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イカれた駄耳にジャズの洪水

今宵も円盤漬け・・・     since 23rd Oct. 2006

#719 At Last/Marcus Strickland Quartet (Fresh Sound New Talent-CD)

Marcus Strickland - At Last

1.Iris
2.Three for Her
3.At Last
4.The Ninth Life
5.When in Doubt...
6.Joy Song
7.Serenity
8.February 21
9.Gar-Zone

Marcus Strickland (ts,ss) Robert Glasper (p) Brandon Owens (b)
E.J. Strickland (ds)

Rec-2000



未だにこのアルバムを良く聴いている。自分がジャズに戻ってきて、今までに所有していたアナログばかりではなくCD時代に録音された近年モノの音源にも触れていかなければならないと意識したのが約1年半ほど前になるでしょうか。それ以来かなりのペースで沢山の作品に接することが出来たけれど、この作品はその最初の頃に購入したアルバムになります。

これはマーカス・ストリックランドのファースト・アルバム。ストリックランド兄弟にロバート・グラスパー、ブランドン・オーウェンズと云う布陣。ピリッとした若々しさと新しさを感じさせる出色の内容と思っています。個人的な思い入れも大きいので冷静な判断力に欠けるかもしれないけれど、このアルバムはエネルギッシュさと云うよりも全体から醸される雰囲気が大変好きで、当方にとっては繰り返し聴かされる要素が多分に含まれています。マーカスの放射されるエネルギーは丁寧に抑制されているように感じられ、意外と云えばいいのか微妙にクールな色合いも感じさせます。敢えて熱くなりすぎないようにコントロールされているかのような表情に比して、グラスパーとE.J.のテンションが一段階上に高まって聴こえるのが肝のような内容と思っています。

1曲目はショーター作、7曲目がジョー・ヘン作、グラスパーのオリジナルが2曲(2,6)、E.J.の曲が8曲目、マーカスのオリジナルが4曲(3,4,5,9)の全9曲。取り上げられている曲の構成も絶妙で個人的には美味しいフレーズが満載です。マーカスやロバート・グラスパーのリーダー作も、そしてサイドとしてのブランドン・オーウェンズやE.J.ストリックランドの仕事も短期間で多数聴いてみたけれど、自ずと確固たるカラーが浮き出ているのはどの作品にも感じられて根底に流れる共通の美意識が堪りません。個人的には特にロバート・グラスパーの世界観が大好きなんだけれど、これは彼のペンの力に依る部分も非常に大きいと実感させてくれるのが6曲目の彼のオリジナル。ラップやヒップポップの世界にも携わるだけあって独特なフロウ感を持っており、それこそメロディで韻を踏みまくると言ってしまうと乱暴なのかもしれないけれど、そのように感じさせてしまうのが彼の凄いところと思っています。

近年ではアルバムでも、正統的なアプローチからかなり冒険をするようになったマーカスやロバート・グラスパーですが、この頃から完成された独自のパフォーマンスを見せつけているのはさすがだと言わざるを得ません。初々しさなどという表現が当て嵌まらない説得力です。

テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2008/11/09(日) 21:42:43|
  2. Tenor Sax
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

わたしも・・・

ぬどいさん こんばんは、そしてお久し振りです。

わたしもこのマーカス・ストリックランドのファースト・アルバムを物凄く良く聴きます。CDプレーヤーの傍から離れた事が無い位です。 

これを吹き込んだ時のメンバーの年齢は知りませんが若いのにただならぬ雰囲気を持った連中だと思いつつ 未だに愛聴しています。何故か何回聴いても飽きません。
演奏もさることながら 各人の曲の良さと曲順が飽きない理由かも知れません。 こんなに聴き込んだのはカインド・オブ・ブルーとネフェルティティ以来です(笑)

マーカス・ストリックランド達の演奏を直接聴いて見たいものです。

  1. 2008/11/14(金) 18:30:49 |
  2. URL |
  3. shepp #-
  4. [ 編集]

ご無沙汰しておりました。

sheppさん、お久しぶりです。

そうなんですよ。聴き飽きないんです。それと楽曲の良さや曲順の妙も完全に同意致します。指摘されて気がついたのですが、そういえばこの作品に関しては1曲目から終わりまで常に通して聴いていました。何かと思い入れの曲をリピートする再生パターンをやりがちな人間なのですが、途中にダレるところが全くないですし作品から放たれる統一したニオイを聴くたびに感じさせてくれます。個人的にはエレピを導入していないことも要因としてあるような気がします。

自分がコレを聴いたのはロバート・グラスパーの近作『In My Element』を気に入ったためで、その延長として彼がサイドとして参加しているこの作品を含めたマーカスのリーダー作の諸作に接したのがキッカケです。今から一年半ほど前に初めて知ったばかりとは云え、すぐ病み付きになってからそれだけの期間が経過しました。sheppさんは発売当初から聴かれているんですよね?そうなるとカレコレ8年ですか。しかしながら「カインド・オブ・ブルー」と「ネフェルティティ」と同列なんて凄いですね!

私もマーカス・ストリックランドをジェフ・ワッツのエボニックスでの来日時に聴き逃していることを今さらながら後悔しています。知っていて行けなかっただけに無念さが募ります。その分グラスパーを体験した余韻を未だに引きずっているのですが。
  1. 2008/11/14(金) 19:59:36 |
  2. URL |
  3. ぬどい #-
  4. [ 編集]

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ぬどい

Author:ぬどい

タイトル通りのブログです。聴くジャズに垣根をつくらずがモットーです。駄耳の持ち主ですがジャズが好きで連日湯水を浴びるが如く聴き続けています。しかし自分の耳は全く向上しません。近年ジャズに戻って来たためここ10数年のアーティスト&作品には非常に疎く探求中です。今までに所有してきたレコードの聴き直しと新たなる発見を求めて購入したCDの感想を備忘録を兼ねて更新しております。ど素人が主観のみで書いているログですので当然ココではお勉強は出来ません。検証は他所でやって戴いたほうが確実かと思いますのでその旨ご了承願います。(ただ今さぼりモード突入中)


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