イカれた駄耳にジャズの洪水

今宵も円盤漬け・・・     since 23rd Oct. 2006

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#920 Fountain of Youth -Live!/Petter Wettre & The Norwegian Radio Orchestra (Household-CD)

Petter Wettre - Fountain of Youth Live!

1.I'm Lucy
2.Primary
3.Lifeguard on Duty
4.Omnipresent
5.Discovering
6.Absorbing
7.Experiencing
8.Understanding

Petter Wettre (sax) Erlend Slettevoll (p) Jonas Westergaard (b) Anders Mogensen (ds)

-The Norwegian Broadcasting Orchestra-

Django Bates (cond.)
Tom Ottar Andreassen (fl-solo) Espen Johannesen (fl) Trygve Aarvik (oboe-solo)
Ingrid Uddu (oboe) Magne Nesoen (cl-solo) Anne Sofie Halvorsen (cl) Morten Engebretsen (cl)
Sigyn Birkeland (bassoon-solo) Anne Marie Nordbo (bassoon) Bente Rognsaa (fr-h)
Eyvind Andreassen (fr-h) Joar Jensen (fr-h) Hildegun Flatabo (fr-h)
Kare Magnar Hagen (tp-solo) Tom Skjellum (tp) Odd Nilsen (tp)
Sverre Riise (tb-solo) Thorbjorn Lonmo (tb) Oivind Westby (bass-tb)
Thomas Roisland (tuba) Bjorn Rabben (timpani) Joakim Nordin (perc-solo)
Birger Mistereggen (perc) Sidsel Walstad (harp) Atle Sponberg (vin) Elisabeth Lie (vin)
Yi Yang (vin) Mette Elisabeth Steen (vin) Agnes Hoffart (vin) Siv Stensland (vin)
Annar Folleso (vin) Stine Arones (vin) Jonas Batstrand (vin) Vebjorn Stuksrud (vin)
Guro Borkje (vin) Tone Stenmarck (vin) Willy Aase (vin) Siv Gronlie (vin) Andrea Manger (vin)
Kristin Karlsson (vin) Catherine Bullock (viola-solo) Jon Wien Sonstebo (viola)
Maren Jorstad (viola) Anne Beate Bakker Walengen (viola) Matilda Brunstrom (viola)
Audun Sandvik (cello-solo) Fredrik Sjolin (cello) Merete Olsen Carr (cello)
Marit Klovning (cello) Marius K. Flatby (double-b-solo) Magnus Bernt Soderberg (double-b)
Hans Petter Bang (double-b)

Rec-2008



当方がとてもとても大好きで、いつでもタフで男らしいサックスを披露してくれるノルウェーのペッター・ウェトレ(ユニオンの表記ではペッター・ウェテル&ウェッテル)は、勝手な邪推で断言するのは憚られるとはいえ、実際のところ日本では全く無視されたかのような存在に感じます。彼が主宰するレーベルであるハウスホールド・レコーズの新譜が、ここのところ日本の量販系サイトでは広く取り扱われておらず販路が少ないことも問題であるのか、日本国内での彼の認知度も決して高いとは云えずとても残念に思っていました。この近作もユニオンぐらいでしか取り扱っておらず、しかも新品未開封ながらすぐ廉価になってしまうという悲しい運命を辿っていました。そのたびに心の痛む当方は全部拾って帰りたい衝動に駆られますが、如何せんそんな余裕が全く無いのでホントに悩ましいことです。と、ここまで書いてしまったが、果たしてこんなことをウェブ上に晒してもよいのだろうか?皆さん、是非聴いてやってくださいまし。いや、本当に素晴らしい奏者なんです。何せ彼の師匠はデイヴ・リーヴマンなのです。彼のことを語ると何時になく熱くなってイキんでしまいます。年末というのに出だしから気合が入って軽く疲れてしまいました。

前々作になる"Fountain of Youth"はレギュラー・カルテットでの熱い演奏でかなり入り込めましたが、このアルバムはなんとフル・オーケストラをバックに従えたとてつもなくゴージャスな内容。前述のアルバムの全4曲が、編成は違えどこの作品の5~8曲目でそっくり再演されています。しかしながら分厚いアンサンブルにウェトレのサックスが映えていますねぇ。サウンドの煌びやかさで、『これがあの武骨な男の作品か』と思わず見紛う感じもありつつ、トータルで云えば華やかで甘美な曲が多いながらもしっかりとした野太いサックスで存在感を示していて安心します。The Coreのピアニストでもあるエアレン・スレッテフォル(アーレン・スレッテヴォル)は、オーケストラということもあってさすがにいつものようなモーダル全開のピアノではないですが、的を得た仕事でサウンドを底上げし全体をバックアップしています。でもしっかりこの連中らしい、大編成でも荘厳に迫る8曲目のようなトラックもあって、なかなか気の抜けない作品です。アンダーシュ・モーゲンセンの痺れるドラム・ソロなども要所で効いていて、ここのところ大編成のジャズを聴かなくなった当方にもかなり新鮮に響きました。

ちなみにこの作品はPAL式のDVDが付いた2枚組なのですが、未だに映像のほうは試せていません。PCで観れるはずなのだけれど、現状は何時クラッシュしてもおかしくないポンコツをおそるおそる使用しているのでおっかなくて再生できないでいます。なにせちょっとしたものをインスコするだけで電源が落ちるというシロモノです。早く新調したいのですがねぇ。はい、最後まで半人前で失礼致しました。



ご挨拶:今年はなかなかタフな一年でブログもかなりサボってしまいましたが、年末に帳尻合わせ的な感じがあるものの、ここにきて少しは顔を出すことも出来ました。来年のことまで計画できるような輩ではございません。これからも気の向いたときに参上しますので、このカス場を今後とも宜しくお願い致します。
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  1. 2009/12/31(木) 22:28:42|
  2. Tenor Sax
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#919 Klemens Marktl Free Spirit Quartet Live (Alessa-CD)

Klemens Marktl - Free Spirit Quartet Live

1.The Opener
2.Wiedergeburtsorganisationsblues
3.Darkness
4.Bobby
5.Sounds of a City
6.Song for Rosa
7.When Eric Met Ornette

Klemens Marktl (ds,comp.) Johannes Enders (saxes) Peter Madsen (p) Milan Nikolic (b)

