルバムは特別に思い出深い作品で、やはりタイトル曲のA-1の存在が全てになっています。学生の頃の自分の友人もこのA-1がお気に入りで、当方の家に来ては該当のトラックを聴かせるようせがむのでした。彼は鉄道模型が趣味で古き良きアメリカの田舎を再現したジオラマを当時から作成しており、また海外のミステリなどにも造詣が深かった人間で、このようなゆったりとした往年のスウィング・ジャズなどにも無条件に反応していました。若い当時から同年代の他の連中が入り込めないような特殊なニオイを醸し続けていた変わった二人であったと恐らく思われます。思えば自分で仏像を彫ったりバロック楽器のリュートを自作したりする友人もいたりして、自分のまわりにはなかなか個性的な猛者がたくさんいることに気がつきました。

タイトル曲でのベイシーの発する「ワン・モア・タ~イム」と「レッツ・トラ~イ、ワン・モア・ワンス」の声は、自分にとってもタイム・スリップさせられる威力があり、あの頃のノスタルジーが強制的に甦ってきます。分厚いホーン・アンサンブルに今となっては定型とも言えてしまうソロの応酬ですが、それを含めて愛おしくなってしまう名品です。

ピリピリと張りつめたような刺激的なジャズを連続で摂取しても好奇心が勝り疲れない当方ですが、対照的とも云えるスウィングなどは心のルーツとして大切にしているので、聴けばやはりホッとしてしまいます。目新しさとは無縁の豊潤なサウンドを聴いた瞬間に自分の精神がリセットされるのは有難いことで、これからの自分にとっても必要不可欠なカンフル剤となってくれる大切なジャズなのです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/12(日) 23:59:22|
  2. Dixie, Swing, Trad, New Orleans
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#867 Redemption - Quest Live in Europe/David Liebman (Hatology-CD)

David Liebman - Redemption

1.Round Midnight
2.Ogunde
3.WTC / Steel Prayers
4.Dark Eyes
5.Lonely Woman
6.Redemption

David Liebman (ts,ss,wooden-fl) Richie Beirach (p) Ron McClure (double-b)
Billy Hart (ds)

Rec-2005



昨日聴いていたカルマン・オラーのアルバムにベーシストのジョン・マクルーアが入っていたのですが、そういえばこの作品にも参加していたなぁということで聴き直してみることにしました。デイヴ・リーブマンのカルテットによるライブ盤です。1曲目から3曲目まではスイスでの実況で、4曲目から6曲目まではパリでの録音になります。ハットロジーらしく骨っぽくモーダルで、時にはハードに迫る辛口の演奏です。やっぱりゴツくてカッコいいですね。

コルトレーン(2曲目)やオーネット・コールマン(5曲目)、そしてモンクの定番(1曲目)も奏されています。メンバーの作品としてはリーブマンとリッチー・バイラークとの曲がブリッジされた3曲目やビリー・ハートの6曲目を含めた全6曲になります。

聴き慣れた冒頭の曲から独特のアレンジを施し彼ならではの世界を築き上げています。これはリーブマンのソプラノとバイラークのピアノのデュオなのですが、かなり白熱した掛け合いも聴かれ思いのほかエネルギッシュです。続くコルトレーンのナンバーはゴリゴリとテナーが咆哮し、リーブマンが描くコルトレーン・ワールドも大迫力です。汗と唾液が飛び散るサマが浮かんできます。対する3曲目はテンションを若干落としつつも緊張感のあるジャズが表現された二人の組曲のような作品です。そして舞台はスイスからパリに変わります。哀愁を漂わせながらも力強いテナーを披露するリーブマンに陶酔する4曲目もいいですね。オーネットの5曲目はマクルーアのベースが導入となり荘厳な扉が開かれます。リーブマンの木製フルートが見知らぬ世界へと誘います。ラストのタイトル曲はソプラノでモーダルに疾走するリーブマンが楽しめる20分近くある長尺の曲です。各自の濃厚なプレイが楽しめて堪らなく魅力的なナンバーです。ビリー・ハートのホットなドラム・ソロも満喫出来ます。リーブマンの圧倒的パワーが炸裂するサックスはいつも通りなのですが、自分のイメージよりもリッチー・バイラークのピアノがことのほかハードに迫っていて目からウロコでした。

リーブマンのハットロジーでの作品を一気に5枚ほど取り寄せ楽しんでみたのですが、ソロでもカルテットでも存在感のある演奏ばかりで、彼の凄さを改めて認識させられた感があります。刺激を得たい時には自然が手が伸びるようになってしまいました。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/11(土) 23:59:00|
  2. Tenor Sax
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#866 Always/Kalman Olah Trio (Memphis International-CD)

