イカれた駄耳にジャズの洪水

今宵も円盤漬け・・・     since 23rd Oct. 2006

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# 929 Introducing the Javier Vercher Trio (Fresh Sound New Talent-CD)

Javier Vercher - Introducing

1.Bird Food
2.Pollack Springs
3.Balada de Alfredo
4.L'Euridice
5.Pollack Springs-Duet
6.Norman
7.Orfeo
8.Entrance Door

Javier Vercher (ts) Chris Higgins (b) Brannen Temple (ds) Robert Glasper (p→only4,7)
Rakalem Bob Moses (ds→only2,8)

Rec-2003,2004



前回取り上げたフェレンス・ネメス関連でもう一枚。このアルバムの主とネメスは、双頭名義で "Wheel of Time"(Fresh Sound New Talent) と云う作品をリリースしています。ちなみにリオーネル・ルエケもギタリストとしてそのアルバムに参加しています。

"Javier Vercher". はてさて彼の名前はなんと読むのか。『ハヴィエル・ヴェルチャー』とか『ジャビエ・ベルシェ』という表記は見つけましたが果たしてそうなのかしらん?彼はスペインはマドリッド生まれとのことなので、個人的には『ハヴィエ・ヴェルシェ』あたりが妥当かと思うのですが、さてどうでしょう。まったく何の根拠もありません。如何せん日本で認知度が低いとなかなかカナ表記が確立しないので、アルファベット表記にするほうが無難ではあるのですが。来月早々やって来るオルガン&ピアノの "Gary Versace" もどうやら『ヴェルサーチ』ではなくて『ヴァセイシ』のようですしねぇ。日本人に限らず人の名前は難しい。

そもそもこのアルバムはロバート・グラスパー目当てで買ってみたものです。彼のウェブサイトのディスコグラフィーではこの作品が載っておらず、店頭で知らずに見つけたときには思わず小躍りしたのですが、確認すれば全8曲中のうち2曲しか参加していなかったので「ああ、それでか」と理解したものです。というわけで基本はピアノレスのサックス・トリオになります。個人的にはこのシンプルな組み合わせも大好物なのですが。

「イントロデューシング」とあるように、これは彼のデビュー・アルバムです。彼は現在までに上記のネメスとの競作を含め3枚の作品をリリースしているようで、他はペリコ・サンビート "Perico Sambeat" とのカルテットで2007年録音の "Infinita"(Fresh Sound New Talent) という作品が最近リリースされたばかりです。

聴いてみると随分男臭いテナーです。なかなかタフで武骨な噴きっぷりをする奏者です。こういうムンムンとしたテナーは好きですね。時たまフリーキーになったりトグロを巻いたりして迫ってくるのも素敵です。もちろんソフト過ぎず、ただし言うほどハード過ぎるということも個人的にはありませんが。ベーシストはクリス・ヒギンズの固定ですがドラマーは二人を擁していて、ブラネン・テンプルもボブ・モーゼスもゴツゴツした岩のようなドラミングで重々しく迫っています。サックス・トリオ特有の荒々しさを兼ね備えていますが、渋く決める3曲目や7曲目などのような朗々としたスローテンポもあってメリハリが効いています。イカレ耳でもブラインドで正答を出せる唯一のピアニスト、ロバート・グラスパーは4曲目のトラックで本領を発揮していると見ました。既にだいぶ前のアルバムですが、この時点でしっかりと彼のテイストが確立しているのはやはり現在の強みにもなっていると判断します。ピアノが入ると明らかに世界観が変わるもんなぁ・・・。

余談ですがココのところ新譜が鬼のように届いていて、一週間で15枚以上もやってきたので聴く時間をとるのが大変です。というわけで今回は聴き慣れたものを優先してしまいました。
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  1. 2010/01/30(土) 23:38:14|
  2. Tenor Sax
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#928 Night Songs/Ferenc Nemeth (Jazz Engine-CD)

Ferenc Nemeth - Nightsongs

1.War
2.A Night
3.Intro to Vera
4.Vera
5.New Song
6.Ballad for the Stars
7.Theme to L.L.
8.L.L.
9.Lullaby

Ferenc Nemeth (ds) Mark Turner (ts) Chris Cheek (ts) Aaron Parks (p) Lionel Loueke (g,voice)
John Patitucci (double-b)

Rec-2005



クリス・ポッター入りのダニエル・ザボ "Daniel Szabo" の新譜を聴いていて、ドラマーがこのアルバムの主であったことを知り、関連作として続けて手に取って聴いてみたのが本日記事にした作品。

これはハンガリー生まれのドラマー、フェレンク・ネメスの自主制作盤をイタリアのレーベルであるジャズ・エンジンがライセンス契約した復刻盤です。オリジナルは2007年にこのアルバムと同一タイトルで Dreamers Collective Records というレーベルで下掲のジャケットでリリースされていたようです。このオリジナルのジャケットを掲載したレビューがウェブ上にそれなりにあり、一部ではその内容の素晴らしさを力説する記事も見受けられたので、このアルバムの発売当初から既に反響があったことが判りました。あいにく当方にとっては、その当時は新作ジャズを探求し始める直前だった為、引っ掛からずに昨年の復刻によって聴くことが出来た次第です。