Rec-2008



困ったもので自分の趣向に合致するレビューを目撃すると無視できない性分です。このアルバムに関しては発売前からどこのサイトでもそのカッコ良さを強調した惹句が踊っていて、それこそ聴く前から音が勝手に脳内に渦巻いてしまいました。約10日前にライブを観るため上京した折にCD屋をひやかしていましたが、その時コレが店頭にも結構なスペースで面陳されていて、ウェブで買うほうがかなりお得だったのにもかかわらず思わず手に取ってしまいました。

ドラマー、クレメンス・マークトルの入魂ライブ。レビューを読んだ範囲ではオーストリア出身だ、ドイツ出身だとどちらが本当なのかよく判らなかったので彼のウェブサイトで確認すると、1976年のオーストリア生まれだった。彼名義のアルバムとしては、2003年にオランダ録音のクインテット"The Challenge"(Jazz'n Art)、2004年にニューヨーク録音のカルテット"Ocern Avenue"(Fresh Sound New Talent)に続く3枚目の作品で、このアルバムは初のライブ盤になるようです。セカンドはクリス・チークにマット・ペンマン、アーロン・ゴールドバーグなどソソるメンツと演っていますねぇ。先ずはダイジェストででも聴いてみようかしらん。

このアルバムは惹句からイメージした、当方の勝手な脳内再生ほどのブチ切れ具合ではなかったにせよ、ライブ盤ということもあって硬派な部分も併せ持ったストレート・アヘッドなジャズの仕上がりになっていました。1960年代後半のフリーに突入する前の頃のようなホットな演奏を髣髴とさせ、特にモーダルなジャズ好きへの訴求効果は抜群であると考えます。ここ2年程度ぐらいでしか最近のジャズのムーヴメントを探れていない当方にとっては、このメンバーではピーター・マドセンしか知っているアーティストはいませんでしたが、ジャズの醍醐味に溢れていて皆がカッコ良く決めており、特にヨハネス・エンダースのサックスはゴツさと渋みすら感じさせるダンディズムに溢れ、もちろんハードさも持ち合わせています。ココでは主にテナーでの吹奏ですがラストでのフリーキーに迫るソプラノも聴きものです。エンダースのことを知りたくなったのでちょちょいと検索を掛けると、ドラマーのビリー・ハートのところで演っているマルチリード奏者ということが分かったのですが、既に多くのリーダー作を発表しており、またエレクトロニクスを駆使したグループを持っている等なかなか多彩です。しかも様々なアルバムでハードなジャズを好む筋から賞賛されているではないか。一気に当方の関心度が高まります。

このような演奏は、ともすれば「いまさら感」を持たれてしまうのかもしれませんが、この音がツボの当方には当然満足度の高い作品となりました。決してトータルで一本調子に攻め込むだけの内容ではなく、3曲目や6曲目のように荘厳な展開のトラックも用意されており、ハードなだけではなくシリアスな一面も垣間見せます。エンダース以外も好演で、やはりマドセンの煽り立てるようなピアノはグッとくるものがあります。エネルギッシュな打鍵に煌びやかさや優雅さも備わったサウンドは聴き手を揺さぶってくれます。そしてマークトルの荒ぶる感情をコントロールしたドラミングもなかなか気持ちがいい。小気味良くアタックを決めていくかのような堅実な表現も好ましいですが、4曲目あたりでは気合入りまくりでブッ叩いていて豪快です。やっぱりブチ切れるべきときはしっかり切れまくるドラマーというのが最高です。ベーシストのミラン・ニコリッチ(と読んでいいのか?)の事を調べようとして検索すると、セルビアのアコーディオン奏者やサッカー選手ばかりが出てくるのですが、同じアレッサ・レーベルでドラマーのJoris Dudliのアルバム"A Rewarding Journey"にもセクステットの一員として参加していました。派手さはありませんがソロも多く、存在感もしっかり保持した仕事をしています。

人それぞれの感想の違いはあるでしょうが、まずは看板に偽りなしの好盤であったと云ってもよいと思います。当然のことながら当方にとってはリピート率が非常に高くなっています。

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  1. 2009/12/29(火) 18:35:12|
  2. Drums
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#918 Complexity in Simplicity/Pawel Kaczmarczyk Audiofeeling Band (ACT-CD)

Pawel Kaczmarczyk - Complexity in Simplicity

1.Logan - Prologue
2.Logan
3.Blue Eyes
4.Fauchery
5.Homage to Freddie
6.Elegy for E.S.
7.Complexity in Simplicity
8.Catch More Chicks
9.Adorable Little Rose
10.Samara
11.Fauchery - Resumption

Pawel Kaczmarczyk (p) Radek Nowicki (ss,ts) Tomasz Grzegorski (ts,b-cl)
Grzech Piotrowski (ss) Lukasz Poprawski (as) Jerzy Malek (tp) Rafal Sarnecki (g)
Wojciech Pulcyn (double-b) Michal Baranski (double-b) Lukasz Zyta (ds)
Pawel Dobrowolski (ds) Bogusz Wekka (perc)

Rec-2009



季節感を一切与えない当ブログ。以前はテンプレートぐらいはと、季節毎に色々と選んでみたりしていたけれど、ここのところは黒マット地のもので放置したままです。根がガサツに出来ているのでそういうマメなことが長続きしません。ちなみに聴いているものも全く通常通り。クリスマスだからといって特別工夫してみるといったことも無く、続々と届く新譜をウヒウヒ言いながら聴いております。直近ではウォルター・スミス&マーク・スモール(結構渋い仕上がり!)やクレメンス・マークトル(聴き応えあり!)、クリス・ポッター(もうちょっと時間を掛けてしっかり聴き込みたい)にフェレンク・ネメス(録音が2005年のリイシューだけれど結構好み)、マシュー・シップ(おっ!?)にボビー・プレヴィット(おおぅ・・・)、ピエール・ド・ベスマン(やはりその路線ですか・・・)にバンジャマン・エノク入りのコンボ(そうきたか!)、エルンスト・グレールム(安定してますなぁ)等々。相変わらず脈絡無く無節操に聴き倒していますが、自分にはコレが一番好いようです。届いたばかりのフレッシュなものに挟み込んで、まだリリースされてから3ヶ月くらいしか経っていないけれども、聴く度に新たな発見があって聴後に余韻がジーンと沁みわたるこのような作品も手に取ってしまいます。