Kalman Olah - Always

1.Always
2.Polymodal Blues
3.Hungarian Sketch No.1
4.All of You
5.How My Heart Sings
6.Introduction
7.Stella by Starlight
8.Elegy

Kalman Olah (p) Ron McClure (b) Jack DeJohnette (ds)

Rec-2004



なかなかソソられるメンツだったので買ってみたCD。といっても手元に届いてからはだいぶ経ちましたが。当初は正直なところあまりピンと来なかったのです。4~5回は繰り返し聴いたでしょうか。でもアホ耳人間にとってはハッキリとしたわかり易い特徴や強烈な個性がないと音が耳を空しく通過していくだけなのですよ、残念ながら。聴き方が足りないのはいつものことであるのでしばらく放置して少し前からまたトライするようになりました。で、徐々に掴みつつあるのですが、カルマン・オラーのピアノよりもどちらかというとディジョネットのドラムのほうに神経が行ってしまい、相変わらず全体的に鑑賞すると云うごく普通のことが出来ない自分に参ってしまいます。

カルマン・オラーはハンガリーのピアニストでこれはNYでの録音です。ジャケットにはモンク・コンペでコンポーザー賞を受賞との誇らしいエンブレムがレイアウトされています。昨年末に出たブダペスト・ジャズ・オーケストラ(Budapest Jazz Orchestra)の『Images』(Hungaroton)にも大々的に彼がフィーチュアされていました。

4,5,7曲目に御馴染みの曲を配置し他の5曲をオリジナルで固めています。6曲目のイントロダクションはピアノ・ソロで、続く7曲目の導入というかたちをとっていますね。色々と調べてみるとどうやら彼はクラシック寄りのアプローチが得意なピアニストであるようで、以前にはピアノ・トリオでバッハ集なども吹き込んでおり、よく見ればこの作品の2曲目がバルトークへのオマージュとなっています。そのあたりを自分の凡庸な嗅覚が微細なニュアンスを嗅ぎ取って上記のような感想になったのかな、などと考えています。全ての音楽に関して垣根を作らないことを標榜しますがどうしてもクラシックは自分にとっては依然として敷居が高いのです。克服したいのですがやっぱり自信がありません。でも決してこのアルバムがクラシカルな響きに満ちた作品という訳では無くて、立ち位置は紛れもなくジャズであるので自分の興味は持続しています。今のところの好みは2曲目と4曲目かな。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/10(金) 23:59:50|
  2. Piano
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#865 Upojenie/Pat Metheny & Anna Maria Jopek (Nonesuch-CD)

Pat Metheny & Anna Maria Jopek

1.Cichy Zapada Zmrok
2.Mania Mienia
3.Biel
4.Przyplyw, Odpllyw, Oddech Czasu...
5.Are You Going With Me?
6.Czarne Slowa
7.Lulajze Jezuniu
8.Upojenie
9.Zupelnie Inna Ja
10.Piosenka Dla Stasia
11.Letter From Home
12.Me Jedyne Niebo
13.Byon Byl Tu
14.Polskie Drogi
15.Tam, Gdzie Niesiega Wzrok
16.Na Calej Polaci Snieg
17.Szepty I Lzy

Pat Metheny (el-g,ac-g,classical-g,baritone-g,soprano-g,g-syn,42-str.pikasso-g,key)
Anna Maria Jopek (voice,background-vo,el-p)

Leszek Mozdzer (p) Pawel Bzim Zarecki (key,main-programming,loops)
Darek Oleszkiewicz (b) Marcin Pospieszalski (bass-g,programming,loops)
Cezary Konrad (ds) Mino Cinelu (perc) Henryk Miskiewics (ss)
Mateusz Pospieszalski (programming,loops) Marek Pospieszalski (turntables)
Wojciech Kowalewski (perc) Piotr Nazaruk (fl,hammered dulcimer,perc,voice)
Bernard Maseli (vib) Marek Napiorkowski (g→only8) Barney (alien voice)

Krzysztof Bzowka (vin) Jozef Kolinek (vin) Patrycia Jopek (vin)
Katarzyna Gilewska-Zagrodzinska (vin) Artur Gadzala (vin) Robert Dabrowski (vin)
Wlodzimierz Zurawski (viola) Dariusz Kisielinski (viola) Jerzy Muranty (cello)
Janusz Olechowski (cello)