Ferenc Nemeth - Nightsongs (Original)

彼のウェブサイトでディスコグラフィーを確認してみると、単独のリーダー作としてはこのアルバムがファーストとなるよう(Javier Vercher との双頭名義の作品もフレッシュ・サウンドからほぼ同時期にリリースされています)で、サイドでの仕事は1996年から始まったようです。ザボ盤以外の自分が経験した作品ではポルトガル生まれのギタリスト、フランシスコ・パイス(ペイスと読むのかも?)"Francisco Pais" の2枚のリーダー作である "Not Afraid of Color"(Fresh Sound New Talent) と、"School of Enlightenment"(Product of Imagination) で聴いており、またこのアルバムにも参加しているリオーネル・ルエケの作品 "Karibu"(Blue Note) でも叩いているのを聴いたことがありました。そういえば来月ブルーノートから発売される予定のルエケの新作、"Mwaliko" にも彼はクレジットされていますね。未聴のもので他に気になるところでは、同じハンガリー人でピアニストのカルマン・オラーの作品でも彼は演っているので気になってしまいます。

パーソネルの傾向を見てみるとこのアルバムも今までの関わりが濃い盟友との録音になっているようで、当方にとっては今までに多く接することが出来てきた馴染みのメンバーばかりであるので、どのような演奏なのかをある程度想像しながら聴き始めてみたのですが、実際に出てきた音はイメージと若干異なった雰囲気も感じられ、一筋縄ではいかない現代的なサウンドということもあって、思いのほか新たな発見が出来て嬉しい誤算になりました。届いてから約二ヶ月ほど経ちましたが、聴けば聴くほど旨味の出てくるアルバムでなかなか気に入っています。

コンテンポラリーなサウンドが全体を支配し、聴くたびに入り込んでしまう魅力に溢れています。特に良かったのは、◎アーロン・パークスが自身の力量をしっかりと開示していることが素晴らしい。◎リオーネル・ルエケのギターがとても好いアクセントになっている。◎ジョン・パティトゥッチのベースの存在感はやっぱり大きい。◎フェレンク・ネメスは見せ場も作りながらトータル・サウンドをしっかりと意識している。と云ったあたりでしょうか。クリス・チークとマーク・ターナー(指のケガをする前のレコーディング)のテナーをフロントに据え、個性的な二者がいつものようにウネウネと迫ってくるのですが、これがクリエイトされたサウンドに良くマッチしていて思わず唸ってしまいました。ストーリー仕立てになっているかのような各曲の表情の変化を楽しみ、その深さを感じとりながら進行していくような作品に仕上がっていて、聴後に豊潤な余韻が残るのも嬉しいところです。どちらかといえばジャズ本来のテイストと云うよりも、ほんのりと香ってくるスパイシーなサウンドがこのアルバムの特色とも云えるのではないでしょうか。

単純に出来ている人間なので、解り易く勢いのあるサウンドにはすぐに反応し狂ったように摂取し続けるのですが、この作品は当方にとっては反復することによってその凄さが理解できる類のアルバムと言えそうです。とても好いです。

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  1. 2010/01/28(木) 03:19:54|
  2. Drums
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#927 Vision/The Core (Jazzaway-CD)

The Core - Vision

1.Pharoah
2.7th Father
3.Zaire
4.Vision
5.The Core

-The Core-

Kjetil Moster (saxes) Erlend Slettevoll (p) Steinar Raknes (b) Espen Aalberg (ds)

Rec-2004



継続してジャズの探索をしてきた末に見つけた、個人的には数年に一度クラスの掘り出し物のアルバム。これは収穫でした。

ここ一年ぐらいのことなのですが、自分の中のヨーロッパのジャズの概念と云うのは静謐で内省的とか硬質で荘厳と云うイメージよりも、インプロ系の優れたアーティストがゴロゴロいる、しかもかなりブッ飛んだパフォーマンスを魅せてくれる怪人が蠢いていると云った、なんだかおどろおどろしいイメージに刷り変わってきました。そもそもの本質は違えども、それこそ本場のアメリカ以上に過激でホットな連中が多いのではないかと睨んでいます。このグループはノルウェーなので該当するのですが、特に北欧の国々にはその分子がウヨウヨいることが判ってきて、迸るスピリットがご馳走である自分としては彼らを注視せざるを得ません。そもそも北欧にはインプロ系のミュージシャンを多く抱えたレーベルがかなりあり、この Jazzaway もそうですが、ブッゲ・ヴェッセルトフト主宰の Jazzland やハードなアルバムが多い Smalltown Superjazzz 、またヨナス・カルハマー主宰の Moserobie あたりからもなかなか斬新で個性的な作品が沢山リリースされています。しかしこのグループの演奏はドシャメシャのフリーというものではありません。猛烈にカッコ良くモーダルでシリアスなジャズを演っています。というのも、このアルバムのシェティル・メステルと云うサックス奏者(ザ・コアからは既に脱退しています)は現在 『トリニティー』 "Trinity" というグループにも所属しており、先日リリースされた "Breaking the Mold"(Clean Feed) という彼らのアルバムを聴いてみたのですが、実験的な試みを多分に感じさせるインプロヴィゼーションが軸となっていてフリーの王道を往くような演奏です。自分を表現する引き出しを沢山持っていることがよく理解できる、今日取り上げたこのアルバムとは対照的な作品でした。