琴線に触れるというか恍惚感に浸れるというか、とてつもなく気持ちよくなれるコード(メロディ)進行というのが自分の中にはあって、楽理の備わっていない人間だけに説明が困難なので、敢えてうやむやにしちゃいますが、ジャズに限らず音楽を聴いていると突如それにぶつかることが侭あって何ともいえない幸福感を得られます。コレを聴いていて思わずビクンと反応したのが5曲目。こりゃ私にとっては大変なご馳走です。このトラックはとり憑かれた様に何度も聴きましたが、トータルでもとても素晴らしく何度も聴くに堪えうる極上の作品となりました。

ポーランドのピアニスト、パヴェウ・カチュマルチクの3作目。前2作は聴けていませんが、もし容易に入手できる環境であったならば是非とも試してみたいし、彼のことももっと認知されるのではないかと考えます。この作品では曲ごとに編成や使用楽器が変わり(最小ではトリオ、最大ではセプテット)、攻めるピアノもあれば内省的に聴かせるナンバーもあり、トータル・サウンドも緻密に計算されていてスケールの大きさを実感させます。

1曲目のバスクラの導入からワクワクし、本編の2曲目の鞭打たれるベースに嵌り込みます。この時点で、この作品がもはや抜けられない媚薬であると悟ります。3曲目には叙情的に奏される澄み切った水の如きピアノに心が安寧になります。そして5曲目。豊潤なアンサンブルとともに奏でられるテーマにクラクラ来ます。フレディ・ハバードに捧げられたこの曲はソロイストもエモーショナルで、トランペットとアルト&テナーの盛り上がりにも痺れます。続く6曲目もエスビョルン・スヴェンソンへのオマージュだそう。暖かみのある爽やかな曲調でグジェフ・ピョトロフスキのソプラノが冴え渡ります。タイトル曲である7曲目は静かな中にも熱を帯びていく展開が絶品ですね。9曲目のメロディも感情が高ぶりますし、10曲目のアレンジのカッコ良さなどは彼の器の大きさを証明していると思います。

同じポーランドのピアニストであるピョートル・ビレゾウも、ほぼ同時期に新譜をリリースしてきたので両方とも聴くことが出来ました。作品のカラーやスタイルはかなり異なりましたが、その水準の高さにはどちらも目を見張るものがあります。これからも知られざる名手が紹介される機会が増えることを切に望みます。

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  1. 2009/12/25(金) 23:59:21|
  2. Piano
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#917 Ducktones/Donald Edwards (Zoo'T-CD)

Donald Edwards - Ducktones

1.Heads-N-Skins
2.The Saboteur
3.Apple Street
4.Geraldine
5.Snow Child
6.Black Narcissus
7.Ducktones
8.Blue in Green
9.For Instance

Donald Edwards (ds) Brice Winston (ts) Jonathan Kreisberg (g) Robert Glasper (p,el-p)
John Sullivan (b)

Rec-2002



いやぁ驚いた。始まる前からすごい人だった。コットンクラブにはかれこれ10回以上は観に行っているけれど自分が経験した過去最高の入りだったような気がする。発売当初からチケットの動きがいつもより早かったことは気づいていたけれど、まさかココまでとは!こちとら開演の2時間半前に受付の様子だけ見て、その後外にメシを食いに行こう(ちょっと言い訳。久しぶりの東京でCDを買い込みすぎてかなり散在していたのでメシを安くあげようと思っていた。)と算段していたのだが、既に列が出来ていて25~35人分の席が押さえられている状態に愕然としてしまった。もちろん安メシはお預けでその最後尾に並ぶ。案内氏が奇しくも触れていたけれど、回を重ねるごとに盛況になり今回は満員御礼とのこと。初めての公演の時はそれほど客が入らなかったとこぼしていたが、その初回から欠かさずステージを目撃し感激し続けてきたオッサンは今回も予定をやりくりして馳せ参じてしまった。結局メシは抜いた(セコイね!)のだが、演奏がとても楽しくて空腹に沁みるビールも美味かった。

一番盛り上がるのではないかという理由で、田舎モンの当方でも日帰りが可能(日曜日は開演時間が早い!)であったロバート・グラスパー・エクスペリメントの最終日の最終セットを観てきました。コットンクラブでは3回目の公演ですが、エレクトリック中心でのセットは初めて。トリオでの過去のステージを2回とも観ている当方にとってはかなり興味深くて果たしてどうなることかと思っていましたが、既にいい塩梅に酒をかっくらって出てきた連中の演奏は、即興性が強めのステージになったけれど見応えがあって大変満足したのでした。

今回のフォーマットでの来日と云うことが一番の要因でしょうが、学割が使えた事も相まっていつもよりも客層が若い!そして恐るべしクリス・デイブ人気。予想はしていたが見事にドラム・セットの前から席が埋まっていったのはさすがに笑ってしまった。そりゃそうだ、待望の来日だったもんね。自動小銃が如きクリスのビートに度肝を抜かれ、このグループでの彼の存在の大きさを改めて実感しました。デリック・ホッジは5弦と4弦のエレベを用意していたけれど、自分の観たセットでは5弦しか使っていなかったなぁ。ケイシー・ベンジャミンの世界はCDやYouTubeだけだとイマイチよく判らなかったのですが、生で見てみるとなかなか強力でとても感銘を受けました。アルトにエフェクトを噛ましスペイシーなサウンドを構築したり、ヴォコーダーの多様性を実際に目撃するとそのスケールの大きさに感心させられます。グラスパーはアコピにローズ、エレピを駆使し、相変わらずいつものグラスパー節を炸裂させて応戦していました。前回のステージ(今年の4月)あたりからコナれてきたのか、彼のステージでのはっちゃけ振りが加速度を増してきたようで、今回も「A・トレイン」や「シャイニー・ストッキングス」などのフレーズをかまし、もはや客いじりをするのは恒例になってきたようですな。今回も音楽以外でも楽しませてもらいました。どうやら興行的にも成功しているようなので、近いうちの再来日を期待しておきます。