Rec-2002



来月(2009年5月)に来日されますね。ポーランドのヴォーカリスト、アナ・マリア・ヨペック。昨年コレが再発されるにあたり大々的にプッシュされ、実際のところかなりの枚数が売れたようですね。彼女は多作家で既に相当数のリーダー作をリリースしているようですが、このアルバムが再発されるまで当方は彼女のことを知りませんでした。彼女の近作である『ID』(Universal Polska)が5月に国内盤でも出るのでプロモーションもかねての来日といった塩梅でしょうか。今のところの最新作は『Jo & Co BMW Jazz Club Vol.1』(Universal Polska)というライブ盤のようです。

今日取り上げたこのアルバムは、元々は"Anna Maria Jopek & Friends with Pat Metheny"という名義で14曲入りでリリースされた作品で、曲順を再編集しさらにボーナス曲として3曲(7,16,17のうち後半2曲はライブ)を加えた17曲入りでリイシューされたものです。新たに冠にメセニーを据え注目度が上がったことは否めないところでしょうが、それに余りあるクォリティーが高くてスケールの大きな作品でした。

伸びやかながらも憂いを含んだヴォイスは独自の世界で、彼女の母国語で歌われる楽曲はジャズ・ヴォーカルというよりもフォーキーな風合いを感じさせます 。これがかなり良いんですよ。表現力が豊かで且つとても上手いので思わず入り込んでしまいました。メセニーの楽曲が8曲(2,4,5,9,11,12,13,15)含まれていますが、それこそメセニー・グループを彷彿とさせるようなドラマチックな展開をここでも発揮しておりグイグイと惹き付けられます。演奏の素晴らしさは申し分無く、メセニーの多彩なアプローチはもちろんのことポーランドのミュージシャンの力量も見せつけられます。個人的にはピアニストのレシェク・モジュジェルがここで参加しているのが嬉しいですね。

このアルバムを初めて聴いてから既に約半年ほど経ちましたが、全く飽きることがなく聴くたびにグッときてしまいます。ジャズ云々よりもこの音楽にはメセニーの世界観が大きく作用していると言ってもよく、宵に灯りをおとして聴くには最高の音楽です。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/09(木) 23:49:54|
  2. Vocal
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#864 Simulated Progress/Fieldwork (Pi Recordings-CD)

Fieldwork - Simulated Progress

1.Headlong
2.Transgression
3.Trips
4.Telematic
5.Media Studies
6.Gaudi
7.Transitions
8.Peril
9.Reprise
10.Infogee Dub
11.Durations

-Fieldwork-

Vijay Iyer (p) Steve Lehman (as,ss) Elliot Humberto Kavee (ds)

Rec-2004



最近のジャズ・ミュージシャンの特色であるのか、自身の名義作と同時進行でグループ名を冠したコンボを複数操って演奏活動しているアーティストがことのほか多く、近年は特にそれが顕著になっているように感じられます。情報弱者の当方はまずひとりのミュージシャンを軸に据えてそこから芋づる式で理解していくのですが、それこそパズルの如く点と線を結びつける作業をしているような気がして、終わりの無い全体像を把握するのに四苦八苦しているような感覚になっています。特に先鋭的なアプローチを執る連中がこのような傾向にあって、またグループ名も曖昧な別プロジェクトまで抱えていたりするのですから始末に負えません。こういうものを系統立てて紹介しているサイトがあれば喜んで日参するのですが、ローテク男はそれを見つけることすら出来ずに難儀している有様です。

そんなわけで昨日の『Fly』に続けて本日は『Fieldwork』です。最初の頃はグループ名だけだと「誰?」だったのですが、日々の学習の成果なのか徐々に知識を蓄えつつあります。「フィールドワーク」に関しては、最新作の『Door』(Pi Recordings)とこの作品を取り寄せ、個人的にツボに嵌りまくったこの作品を今日は聴いています。ここのところ気になっているヴィジェイ・アイヤーにスティーヴ・リーマンという個性派プレイヤーのグループであるので自分としては無視出来ません。特にスティーヴ・リーマンの近作『Manifold』(Clean Feed)には脳天をかち割られるような戦慄を受けているので、聴くことに対しての義務感のようなものまで生じてしまいます。