ザ・コアに関しては、コレを含めこの2~3ヶ月で今までリリースされた殆どのアルバムを揃え、それらを貪るように聴いていますが、その萌芽となったこのデビュー作では若々しさ清々しさエネルギッシュさに満ち溢れていて、当方の興奮度もマックスで特にお気に入りの一枚となっています。手抜きを知らない血管キレまくりの5曲が47分強という丁度好い塩梅の長さで勝負されており、もしこれ以上詰め込まれてしまうと無駄に馬齢を重ねてきた抵抗力のないオヤジには卒倒する危険性があります。

特筆すべきは各自のバトルがこれ以上無い熱い形で記録されているということ。シェティル・メステルのサックスの咆哮はダンディズムに溢れ、魂の叫びをハードなブロウに乗せてギンギンに迫ってきます。エアレン・スレッテフォルのピアノには熱き血潮が滾っていて、60年代のマッコイ・タイナーが尻込みするかのようなワイルドさは痛快でクラクラします。うねりを上げるスタイナー・ラクネスのベースが打ち震え、エスペン・アールベルグのドラムは制御不能の暴走機関車のように止まりません。フリーという形式以外でココまでキレる演奏を体験したのは何時ぶりか回顧できないくらいに強烈で、モード・ジャズ好きには絶頂の快楽が味わえる珠玉の一品でした。新しい手法を開陳し聴き手の度肝を抜くような奇抜さはありませんが、60年代のジャズをこよなく愛する方やぬるいジャズには耐えられない方には全力でオススメします。もっともっと広く知られて欲しいグループです。

全くもって遅ればせながら、寒い国々の熱いジャズが自分にとって今まさに旬を迎えています。

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  1. 2010/01/22(金) 00:03:14|
  2. Combo
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#926 Promises/Will Vinson (Nineteen Eight-CD)

Will Vinson - Promises

1.Albemarle
2.Believer
3.Philos O'fur
4.Rose Tint
5.Adventures of Bagpuss
6.Promises
7.Lagonic
8.Leafy

Will Vinson (as,ss) Aaron Parks (p) Lage Lund (g) Orlando le Fleming (b)
Rodney Green (ds→except3) Ari Hoenig (ds→only3)

Rec-2006



ロンドン生まれのサキソフォニスト、ウィル・ヴィンソンの "It's for You"(Sirocco) に続くセカンド・アルバム。彼のリーダー作を聴くのは初めてですが、サイドにつられてだいぶ前に買ってみたものです。このアルバムにも1曲だけ参加しているドラマーのアリ・ホーニッグの作品 "Bert's Playground"(Dreyfus) では、逆に彼がサイドとしてアルトを吹いていて、それを自分は既に体験しています。彼は昨日までラージュ・ルンド、ベン・ストリート、ヨッヘン・ルッカート(彼はアーロン・パークスのグループで来日した時に観ました)とともにヨーロッパ・ツアー中だったようで、以前にも書きましたがラージュ・ルンドはダヴィッド・サンチェスのグループでこのギグの後すぐに来日します。ちなみにこのアルバムのピアノのアーロン・パークスは彼のデビュー作にも参加しているようですねぇ。ということでコレにも俄然興味が湧いてきているところです。それとこのアルバムの1曲目と6曲目が彼のウェブサイトでフルサイズで聴くことが出来、他にはカート・ローゼンウィンケル(彼も来日が決まりましたね)とのライブ音源等もアップロードされているのでまずはお試しあれ。

なんというか、音的にはコレに近いメンバーでの演奏を他でいろいろと聴いているので、出てくる音がある程度想像出来て、そういった意味合いでは新鮮味といったものはさほどないのですが、やはり好みのメンバーの演奏であることから満足度は充分に得られました。全てがウィル・ヴィンソンのオリジナルで固められており、それらがよく練られた楽曲ばかりで一聴してすぐ理解できるような平板な曲が皆無であることは、アーロン・パークスやラージュ・ルンドのアルバムにも共通するような香りを放っておりなかなか奥深いです。ヴィンソンはフルートなども吹きますが、ココではアルトとソプラノを使用しており個性的なメロディをいとも容易く繰っています。そしてその音色は実に軽やかでふっくらとした印象ですが、曲調が現代的な解釈でしかも陽的なものが無いに等しいのでそれほど派手さは感じられません。ただし5曲目のような疾走感抜群の曲では、湯水の如く溢れ出る旋律が強烈で、その熱を帯びたリフとともに脳裏に深く刻み込まれます。この曲のアーロン・パークスの爆発具合もスリリングで、デビュー時のアルバムから比べればひと皮もふた皮も剥けた個性を開陳してくれていて嬉しいものがあります。それとラージュ・ルンドの存在感はやはり抜群ですねぇ。彼のギターが加わると空気が確実に変わりアルバムの印象をも支配します。このアルバムでもホーンライクなギターが何とも心地よく、またタップリと執られたソロは流麗で唸らされます。