さて題目のCDにグラスパーが参加しています。ある方のログを読んで、コレにクレジットされていたことを思い出したのです。今までにかなりの参加作を聴いてきましたがコレは完全に失念していてまだでした。録音時期からある程度時間が経過しているため廃盤かもと思いつつ一応オーダーを掛けたのですが、約一ヶ月かかったものの無事到着しました。コレはドラマーのドナルド・エドワーズ名義の日本制作のアルバムなのですが、思いのほか骨っぽくコンテンポラリーな内容に「いいじゃないか!」と思わず歓喜しました。いきなり1曲目からドラム・ソロという気合の入りようで、エドワーズのドラミングは全体を通してもなかなかスリリングです。グラスパーはピアノとエレピで参戦し、彼のファンならば2曲目や4曲目、9曲目あたりには思わずニヤリとされるのではないでしょうか。それとこの作品ではジョナサン・クライズバーグのギターの存在感が抜群です。早いフレーズを破綻無くキメまくりカッコいいったらありゃしない。個人的には疾走感のあるトラックに見事に反応し、聴けて良かったと安堵しています。

今回の上京では、グラスパーが2曲だけ参加している"Introducing the Javier Vercher Trio"(Fresh Sound New Talent)も中古で見つけるといったオマケもあって、そういった意味でもなかなか有意義でした。

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  1. 2009/12/22(火) 03:04:09|
  2. Drums
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#916 David Berkman Quartet Live at Smoke (Challenge-CD)

David Berkman - Live at Smoke

1.Weird Knack
2.The Mayor of Smoke
3.Simple Pleasures
4.Along Came Betty
5.Hidden Fondness
6.Carroll Street Pop Tune

David Berkman (p) Jimmy Greene (ts,ss) Ed Howard (b) Ted Poor (ds)

Rec-2006



へんな思い込みをして聴く前からその作品を勝手に曲解し、入り口のところから迷子になることがしばしば起こります。全てコチラの知識不足というか体験不足というか、作り手には全くもって迷惑千万なリスナーと化してしまうことが不本意なのですが、音楽を聴く集中力の問題か、はたまた聴き込んだタマ数が未だに足らないのか、やはり救いようの無いイカれ耳だからか、しょっちゅうそんなことを繰り返します。このアルバムもそんな理由のために最初はなかなかタフでした。

このアルバムも前回取り上げたダナ・ホールのように、少なくとも日本国内のウェブ上ではそんなに注目されなかったようです。クリーブランド出身のピアニスト、デヴィッド・バークマンの5作目はニューヨークはスモークでのワンホーン・カルテットのライブ・アルバム。サックスのジミー・グリーンの参加やドラマーにテッド・プア(ここに安直に反応したことが迷子のはじまりだった)を配していたので、どんな音が出てくるのか大いに気になりリリース時に有無を言わさず引っ張ってみた作品。このアルバムはリリースされてから既に半年以上経っていますが、録音はさらに前で2006年のものでした。

まずテッド・プア=クォン・ヴー・カルテットの一員という図式が、自分の中で強力に出来上がってしまっていたことが遠回りの始まりでした。彼が他で演っているものを全く知らない。そのカルテットで攻めに攻めまくるドラムと、アングラ臭がプンプン漂うエレクトリックなサウンドにヤラれていた当方にとっては、ここで演奏されているアコースティックなジャズに彼のドラムがなかなか結びつかなかった。その時点で聴き所を見失って右往左往してしまい、且つバークマンのペンに依る(ベニー・ゴルソン作の2曲目を除く)作品は、脳内が単純に出来ている当方にとって一聴してニヤリとさせられるような明快な浸透性が希薄だったため、吸収力の悪い己のスポンジを悩ましいと感じ自己嫌悪に陥ります。再チャレンジを繰り返し、往生際の悪さも露呈させたアルバムですが、最近はコナれてきたのか少しはマトモになってきたのか、気が散漫にならずにジックリと聴くことが出来ています。やはり身銭を切ったモノには何度も執拗に食らいつく癖を持ち合わせているようです。そもそもバークマンのリーダー作を聴いたのも今回が初めてで、今までの彼の変遷を全く理解していない当方にとっては拠り所をさらに掴みにくくしているのですが。

そんなこの作品ですが、ライブならではのエネルギーが放出したパワフルさというよりも、クールな質感とスタイリッシュさも持ち合わせた構成に惹かれます。1曲目や2曲目のような互いを探りあうように進む辛口のテイストを持った曲や、テーマが印象的な3曲目、スリリングに疾走する5曲目や、ジミー・グリーンのソプラノが効いた〆に相応しい6曲目など相当の頻度で摂取し続けてきて、今では聴けば聴くほど味わいが変化するような深みも感じています。曲調と相まった渋さを感じさせる大人のジャズといった塩梅で、こういうジャズの良さを一聴して理解できる感性を早く持ち合わせたいものです。

オランダのチャレンジというレーベルは、同国のクリスクロス以上に短い周期で多くの作品をリリースしてくるので、一趣味人としてはその全貌を把握することはなかなか困難ですが、ヨーロッパのレーベルながら自国のアーティストだけに固執しないラインナップは、その多様性から興味深い作品を多く生み出していますね。アメリカのミュージシャンにスポットを当てたアルバムも多いという意味ではクリスクロスとも通ずるところがあるようです。探検のし甲斐のあるレーベルです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/12/19(土) 19:50:26|
  2. Piano
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#915 Into the Light/Dana Hall (Origin-CD)

Dana Hall - Into the Light

1.I Have a Dream
2.Conversion Song
3.Orchids
4.Into the Light
5.Black Mountain
6.The Path to Love
7.Jabali
8.For Rockelle
9.Tin Soldier

Dana Hall (ds,cymbals) Terell Stafford (tp) Tim Warfield, Jr. (ts,ss)
Bruce Barth (p,el-p) Rodney Whitaker (ac-b)

Rec-2009



Amazonからはご丁寧に毎日お奨めのCDをメールで紹介されています。今までに買った商品の傾向を収集分析して提示してくるもので、サイトを利用したことのある方ならおそらく殆どの人に届くであろう例のアレです。本来なら販促の類は無視を決め込みたいところですが、時たま渋いものをチョイスしてきたり、突如未知のアーティストを平気な顔をして「どうだ!」と問うてくるので手強いったらありゃしない。紹介される内容はトータルでは見知ったものが大半とは云え、自分が新譜の情報として見落としたものやアンテナに引っ掛からなかったものを掘り起こしてくるので油断がなりません。最近のご教示では、かなり個性的な音を創作するヴァイヴ&マリンバ奏者のジェイソン・アダシェヴィッツ(Jason Adasiewicz)や、なかなか強力なメンバーを従え初リーダー作を発表したピアニストのジェシ・エルダー(Jesse Elder)、若手ピアノ&オルガン奏者のブライアン・シャレット(Brian Charette)や、もはやベテランでキャリアが長いのに今まで縁が無かったギタリストのジョシュア・ブレイクストーン(Joshua Breakstone)あたりのミュージシャンをAmazonには個人的に発掘してもらいました。しかしながら、まんまと作戦に嵌る情けなさよ。