このグループはベーシストを配置しないサックス・トリオになります。しかしこのゴツいサウンドは何なのでしょう。流れるような液体ジャズの対極にあるゴツゴツとした岩石落しのような骨っぽい音塊が攻撃してきます。勝手ながら岩石ジャズと命名してしまおうかと思ったくらいにヘビーなサウンドに溢れています。それこそアイヤーのピアノがベースの役割を担っているかのような強烈さで、重低音が利きまくる図太い音に惹き込まれて時折見せるアブストラクトな解釈とカオス感が堪りません。リーマンも自由度が高くて強烈でインパクト抜群ですが、ひと際目立つのがドラムの存在。読み方が判らないので調べてみたらエリオット・ハンベルト・キャヴィーという表記が出てきました。丹田に響く一撃一撃が痛快で、このスコーンと抜けるリズムに乗せられこちらも前のめりになってしまいます。

フリーやアヴァンギャルドのような世界と云うよりも、コンセプトがより明確で解り易さも伴っています。三位一体の重厚な音圧は刺激的で、ハードで混沌としたジャズを愛する方には是非聴いてもらいたいお薦め盤です。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/08(水) 23:59:50|
  2. Combo
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#863 Sky & Country/Fly (ECM-CD)

Fry - Sky & Country

1.Lady B
2.Sky & Country
3.Elena Berenjena
4.CJ
5.Dharma Days
6.Anandananda
7.Perla Morena
8.Transfigured
9.Super Sister

-Fly-

Mark Turner (ts,ss) Larry Grenadier (b) Jeff Ballad (ds)

Rec-2008



先日聴いたディエゴ・バーバー『Calima』(Sunnyside)のサイドを固めていたメンバー3人がリリースした新譜を買ってみました。フライというグループでの作品で、このアルバムは『Fly』(Savoy Jazz)に続くセカンドということになるのでしょうか。ディエゴのアルバムで凡そのサウンド・イメージが出来ていたのと、マーク・ターナーというかなり個性的な音を発するテナー奏者と云う意味でも、このアルバムの色合いは何となく描くことが出来ていたようです。あとはこちらのイメージ通りであるのか、それともガンガン攻めてくるような想像の上をゆくアプローチでくるのか。ECMというレーベルから察するにそれは無いだろうなぁ、とか他愛もないことを考えながら聴いてみました。

聴いてみて解ったのは自分の想像にほぼ合致した音が出てきたことです。ゆでタマゴを剥いた、ツルンとした質感のようなマーク・ターナーのテナー&ソプラノはそのままで、メロディアスとは言い難い特徴のあるフレーズを繰り出してきます。マーク・ターナーという奏者がフロントを張ると、アグレッシヴに攻めていてもどちらかというと熱感の低い演奏に聴こえるのは当方にとってはいつものことなのですが、サックス・トリオに熱気を求めてしまう自分にとっては、そもそもその範疇から外れた作品になるようです。ベースのラリー・グレナディアとドラムのジェフ・バラードは、ピリピリとしたテンションを保ったビートを刻んでいます。マーク・ターナーとの相乗効果でシリアスな一面が強調され、なかなか辛口なサウンドが展開されているのですが、個人的には深遠さのほうが先に感じられる演奏で、澄んだサックスの音色に残響を残すリズムが絡む荘厳な世界が中心であるように感じられました。いわばECMらしいサウンドであり、時間を掛けてジックリと聴き込むには良い作品だなと思います。こういうアルバムはイカレ耳には一度で理解出来ないのです。

マーク・ターナーは昨年の10月頃、指2本を切断する大ケガを負っているのですが、それ以前に録音されたエンリコ・ラヴァの作品やディエゴ・バーバーとの仕事、そしてこの作品というように、一大事を忘れさせてしまうような勢いで立て続けに作品がリリースされているのが何とも皮肉なものです。早く彼が本調子になってカムバック作を届けてくれることを期待してやみません。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/07(火) 23:59:29|
  2. Combo
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#862 Aurora/Avishai Cohen (Blue Note EMI Music France-CD)

Avishai Cohen - Aurora

1.Morenika
2.Interlude in C# Minor
3.El Hatzipor
4.Leolam
5.Winter Song
6.It's been so Long
7.Alon Basela
8.Still
9.Shir Preda
10.Aurora
11.Alfonsina y el Mar
12.Noches Noches / La Luz

Avishai Cohen (double-b,el-b,vo,p) Shai Maestro (p,wurlitzer)
Itamar Doari (perc) Amos Hoffman (oud) Karen Malka (vo)
Stephane Belmond (tp,fl-h) Lionel Belmond (fl)