前述した通りの聴くごとに印象が変化していく(その奥深さに気づかされる)作品で、さらなる新たな発見を求めて繰り返し聴かされると云った、自分にとっては好い傾向のアルバムになっていました。なんともスルメ的な作品です。

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  1. 2010/01/21(木) 02:57:04|
  2. Alto Sax
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#925 Strata/Matthew Shipp Horn Quartet (Hatology-CD)

Matthew Shipp - Strata

1.Strata 1
2.Strata 2
3.Strata 3
4.Strata 4
5.Strata 5
6.Strata 6
7.Strata 7
8.Strata 8
9.Strata 9
10.Strata 10
11.Strata 11
12.Strata 12
13.Strata 13
14.Strata 14

Matthew Shipp (p) Roy Campbell (tp,pocket-tp) Daniel Carter (as,ts,fl,tp)
William Parker (b)

Rec-1997



現代のフリー・ジャズにおいて威光を放つマシュー・シップという男については、現在進行形でフリーを吸収していきたいワタクシにとっては避けられない峠であります。とは云え、約二年ほど前にやっとそれらを掘り下げようと新たに歩みだしたばかりの自分にとっては、これまでにリリースされたシップの膨大な音源を前にたじろぐばかり。全く知識のない人間が思いもしない形でこのアルバムを手にすることが出来、またシップのリーダー作を聴くのも初めてだった当方にとっては、これを文章に記すにはあまりに経験値が不足しているのを自覚していたので、この際色々な彼のアルバムを聴いてみて一度整理してみようと思ったのが運のつき。聴けば聴くほど多様で斬新なスタイルに面食らって度肝を抜かれ、しかもそのどれもが強いインパクトをもって迫ってくるので、一体彼の本質とやらはどこにあるのか、どこに的を絞って言及すればよいのか迷宮に入る始末。個人的なブログのブランクも相まって、結局このアルバムが手元に届いてから既に一年近くが経とうとしています。未だに十数枚程度という心許ないシップの経験値しか持ち合わせていませんが、おそるおそる書き出してみます。

上記で触れた通り、シップのリーダー作ではこのホーン・カルテットを聴いたのが最初です。もう少し系統立てて説明すると、そこから同レーベルの Hatology でリリースされている作品(ストリング・トリオの "By the Law of Music" や、再発の "Thw Multiplication Table" 等)を中心に聴き始めます。前者は題記アルバムに似通った匂いを醸していますが、後者の再発盤が他のアルバムと違う匂いを放っていることを感じ取りました。フリー度がそれほど感じられず、しかし強烈な個性をもって開陳されていてヤミツキになります。のちに当時直近の新譜であった "Harmonic Disorder"(Thirsty Ear) を聴いてみるのですが、やはりフリー度よりもその個性の強さのほうに導かれていきました。そしてデヴィッド・スペンサー・ウェアのサイドでの仕事などを聴いてその強烈さにブッ飛び、並行してその他のリーダー作を色々試した後に聴いた "Nu Bop"(Thirsty Ear) には心底度肝を抜かれました。ブレイクビーツというかドラムンベースというか、ギレルモ・E・ブラウンのデジタル・チックな強烈なビートに体が痙攣し、ブロック・コードを露骨に多用した強烈な個性も炸裂していて鬼気迫るシップに圧倒されます。なるほどこの御仁、DJスプーキーともコラボしているではないか!オーソドックスでもフリー・スタイルでも、また "Nu Bop" のような斬新さやエレクトリックへの融合など、当方の白子脳は許容を超えて煙を噴いてしまいました。無論今では全てが本質であり全てが彼の側面であることを素直に理解しましたが、あまりの広範囲での八面六臂の活躍に、しばらくは目を白黒させていたというのが本音です。

さてこのアルバム、ホーン・カルテットはシップの計算されたシリアスさが傑出した一品でした。いかにもフリー・ジャズのアルバムらしく無味乾燥なタイトルが並ぶ作品ですが、その段落ごとの探りあいがスリリングで、イカレ耳オヤジも思わず眉間にシワを寄せて瞑想モードに突入です。御大、ウィリアム・パーカーは今や大好きなベーシストですが、ロイ・キャンベルとダニエル・カーターというフロントの二人のことはまだ馴染みがありませんでした。お二方ともインプロの世界では既に充分なキャリアを積んでいる方だったんですね。しかもフリーで活躍するアーティストらしく何刀流もの楽器を操ります。