ちなみにこのアーティストもその中のひとりだったのですが、ブルックリン生まれでシカゴをベースに活動するダナ・ホールというドラマーの初リーダー作品。よくよく調べてみれば、ラルフ・ボウエンの作品で叩いているのを以前に聴いていたことが判明しました。つい最近リリースされたばかりのこのアルバムですが、ジャケットを眺めていて妙に気になり、ドロッとした濃いジャズが出てきそうな面構えであったので、MP3を探して聴いてみたらとてつもない暴れ太鼓をカマしていたので思わずクリック(発注)です。そうさなぁ・・・あくまで雰囲気ですがラルフ・ピーターソンを聴いているかのようなエキサイティングなジャズで、黒くてホットなサウンドには心の臓をえぐられてしまいコレは病み付きになっています。彼の身辺をもうちょっと掘り下げてみると、ロドニー・ウィテカー以外のこの作品のメンバーは、トランペッターのテレル・スタッフォード(Terell Stafford)のリーダー作で長いこと共演している旧知の仲(ティム・ウォーフィールド・ジュニア = クリス・クロスなどに作品を吹き込んでいるティム・ウォーフィールドなんですね)のようで、テレルに関してはアメリカでリリースされたばかりの、クリス・ポッター参加の"Coming Together"(Inarhyme)にも双頭名義でクレジットされていたり、ヴァンガード・ジャズ・オーケストラの一員として「ブルーノート東京」で先日の12月9日まで来日していたようで、自分の興味はそちらへも向いてしまうと云う収拾のつかない広がりをみせ始めています。そこでテレルのリーダー作をMP3で試してみたのですが、やっぱりダナ・ホールのこの作品のほうが個人的には完全に好みであり、特にドラムはコチラのほうが断然火を噴いていて豪快に感じました。

オリジナルとともにメンバーやハービー・ハンコックの作品などを散りばめ、「静」と「動」を織り交ぜた構成ながらも、気合入りまくりの主役によって熱い作品と云う印象のほうが強いです。二管クインテットですがオーソドックスには纏まらず、大半はアコースティックながらも数曲でローズ・ピアノを使用し変化をつけています。またタイトル曲の4曲目(コレが大迫力!)などは、トランペットにエフェクトを掛けたりディレイ処理を施したりと、その世界観をさらに広げるサウンドでスケールを大きくさせています。あっちこっちでオカズが決まりまくり、つんのめり気味に走るドラムは破壊力抜群(特に4,7,9)で、さすがドラマーのアルバムだということを実感します。この超ド級のドラムを「凄い」と捉えるか「やり過ぎ」と捉えるかで好みも分かれそうですが、単細胞の当方には扇動的な悶絶リズムにはイチコロであります。さしずめ燃えたぎる血潮をぶつけた戦うジャズ(思想的な意味合いは無いよ)のようで、興奮の度合いはマックスへ突入です。フロント二人は煽られたように躍動しブルース・バースのピアノ(エレピ)とロドニー・ウィテカーのベースもメリハリの効いた主張で応酬しますが、前述の通りあまりに主役がド派手な活躍なので他のメンバーが食われ気味にすら聴こえるのはご愛嬌でしょうか。

日本ではほとんど話題になっていないようですが、「こりゃ美味しいわい」と独りごちてニヤニヤしています。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/12/12(土) 17:23:19|
  2. Drums
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#914 My Fifty One Minutes/Raynald Colom (Fresh Sound New Talent-CD)

Raynald Colom - My Fifty One Minutes

1."3"
2.Interlude #1 (Plaza Real 5:30 am)
3.Bs As
4.Skylark
5.Interlude #2 (Un Lunes Cualquiera...)
6.Atom
7.Three Views of a Secret
8.Interlude #3 (....!!!!!)
9.Africa
10.Interlude #4 (Two Hot Dogs & A Strawberry Soda)
11.?Y que se yo?
12.Interlude #5 (The End)

Raynald Colom (tp,fl-h,el-p→only2,12) Marti Serra (ts,ss→except3,4,5,9,10,12)
Jose Reinoso (el-p,hammond B3,wurlitzer→except2,5,10,12)
Tom Warburton (double-b,el-b→except5,10,12) Marc Ayza (ds→except5,12)
-Guest Musicians-
Jesse Davis (as→only3,9) Arex A "Tnt" (voice,g→only10) Javier Mas (archilaud→only9)

Rec-2004



この作品は曲づらを眺めれば判るとおり、合間にインタールードを挟み込んだ、どちらかといえばクラブ・ジャズ的なテイストをも含んだサウンドで、ローズやハモンドB3、ウーリッツァーなどのエレクトロ・ピアノやオルガンの心地よさを存分に活かし、その上でトランペットやサックスが悠然と唱うと云った内容です。このアルバムにも参加しているドラマーのマーク・アイザの"Offering"(Fresh Sound New Talent)を聴かれた方なら、かなり近いテイストと言えばイメージがし易いのだろうと思います。こういった構成で聴かせるジャズはとみに多くなっているようで、ひょっとしたら「んなもんジャズじゃねぇよ」といわれる方がおられるかもしれない。そのくらいにこのようなアプローチには好き嫌いが出てきそうな感じを受けます。特にジャズに真摯さを求めるファンは歯牙にも掛けないのかも。でもちょっと待って。このアルバムはそこまで露骨にソレを踏襲している訳でもなく、しっかりと節々からジャズを主張しており何よりもこのトランペッターがとても上手いのです。