Rec-2008



アヴィシャイ・コーエンの新譜が届いてから繰り返し聴いているのだけど、聴けば聴くたびに彼が表現したかった方法と云うものはこういうことなのかと徐々に納得されられています。彼の演る音楽のコンセプトは何ら変わらないけれど、より自分の音楽を伝えるためには自分自身がヴォーカルを執るということがもっとも自然な形なのだということを、コレを聴いていて漠然と感じることが出来るようになってきました。とは云え当方は英詞はもちろんのこと、ヘブライ語であろう歌われる歌詞の本質を捉えることが出来るはずもなく、音楽から滲み出てくる自身の出自をさらに昇華させるための手段としてはコレが最適だったのかな、と推測するに至ったと云うだけのことです。ですから歌によって民俗的色彩はこれまで以上に色濃く反映されており、アヴィシャイと女性のヴォーカルが相見えた効果はさらに独特な世界を構築しています。よって彼のインストに惹かれ追いかけている方には賛否が出てきそうな内容ではありますね。当方も最初は面食らったのですが徐々に沁み込んできています。そもそもジャズのみならず民族音楽が大好きですので。

ということで全編ヴォーカルのアルバムです。雰囲気としては前作の『Gently Disturbed』(Razdaz)よりも『Continuo』(Razdaz)あたりの作品に歌をのせたような感じと捉えました。それとアヴィシャイのヴォーカルを上手い下手で論じるよりも、その土地のものでなければ表現出来ない領域の世界であると考えたほうが良いように当方は感じています。そういった視点でこの音楽を聴いているほうが自然じゃないかと思えてきました。いや、味のあるヴォイスはなかなか魅力的ですよ。

単純な当方の鑑賞力ではウードが奏でる旋律は中東音楽のそれであり、アヴィシャイのヴォイスはモスクから呼びかけるアザーンのようにも聴こえます。ベーシストのアヴィシャイとしてはアルバムの特性からか今までよりは若干控えめにも聴こえますが、やはり耳を簡単に通過してしまうものではないいつも通りのインパクトは有しています。そしてシャイ・マエストロの重要性は以前よりもさらに増しているように思われます。このピアニストの奏でる音はテクニック云々よりも立ちのぼる香気が強烈で、シンプルなのにもの凄く印象的であるのは前作と比較しても引けを取りません。ごく僅かですがホーンも一部に加え、ドラムを置かずにパーカッションのリズムを据えています。とにかく香辛料が漂うようなスパイシーな音楽に仕上がっており、ジャズの概念で捉えようとすることを嘲笑うかのような痛快さを伴っています。

何かと話題になりそうなアルバムを提供してきたことにほくそ笑みながら徐々に受け入れ中です。彼の進む道に迷いは無いようです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/06(月) 19:13:16|
  2. Bass
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#861 The Sonny Clark Memorial Album (Xanadu)

Sonny Clark - Memorial Album

A
1.Improvisation No.1
2.All God's Chillun Got Rhythm
3.Body and Soul / Jeepers Creepers
4.Oslo

B
1.Improvisation No.2 / Over the Raimbow
2.Move
3.After You're Gone

A-1~A-3,B-1,B-2

Sonny Clark (p)

A-4,B-3

Sonny Clark (p) Simon Brehm (b) Bobby White (ds)

Rec-1954



ザナドゥのゴールド・シリーズから復刻されているソニー・クラークの未発表集。とは言っても発掘から何十年も経っているものに未発表もなにもないですね。ザナドゥと云うレーベルは発掘ものをゴールド・シリーズ、新録ものをシルバー・シリーズとして70年代からリリースしていました。その名の通りのカラーリングでジャケットをデザインしています。ただし厳密にその2種のデザインで統一している訳でもなくて、シルバー・シリーズに関してはそれに捉らわれない柔軟なデザインも散見されますね。

このソニー・クラークのアルバムはプライベート録音なので当然音質を期待すべくもありませんが、演奏内容は個人的には一級品です。このアルバムには5曲のソロと2曲のトリオの計7曲が収録されています。随分久しぶりに聴いたこのアルバムですが、新譜を中心としたCDを主に聴いている昨今ではこの良いとは云えない音質がまた一興で、その劣化のし具合がそれこそ音楽の一部のように楽しめてしまうのが不思議です。クサレ耳だと何でもいいように解釈してしまうので便利なものです。

ソニー・クラークがバディ・デフランコのグループにいた頃のレコーディングで、彼の録音では最初期のものと云っていい頃の貴重な音源です。これは彼の演奏の中でも快調と言ってもいい内容ではないかと思っているのですがどうでしょう。とてもエモーショナルで流暢なソニクラのソロ・ピアノ。ゴージャスさも伴った演奏はかなり入り込んでしまいます。そして聴後に残る余韻が心地よいですね。一方のトリオはダイナミックなものと良くスウィングするものが一曲ずつ。A-4などはガンガン攻めてくるので小躍りしてしまいます。