総じてダークで陰影のあるサウンドですが、ことさらアブストラクトさを誇示するものではなく互いの眼を凝視しながら構築していかれるような音層に痺れます。正直言って昔の自分だと、聴き所を掴めずとっつきにくさが先行する部類の音の組まれ方をしています。ココではド派手な演りあいより無音の空間も活かした即興が中心という印象です。こういう構成は自分にとって聴くのにかなりの集中力を要します。自分に一番欠けている要素であるのですが、遅ればせながらそういった奥深さや楽しさを感じ取れるようになってきたようです。鳥が空を旋回するが如きフロントのホーン陣に怪しく鞭打たれるウィリアム・パーカーのベースが絡み、地底から響くようなマシュー・シップのピアノが脳髄を混沌とした世界に引きずり込みます。ピリピリとした緊張を感じながら、即興という舞台を約1時間堪能できます。・・・いやぁやっぱり駄目だ、シップのことに言及するのはかなり困難です。

でも来月の頭にはシップのソロ "4D"(Thirsty Ear) がリリースされる予定で、まだソロを聴けていない当方にとっては新たな発見があるかもしれず楽しみです。

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  1. 2010/01/13(水) 05:21:12|
  2. Piano
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#924 Echo/Alyssa Graham (Sunnyside-CD)

Alyssa Graham - Echo

1.America
2.Pictures of You
3.Echo
4.Arkansas
5.My Love
6.Butterflies
7.I Burn for You
8.Involved Again
9.Once Upon a Summertime
10.Coming Home
11.Izaura

Alyssa Graham (vo) Jon Cowherd (p,fr-h,org,vo) Romero Lubambo (g,vo) Doug Weiss (b)
Obed Calvaire (ds) Jeff Haynes (perc) Gregoire Maret (harmonica) Douglas Graham (g)
Sachi Pattituci (cello) Lawrence Dutton (viola) Elizabeth Lim-Dutton (vin) Laura Seaton (vin)

Rec-Unknown



彼女は昨年に初来日を果たしているのですが、実はそのライブを観に行っておりました。そしてそのリラックスした楽しいステージを満喫して帰ってきました。何故ログを挙げていないのかといえば、自分の周辺でかなりの修羅場があったのでそれどころではなかったというのが本音なのですが、そんな状態で何故出かけられるのかといえば、ご招待されたというのが実情であります。はい、何とも卑しいパターンです。それと普段はなかなかヴォーカルのステージを観ようと自分から行動することはないので、この際どういった感じなのか経験してみたいという衝動もありました。なんだかんだで融通をつけてしまうところに説得力のなさを露呈しているのが我ながら残念であります。

昨年の7月中旬の暑い盛りにそのステージは行われました。ヴォーカルのアリッサ・グラハムのバックを務めたメンバーはピアノにジョン・カワード、ギターにダグラス・グラハム、ベースにリチャード・ハモンド、そしてドラムにダン・ライザーというカルテットがサポートしていました。ピアニストはブライアン・ブレイド・フェローシップのメンバーですが、このアルバムでもプロデューサーとしてサウンドの核を担っています。ギタリストはアリッサの旦那さんなんだそうで、まさにおしどり夫婦ですな。ベーシストは数多くのヴォーカリストをサポートするエレベとウッドの両刀使いで、ドラマーはノラ・ジョーンズのグループの結成時のメンバーなんですね。リズムの二人はこのアルバムには参加していませんでした。

近年のヴォーカルは、無理にジャズ云々の範疇で語ることが憚られるくらいに多様なスタイルを持った表現者が多いですねぇ。このアリッサ・グラハムに関しては「フォーキー」というタームで括られていることが多いようですが、彼女自身もそのように理解されることを望んでいることがインタビュー記事に載っていました。このアルバムは彼女のセカンドになるようですが初めて国内盤としてもリリースされた作品で、訪れたブラジルやインドやヨーロッパでインスパイアされた経験が楽曲に反映され、メンバーのオリジナル以外にもポール・サイモンやスティング、そしてジョビンのナンバーなどを取り上げ、ノン・ヴィヴラートでシンプル且つマイルドに表現しているのも好感が持てます。

ピアノの詩的な世界に爪弾かれるアコギ。カワードとルバンボの男性コーラスもソフトに絡み、曲によっては添えられるストリングスやハーモニカがその柔らかさを増幅させます。個人的には1曲目から3曲目までの流れがとても心地良いですね。このアルバムの目玉とも云える8曲目は元来ビリー・ホリデイが歌うはずだった曲だそうで、長らくお蔵入りしていたその曲を彼女が初めて歌ったんだそうです。ジャック・リドアンというこの曲の作曲者が彼女の旦那さんの実家の隣に住んでいたという縁から始まったそうで、もちろん彼女の実力があるからこその抜擢で、ここではシットリと感情的に歌い上げていて白眉の出来です。ラストのボッサは彼女の懐の深さが如実にあらわれていて、どんな曲でもしっかりこなす力量に満ち溢れています。

ジャズ・テイストはどちらかといえば薄めですが、やはりノラ・ジョーンズが好きな方は気に入るのではないでしょうか。

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  1. 2010/01/11(月) 02:44:38|
  2. Vocal
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#923 Playing in Traffic/Ohad Talmor - Steve Swallow - Adam Nussbaum (Auand-CD)

Ohad Talmor - Playnig in Traffic

1.Playing in Traffic
2.Three Two You
3.Days of Old (Intro)
4.Days of Old
5.Adam and Steve
6.Here Comes Everybody
7.Quiet Inside
8.Undress Under Duress
9.More Nuts
10.Warmer in Heaven
11.Too
12.Up too Late