レイナルド・コロムは1978年フランス生まれで、1988年に家族とともにバルセロナに移り住み、バークリー音大を経てから改めてスペインを拠点にして活躍するトランペッター。「私の51分」と題されたこのアルバムは、その「51分」にレイナルドというトランペッターの輝きを凝縮した、彼の力量を存分に感じさせるデビュー作でした。ちなみに彼のアルバムは今まで3枚がリリースされていて、セカンド・アルバムである"Sketches of Groove"(Fresh Sound New Talent)はこのアルバムとは若干毛色が違い、曲によって大小のコンボを使い分けながら多彩なカラーの楽曲を並べた一品で、先日出たばかりのサード・アルバムである"Evocacion"(Adrib Arts)は、スペインのレーベルらしく何とフラメンコとジャズを融合した斬新なサウンドを披露しています。かように作品ごとに七変化する彼のスタイルは、単純にクラブ・ジャズなどと揶揄することが出来ない幅広さと技量が備わっていて、トータルで見れば明らかに画一的なイメージを許さないパワーが漲っていました。

レイナルドのトランペットは余裕を感じさせるゆったりとした吹奏の印象の反面、突如戦闘モードに入るかのように矢継ぎ早に繰り出されるパワフルな音圧の演奏もあって、彼の持つ多面的なスタイルはその懐の深さを感じさせてくれます。全体的にはメロディの髄が溶け出したマイルドでメロウなナンバーが並び、特にエレピのふっくらとした聴き心地によって寛ぎモードに陥りそうですが、そんな中にもストレートに迫る6曲目のようなグッとくるパワーのあるサウンドや、垂れる頭も思わず起こされるジャコ・パスの7曲目などはアルバムに緩急をつけるカンフル剤となって効いています。またヴォーカル入りでファンク色の強い10曲目のブリッジは飛び道具のようでビックリするかも。あまり認知度は高いといえなさそうなトランペッターですが、個人的にはずっと追いかけていきたいプレイヤーです。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/12/11(金) 01:53:51|
  2. Trumpet
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#913 Golonka Love/The Core (Moserobie-CD)

The Core - Golonka Love

Disc 1
1.Caveman's Blues
2.The Sun Also Rises
3.New Thing
4.Zaire
5.Blue Sky
6.7th Father
7.Iliman Dance

Disc 2
1.Pharoah
2.Blue Sky
3.The Core
4.Zaire
5.Free Bird
6.Interlude
7.Bolero
8.Iliman Dance

Disc 1 [1~5]

Jorgen Mathisen (saxes) Erlend Slettevoll (el-p) Steinar Raknes (double-b) Espen Aalberg (ds)

Rec-2008

Disc 1 [6,7] Disc 2 [1~4]

Kjetil Moster (saxes) Erlend Slettevoll (p) Steinar Raknes (double-b) Espen Aalberg (ds)

Rec-2007

Disc 2 [5~8]

Kjetil Moster (saxes) Erlend Slettevoll (p) Steinar Raknes (double-b) Espen Aalberg (ds)
DJ Lenar (turntables)

Rec-2007



このノルウェーの連中のことは以前から名前だけ知っていたのですが、過日ある記事をキッカケに聴いてみようと思い立ち、過去作のMP3を試してみればそれはもう勇ましいサウンドが飛び出してきて度肝を抜かれ、個人的嗜好にあまりにも合致するエキサイティングなジャズなので全ての作品を取り寄せてしまったという、己に散在をさせやがった許し難きグループであります。うわぁ、昨年に恵比寿『天窓スイッチ』と中目黒『楽屋』というハコで初来日公演(2008年10月17日~19日)を果たしていたではないか!おぉぅ、何という後悔・・・。多分コレを生で体験していたら鼻血を噴く自信が当方にはあります。北欧といえば、モティーフ(Motif)やザ・シング(The Thing)の来日は都合が付かず(アトミック(Atomic)は既に公演からだいぶ経ったけれど観に行きました)じっと我慢していたけれど、この連中をスルーするのは知っていれば不可能だったと思う。自分にとってあまりにもど真ん中であったのでこれは凄く残念です。彼らは今日(12月9日~)からツアーのようですが、何とインド・スリランカ・ネパールを回るという(過去にもインドやパキスタン、バングラデッシュ等を回っており、インド人奏者のタブラやシタール、フルートとこの時期に競演した"The Indian Core"(Grappa)というアルバムまでありました)。そしてつい先日までは約二週間掛けて中国&香港で演っていたようです。近場(?)にいるのに何故コッチに来ない?しかし嬉しいアナウンスも!来年2月初旬にはレコーディングに入る模様、とても楽しみです。

まずは彼らのHP(←リンクが埋めてあります)を覗き、右上にアップロードされている4曲を聴いたのですが、このアルバム収録の"New Thing"というトラックと"7th Father"(2004年のデビュー作の"Vision"[Jazzaway]に収録)を聴いて、即座に通販サイトに発注を掛けてしまいました。よく見ればご丁寧にブートレグと称し、自身のライヴ音源をHP上に公開(先日の中国&香港公演のものもあった!)していてなんとも太っ腹でニヤついてしまいます。

これはザ・コア"The Core"のポーランド国内3ヶ所での演奏を収録した2枚組ライブ盤。フロントのサックスには、前メンバーのシェティル・メステルと、現メンバーのヨルゲン・マティセンという二人が今までに在籍していて、このライヴ・アルバムは、その二人の燃えるサックスが堪能できるという贅沢なものです。他のメンバーであるピアノのエアレン・スレッテフォル(アーレン・スレッテヴォル)、ベースのスタイナー・ラクネス(スタイナル・ラクネス)、ドラムのエスペン・アールベルグ(エスペン・オールベルグ)は不動です(※カッコ内は国内盤CDの表記で、前に書いてあるものは来日時の表記のようです)。

ユニオンの解説では『ディストーションをかましたローズ』とありますが、これがなかなか邪悪な音で気持ちがいい。こういうアプローチは珍しいことでもないのかもしれないけれど、荒々しく疾走するこの歪みには惹き込まれてしまいます。ローズ・ピアノの使用は2008年に"Free Blues Club"と云うハコで演奏された5曲(A-1~A-5)のみで、サックスは現メンバーのヨルゲン・マティセンの咆哮が聴けます。残りの10曲は2007年の演奏で、"Club Hades"での6曲(A-6,A-7,B-1~B-4)はアコースティックなカルテット、"Blue Note"での4曲(B-5~B-8)はカルテット+ターンテーブル(地元のDJだそうでヴォイスも入っている)という構成で、前メンバーのシェティル・メステルの呪術的な熱いスピリットが披露されます。