全体に漂ってくるリラックスした演奏と思わず発する声が何とも良い雰囲気を醸し出しています。ソニクラの定番アルバムはそれこそ何枚もあるのですが、埋もれがちなこの作品にもスポットを当ててもらいたいものです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/05(日) 23:57:20|
  2. Piano
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#860 Naked City Live Vol.1 Knitting Factory 1989 (Tzadik-CD)

Naked City - Live Vol.1

1.Batman
2.Latin Quarter
3.You Will be Shot
4.Shot in the Dark
5.Skate Key
6.Erotico
7.Snagglepuss
8.I Want to Live
9.New York Flattop Box
10.Inside Straight
11.Chinatown
12.Igneous Ejaculation
13.Ujaku
14.Blood Duster
15.Hammerhead
16.Speedball
17.Obeah Man
18.Den of Sins
19.Demon Sanctuary
20.The Way I Feel

-Naked City-

John Zorn (as) Bill Frisell (g) Wayne Horvitz (key) Fred Frith (b)
Joey Baron (ds)

Rec-1989



今度の木曜日(9日)にジョン・ゾーンがピットインで公演を行うのですが、残念ながら調整がつかずに今回は諦めたのでした。なんでもセカンド・セットに「コブラ」でのステージもあるようなので観たかったのですが、まぁ都合のつかないものはどうしようもありません。「コブラ」と云えば現在Hatologyからリイシューされているようですが、やはりジャケットは変更されているんですね。Hatologyからリリースされる作品のジャケットは、モノクロのデザインの写真で統一された渋さが好きでお気に入りなのですが、「コブラ」のオリジナルであるHat Hutの玖保キリコさんのイラストのものも愛らしくて良かったですね。と云うわけで、行けない口惜しさを紛らわせるためにジョン・ゾーンを聴いてみました。とはいっても「コブラ」ではないのですが。

ネイキッド・シティはリリース当時に買って聴いていました。なんというスピード感のある音楽なんだろうという驚きの部分と、何となくチープに聴こえてしまう部分が相見えるファースト・インプレッションでした。今までに聴いたことのない面白さは当時から見出していたのですが、繰り返し聴くというほどに嵌り込むということは残念ながらなくて、当時転勤で引っ越しの多かった当方は荷物のシェイプアップの為にその都度レコードやCDを処分していたこともあって、その時にネイキッド・シティも放出してしまっていました。ここのところ意識的にフリーやオルタナティブなジャズを積極的に聴くようになって、その流れでネイキッド・シティのスタジオ盤を買い直し、まだ聴いたことのなかったこのライブ盤も併せて取り寄せてみました。

実に久しぶりにこのグループのサウンドを聴いていたのですが、やっぱり最初の印象からそれほど変化は無いようです。思いのほかビックリしたのはスタジオの演奏とライブの演奏の熱の伝わり方にあまり差異がないこと。ライブでは更なる過激なアレンジとか、ブチ切れ具合が半端ないとか、ド派手に冒険してくるとか思っていたので少し拍子抜けしました。裏を返せばスタジオでの演奏がそもそもライブ的な感覚で記録されていたという解釈をしてもいいのでしょうかね。ジョン・ゾーンのキレまくるアルトの炸裂具合はいつも通りで、血管が切れるかのように速射砲を乱れ撃ち、フリーキー・トーンを交えた即興は相変わらずスリリングです。ビル・フリゼールの硬派なギターにウェイン・ホーヴィッツの大胆なキーボードが絡み、フレッド・フリスとジョーイ・バロンのリズムはタテノリのパルスを生み出しています。ジャズだとかロックだとかカテゴライズ出来ない独自の世界は彼ならではのものですね。

面白さと斬新さが音楽云々よりも先に感じられてしまうので、当方にとってはなかなか本質を掴み難いグループになってしまいます。たまに聴くとやっぱり刺激的ですが、自分にとっては忘れた頃に手に取るくらいが丁度いいようです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/04(土) 23:59:25|
  2. Combo
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#859 Bound/Cuong Vu (Omnitone-CD)

Cuong Vu - Bound

1.Two
2.Our Bridge
3.Still Ragged
4.Bound
5.The Drift
6.Acid Kiss
7.The Burn

Cuong Vu (tp,vo) Jamie Saft (p,el-p,key) Stomu Takeishi (el-b)
Jim Black (ds)