Ohad Talmor (ts) Steve Swallow (el-b) Adam Nussbaum (ds)

1,3,4,6,8,10,12 (Live)

Rec-2008

2,5,7,9,11

Rec-2009



ジョン・アバークロンビーのグループで来日が決定しているアダム・ナスバウムを要したサックス・トリオ。ひと月半ほど前にリリースされたもので、どちらかというとクセのあるアルバムを世に問うイタリアのレーベル、Auand にしてみたらかなり聴き易い部類の作品。三人の共同名義のような形をとっていて、名前は並列に記されていました。

フロントのテナー奏者のことは全く知らなかったのですが、この作品とは違うサックス・トリオでメンバーそれぞれの名前の頭文字をを冠した"Mob Trio"(ドラマーがマット・ウィルソンではないか!)というグループでも活動しており、Omnitone から既に2枚のアルバムをリリースしているようです。また、"NewsReel" という名で活動しているプロジェクトや、過去にはラス・ジョンソン&ピート・マッキャン&マーク・ファーバーとカルテットを組み、Knitting Factory からやはり2枚の作品が発売されていました。またリー・コニッツのアルバムのプレイヤー&アレンジャーとしても複数の作品での仕事があり、すでに広範囲で活躍するプレイヤーと認識しました。1970年スイスのリヨン生まれで現在の活動拠点はブルックリン、彼の名前をオハッド・タルモアと読んでいいのかな?

リズムは毎度お馴染み大ベテランの盟友、スティーヴ・スワロウ&アダム・ナスバウム。このリズムのペアの作品はかなり多く、古くはジョン・スコフィールドのグループで、またデイヴ・リーヴマンとのトリオなど多数の作品を吹き込んでいますねぇ。今回タルモアと組むのは最初になるのかなぁと思って少し調べてみると、既にスワロウとは共同名義のセクステットを Palmetto に吹き込んでいる(変則的な編成でドラムレス、ヴァイオリンに大倉めぐみ "Meg Okura" 嬢が参加していました)ようで、ベーシストとは既知の仲でした。

スタジオ録音とライブ収録を交互に編んだ面白い内容ですが、最後の曲の歓声を聞かないと全く気づかないくらいに演奏が自然に進行していきます。予備知識ナシで聴いた最初の印象は、随分クールな音色でテナーを吹くなぁと思っていました。スピーディな曲調でも音がどちらかといえば軽やかで、ところどころでは太さも感じさせますが基本はソフトなタッチです。またハスキー・ヴォイスの如きテナーのカスレ具合も好い味を出しており、どことなくスタン・ゲッツっぽくも聴こえました。そんなことを考えながらブログに取り上げる際に色々と調べ物をしてみたら、上記の通りリー・コニッツとの関わりが非常に濃い奏者であったのでさもありなんと膝を打った次第です。そうすると御大リー・コニッツの傑作トリオ、"Motion"(Verve) とダブってくるから面白い。ナスバウムのドラムとエルヴィンではスタイルが違うけれど、管ではタルモアの涼やかなテナーが妙にコニッツ側ににじり寄って聴こえてきます。トリスターノ一派と云った表現で紹介されていたタルモアですが、まさにそれを地で行ったようなサウンドは、当方にとってはある種のノスタルジーをも誘発するような演奏でもありました。

やはりココは1曲目のタイトル曲が美味しいです。まずはスワロウのエレベの導入部にワクワクし、すかさずナスバウムのブラシがインサート(途中でスティックに持ち替えるところもシビレル!)してきます。このタッグにより極上のイントロがこの時点で既に完成します。そしてタルモアのスピーディでありながらもクールなテナーがリズムに乗って唱い上げるといった塩梅で、思いのほか聴き心地のよい仕上がりになっていました。アルバム全体では緩急の付いた構成になっておりますが、テナー氏の特性上「緩」の部分が目立つような感じに受けるのは、己のいただけない耳のせいなのか。というわけで自分としては1曲目のような「急」のグループに属する曲のほうが好みです。ちなみにスティーヴ・スワロウはこのアルバムではエレベで通しています。なかなか渋いサックス・トリオでした。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2010/01/09(土) 23:16:42|
  2. Tenor Sax
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#922 In This Day/E.J. Strickland (Strick Muzik-CD)

E.J. Strickland - In This Day

1.Abandoned Discovery
2.Asante (for the Tribes of Ghana)
3.Eternal (Intro)
4.Eternal
5.Pedrito's Prelude
6.New Beginnings
7.In Faith (In This Day)
8.In This Day
9.Angular Realms
10.Find Myself
11.Wrong Turn
12.Illusions
13.Robin (Intro)
14.Robin Fly Away

E.J. Strickland (ds) Jaleel Shaw (as) Marcus Strickland (ss,ts) Luis Perdomo (p)
Hans Glawischnig (b)
Cheray O'Neal (spoken word→only3,7) Charenee Wade (vo→only3) Tia Fuler (fl→only12)
David Gilmore (el-g→only9,ac-g→only13) Brandee Younger (harp→only13)
Pedro Martinez (congas→only2,5,6,12,djembe→only2) Yosvany Terry (ts,chekere,bell→only6)