60年代のモーダルなジャズをベースにしたサウンドは、さらなる進化を望む向きには新鮮味に欠ける旨の論評も散見されます。確かにスレッテフォルのピアノにマッコイ・タイナーが降臨し、曲によってはコルトレーン・ライクな表情も垣間見え、また心酔しているのであろう"Pharoah"と云う名のトラック等々、さもありなんといった感じではあるのですが、いまさらそのテの音を好む自分のような人間にとってその指摘は耳が痛いながらも、彼らなりのテイストも感じられるこのアルバムなどは、そこだけに留まらない斬新さも放射しているように感じました。こういうの好きなんだよなぁ、と再認識させられたグループでした。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/12/09(水) 03:23:14|
  2. Combo
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#912 Historicity/Vijay Iyer Trio (ACT-CD)

Vijay Iyer - Historicity

1.Historicity
2.Somewhere
3.Galang (Trio Riot Version)
4.Helix
5.Smoke Stack
6.Big Brother
7.Dogon A.D.
8.Mystic Brew (Trixation Version)
9.Trident : 2010
10.Segment for Sentiment #2

Vijay Iyer (p) Stephan Crump (b) Marcus Gilmore (ds)

Rec-2008,2009



ルドレッシュ・マハンサッパのいないヴィジェイ・アイヤーのトリオということで発売前から気になっていました。管(スティーヴ・リーマン"Steve Lehman")入りのトリオである、フィールドワーク"Fieldwork"という名のコンボは既出の2枚とも聴いていますが、いわゆる純然たる(?)ピアノ・トリオは未だに体験していません。なにせマハンサッパの呪文のような濃厚なアルトに酔っている当方としては、彼が抜けることによってアルバムの印象が淡白になってしまわないかと危惧していたのです。それと発売されたレーベルがヨーロッパのACTということで、その作品群のカラーからSavoyやSunnysideのアルバムには存在する強いアクのようなものが消え去ってはいないかという点も懸念していました。ベトナムや韓国など、アジア系のアーティストも大挙して作品をリリースするACTですが、アイヤーのルーツである芳しきインドの香りは当方にとっては美味なるスパイスであるので、そこはかとない微香ぐらいは残されていると思いたい。一応このトリオもいつものメンバー3人での作品ですし。

一方ですごく楽しみだったのは、このアルバムに"Mystic Brew"が収録されていたこと。この曲はロニー・フォスター(Lonnie Foster)が1972年にブルーノートに吹き込み(収録アルバムは"Two Headed Freap" BN-4382)、それがジャズ外で火がついて、この曲のビニールがDJ用に改めてカッティングされていたりします(正確にいうと、ヒップホップ・グループのトライブ・コールド・クエスト"A Tribe Called Quest"の"Electric Relaxation"[アルバム "Midnight Marauders"(1993年)に収録]という曲でサンプリングされています)。このスウィートなナンバーをどのように料理しているのかとても期待が高まります。

聴いてみてアイヤーらしさはちっとも損なわれていなかったことに安心しました。ただ、やはりマハンサッパがいない分だけルーツ的な要素はいつもよりは感じられなかったことと、ピアノ・トリオなのでどちらかといえば落ち着いた感じの曲調が多いかなぁというのが正直な印象です。それでも相変わらず独自の世界は広がっており、聴後にしっかりと不思議な触感を残していってくれます。ただし、自分の期待していた"Mystic Brew"はコチラの想像を超えた出来で、執拗なリフが耳の中を旋回して病み付きになってしまいます。この曲と3曲目の"Galang"には、それこそヒップホップやテクノのトラック宜しく、『なんやらヴァージョン』などと云った別テイクの如き注釈まで付されていますが、明らかにこの2曲はこのアルバムの中で異質で、且つ際立っています。個人的にはこの2曲にアイヤーの新たなる一面を垣間見ました。なるほど"Galang"のほうも素材がヒップホップから来ているそうで、自分は知らないトラックだったけれどなんだか納得してしまいます。これらは出色の出来だと思いました。

ドラマーのマーカス・ギルモアは今年の3月にダニー・グリセットとともに来日し、ピットインでの演奏を実際に体験してきましたが、ヴィジェイ・アイヤーとダニー・グリセット云う、ここまでキャラクターの分かれた両者となると、さすがにマーカスのドラムのプレイ・スタイルも印象が変わってきますねぇ。色んな切り口を見せてくれる興味深いドラマーです。ステファン・クランプのベースもいつもどおりニヤリとさせられますし、思いのほか新発見があって楽しめました。ひと味違うものを好む方にはうってつけのアルバムではないでしょうか。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/12/03(木) 03:16:00|
  2. Piano
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#911 Everness/Rocio Faks (Fresh Sound World Jazz-CD)

Rocio Faks - Everness

1.Los Enigmas
2.Bicho Solto
3.Eu Nao Existo Sem Voce
4.Durazno Sangrando
5.E Luxo So
6.Everness
7.Zamba Del Laurel
8.Bebe
9.O Bem Do Mar

Rocio Faks (vo) Jordi Matas (g,el-g) Ismael Duenas (p) Masa Kamaguchi (b) Joe Smith (ds)
-Featureing-
Carlos Sarduy (tp→only2,5) Alan Sousa (perc→only5,8)
Gorka Benitez (fl→only7,ts→only9) Zoila Herranz Pintado (back-vo→only7)
Clara Sallago (back-vo→only7)

Rec-2007



フレッシュ・サウンドに関しては、新録はひたすらニュー・タレント・シリーズのアルバムばかりを購入していましたが、先日(といっても半年以上前ですが・・・)初めてワールド・ジャズ・シリーズの作品を仕入れてみました。現在はスペインのバルセロナに拠点を置いている、アルゼンチン(ブエノスアイレス)生まれのヴォーカリスト、ロシオ・ファクスのアルバム。このアルバムは『Gotas De Luar』(Fresh Sound World Jazz)に続くセカンドという位置づけでいいのでしょうか?色々と検索してみましたが、彼女のアルバムはこの2枚以外出てきませんでした。何せ情報収集能力が全く欠落しているので憶測で書いちゃってます。すみません。