Rec-1999



クォン・ヴーを初めて聴いたのは近作の『Vu-tet』(ArtistShare)からでしたが、あまりに自由でエキサイティングで強烈なノイズを伴ったトランペットに、正直言ってかなり度肝を抜かれたのが始まりでした。これは果たしてジャズと云っていいのかすらよく判らないくらいの衝撃でした。彼を聴くキッカケはメセニー・グループに参加しているということだけで興味を持ったのですが、その頃の当方は実際には近年のジャズを殆ど聴けていなかったということもあって、クォン・ヴー入りのメセニーの音源すらチェックしていないと云う体たらくでした。新しいジャズを聴くにあたり取り敢えずは自分の知っているアーティストからその人脈を辿ってみようと云う、芋づる方式を採用して新規に開拓していこうとしていたのでした。

2007年収録の上記作のインパクトは凄かったですが、遡っていくとどのような表情を見せてくれるのかが以後の関心事となり古い録音の作品を取り寄せてみた次第です。到着するのに注文して半年くらいかかりましたが。聴いてみると基本的なコンセプトは現在と全く変わっていないように感じられます。ただし近年のエフェクターの効果が進化しているのかそれとも彼自身のサウンドに対する姿勢の変化であるのか、近作と比較するとこの作品ではそういった部分がどちらかと云えばナチュラルでマイルドに感じられました。彼の作品を聴いたのはこれが3枚目になるのですが、一番新しい『Vu-tet』がクリス・スピードとの二管カルテットで、手元にあるもう一枚の『It's Mostly Residual』はビル・フリゼールを加えたカルテットでした。ひょっとするとこのアルバムのトランペット+ピアノ・トリオと云う構図よりも前述の編成のほうが自由度を増して響いてくるような感覚に捉われていて、その状態で対比するとこのカルテットがシンプルに感じられるのかもしれませんが。実際はやはり大胆な発想でそれに付随したある種の奇抜さも漂っています。自分にとってのこの世界観は堪らないものがあり有無を云わさず惹き込まれてしまうのですが、ジャズに柔軟でない場合は放り投げられる可能性もあるのかもしれませんね。4曲目ではヴーがヴォーカルを執っています。

ヴーのバンドにはドラムのテッド・プアーは欠かせないと思い込んでおりましたが、やはり強者ジム・ブラック、侮れない自己主張を止めないビートを繰り出しています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/03(金) 23:54:57|
  2. Trumpet
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#858 Forgiveness/Charles Gayle (Not Two Records-CD)

Charles Gayle - Forgiveness

1.Living Waters
2.Glory, Glory, Glory
3.Holy Birth
4.Confess
5.Song to Thee
6.Giant Steps
7.Forgiveness

Charles Gayle (sax) Hilliard Greene (b) Klaus Kugel (ds)

Rec-2007



時間がかかったけれどやっとこの新譜が手に入りました。取り寄せてみて解ったのだけれど、この作品は当方の苦手な紙ジャケでした。自分の使用している棚に立てた状態で並べて収納が出来ずに毎回考えてしまいます。ロック・ギタリストのマーティ・フリードマンが2~3年前にテレビで言っていたことなのですが、紙ジャケは日本独自のもので海外には無いという旨の話をしたことがあってそんなことふと思い出しました。確かにその時期には自分も見たことがなかったので「あぁ、そうなんだ」と理解したのですが、今では紙ジャケの輸入盤も珍しくなくなったようですね。最初の頃はディスクが剥き出しで放り込まれていて、新品で購入しているのに中で擦れて既にキズだらけになっていて閉口させられましたが、最近のものはスリーブがシッカリと用意されているものが多くて国内盤のクォリティにだいぶ近づいてきたようです。

フリー・サキソフォニスト、チャールズ・ゲイルのポーランドでのライブ盤。彼の作品を聴く経験値はまだまだ浅くこれがまだ2枚目であるのですが、飛び出してきたのは紛れもなくゲイル節でありそれだけで嬉しくなってしまいました。そういえば前に聴いていたゲイルの参加している"By Any Means"名義の『Live at Crescendo』(Ayler Records)というアルバムも同様の2007年のライブの録音であり、さらに編成も彼の他にウィリアム・パーカー、ラシッド・アリというトリオでの演奏なので、このアルバムとも共通点が多くあったので特別に目新しさはありませんでした。ただこちらの作品のゲイルのほうが若干ホットに聴こえるのは気のせいでしょうかね。サイドのメンバーは全く知らなかった2人なのですが、ベースはヒル・グリーンというアメリカの黒人ベーシストでヴォーカルのジミー・スコットのところで演奏していたようです。ドラマーはドイツ人のクラウス・クーゲルで、こちらはアヴァンギャルドや現代音楽も演るドラマーのようです。