Rec-2008



年末年始の空き時間にこれからリリースされる新譜(向こう3か月分くらい)と、来日するアーティストのライブでどのようなものがあるのか、それはもう目を皿にして調べてみました。興味深いものをチョイスしたらあるわあるわ、新譜だけでも50枚くらいになるしライブも何本もある。当然全部をフォロー出来るはずもなく、これから取捨選択に苦しみ抜くことになりそうです。

その中でも特に気になるのは、2月22日リリース予定(日本盤は3月10日)になっているブラッド・メルドーの"Highway Rider"(Nonesuch)。2枚組ということ以外、現時点で詳しいデータを掲載しているサイトを見つけられず、どのようなものなのか皆目見当が付きません。コレ、昨年の12月中頃からウェブ上で散見できるようになったんだけれど、編成とかメンツとか新録なのか、はたまたライブなのか未だに詳細が見えなくて、もしかしたらすんなりリリースされるのかどうかすら怪しいのかなぁとも邪推してしまいます。いや、規格番号も決まっているようだしそれは大袈裟ですな。

他に個人的にめぼしいものでは High Note の2枚(ジェリー・バーガンジ、ジェレミー・ペルト)、Criss Cross Jazz の4枚(ジム・ロトンディ、ラージュ・ルンド、デヴィッド・ビニー、ワイクリフ・ゴードン)、Concordからトランペッターのクリスチャン・スコット、Challenge からヴィンセント・ハーリング&アース・ジャズ、ECM のステファノ・バタグリアのデュオにフランソワ・クチュリエのソロ・ピアノ、Blue Note からリオーネル・ルエケ、Whirlwind からゲイリー・ハズバンドのグループでも活躍中のベーシストのマイク・ジャニシュ(コレはいいメンツ!)、Origin からベーシストのアーロン・イマニュエル・ライトのデビュー作に、対照的とも云えるベテラン・サックス奏者のハドリー・カリマン、Cube からナイポンクのライブ、フリー&インプロ関連では Clean Feed からトニー・マラビー、Hatology のマニュエル・メンギス、Thirsty Ear のマシュー・シップのソロ、PSI のエヴァン・パーカー、Atavistic からペーター・ブロッツマン(フル・ブラスト)のカップリング2枚組、ちょっと脱線してジプシー&マヌーシュ・ギターではイギリスの Le Chant Du Monde からヨルギ・ロフラー、アンジェロ・ドゥバールあたりが出るようで実に興味深い。駄目だ、書き出すとキリがない。Dreyfus からエリック・レニーニ入りのアルド・ロマーノや Intakt からエリオット・シャープ御大のアルバムも出るし・・・。

転じてライブでも観たいもの目白押しですが、フットワークの重い地方在住者なのでやっぱり指を銜えて眺めるのが精一杯。ジェラルド・クレイトン(w/ジョー・サンダース、ジャスティン・ブラウン)やブランフォード・マスサリス(w/ジョーイ・カルデラッツオ、エリック・レヴィス、ジャスティン・フォークナー)、ジョン・アバークロンビーのオルガン・トリオ(w/ゲイリー・ヴァセイシ、アダム・ナスバウム)等は観たいなぁ。ヴォーカルならジェーン・モンハイト(マイケル・カナンがピアノ!)やニコレッタ・セーケ(ロバート・ラカトシュがピアノ!)あたりは気になります。でも個人的にはダヴィッド・サンチェス。というのもサイドとしてラージュ・ルンドとドラムでE.J.が来日予定のようです。ルンドのギターはサンチェスの近作でも聴けたけれど、E.J.がどのようなサポートをするのかが気になるところです。お二方ともちょいちょい来日しておりますが、今まで縁がなかっただけになおさら興味深いです。ということで前置きが長すぎですが、今日はE.J.を聴いていました。

ストリックランドのレーベル「ストリック・ミュージック」から、この初リーダー作も半年以上前にリリースされましたが、このレーベルは兄弟の共同運営ということなんでしょうかね。ラヴィ・コルトレーンのプロデュースによる、斬新さも組み入れた一編となっています。フロントにマーカスとジャリール・ショウを配した二管クインテットが基本ですが、曲によってヴォイスやスポークン・ワードを大胆に起用したり、ギターや疾走するコンガが入ったりと多彩な表情を魅せてくれます。ただし突飛な印象は皆無で、彼らの統一されたカラーが発揮された現代的なジャズをカマしてくれます。決して派手な色合いではなく、様々な楽器によってサウンドに変化をつけている割りには真摯なジャズになっており、マーカス名義の"Open Reel Deck"のような狙った感は薄く、抵抗なく入っていけるサウンドになっています。クレジットにはないのですがルイス・ペルドモはエレピも使用していて、ことのほかコレが効いていていい塩梅のアクセントになっています。しかしながらこのアルバムの『アサンテ』のカッコ良さ、ほれぼれしますなぁ。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2010/01/07(木) 04:18:06|
  2. Drums
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#921 Now and Forever/The Thing (Smalltown Superjazzz-CD)