ライナーをパラパラと捲っていたら、よく海外でありがちな怪しい日本語(漢字が微妙に間違っていたり意味不明の単語があったり・・・)が書かれたポスターのようなものが貼ってあるスナップがあって妙に気になってしまいます。各量販サイトでの説明ではスペインのミュージシャンをバックに従えているとのことですが、ベーシストは日本人の名前で通用する(実際に東洋系で、普通に日本人に見える)方だったりと、個人的にはさらに謎が深まります。うーむ。

ジャズ・テイストありボッサ風ありと切り口の豊かな内容です。ユニオンのサイトに依れば歌詞はポルトガル語とのことですが、スペイン語とポルトガル語の違いすら判別できない駄耳には、そもそも曲の本質にすら迫れません。ただし、かの地の言葉の響きには独特の雰囲気があって、とても心地よく聴くことが出来ます。正直云えば彼女のヴォーカルを特段に印象的だとは思いませんでしたが、どちらかといえばソフトでまろやかな質感、そして若干のクモリを持っており、それが適度な気だるさも感じさせ、そのアンニュイな声色はなかなか好い味わいです。やはり彼女の出自からして自然に染み付いたであろうボッサ向きの声質に仕上がっているような感じがします。YouTubeにもライブの模様が数曲アップロードされていました。

そこにシンプルながらも雰囲気のあるバッキングが絡んで曲ごとに世界を構築していきます。曲によってはホーンやリードが加わり変化をもたらしていてスペインのミュージシャンの技量の高さを窺わせます。ふっくらとした耳心地が全体を支配し、静かな夜に楽しむのに相応しいヴォーカル・アルバムでした。聴いていたらアルコールを欲してしまった・・・。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/12/02(水) 02:38:44|
  2. Vocal
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#910 One/Daniel Zamir (Acum-CD)

Daniel Zamir - One

1.Suite in Four Parts for Israeli POW Gilad Shalit in A Minor - Part 1
2.Suite in Four Parts for Israeli POW Gilad Shalit in A Minor - Part 2
3.Suite in Four Parts for Israeli POW Gilad Shalit in A Minor - Part 3
4.Suite in Four Parts for Israeli POW Gilad Shalit in A Minor - Part 4
5.Thirty One
6.Hatikvah - An Interpretation on Israel's National Anthem
7.Shdemati
8.Shdemati - Radio Version

Daniel Zamir (ss,vo) Jonathan Albalak (g) Nitay Hershkowitz (p)
Noam Wisenberg (b) Daniel Dor (ds) Berri Sacharoff (g,vo→only7,8)
Zohar Fresci (ds,perc→only7,8)

Rec-Unknown



PCのご機嫌がここのところ安定しているので、こうやって顔を出せる機会が多くなってきました。今日はこんなものを聴いていました。

この作品にかなりの比重でヴォーカルが入っていることは、いわゆる日本の量販店がこのCDの扱いを始める前から、israel musicのサイトでMP3が公開されていたので理解していました。イスラエルのダニエル・ザミールの近作は、当然ジャズ・ヴォーカルという範疇のものではなく、パッと聴いただけで、かの地の匂いが感じられるような、いわば宗教的とも云えるような呪術性を持った作品であるので、手を出そうかどうか迷ったことは事実です。入手するにあたり本音を云えば、手に入れにくくなる前に押さえておこうといった動機のほうが強かったのかもしれません。でも、2006年にリリースされた『Amen』(Acum)の素晴らしさは圧倒的であったので、当方にとって彼の資質が揺らぐことはありませんし、このアルバムよりもずっとジャズ寄りではありますが、ベースのアヴィシャイ・コーエンが今年発表している、やはりイスラエル色豊かなヴォーカル・アルバムも充分楽しめましたし。というわけで、今夏の発売時にすぐに手に入れたのですが、未だ在庫はあるようです。ジャズ好きにはなかなか訴求し難いモノのようで・・・。

いやぁ、しかしこれはまた凄いですな。何と表現したらいいのか、ちょっと考えてみたら『酔う』というフレーズが浮かんできました。声に『酔う』と云えばいいのか。もちろん悪い意味で云っているわけではありません。そしてひたすらユダヤの雰囲気が満点です。当然ながらザミールのソプラノにも『酔い』ます。これがまた強烈な節回しが満載です。ジャンルなどには執着しない当方ですが、やはり「ジャズ」というよりも「ワールド・ミュージック」と断言したほうが、興味を持たれる方にとっては親切な説明になるのかもしれません。そもそもザミールは同様のヴォーカル作品を多数リリースしているし、コチラを本職と見るほうが自然のことなのかも。前半はアザーンを彷彿とさせる存在感のあるヴォーカルの組曲で、中盤以降にジャズ的な要素も含んだエネルギッシュなインストが現れます。全体のコンセプトはブレずに筋が通っていて、ひらすらスパイシーなサウンドが横溢しています。繰り出されるフレーズが耳に焼き付いて離れず、その表現力の豊かさや確かな演奏には圧倒されっぱなしです。クレズマーを育む土壌からか、イスラエルにはクラリネットなどのリード楽器の名手が沢山いて興味が尽きません。

ちなみにこのCDは殆どがヘブライ語の表記で、門外漢の当方には何が書かれているのか全く不明です。またCDケースの見開きやジャケットの収納などが日本や欧米とはまったく逆なので、極東オヤジの私としては出し入れ時にえらい違和感があったりします。コレは文字を右から左に表記していくヘブライ語の特性から来ているのでしょうね。そういえばアラビア文字も同じなので、やはり同様の使用になっているのでしょうか?手元に当該のCDが無いので何とも言えませんが。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2009/12/01(火) 02:18:05|
  2. Soprano Sax, Baritone Sax
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ぬどい

Author:ぬどい

タイトル通りのブログです。聴くジャズに垣根をつくらずがモットーです。駄耳の持ち主ですがジャズが好きで連日湯水を浴びるが如く聴き続けています。しかし自分の耳は全く向上しません。近年ジャズに戻って来たためここ10数年のアーティスト&作品には非常に疎く探求中です。今までに所有してきたレコードの聴き直しと新たなる発見を求めて購入したCDの感想を備忘録を兼ねて更新しております。ど素人が主観のみで書いているログですので当然ココではお勉強は出来ません。検証は他所でやって戴いたほうが確実かと思いますのでその旨ご了承願います。(ただ今さぼりモード突入中)


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