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Havard Wiik (p) Ole Morten Vagan (double-b) Hakon Mjaset Johansen (ds)
Rec-2006
正直云うと、昨年末に目撃してきたアトミックのライブでのホーヴァル・ヴィークの印象が徐々に薄れつつあったのです。裏を返せば他のメンバーの圧倒的なパフォーマンスに失神するくらいの衝撃を受けて、光るプレイをしていたはずのヴィークのピアノが自分のなかで徐々に霞んできつつあると云ったところでしょうか。フレデリック・ユンクヴィストの顔面を紅潮させながら迫ってくるインプロに度肝を抜かれ、スキンヘッド男マグヌス・ブルーのミサイルのように戦闘的なフレーズに絶句し、インゲブリクト・ホーケル・フラーテンの変態ベースに鞭打たれ、ポール・ニルセン・ラヴの見えないくらいに素早く動くスティック・ワークに釘付けになっていました。そのブリッジにヴィークの深遠で残響を活かすようなピアノがひと心地つけてくれていたのですが、その輪郭がだんだんとおぼろげになってきたような感覚になってきて、これはイカンと思い彼の近作のピアノ・トリオで復習しているところです。
当然のように耳心地の良いピアノとは一線を画しています。重々しくダークに響かせるパーカッシヴな冒頭の曲から、リズムと対話をするように静かに潜行しつつもテンションの高さを感じられるような3曲目などを聴いていて、おのれは何を観て聴いていたのかと渋面のホーヴァル・ヴィークが自分の前に屹立してきました。ジャズ批評ではこのアルバムのピアノのことを「きりもみ状」と表現されていましたが、そうそう全くその通りでライヴでもめまぐるしく切り返される螺旋状のフレーズに溢れていたことを思い出してきました。
予見出来ないフレーズを駆使したピアノに拮抗するリズムがまた絶品で、オーレ・モッテン・ヴォーガンのグィーンと突き上げる感じのベースに、細かいシンバル・ワークと煽り立てる効果抜群のホーコン・ミョーセット・ヨハンセンのドラムの炸裂具合がとても痛快でワクワクしてしまいます。ヴォーガンのベースは女流ピアニストのマリア・カンネゴールの新譜
『Camel Walk』(Jazzland)で、ヨハンセンのドラムはやはりピアニストのマリアン・ペトレシュの
『Body and Soul』(Hot Club)と云う作品で聴いていましたが、ヴィークと組んだこのアルバムでの印象もシリアスで刺激的な活躍で嬉しくなります。
解り易さと無縁なピアノで聴く人を選ぶことは間違いないでしょうが、アトミックの片鱗を充分に感じられるこの内容に、当方はやはり入り込んでしまうのです。
テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽
- 2009/02/05(木) 23:46:30|
- Piano
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