The Thing - Now and Forever

Disc 1

"Gustafsson, Flaten, Nilssen-Love / The Thing"

1.Awake Nu
2.Mopti
3.Cherryco
4.Ode to Don
5.The Art of Steve Roney - Smilin'
6.Trans-Love Airways

Mats Gustafsson (as,ts) Ingebrigt Haker Flaten (double-b) Paal Nilssen-Love (ds,perc)

Rec-2000

Disc 2

"She Knows... / The Thing with Joe McPhee"

1.To Bring You My Love
2.The Thing
3.Body Talk
4.Going Home
5.For Real
6.Old Eyes

Mats Gustafsson (as,bs) Ingebrigt Haker Flaten (double-b) Paal Nilssen-Love (ds)
Joe McPhee (pocket-tp,ts)

Rec-2001

Disc 3

"Live at Oya / The Thing with Thurston Moore" (DVD)

1.Art Star
2.The Witch
3.Aluminum / Have Love Will Travel
4.No Crowd Surfing

Mats Gustafsson (as,bs) Ingebrigt Haker Flaten (double-b) Paal Nilssen-Love (ds,perc)
Thurston Moore (el-g)

Rec-2005

Disc 4

"Gluttony / The Thing"

1.Gluttony

Mats Gustafsson (plastic-as,bs,slide-sax) Ingebrigt Haker Flaten (double-b)
Paal Nilssen-Love (ds,perc)

Rec-2005



明けましておめでとうございます。本年も奇人変人ぶりを如何なく発揮すべく、馬鹿馬鹿しいログを気の向いたときにのみヒッソリと晒しますので宜しければお付き合いの程を。

新年早々一発お見舞いされるのに相応しいものはどれか、とゴソゴソやって手に取ったのがコレ。ザ・シングの2000セット限定、4枚組みBOX。昨年の来日時は大友良英氏とのコラボでしたが、その時期に自分の身辺がドタバタしていたのと田舎者の地の利のきかなさゆえ東京が何時になく遠く、その目撃を泣く泣く諦めるという拷問のような決断を下したのでした。嗚呼、マッツ・グスタフソン観たかったぁ・・・。

この箱の中身は1枚目が彼らのデビュー作、2枚目がジョー・マクフィーとのコラボ作で2枚とも既に廃盤だったものの復刻。3枚目はPAL式のDVDで、なんとソニック・ユースのサーストン・ムーアとのコラボでノルウェーでのライブ。4枚目は未発表作で45分一本勝負と云う、フリーの王道を往くディスクと云った布陣。ニューイヤーの朝から酔っ払いがとぐろを巻くかのような、マッツの変態ブロウをお見舞いされております。小生にとっては全くもって相応しい幕開けですな。

1枚目はやっぱり若い!手探り感というか勢い一発というか、荒削りなサウンドは疾走感とともに迫ってきてなかなか新鮮です。マッツのヨレ具合はこの頃から既に健在で嬉しくなります。ホーケル・フラーテンもニルセン・ラヴも直近のディスクと比べればやっぱり若さを感じさせるんだよなぁ。2枚目の地底怪獣、ジョー・マクフィーとの共演も強烈。マクフィーの得意技、ポケット・トランペットにマッツはバリサクとアルトで応酬。ダークでアヤしさ満点なのはいつものことで、二人してヨガりまくっています。うーむ、狂気(凶器!)ですな。3枚目は観れない・・・。観れないのは年末に書いたログの理由の通り。でもこのディスクは購入時にタップリと観ていて、のた打ち回る連中のステージには快哉を叫んていました。サーストン・ムーアが髪振り乱しギターを掻き毟っております。嗚呼、もう一回観てぇ。ガラクタのようなパソコンを我慢して使っているのは精神衛生上良くありませんなぁ。4枚目は例によって静寂と爆発を繰り返すマグマのような、聴き手の脳をシェイクする骨太なトラック。1曲ぶっ通しの様相を呈していながら、段落分けといったところでしょうか、便宜上3曲分のマークがされていました。

結局は4枚中3枚しか楽しめないと云う、やはり自分らしいスタートを切りましたが、新年用の往復ビンタとしては顔が変形するぐらいの一撃に満足したのでした。今年はどのくらい顔面変形をしてしまうのか自分でも想像がつきません。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2010/01/01(金) 16:02:19|
  2. Combo
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ぬどい

Author:ぬどい

タイトル通りのブログです。聴くジャズに垣根をつくらずがモットーです。駄耳の持ち主ですがジャズが好きで連日湯水を浴びるが如く聴き続けています。しかし自分の耳は全く向上しません。近年ジャズに戻って来たためここ10数年のアーティスト&作品には非常に疎く探求中です。今までに所有してきたレコードの聴き直しと新たなる発見を求めて購入したCDの感想を備忘録を兼ねて更新しております。ど素人が主観のみで書いているログですので当然ココではお勉強は出来ません。検証は他所でやって戴いたほうが確実かと思いますのでその旨ご了承願います。(ただ今さぼりモード突入中)


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