ゲイルのサックスはインスピレーションに溢れるかのように止めどなく放出され、フリーキー・トーンを交えるも絶叫のような咆哮に聴こえないのはゲイルの持つ資質と当方は捉えています。かといってヌルいパフフォーマンスであるはずも無く、その世界に惹き込まれてしまいます。ベースやドラムの聴きどころも満載で熱いパルスを生み出しています。6曲目のようなメジャーな曲をどう料理するかも興味があったのですが、ゲイル節でテーマを奏した後は雪崩をうったかのようにインプロの世界へ導いていきます。

近頃探求しているフリー系のサックス奏者の中では個人的にとても相性が良いと感じており、彼の参加する作品を多く欲する自分がいます。でもなかなか手に入れることが難しいようで、出会うには苦難の道が続くようです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/02(木) 23:59:26|
  2. Alto Sax
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

#857 Look, Stop & Listen/Chris Neville (Evening Star-CD)

Chris Neville - Look, Stop & Listen

1.Look, Stop, and Listen
2.Imagination
3.You, Only You
4.Just Squeeze Me
5.Summer Fantasy
6.People Time
7.Alone Together
8.Les Fleurs
9.Gee Baby, Ain't I Good to You
10.Liebeslied
11.In a Darkened Room
12.Blue Monk

Chris Neville (p) James Cammack (b) Dave Bowler (ds)

Rec-1997,1999



何時聴いてもこのピアノはなかなか雄弁に語ってきますね。とにかく快調でスムース&スピーディ。基本はピアノ・トリオですが、3曲(4,7,10)のデュオとラスト(12)の1曲をソロで演奏しています。録音年に開きがありますが、トリオが1997年、それ以外の4曲を1999年に収録したようです。このアルバムはデビュー作ですが、ちなみにセカンドの『Songs We Like』(Evening Star)も、同様に録音のブランクがあり、ピアノとベースのデュオが2000年、トリオが2002年の収録になります。改めてセカンドについて書いた過去ログを読み返してみたのですが、今日これを聴いてみて思ったことと殆ど印象は変わりませんでした。

彼のオリジナルは3曲(5,8,11)のみ。クリス・ネヴィルというピアニストはベニー・カーターのところにいたそうで、自身のアルバムでも御大の曲を2曲(3,6)取り上げています。「陰」のイメージを殆ど感じさせないピアノを弾き、常に「陽」でありたいと彼自身が思っているかのような真っ当で実直にスウィングする演奏です。ですから比較的手数の多いピアニストでドライブ感のある豪快なピアノが中心に据えられています。リズムの二人はローカル・アーティストであるのか知らないミュージシャンでしたが、ネヴィルのピアノを引き立たせるにはこれ以上無いくらいの助演ぶりで存在をアピールしています。動きの大きいジェームス・カマックのベースに、キメどころをわきまえた小気味の良いドラムを繰り出すデイヴ・ボウラーのサポートが素晴らしい。三位一体の極上のピアノ・トリオが満喫出来ます。

自分自身の傾向として最近はピアノ・トリオものをあまり聴かず、特に静謐で美麗な内容のものに関しては殆ど手に取らなくなってきていますが、こういった解り易くて楽しい作品はたまに聴きたくなってしまいます。もちろん内容の良さを理解しているので安全パイのような安心さを伴っており、ハードなものを立て続けに吸収した後などは自然に手が伸びてしまいます。個人的にまだまだ長い付き合いが出来そうな相手といったところでしょうか。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/04/01(水) 23:36:53|
  2. Piano
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

Profile


ぬどい

Author:ぬどい

タイトル通りのブログです。聴くジャズに垣根をつくらずがモットーです。駄耳の持ち主ですがジャズが好きで連日湯水を浴びるが如く聴き続けています。しかし自分の耳は全く向上しません。近年ジャズに戻って来たためここ10数年のアーティスト&作品には非常に疎く探求中です。今までに所有してきたレコードの聴き直しと新たなる発見を求めて購入したCDの感想を備忘録を兼ねて更新しております。ど素人が主観のみで書いているログですので当然ココではお勉強は出来ません。検証は他所でやって戴いたほうが確実かと思いますのでその旨ご了承願います。(ただ今さぼりモード突入中)


Twitter

ジャズ以外のことをつぶやく機会もあると思いますが、大目に見て下さい。

Clock

Calendar & Weather



Search

Counter

Recent Entries

Recent Comments - Japanese Only

Recent Trackbacks

Monthly Archives

Categories

Link

このブログをリンクに追加する

RSS Feed

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。